2004年(平成16年)12月28日
国土交通省情報化政策委員会決定
第1 業務・システムの概要
汎用電子計算機システムは、国土交通省内共同利用のシステムとして、昭和43年度に旧運輸省に導入されて以来、行政事務の効率的な遂行に資することを目的として、様々な業務処理システムの運用に多大な役割を果たして、今日に至っている。
現在では、当該システム上に残存している、個別に独立した以下の4業務に対して、主に本省におけるセンタ処理と、本省内・地方運輸局・運輸支局等を結ぶオンライン処理が可能な基盤を提供するのみとなっている。
道路運送関係行政情報システム
電子申請及び窓口申請された申請情報を基に、道路運送行政の基礎となる事業者情報を、旅客事業者台帳、貨物事業者台帳等の台帳情報として整備する。
また、事業者から一定期間ごとに届出される各種営業報告書や実績報告書について、台帳情報に関連した情報として蓄積し、随時、行政情報として検索、加工、閲覧等を行う。
二国間海上貿易統計
財務省で作成された貿易数量に関する実績情報を基に、貿易量から輸送量への換算を行って、発着国別、品目別の海上貿易量(輸送量)を年1回集計し、海事関係資料集として刊行される「海事レポート」に掲載するための基礎資料を作成する。
舶用工業統計システム
船舶用ぎ装品等の舶用工業品を生産する事業者から報告される生産高情報等をデータベース化し、造船法で定められた舶用工業品の生産実績資料を月次及び年次ベースで作成する。
EPA法による船員月間有効求人倍率の算出
船員行政に係る資料として利用するため、船員職業安定所における求人数と求職数の数値について、EPA法による季節調整の処理を行い、月間有効求人倍率を算出する。
汎用電子計算機システムは、本省電子計算機器室内に設置されたセンタ機器類、及び、関連各部局に設置したPCサーバ、 クライアントPC等から構成されている。
汎用電子計算機システムの最適化に当たっては、当該システムで行われている業務処理の効率性、経済性を高めるという視点から、業務・システムにかかる見直しを行い、「業務・システムの統一化、標準化」、「システムの運用等に係る経費の縮小」、「サーバ等機器のオープン化」、「安全性・信頼性の確保」を図ることを基本理念とする。
第2 最適化の実施内容
汎用電子計算機システムについて、次に掲げる最適化を実施する。
これによって、主にシステム運用・管理等に係る費用等を削減し、年間経常経費として、約1.9億円の経費削減(試算値)が、見込まれる。
本システムについては、すでに運用管理を全面的に外部委託しているところであり、本件の実施によっても運用管理に係る人員の新たな見直しは発生しない。また、各個別業務内容についても見直しを行ったところ、本件最適化の実施によって、それぞれの所管行政として行うべき事業者に対する指導・助言等の行政事務に上乗せとなっている各個別業務に係るシステム関連作業時間について、約1割(年間2.6日分)の縮減(試算値)が見込まれる。
近年、PCをはじめとするオープンシステム系機器の処理能力がめざましく進歩しており、オープンシステム普及以前に開発され汎用電子計算機システムを用いた業務処理を継続してきた残存4業務については、取り扱うデータ量や、処理の内容・頻度等から、より安価なオープンシステム系のサーバやPCでも十分運用が可能であると言える。また、操作性向上を目的としたユーザインターフェースの変更や運用時間の柔軟性向上等の利用者ニーズを満たすためには、むしろオープン系システムであることが好ましい状況にある。
これまで、汎用電子計算機システムは、省内業務処理に共用できるシステムとして機能提供を行って来たが、現状において、汎用電子計算機を利用する業務処理の新たなニーズは、見込めない状況ともなっている。
以上のような状況を踏まえ、現在、汎用電子計算機システムにおいて提供しているサービス・機能を見直し、2004年(平成16年)12月までに、当該サービスを利用している業務・システムのうち、一般事務処理システムにおいて処理が可能なものについては専用システムによる業務処理を廃止し、一部専用機器等が必要な業務についても、低廉なオープン系システムへの移行を実施する。
対象4業務のうち、専用システムを使用せず、一般事務処理システムによる処理に移行するものは、次のとおり。
二国間海上貿易統計
財務省からのデータ提供についてもPC処理可能なファイル形式によることが可能となっており、数値の換算、分類集計計算も極めて簡潔であることから現行システムの使用を止め、一般事務処理系クライアントPCで提供されている表計算ソフト等を利用した業務処理に移行する。
EPA法による船員月間有効求人倍率の算出
本業務で使用している季節調整の手法(EPA法)を用いてきた類似業務がセンサス局法へと移行している状況も踏まえ、これまで用いてきたEPA法に変えてセンサス局法を用いることとし、一般事務処理用クライアントPCで利用可能なセンサス局法による季節調整計算ソフトが米国センサス局から無償で提供されていることから、一般事務処理用クライアントPCによって、前記センサス局法ソフトと、既存表計算ソフトを組み合わせたシステムによる業務処理形態に移行する。
サービスを継続する業務・システムについては、将来におけるシステムの維持コストの低減を目標に、業務処理やデータの集中化、データ構造の標準化、及び様式類の統一化などの施策により、システムの簡素化、及び拡張性の確保を図る。
具体的には、以下を実施する。
道路運送関係行政情報システム
旅客事業者情報管理および貨物事業者情報管理の2機能については、業務の流れ及び取り扱うデータの様式、内容が類似していることから、機能を一つに統合する。台帳については、現在、旅客台帳と貨物台帳が存在するが、管理内容が同様であり、一元管理した方が合理的であるため、事業者管理台帳として一本化する。
運行管理者情報管理および整備管理者情報管理の2機能についても、業務の流れが類似しており、かつ扱うデータが同様であることから、機能を一つに統合する。
また、現状のシステムにおいては、各端末機にデータベース等のアプリケーションソフトを所持し、データベースについても所管地方支分部局分をそれぞれの局等のサーバに分散保持した上でセンタ機器の保持する全国データベースとの同期をとるシステム形態であったが、後述するオープン化に伴うWeb機能の利用によって、アプリケーションソフト及びデータベース管理の本省一元化を図る。
舶用工業統計システム
現行の汎用機システムに特化した、汎用機向けの媒体変換処理を廃止する。
前項までで見直した業務・システムについて、サービスを提供するために必要な性能の確保を前提に、汎用機を廃止し、サーバ機器をオープンシステム化する。また、端末機器については、専用のハードウェア、ソフトウェアを極力汎用にすることで、他の事務用PCとの共有化を図る。
次に記載する対策等を検討・実施し、安全性・信頼性を向上することにより、種々のリスクへの対応を強化し、想定外の損害の発生を抑止する。
(1)情報システムのセキュリティ機能の強化
情報システムで取り扱う情報の重要性及び脅威を評価し、環境基準を整理し、基準に見合ったセキュリティ機能の整備、強化を図ることとするが、本件業務・システムが稼働する環境は、国土交通省における一般事務処理系ネットワークの範囲であり、省セキュリティーポリシーに基づいた十分なセキュリティーが確保されている。
最適化後のシステムについては、新たに導入するオープン系サーバについて、前記ポリシーに基づくセキュリティ対策を行い、十分な保守・管理によって、これを保持することとする。
(2)バックアップ機能の整備
各種バックアップ装置の機能・運用を再検討したうえで、磁気ディスク装置の冗長化、バックアップ装置導入などによりバックアップ機能を整備する。
最適化計画の実施にあたっては、最適化計画策定後の情報通信技術の進展、製品化動向等を踏まえ、必要に応じ、最適化計画の見直し、仕様書への反映等の措置を講じることとする。
第3 最適化工程表
最適化実施は、各施策の効果を実行の容易性等を考慮し、2段階での実施を想定する。
第4 現行体系及び将来体系
別添のとおり。
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