国土交通省

国政評第7号
平成16年5月28日

気象庁長官 殿

国土交通大臣 石原 伸晃

平成15年度に気象庁が達成すべき目標についての評価

 中央省庁等改革基本法(平成10年法律第103号)第16条第6項第2号の規定に基づき、平成15年度に気象庁が達成すべき目標についての評価を次のとおり実施したので、通知する。

  1. 気象庁が達成すべき目標についての評価にあたって
     この評価は、実施庁が目標を達成したかどうかを判断するとともに、目標を達成するために必要な措置等が講じられたかどうか等を視点として評価するものであり、評価結果は、実施庁の効率的な業務執行に活かされるべきものである。

  2. 気象庁が達成すべき目標についての評価
    (1)的確な観測・監視及び気象情報の充実等について
    具体的な目標
    • 飛行場における気象観測能力の向上を図るため、81空港で空港気象観測システムを運用することを目指し、15年度は3空港に整備し、計38空港で運用する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     15年度は3空港(中部国際、新多良間、奥尻)において空港気象観測システムを整備し、既に整備されているものと合わせると計38空港(未開港の中部国際を含む。)での整備が行われており、着実な取り組みが行われている。この結果、時間的に一層きめ細かな観測データを航空会社等に提供することができ、飛行計画策定等に役立つものと期待される。最終的には81空港で運用することを目指し、引き続き計画的に空港気象観測システムの整備を推進することが必要である。

    具体的な目標
    • 地球温暖化に伴う海面上昇の監視を強化するため、全国の13箇所の検潮所に精密型水位計を整備するとともに、地盤の変動の影響を除いた地球温暖化に伴う海面上昇に関する監視情報の提供を開始する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     平成15年度は、全国13箇所の検潮所に精密型水位計を整備するとともに、海面水位の観測データ及び地盤変動データ等を解析することにより、地球温暖化に伴う海面上昇に関わる監視情報を作成し、報道発表や「気候変動監視レポート2003」等への掲載により情報提供を行った。また、海面上昇に関する分かり易い解説や最新の情報を気象庁ホームページに掲載した。これらにより、一般国民への知識の普及と啓発が図られることが期待される。

    具体的な目標
    • 気象等の注警報について、発表の対象となる地域を絞り込み、きめこまかく発表することにより適切な防災活動を支援するため、15年度は関係都道府県と連携・協議し、府県予報区(総数56)のうち細分化を設定する予報区を54から拡大するとともに、全国356の細分区域を更に増加させる。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成したものと認められる。
    【所見】
     関係府県等の防災機関と協議を行い、各防災機関の管轄範囲、災害特性や気象特性を考慮して、55府県予報区で細分化を設定するとともに、既に細分化を設定している府県予報区においても更なる細分化を進めることにより全国の細分区域を362に増加させるなど、気象情報の充実に向けた積極的な取り組みがなされたものと認められる。

    具体的な目標
    • 都道府県が管理する河川を対象として、都道府県と共同で行う洪水予報(指定河川洪水予報)を3県での実施から10府県での実施に拡充させる。

    評価

    【評定】
     目標は達成されておらず、一層の努力が必要である。
    【所見】
     青森県、大阪府、和歌山県、山口県、新潟県の5府県において、府県が管理する12河川を対象として県と気象庁とが共同で発表する指定河川洪水予報業務を開始しており、着実な取り組みが行われている。本年度の10府県での実施という目標値は未達成であるが、引き続き関係機関と十分協議しつつ更なる進展が図られているところである。今後も、都道府県への啓発を進めるとともに、都道府県と共同で行う洪水予報の実施を計画的に拡大することにより、台風による局地的な豪雨等に対するより的確な防災情報の提供が可能となることが期待される。

    具体的な目標
    • 国土交通省が保有する防災情報をインターネットを通じてわかりやすく国民に提供するために、省内関係部局が設置する「防災情報提供センター(仮称)」の運営主体として、省内関係部局とともに15年度の出水期から運用を開始する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成したものと認められる。
    【所見】
     15年6月に関係部局との協力のもとで「防災情報提供センター」を開設し、気象庁を運営主体とする情報提供に係るホームページ(URL:http://www.bosaijoho.go.jp/)の運用を開始した。運用開始後も操作性の改善や、掲載情報の充実が順次図られており、今後も継続して改善に取り組むことが期待される。

    具体的な目標
    • 都道府県との連携により、情報提供機能の向上を図るため、気象庁が発表・提供する図等を含む各種防災情報をネットワーク上で利用可能な防災情報提供装置を15年度末までに全都道府県に接続する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成したものと認められる。
    【所見】
     平成15年度においては、未接続であった新潟県、愛知県の2県との接続を完了し、全都道府県と防災情報提供装置を接続した。これにより、全国の自治体において、気象台からの防災情報が迅速かつ確実に伝達されるとともに、気象台が発表・提供する図等を含む各種情報・解説のネットワーク上での随時利用が可能となり、一層きめ細かな防災情報が提供されている。

    具体的な目標
    • 台風情報において、強度予報の期間を48時間先から72時間先まで延長するとともに、全国29地点について発表していた暴風域に入る確率を全国356地域に拡大して3時間刻みできめこまかく発表する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     15年6月より強度予報の期間を48時間先から72時間先まで延長した。また、注意報・警報を発表する全ての二次細分区域(356区域、平成16年3月からは362区域)に対して、観測時刻から24時間後までに暴風域に入る確率、観測時刻から48時間後までに暴風域に入る確率、観測時刻から48時間先までの3時間毎の各時間帯の暴風域に▼入る確率のそれぞれについての発表を開始した。これにより、一層きめ細かな防災情報が提供されている。

    具体的な目標
    • 降雨に関する実況解析及び降水量の予測情報を提供する時間間隔を1時間ごとから30分ごとに短縮する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     15年6月より解析雨量および降水短時間予報を30分ごとに提供しており、その後、10月からは降水量解析精度の向上を図るため、気象庁以外の機関の降水量観測データ(約4000箇所)の利用を開始した。これにより、一層きめ細かな防災情報が提供されている。

    具体的な目標
    • 黄砂に関する分布・降下の実況及び予測に関する情報提供を16年の春期シーズンから開始する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     黄砂飛翔状況を把握するためのシステムの整備、黄砂飛来を予測するモデルの構築の後、16年1月より、大規模な黄砂の飛来が予想された場合または観測された場合には、黄砂に関する気象情報を発表している。これにより、一層充実した気象情報が提供できるものと期待される。

    具体的な目標
    • 活動度の高い火山の活発化に対応して、火山における地震や地盤の膨張・伸縮等から地下のマグマの動きを的確に把握できる火山の数を、平成19年度までに全国で10とすることを目指し、観測データの解析技術の改良等を進めることで平成15年度には、その把握能力を有する火山を2とする。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     樽前山及び北海道駒ヶ岳を対象として、火山性地震については臨時観測点の設置等による観測データの充実を、地盤変動についてはGPSの測位精度を高めて解析精度の向上を図った。これにより、一層きめ細かな防災情報が提供されるものと期待される。

    (2)気象業務に関する技術に関する研究開発の推進について
    具体的な目標
    • 天気予報、週間天気予報等の基礎となる全地球を対象とした数値予報モデルを改善し、17年には、5日先の予測精度(数値予報モデルが予測した気圧が500hPaとなる高度の実際との誤差)を12年実績の4日先の予測精度まで向上させ、予報の改善に反映させる。

    評価

    【評定】
     目標達成には一層の努力が必要である。
    【所見】
     これまでの数値予報モデル改良で予測精度は着実に向上しているものの、南半球、北半球のいずれにおいても、目標値と測定値との間にまだ隔たりがある。今後、各種衛星データ等新しい観測データの利用を計画しているほか、観測データの利用技術の高度化等を進めることにより、目標の達成に向けて一層努力する必要がある。

    (3)気象業務に関する国際協力の推進について
    具体的な目標
    • アジア太平洋諸国の関係気象機関に提供する台風の強度予測を48時間先から72時間先にまで延長する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成されたと認められる。
    【所見】
     72時間強度予報の精度評価を行い、平成15年6月から、72時間進路予報に加え、72時間強度予報の提供を開始した。これにより、海外において提供される防災情報の一層の充実が図られている。

    具体的な目標
    • アジア太平洋気候センターにより関係気象機関に対して提供する当該地域の長期予報を支援する予測数値情報の範囲を1か月先から3か月先まで延長するとともに、技術支援のための研修等を実施する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成したと認められる。
    【所見】
     平成15年9月より、3か月予報のための予測数値情報の提供を開始し、技術支援の一環として、11月に技術支援のための研修会合を開催した。この結果、アジア太平洋地域各国における、エルニーニョ、干ばつ・冷夏などの異常気象等に対する長期の気象予報の高精度化に係る支援に資することが期待される。

    具体的な目標
    • 全球気象通信の地域中枢として、16年度までに9カ国・地域の気象機関に対して新たな通信手段による情報提供を行うこととし、15年度はロシアの気象機関との間を新たな通信手段に移行し、8気象機関まで拡大する。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成したと認められる。
    【所見】
     新たな通信手段による情報提供先としてロシアの気象機関を加え、目標である8機関を達成した。この結果、衛星観測データ等の大容量の情報の提供・交換が可能となり、各国におけるより充実した気象情報の提供に資すると期待される。

    (4)気象情報の利用促進等について
    具体的な目標
    • 民間において利用可能な気象情報について、降雨に関する情報等の充実により、提供量を500MB/日(前年度の目標に対して18%増)まで拡大を図る。

    評価

    【評定】
     目標どおり達成したと認められる。
    【所見】
     気象衛星データの安定的な提供、3か月・暖寒候期予報の民間での実施状況を踏まえ、民間気象業務支援センターと協議し、16年3月で情報提供量は500MB/日となった。併せて、これらの気象情報の民間での利用を支援するため、情報利用に係る技術資料を発行した。この結果、民間での様々な目的に応じたこれらの気象情報の作成・提供の支援に資することが期待される。

 


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