国土交通省防災情報
河川局防災課災害対策室
平成17年4月1日
海外の自然災害
◆海外の自然災害の状況

2005年   2004年   2003年   2002年   2001年

2001年
●1月 エルサルバドルの地震
 2001年1月13日現地時間午前11時35分、中米エルサルバドルでM7.6の地震が発生、政府の国家非常事態対策本部(COEN)によると、家屋の倒壊や土砂崩れにより844人が死亡、133万人が被災し、家屋全壊10万8千棟、半壊・一部損壊17万棟という大災害となった。被害の最も集中した首都サン・サルバドル近郊のサンタテクラでは、山の斜面が幅100メートル以上にわたり崩壊、約300棟の家屋が巻き込まれてここだけで死者500人以上という大惨事となった。

●1月 インド西部の地震
 2001年1月26日現地時間午前9時頃、M7.9の地震がインド西部のパキスタン国境付近のグジャラート州を襲った。3月20日付インド政府の発表によると、死者2万5人、負傷者約16万6,000人、総被災者数約1,590万人、全壊家屋約37万棟、一部損壊家屋約92万棟という、インド独立以来最悪の地震災害となった。中でも、人口15万人のブジ市、バチュウ市で最も被害が大きく、建物や道路などのインフラは壊滅的打撃を被った。被害が深刻なグジャラート州はインド第2の工業州で、国内総生産(GDP)の約10パーセントを占めている。この地震による被害総額は2,500億ルピー(約6,250億円)に達すると見られている。

●2月 エルサルバドルの地震
 800人以上が死亡した同年1月の地震発生から1ヵ月後の2001年2月13日午前8時22分、エルサルバドルを大規模な地震(M6.6)が襲い、死者315人、負傷者3,399人という、再び甚大な被害が発生した。今回の地震も1月の地震とほぼ同じ場所で発生しており、サン・サルバドル周辺で被害が大きく多数の建物被害が報告された。前回の地震発生により倒壊しやすくなっていたことが、今回の地震の被害拡大につながったと見られている。
 エルサルバドルでは4日後の17日にもM5.1の地震が発生しており、この3回の地震による被害は、死者1,200人以上、負傷者約8,000人、家屋の損壊などによる被災者は約150万人と言われており、1986年のサン・サルバドル地震や1998年のハリケーン・ミッチによる被害を大きく上回った。

●1〜3月 モザンビークの洪水
 前年(2000年)に豪雨やサイクロンで約700人が死亡、約50万人が家を失った南部アフリカのモザンビークが、2001年1月下旬から断続的豪雨に見舞われ、数ヶ月にわたる洪水に見舞われた。北部を流れるザンベジ川の上流でダム貯水量が限界に達して放流を行うなど、主な河川が氾濫し、115人が死亡、50万人が被災した。モザンビークは国際社会に対し、ボートやヘリコプターなど救助用の機材提供を呼びかけ、孤立した村への物資の補給や住民の救出を行い、23万人を上回る住民の避難が行われた。隣国のマラウィやザンビア、ジンバブエでも洪水の被害が発生した。

●7月 フィリピン・中国南部の台風4号
 2001年7月3日、台風4号(国際名Utor)がフィリピン北部を襲った。台風4号は47メートル前後の最大風速を観測するなど、同国ルソン島の約20州に強風による大きな損害をもたらし、163人が死亡、60人が行方不明、家屋被害は約4万棟以上に及ぶ災害となった。ルソン島では6月24日のマヨン火山噴火の影響で、当時約2万5千人が避難生活を送っており、避難民の一部はこの台風の影響も受けるという苦難を強いられることとなった。
 台風4号はその後勢力を弱めたものの、7月6〜8日にかけて中国南部に豪雨をもたらし、広東省などで洪水や地すべりが発生して41人が犠牲となった。

●7月 南アジア地方(パキスタン・インド)の洪水
 2001年7月、干ばつの続いていたパキスタンでモンスーンに伴う集中豪雨が続き、北部を中心に土砂崩れや洪水が発生し、210人が死亡した。パキスタンの首都イスラマバードでは7月23日、前日夜の降り始めからの雨量が620ミリを超える観測史上最大の大雨となり、冠水や停電、電話の不通など都市機能がまひした。
 南アジアでは7月に入って以来モンスーンに伴う豪雨・洪水被害が広がり、インドでは7月に東部オリッサ州の洪水で100人が死亡、8月から9月にかけて北部のビハール州、ウッタルプラデシュ州で数百人が死亡するなど、たびたび洪水被害が報じられた。

●7月 台湾の台風8号
 2001年7月29〜30日にかけて、台風8号(国際名:トラジ)の通過に伴い、台湾中部が豪雨に見舞われた。この豪雨により、中部の南投県・苗栗県や北東部の花蓮県を中心に、各地で土石流や河川氾濫が相次ぎ、台湾全域で死者103人、行方不明者111人などの大災害となった。これは、台湾における台風による被害者数としては、過去20年で最悪と言われている。豪雨域の中心は、1999年の大地震の震源付近であり、この影響もあってか、被害の多くは山間部の土砂災害によるものであった。

●7月 インドネシア(ニアス島) の地すべり
 2001年7月31日未明、インドネシア・北スマトラ州のニアス島で豪雨による洪水と地すべりが発生、特に山間部の5つの村で発生した地すべりに被害が集中し、合わせて163人が死亡、60人が行方不明となり、家屋738棟が全壊した。現場はスマトラ島から100キロ離れた離島。国軍、警察、NGO、地元住民などが生き埋めになったと見られる住民の捜索活動を行ったが、道路や電話線の寸断のため、救助活動は遅れた。当時ニアス島付近では3回の地震が観測されており、地すべりの引き金になった可能性も指摘されている。

●8月 イランの洪水
 2001年8月10、11日の両日、イラン北部のカスピ海沿岸部が集中豪雨に見舞われ大規模な洪水が発生した。この洪水により、ゴレスタン州、ホラサン州を中心に247人が死亡、住民約1万人が避難を行った。また道路の寸断や橋梁の流失、停電などにより孤立する町や村が続出し、イラン政府は軍のヘリコプターで救出活動や救援物資の輸送を行った。被害が最も集中したのは、カスピ海に近いゴレスタン州のカラレ村付近。河川の増水で発生した洪水にのまれるなどして、少なくとも111人が死亡した。ゴレスタン州当局者によると、被害額は3千万ドルと推定されており、この地方では過去200年で最悪の洪水被害という。

●8〜9月 メコン川流域(カンボジア・ベトナム)の洪水
 東南アジアのメコン川流域各国では、2001年8月中旬からのモンスーンによる大雨で洪水が発生した。8月下旬までにカンボジアで56人、メコン川最下流のベトナムでは10月までに337人が死亡した。ベトナムでは犠牲者のうち246人は子供であるという。前年の2000年は、ベトナム、カンボジアをはじめラオスやタイなど流域4カ国で計800人以上の犠牲者が出るという、数十年で最大の洪水被害が生じた。2001年に発生したメコン川流域の洪水は、前年の大洪水と比較すると人的被害は昨年には及ばないものの、カンボジアなど一部地域では、被害が前年を上回る地域もみられたという。

●10月 インド南部のサイクロン
 2001年10月16日、ベンガル湾岸をサイクロンが襲い、インド南東部のアンドラプラデシュ州に激しい豪雨をもたらした。2日間で676ミリという、インド南部では40年で最大といわれる降雨により洪水が発生し、153人が死亡、21人が行方不明となった。中でも、警報もなく上流のダム放流が行われたクダパ地区の被害が激しく、多くの住民が就寝中の夜間に洪水に教われ、放流後約30分で1.5メートル浸水したという。クダパでは家屋1万8千棟が被害を受け、うち8,515棟が全壊する被害となった。

●11月 フィリピンの台風23号
 2001年11月8日、台風23号(国際名Lingling)がフィリピン中南部を横断する形で通過し、各地で洪水や地すべり被害が相次いだ。ミンダナオ島の北に位置するカミギン島では、台風の通過に伴い4時間にわたる暴風雨に見舞われ、洪水や大規模な土砂崩れが発生し、数百家屋が最大4メートルもの土砂に埋まるなど最も大きな被害が発生した。セブ島ではアジア最大の鉱山内が崩壊して11人が死亡するなど、全土で184人が死亡、106人が行方不明となり、106万人が被災した。台風23号はその後ベトナム中部に上陸、同国では20人が死亡した。

●11月 アルジェリアの洪水
 2001年11月9日から10日にかけて、アフリカ北部のアルジェリアが36時間もの豪雨に見舞われ、同国全土で洪水や強風被害が発生した。最も被害が深刻なのは10日に首都アルジェで発生した鉄砲水によるもので、多数の住民らが巻き込まれたほか、瓦礫や民家の下敷きとなった。アルジェ市内の一部ではビルの1階部分が水没、数多くの住宅が倒壊し、道路も寸断され、救助活動は難航した。同国において自然災害の規模では過去40年で2番目だといわれるこの大洪水では、死者の数が764人、首都のアルジェだけでも713人となった。


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