小笠原諸島振興開発審議会(第66回)会議録
日時 平成11年11月25日(木)
場所 中央合同庁舎5号館
26階共用第9会議室
国土庁地方振興局特別地域振興課
小笠原諸島振興開発審議会(第66回)会議録
日 時 平成11年11月25日(木) 午後2時〜午後3時30分
場 所 中央合同庁舎5号館26階 共用第9会議室
議 題 (1)平成12年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求の概要について
(2)平成11年度小笠原諸島振興開発事業関係予算について
(3)その他
出席者 委 員
(学識経験者)
森 繁 一(会長)
赤保谷 明正
秋 本 敏 文
朝 倉 敏 夫
小 豆 畑 孝
石 田 頼 房
岩崎 美紀子
岡 田 靖 夫
川 崎 正 道
台 た ま え
田村 久仁夫
沼 田 早 苗
山 口 甚 郎
(東京都)
福 永 正 通(東京都副知事)
(小笠原村)
宮 澤 昭 一(小笠原村村長)
稲 垣 勇(小笠原村議会議長)
幹 事
芳 山 達 郎 国土庁地方振興局長
野見山 恵弘 国土庁長官官房審議官
益本 圭太郎 国土庁地方振興局総務課長
中 村 賢 一 国土庁地方振興局特別地域振興課長
村 木 春 彦 小笠原総合事務所長
(国土庁)
国土庁長官 中 山 正 暉
(東京都:オブザーバー)
和 田 正 幸(東京都総務局地域振興担当部長)
目 次
1.開 会
2.議 事
(1) 平成12年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求について
(2) 平成11年度小笠原諸島振興開発事業実施計画(案)について
(3) その他
3.閉 会
〔 開会 午後2時 〕
会長
本日は、大変お忙しいところをお集まりいただきましてまことにありがとうございました。
小笠原諸島振興開発審議会委員19名のうち、現在のところ13名の御出席を賜っておりますので、ただいまから小笠原諸島振興開発審議会を開会させていただきます。
最初に、中山国土庁長官から御挨拶をいただく予定でございましたが、長官が所用で若干遅れられるようでございます。
お見えになりましたら御挨拶をお願いすることにいたしたいと思います。
〔 新任委員及び新任幹事の紹介 〕
会長
審議に入ります前に、委員と幹事の異動がございましたので事務局から御報告を願います。
中村幹事
それでは、委員の異動につきまして御報告いたします。
田中晃三委員が退任され、渋谷守生東京都議会議長が就任されました。
渋谷委員は、本日御欠席でございます。
続きまして、幹事の異動につきまして御報告いたします。
国土庁の人事異動によりまして中川浩明幹事が退任され、芳山達郎地方振興局長が就任されました。
坂田隆史幹事が退任され、野見山恵弘地方振興局担当審議官が就任されました。
飛弾直文幹事が退任され、益本圭太郎地方振興局総務課長が就任されました。
このほかに4名の幹事に異動がございましたが、お手元の資料1のとおりでございます。
会長
ありがとうございました。
〔 議題(1)平成12年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求について 〕
会長
それでは、会議次第によりまして議事を進めたいと存じます。
まず議題(1)平成12年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求について、事務局から御説明をお願いいたします。
中村幹事
資料2の1ページ目を御覧ください。
「平成12年度小笠原諸島振興開発事業費概算要求方針」と書いてございます。
この事業内容ということでございますが、まず1の「小笠原諸島振興開発事業費補助」、これは公共事業的なものでございます。
内容的には、交通施設、産業振興、観光開発、生活基盤施設の整備等でございます。
このうち(1)は交通施設整備費補助でございます。
@は港湾整備でございますが、二見港(父島)につきましては老朽化した岸壁、物揚場の整備、マリーナの調査設計を考えております。
母島の沖港につきましては防波堤、突堤の整備改修、緑地の整備。
平成12年度からは新規に船客の待合所を整備したいと思っております。
平成12年度については、この調査設計をやるつもりでございます。
Aは道路整備でございますが、都道、村道の改良及び歩道の整備ということでございます。
次に(2)の産業振興・観光開発費補助でございますが、@はこのうちの農業生産基盤整備でございます。
母島の中ノ平に0.4 ヘクタールほど農地造成をいたします。
また老朽化したかんがい施設の改修、ため池の用地買収、農道の整備等を行います。
Aは農業振興でございますが、営農者に対する農業経営等の研修及び技術指導の充実、協業化の推進ということで、畜産指導所につきましては肉用繁殖牛を2頭購入いたします。
また農業協同組合施設等の整備ということで、農業の施設化、出荷量の安定、高品質化ということを目指しまして、鉄骨ハウスを10棟整備いたしたいと思っております。
次のページをおめくりください。
Bは漁業基盤整備でございますが、父島の二見漁港につきましては、このところ漁船が大型化しておりますので、これに対応した泊地整備。
また汚泥がたまってきておりますので、平成12年度からは新規に水質保全のための汚泥除去を行いたいと思っております。
母島漁港につきましては防波堤、船揚場、泊地整備を行いたいと考えております。
Cは水産業振興でございますが、漁協の共同利用施設整備。
父島の場合は、若い方を募集いたしましたら結構応募があるということで、船に乗る人、乗り子さんと言うのですが、乗り子確保のための単身者用宿泊施設の整備を行いたいと考えております。
母島でございますが、東港をこれまでずっと整備してきておりまして、平成13年から供用開始できるということでございますので、それに備えまして東港に漁船の保全修理施設を整備したいと考えております。
また水産センター、これは技術指導等をこれまでやったきたわけでございますが、昭和48年建設ということでございまして、本館もかなり老朽化してきておるということで、来年度からは本館の建替工事に着手したいと考えております。
Dは観光開発でございますが、園地、遊歩道の整備、景勝地の買収等を実施いたします。
(3)は生活基盤施設整備でございます。
まず住宅はこれまでずっとつくってきているわけですけれども、これも復帰直後につくった住宅がかなり老朽化してきているということで、来年度から建てかえということが出てまいります。
来年度につきましては、老朽化いたしました母島の沖村アパートにつきまして建てかえということで、9戸について実施設計、33戸について基本設計を行うということを考えております。
簡易水道では送配水施設の整備、または浄水施設の整備を引き続き行いたいと思っております。
ごみ処理施設でございますが、父島につきましては焼却場も完成したわけですけれども、引き続き埋立処分施設をつくっておりまして、平成12年に完成ということでございます。
母島につきましては人口規模が 400人ということで、ここで廃棄物の焼却をするということになりますと、規模的になかなか難しいという面がございますので、最終処理ではなくて中間処理をする施設。
これをどういうふうにしたらいいかということについて今年度調査しておりまして、それを受けまして来年度から中間処理施設の建設ということで、平成12年度につきましては中間処理施設の用地買収を行いたいと思っております。
父島の地域し尿処理施設につきましては、引き続き整備をしていくということでございます。
次は、急患搬送用夜間離着陸施設でございます。
急患が出ますと、これまでは硫黄島から自衛隊のヘリコプターが飛んで行きまして、そのヘリコプターに乗せて硫黄島に連れて行って、それから飛行機で内地の広尾病院まで連れて行くということで、昼間ですと平均8時間ぐらいかかっているということでございます。
夜間にこれが起きますと、夜間の離発着施設がこれまでなかったということで、患者は夜明けまで待つということでございます。
このところ大体どのくらいかかっているかというと、夜間に発生した患者につきましては、平均で約17時間ぐらい待機しているということで、中には待っている間に亡くなられた方もおられるというふうに聞いております。
この緊急患者でございますが、平成8年から10年で平均36件毎年発生しております。
そのうちの3割が夜ということでございますから、毎年10人ぐらいの方が夜ということで非常に長い時間待機されていたということでございます。
そこで、来年度は父島につきまして夜でもヘリコプターが離発着できるような施設を整備したいということでございます。
自衛隊のヘリコプターが高性能化したものが平成13年から硫黄島に配備されるということで、これまでですとなかなか難しかったのですが、その新しい機種ですと、航空障害灯、その他の照明設備、それからヘリポートのところに持ち運び式の照明施設を持って来れば、夜間でも着陸できるようになるということでございますので、平成12年にはまず父島につきまして、この離発着施設の整備を行いたいと考えております。
それから小中学校でございますが、母島は昭和48年に整備したもので、もうかなり老朽化しておるということで、これにつきましても改築ということを考えております。
小笠原の場合は、復帰直後に既存の小中学校がなかったものですから、補助メニューの中に改築というメニューがなかったのです。
それで来年から出てくるということで、この改築のメニューというものをつくり、小中学校の改築を来年からやっていきたいと考えております。
市街地等整備開発でございますが、父島の大神山公園の整備を行います。
(4)は防災・国土保全でございます。
砂防施設、地すべり対策事業を実施いたします。
2「小笠原諸島振興開発費補助金」、これは公共事業的でないものの補助金でございます。
@は、そのうちの病害虫等防除対策費でございます。
指定病害虫としてアフリカマイマイ、一般病害虫としてマメハモグリバエとかアザミウマ。
そういったものの病害虫防除試験研究を行います。
またミカンコミバエにつきましては駆除、駆逐をしたのですけれども、船などに乗ってまた入ってくる可能性もあるということで、ミカンコミバエにつきましては再侵入警戒調査を引き続き行います。
Aは診療所運営費でございますが、父島と母島の診療所の運営費について補助を出しております。
そのうちの医療機器の整備ということでございますが、父島につきましてはベットサイドモニター、往診用車両の整備を行います。
母島につきましてはテレメーター、生化学分析装置の整備を行い、医療内容の充実を推進するということでございます。
Bは各種調査費でございますが、父島の第2集落ということで扇浦・洲崎地区について開発を行いたいということでございますが、この開発計画をつくるための調査ということで、開発計画策定に資するための整備計画策定調査を村が行います。
また都につきましては、振興開発事業の成果をまとめるというのをいつもやっているわけですが、これに加えまして、土地利用実態調査を実施するということでございます。
3は「小笠原諸島調査」でございます。
これは国の方でやらせていただく調査で、小笠原諸島振興開発事業の企画立案ということに使います。
来年度につきましては、島の将来像を探り、発展に必要な具体的方途を調査するということで、こういった村なり都の調査とあわせまして、今後の自立振興策の一助とするような調査を行いたいと考えておるわけでございます。
その次のページをおめくりいただきますと、総括表が出ております。
平成12年度の要求でございますが、公共事業費的なものとして小笠原諸島振興開発事業費補助が 23億8,516 万7,000円ということで、国費ベースで対前年度比92.2%ということでございます。
非公共事業的なものでございますが、これも国費で言いますと 1億431万円ということで、対前年度比96.3%あわせまして国費で見ますと、12年度は
25億325万1,000円ということで、対前年度比92.4%の要求ということになっております。
その次のページをおめくりいただきますと、交通施設それぞれの要求の事業別概要が出ております。
まず1の「交通施設整備」は港湾・道路整備でございます。
次のページの2は「産業振興・観光開発」ということで、農業生産基盤整備、農業振興、漁業基盤整備、6ページは水産業振興、観光開発ということであります。
7ページの3は「生活基盤施設整備」ということで、この中の下から三つ目が急患搬送用夜間離着陸設備ということでございます。
父島と母島につきまして調査設計、測量、父島につきまして照明設備、航空障害灯設置工事、母島につきましてはヘリポート用地取得ということでございます。
小中学校につきましては建替ということで基本計画でございます。
その次のページは治水の砂防、地すべりなどでございます。
9ページからは非公共事業的な補助金ということでございます。
病害虫等防除(試験研究)(防除)、診療所運営費補助金、各種調査補助金ということで出ております。
10ページはそれぞれの事業箇所を地図に落としたものが書いてございます。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明に対しまして御質問、御意見等がございましたら御発言をお願いいたしたいと思います。
○○委員、どうぞ。
○○委員
予算そのものとしては、こういう形でおまとめいただいて非常に結構なことだとは思うのですけれども、この際、三つばかり御提案をさせていだきたいと思います。
小笠原の事業計画が今年から新たな計画になってきたのを機会に、まず第1に小笠原の開発の座標軸を再確認してみたらどうなのだろうか。
縦軸としては世界の中の日本、あるいは日本の中の小笠原といいますか、小笠原の地域開発という縦軸だと思うのです。
これは大ざっぱに言えば、開発型か環境保全型かというような議論が中心でしょうが、そういう意味では環境保全型の小笠原開発という縦軸が一つあるのだと思います。
横軸として、今の予算要求でも各種の産業政策。
例えば農業政策とか水産あるいは港湾、そういうものの位置づけ。
日本の中での小笠原の農業というのはどう考えるのか。
あるいは水産業でも、日本の中の小笠原の水産業はどうなのか。
その縦軸と横軸との接点というものをもう少し再確認してみる必要があるのではないだろうかと思います。
例えば今の予算要求の中の水産でも、他県の船の中継基地あるいは避難港というような位置づけが二見漁港、あるいは母島の漁港についてあるとすれば、日本の漁業の中での小笠原の位置づけ、そして縦軸としての小笠原という大事な島の発展を考えるときに、この中継基地とか避難港というのはどういうふうなクロスした接点で位置づけができるのだろうか。
あるいは小笠原の農業開発というも非常に大事だと思うのですが、日本の農業の中での小笠原の農業の位置づけと、小笠原の生きて行く上での農業というものの接点、クロス。
その辺がもう一つ明確でないのではないだろうか。
そういう縦軸と横軸というものをもう少しきちんとして、小笠原の地域開発の座標軸の設定というものを再確認してみたらどうかというのが第1の御提案でございます。
それに関連して、今まではかなりインフラ整備が行われてきたと思うのです。
インフラ整備はかなり行われてきたけれども、そのできたインフラの活用の仕方。
いわゆるハードウェアとソフトウェアとの接点というのでしょうか。
ハードウェアをいかにうまく利用していくかというソフトウェアが余り議論されていなかったのかなと。
もう少しソフトウェアの活用ということをこの審議会の場でも議論してみる必要があるのではないか。
私も役人をしていてよくわかるのですが、箱ものというのはつくるのにお金もかかりますけれども、それ以上に実はメンテナンスにお金がかかる。
箱ものをせっかくつくっても、メンテナンスにお金をかけないと、せっかくの施設が生きた使い方ができない。
やはりせっかくつくったインフラを使えるようなメンテナンス、ソフトウェアあるいはそのための予算という視点も入れていかないと、生きたお金の使い方ができないのではないかというのが第2の御提案です。
そういう従来のようなインフラ中心の開発でなくて、ソフトウェア中心の開発計画をつくっていくとするならば、それができる人材というのが必要だと思うのです。
だから人材の確保というのでしょうか、あるいは人材の育成。
そういうものをこれからもう少し計画の中で考えていく必要があるのではないか。
ということで座標軸をきちんと再確認すると同時にソフトウェアの問題。
そしてソフトウェアが活用できる人材の育成。
こういうものを予算の上で少し色づけしていただければ、このつくられた原案がもっと生き生きしたものになるのではないかという感想も含めましてちょっと御意見を申し上げます。
会長
ありがとうございました。
確かに今○○委員がおっしゃいますように、座標軸を明確にするといいますか、改めて確認するということは当然必要だと思います。
それからハードばかりでなく、ソフトの面も重視をする。
そのためにも人材の育成というのは欠くことができない事柄ではないか。
私も大変同感でございます。
今回、概算要求いたしております予算とどういうかかわりがあるのか、事務局で説明のできる範囲で説明していただいて、それから最初の話に戻りまして、座標軸の問題とソフトの問題についてどういうふうにお考えになっているか改めて御説明いただきたいと思います。
中村幹事
まず農業なり漁業なりということでございますけれども、漁業につきましては、この間もどこかの新聞に出ていたのですけれども、養殖で大きく育てる前の稚魚まで育てるというのが、全国の中でも有数の産地になってきつつある。
一方で、最近、深海マグロが出てきたということで、漁業自身は最近非常に活発化しております。
先ほども単身者赴任用の住宅の整備ということで申し上げたのですけれども、内地に若い方、高卒とかそういう方らしいのですけれども、募集をかけますとかなり来る。
それを入れながらかなり活発にやっておるというような状況でございますので、漁業についてはかなり小笠原の特徴を生かしたような漁業ができてきていると思います。
それともう一つ、これまでうちの委員をやっておられました佐々木さん、母島漁協の組合長なのですけれども、今度、母島の方でダイビングを解禁いたしまして、これまでダイビングはさせなかったのですけれども、漁協が中心になってダイビングスポットをつくってそこに人を連れて行く。
それでかなり喜ばれております。
この間も佐々木さんと話したときには、「漁業だと食べて終わりだけれども、ダイビングだと何度も見えるし、そうやってうまく活用していけばな」と。
母島だけではなくて、姉島とか嫁島とかいろいろ探しているらしいのですが、そういうところというのは組合員に言わせると「砂が生きている。こんなすばらしいところはないので、こういうものを大事にしながら、漁業でないのですから見せるという形で食っていけたらな」というような話をしておりましたので、そういう芽というものもかなり出てきておると思っております。
一方農業でございますが、これまでなかなかうまくいっていなかった面があると端的に思っております。
よく言いますのは、マンゴーとかそういうもをつくっておりますと、今年はちょうど開花時期に雨が降って実を結ばなかったとか、台風が来て落ちてしまったというのが結構あるわけでございます。
そういうものについては、先ほどの鉄骨パイプハウスということでこれはいろいろな意味があるのですけれども、塩害防止とかそういう意味で、この間も農業の研修所の方でやってみたらこれが非常にうまくいったということで、今回、10棟建設するわけです。
マンゴーというのは当たると非常にもうかるらしいのですが、非常に難しいらしいのです。
そういうものをうまく管理しながらやっていくというのが一つ。
もう一つは、この間、母島に行ったときに委員の皆さんに見ていただいたのですが、葉っぱを出している。
1枚は20円、30円なのですが、畑のあぜなどに植えておくと、コンスタントにやれば 100万円ぐらいにすぐなるということで、これを八丈島で実際にやられた指導員の方が来てくださって非常に熱心にやっておりました。
父島から帰るときに花束のかわりに葉っぱの束をもらったのですが、委員の1人の方が持って帰るのが大変だというので私が持って帰ってきたら、3週間ぐらいうちできれいになっていました。
これまでは花束をくれても内地から持ってきたものだったのですけれども、こういうものもあるのかなと。農業の場合、高価なものを数少なくつくるという手もあるのですが、金額の安いものをコンスタントにつくるということがうまくできるということが重要だと思っております。
そういう意味で言いますと、農業の話だと私よりも○○委員の方が確かなのですが、シカクマメ。
これもかなりよく出てきまして、聞くところによると、都内のレストランにだんだん卸せるようになってきたというふうに聞いております。
農業の一番の問題点は数が少ないということでございまして、やっておられる方がまだまだ少ないということがございます。
厳しい自然の中で、作況がなかなか不安定ということでございますが、こういった鉄骨パイプハウスとか作目を比較的安定的なものに変えるという中で、農業については新規就農希望の方もおられるということでございますので、こういったものが進んでいきますと、小笠原特有の農業ということがうまくいくのではないかなと思っております。
避難港のことでございますが、これは裏港ということで片側から入れないときに、島の場合にはもう片側にどうしてもつくっておく必要があるということでございます。
そういう意味で言いますと、他県の中継基地になるかどうかはよくわからないのですが、小笠原の漁協の方自身にとっても非常に重要なところと思っております。
やはり一番の小笠原の資源というのは自然ということでございます。
先ほども佐々木議長のお話をしましたけれども、小笠原の自然というものがうまく使われるような開発の方向に持っていきたいということ。これは今回の改定計画でもそういう方向で進めるというふうに書いてございますので、横軸といいますと小笠原の自然を生かしたということで、農業なり漁業なり、それぞれそういう方向が出てきているのかなと。
あとはこの自然を生かすためにも小笠原に来ないと自然を楽しむことはできません。
この間もうちの係長が行きまして、帰りに台風に遭って片道35時間かかって船で帰って来たのですけれども、やはりできるだけ早い時期に飛行場をつくっていって、そういう自然が楽しめるような状況をつくっていきたいと思っておるわけでございます。
次のインフラ整備とこれの使い方という話でございますが、まさにつくっただけではだめということでございまして、そういった意味から申し上げますと、もうそろそろ復帰直後につくったインフラにつきまして建替のものが出てきているということでございます。
これにつきましては、引き続き建替につきましてもこれまでと同様きちんと整備していきたいと思っております。
その他のソフトということになりますと、例えば地域福祉センターとか水産センター、そういういろいろな箱ものそのものがあるわけです。
地域福祉センターはこの間も皆様に見ていただいたのですが、できてすぐから非常によく使われておるということで、私はよく使ってくださっているなと思っておるわけでございます。
それから人材の確保ということでございますが、これは先ほどの漁協の話でもございますけれども、外から来てやってみたいという方がおられる。
農業と漁業については実際にその場でやってみないと、ある程度適性というのがわかりませんから、漁業については単身者用宿泊施設とか、農業などについても一時宿泊施設の整備をやっておるということでございます。
おっしゃるとおり、これからこういう方向での整備というものに重点を置いて考えていかなければいけないと思っておりますので、引き続き私どもとしても検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
会長
よろしゅうございますか。
○○委員
ただいまの御説明の線で結構だとは思うのですが、もう少しそういう色合いを濃く出していただいた方が。
だから水産業でもおっしゃるように単純な水産業ではなかなか成り立たない。
そうすると、「観光漁業」という言葉がいいのかどうかわかりませんが、そういう方向も少し色濃く出すとか。
農業の問題でもかなり特色を出していかないと、単なる一般の農業政策では、やはりマーケットが東京都というかなり先の地域を相手に商売がしづらいというようなことも考えていきますと、その辺のところをどういうふうに色合いをつけていくのか。
いろいろ御検討していただいているようですので、それをさらにということでよろしくお願いしたいと思います。
会長
ありがとうございました。
〔 国土庁長官挨拶 〕
会長
ただいま中山大臣がお見えになりましたので、大変恐縮ですが御挨拶をいただきたいと思います。
中山長官
御紹介いただきました中山正暉でございます。
先般、10月5日の第2次小渕内閣発足に際しまして、国土庁長官また建設大臣を拝命いたしました者でございます。
きょうは御審議の途中で入ってまいりまして大変恐縮でございます。
御挨拶の機会をお与えいただきましたことに感謝を申し上げます。
きょうは第2次補正が国会に提出されましたので、今、衆参の本会議をやっておりましたもので遅参をいたしました。
本日、小笠原諸島振興開発審議会が開催されるに当たり、一言御挨拶を申し上げます。
委員の皆様方には、かねてから小笠原諸島の振興開発に関しまして格別の御尽力を賜り心から敬意を表するとともに、国土行政への御協力に対しまして心から感謝を申し上げる次第でございます。
また、本年6月の本審議会で御審議をいただきました小笠原諸島振興開発計画につきましては、6月15日付で内閣総理大臣決定、6月18日付で閣議報告がなされましたので御報告を申し上げます。
さて、昨年、新しい全国総合開発計画「21世紀の国土のグランドデザイン」において、今後の国土政策の道筋を示したところでございますが、小笠原諸島につきましては、その特有の自然環境や地理的特性を生かした振興開発を推進することにしております。
小笠原諸島は昭和43年の本土復帰以来、特別措置法のもとで各般の施策が積極的に講じられ、相応の成果を上げているところであります。
しかしながら、本土から 1,000km余りの遠く隔絶した外海離島である等の厳しい条件のもとにありまして、航空路の開設を初めとする交通手段の改善や人口の定着、産業の振興など、なお解決すべき多くの課題を抱えております。
さて、本日の審議会におきましては、平成12年度の小笠原諸島振興開発事業関係予算の概算要求の内容等について御報告をしていただいているものと存じます。
平成12年度の概算要求につきましては、小笠原諸島の新たな振興開発を推進すべく25億円の国費を要求いたしております。
私どもといたしましては皆様の御意見を承りながら、これからその対応に全力を尽くす所存でございます。
最後に、今後とも委員の皆様方の一層の御指導、御協力、御鞭撻を賜りますようにお願い申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。
どうぞ今後ともよろしくしお願いいたします。
ありがとうございました。
会長
どうも大変ありがとうございました。
大臣は所用がございますので、これで退席をされます。
中山国土庁長官
申しわけありません。
どうぞよろしく。
(中山国土庁長官 退席)
会長
今の○○委員のお話ですが、これまでも事務当局で御発言の趣旨を勘案していろいろ工夫はしておったはずでありますけれども、きょう改めて御指摘をいただきましたので、今後とも今の御指摘の線に沿って東京都や小笠原村とよく協議をされて、よいプラン、よい事業を実施していただきたいと、こういうふうに思います。
○○委員、どうぞ。
○○委員
私も小笠原を考えるときの座標軸というのは非常に気になっておりまして、日本の中で小笠原をどのように位置づけるかということがかなり重要という点では○○委員と同じ意見であります。
海洋の非常に遠くにあるわけでございますけれども、離れた場所にあるがゆえに、小笠原が持つ領海の意味ですとか、海洋資源、海洋の可能性。
そういうものを考えてまいりますと、その辺が余りここに組み入れられていないのかなという気がいたします。
具体的にどのようにしたらいいのか、この資料に基づいてこういうことを入れてほしいという具体的な話をさせていただきますと、情報インフラの話がまるで出ていないというのが非常に気になっております。
つまり山村ですとか離島、いわゆる過疎地域と指定された地域を日本地図で見ると、半分ぐらい赤く塗られたものがあるわけでございます。
しかし物理的に地理的に過疎ということは、もちろんそれは何とかしなくてはいけないかもしれないのですけれども、最も重要なことは情報を過疎にしないということが一番大きな点だと思われます。
例えば離島で暮らそうとも山村で暮らそうとも、そこの情報が過疎ではなくて、そこに情報インフラが整備されていて、そこからいろいろなインターネットを使ってアクセスができるのであれば、逆に、例えば小笠原に暮らしながら世界のいろいろなところにアクセスができるというのは、これは新しい形での豊かさという気がするわけです。
自然ですとか環境、それは重要でありますから、それを開発か自然かと二元的に考えるよりも、自然を残しながら、実は情報、サイバーな空間の中でのネットワークを広げることによって、両方生かすことができるということがあると思うのです。
今までその辺がおくれていたのであれば、逆に今まで音声にデータを乗せることでずっとやってきましてたので、回線は非常に太いのが要りました。
これからはデータに音声を乗せるふうに技術革新が行われてきておりますので、逆におくれてきた分だけより技術の革新的な部分を取り入れるという意味で、マラソンで例えれば、2周目のランナーが気がついてみれば1周目、トップになっていたというぐらいの、そのような潜在性がかなり高いという意味で、これを少し考えていただきたいと思います。
まさか光ファイバーをあそこまで引くわけにはいかないので、例えば、衛星の回線の割り当てをもう少しふやすとか優先順位を高くする。
衛星回線だと、やはり行きと帰りで2回線が一つになってしまうので、回線の割り当ての半分しか実質的には使えないわけです。
ですからそれを考えながらやっていかないと、これは生活基盤と同時に産業の基盤、経済基盤にもつながるものなので、「基盤整備」という言葉が大変使われておりますけれども、これも基盤整備の一角として入れていただけるとよろしいのではないか、お願いしたいと思います。
この間、行かせていただいたときにいろいろな方とお話をすると、「銀行の振り込みができない」と。
農協にやっと1件だけあったけれども、それもATMの回線がいっぱいになってしまうととまってしまう。
それで弾き飛ばされるわけです。
ビジネスでやっていらっしゃる方にとっては、お金の出し入れの基本のところがないわけです。
銀行は、今大再編をしておりますので、まさかそこに窓口を出してくれというわけにもいかない。
これはだからやっていないのがイーブンだと思いますけれども、これからは銀行はネット上でお金の出し入れができるようになるのです。
そうすると、一つの銀行だけではなくて、いろいろな銀行がそこで競争して選べていくわけですから、そういう意味からもお金の出し入れ、バンク、銀行業務も含めての一番ビジネスの基本であるところ。
それから島民の家計の管理、そういうものも含めて銀行などなども必要になると思うのですが、それでもやはりネットの上でというのが一番安く、そして一番選択肢が多くやっていけると思うわけであります。
幾つかのポイントを申し上げましたけれども、情報インフラというのが非常に重要で、繰り返しになりますけれども、情報を過疎にしないということが最も重要な点だと思われます。
以上です。
だから、それを入れていただけるのでしょうかと質問しなければいけないわけですね。
ひとしきり演説をしてしまいましてすみません。
会長
ありがとうございました。
今の御意見の情報インフラの整備というのは、小笠原ばかりでなく日本にとりましても大変重要な問題だと思いますけれども、特に今のお話にありましたように、2周目がトップになるぐらいのスピードで情報インフラが整備されれば大変すばらしいことではないかと思いますが、現状と将来の方向につきまして御説明をお願いします。
和田東京都地域振興担当部長
それでは東京都の方からお答えさせていただきます。
2周目のトップ、もしくはネット回線の密度といった問題、私はそこまでは存じ上げていないのですけれども、現在の小笠原の情報インフラといいますか情報面での現状をとりあえず御報告させていただいて、それで御勘弁いただければと思います。
一つは、電話につきましては既に昭和58年に通信衛星によって本土との間でダイヤル即時通話が可能になっております。
それからつい最近でございますが、携帯電話につきましてもNTTドコモの方が本年の4月からサービスを開始しているということでございます。
それからテレビの受信の関係ですが、昭和59年から開始いたしまして、平成8年には地上波のテレビ、東京で映るテレビが全部小笠原でも映るというふうな形にはしております。
それからもう1点ございました銀行等の問題でございますけれども、まだこれは正式に決まったわけではございませんけれども、伊豆大島に本店を持ちます七島、伊豆七島の七島ですが、七島信用組合というものが近々のうちにはそちらの方へ店を出すというふうなことも今検討されているようでございます。
とりあえず現状の報告で恐縮でございますが、そういった状況で、本土との間の格差というものは大分薄くなってきたのかなということでございます。
以上でございます。
会長
先ほどの○○委員のお話は、今後、どういうふうにこれに対して取り組んでいくか。
こういう点が主眼だろうと思いますけれども、その点につきまして何かお考えがありましたらお話ししていただきたいと思います。
○○委員、どうぞ。
○○委員
最近の話なのですが、NTTでは要するに光ファイバーの海底施設ということで調査をしたいというようなお話がありまして、それが実現すれば容量も飛躍的に増大するというようなお話ですので、私どもとしましては大きな期待を持っているところでございます。
会長
○○委員、いかがでございましょうか。
○○委員
現在の回線数はどのくらいなのでしょうか。
和田東京都地域振興担当部長
回線数は、ダイヤル即時回線ということで 180回線が9年度のデータとしてございます。
○○委員
多分、通信衛星を使っての 180ですと、行くのに1本、帰りに1本ですから実質的に90ということだと思うのですが、島民の人口から考えてかなり少ないのではないかという気もします。
電話が使えるようになったからいい、テレビが映るようになったからいいという段階ではもう既にないわけで、何回も言いますけれども、離れているからこそより厚い情報インフラが必要だということで、光ファイバーが敷設されるのであれば、それはそれでいいのですが、それはいつかわからないわけですよね。
○○委員
まだ調査中です。
○○委員
ではその間は待っておけというのも余りにも酷なので、回線数をふやすですとか優先度を上げる、少なくともそのぐらいのことは取り急ぎやっていただけたらという、これは国土庁には余り関係ないのかもしれませんけれども、それをお願いしたいという気がします。
中村幹事
回線数が多いか少ないかという技術的なことはわからないのですが、ただビジーでかからないということは余り聞かないですけれどもね。
○○委員
将来、インターネットなどを使い始めてパソコンそろえてネットにつないだ場合に、はじき飛ばされるというか、それがなかなかつながらない。
ビジーになるとつながらなくなる。
そうすると、もちろん電話料もどんどん上がっいくという意味で、今のままの状態であればビジーではないかもしれませんけれども、今後のことを考えて、より情報過疎化を防いでいくという積極的な面からいくと、これでは足りないのではないか。
別に何回線にしてくださいとここでお返事を欲しいわけでは全然ございませんで、光ファイバーが敷設されるから待っていればいいとおっしゃるのであれば、それはそれでと思いますけれども、私は小笠原の地理的な意味ですとか、そういうものを考えると、余りにも情報インフラが薄いのではないかと。
もうこれ以上はこだわりませんので、これは結構です。
野見山幹事
御視察の際に、図書館を御覧いただきまして、そこにコンピュータの端末がございました。
○○委員がおっしゃるのは、あれを皆さんが使うようになった場合に、今の容量ではということで、今年お決めいただいた振興開発計画の中にも情報通信体系の整備というのは入れておりまして、まさにNTTの光ファイバーですと国がどこまでできるかちょっと勉強いたしますけれども、振興開発計画の中の重要な柱でもございますので、それについては引き続き勉強の課題としてはいいでしょう。
中村幹事
NTTそのものになると民間会社ということになっておりますが、仮にそういう問題が出てくるということであれば、それは我々としても考えざるを得ないと思います。
それで出てきたら、どういうふうになっているかということも含めて、○○委員の御指摘でもありますので、これから私どもも研究していきたいと思います。
会長
○○委員、どうぞ。
○○委員
今、○○委員からお話があった点は全くそのとおりなのだと思いますけれども、例えば、これは小笠原の振興開発事業の予算そのもので取り上げられるのは一体どの範囲までかというのが恐らくあるのだろうと思うのです。
だから小笠原の振興開発計画は、今ちょっとお話がありましたけれども、この開発予算に限定されるわけではなくて、その他いろいろな手段を使って整備を図っていこうということでやっていく。
だからこそ関係各省のそれぞれのお立場の方がこの幹事に入っているということだろうと思うのです。
だからこの予算そのものだけですべてを勝負するというか、すべてをやる、これはせいぜい20数億円の予算ですから、だから一遍にものすごいことができるわけではない。
だけどそういったことを念頭に置いた働きかけというものを、この予算だけではなくてやっていこうということでやっているのだろうと思うのですけれども、そういう理解でいいのですか。
会長
どうぞ。
村木幹事
この場でお話しするのはどうかなという感じもするのですが、一応、御参考のために話をしておきます。
今言った情報化の関係について郵便局が総合事務所を所管しておりまして、これは郵政省の方にお願いをずっと今まで非公式にやってきております。
その一環としまして電子郵便局化をずっと非公式に積み上げてきておりまして、中郵から局レベルまで一応来ております。
こうなりますと、例えば登記簿を一つ取るにしましても、1週間かけて内地に来て取るというようなことをしなくても、コンビニエンスで住民票を取るみたいに既にやれるのです。
ただ技術的な問題のほかに、経費が非常にかかるのです。大変なお金がかかるので、事務方レベルとして我々も今こういう場でいきなり発表するのはどうかと思ったのですが、大分時間をかけてずっとお願いしてきている。
要するに、そういうような形のものをやっていかなければ、小笠原の地域の開発はおくれてしまうということです。
今、○○委員がおっしゃったように、この振興事業とかその枠だけにとらわれていると、なかなかうまくいかない部分があるので、我々の方は我々なりにそういう意味でも動いてはいるというのがありまして、検討していると伺っています。
一応、協力してくれということでやっていますが、まだ決まったというわけではないのですけれども、かなりいい方向で動いていることは事実です。
○○委員
それで今のことにも関係するのですけれども、今、御説明がありました平成12年度の予算要求、国費ベースで言うと前年対比9割そこそこということになっているのですが、シーリングとか何かの関係ということでこうなっているのか。
事業別に見ると漁業関係が大幅に落ち込んでいるから、その結果としてこうなっているのかということ。
それから今のことにも関係するのですけれども、いわゆる特別枠だとか何かというのがいろいろあって、その中で情報云々というのは非常に大きな目玉になっているのですが、それに引っかけて今○○委員からお話があったようなことにもつながるようなことをやるというようなことがあり得るのかどうか。
中村幹事
シーリングかどうかということでございますが、これは端的に申し上げましてシーリングではございません。
工事の狭間でこういう形になったということでございます。
私どもとしてはもっと出したらどうと実はお願いしたのですけれども、そこまで積み上がらなかったということでございます。
それから特別枠の可能性というのは当然あるわけでございまして、もしそういうものがあれば私どもとしても積極的にやっていきたいと思っております。
会長
○○委員、どうぞ。
○○委員
今し方出た何人かの委員の方々の御発言の内容は非常に重要なことだと思うのです。
私も前にちょっとお願いしたのですが、個別対応でも島民の方の便益には非常になっているとは思います。
しかし、やはりこういう場で議論をしてより一層いい方向を探そうということになれば、やはり定性的にものを考えて議論していてもなかなかわかりにくいということがあります。
今おっしゃった内容のことができるなら、例えば情報通信のインフラ整備、あるいは安全関係、農業関係、水産業関係、そういった分野それぞれについて、一定の目標値をできたら設定していくということが大事だと思います。
それに基づかないと達成度がどうなのかとか、予算の行き方がそちらにどれだけ向いていないのだ、向いているのだということはわかりようがないわけです。
現役の担当されている方から見ると、そういうのは言葉の遊びのような感じがするというふうに思われるかもわかりませんが、それはそうではなくて、ぐあいが悪ければ直せばいいのです。
それで常にその目標を掲げて、それについてみんなが議論をしていくという姿勢をとらないと、内容がうまくいっているのかどうかというのが全体的にわかりにくい面があると思うので、先ほどの御意見を実際に反映させていく段階では、定量的に目標をなるべく持ちたいということをぜひお考えいただきたいというのが私の要望であります。
ここで小笠原諸島調査費というのがありますけれども、これはそういうこととは関係ないのかもわかりませんが、もしできれば、こういう調査費の中でそういうことを研究していただければ非常にありがたいというふうに思うのであります。
以上でございます。
中村幹事
今回の調査費でございますけれども、計画の中でも土地利用のあり方について検討していかなければいけないというのが今回あるのですけれども、これは飛行場ができるということになりますと、土地の流動性が高まってくる。
そういう中で、小笠原特有の特賃権という制度があるのですけれども、これについては、実は都の方で去年に調査しています。
これは前回もお話が出て、その結果はまだまとまっていないので次回の審議会でお出ししますけれども、そういったあたりにつきましてそろそろ検討を始めたいということで、来年度につきましては、私どもとしてはそれをやらせていただきたいと思っております。
ただ、この数量化みたいな話というのは常に重要でございますので、引き続き私どもも検討していきたいと思っております。
会長
○○委員、どうぞ。
○○委員
4ページ以降の予算の概算要求に従って4点ばかり教えていただきたいと思います。
最初の2点は事実の確認ですが、まず4ページの二見港のマリーナ、防波堤です。
これまでの審議会の席上でもしばしば問題になりましたが、漁業協同組合が何かしているとは聞いておりますが、了解はしていないと私自身は承知しておりますが、事実関係はどうなっているか教えていただきたいと思います。
2点目は沖港でございますが、委員の皆様は現地を御視察なさったのでおわかりかと思いますが、連絡船が行きますと回転するときに沖港が濁ります。
あそこの浚渫がここに入っていないのか、入っているのか。
いなければ、ぜひこれは入れていただきたいと思います。
次は5ページでございますが、これは考え方でございます。
ほ場造成のところで 0.4ha中ノ平にほ場をつくるということですが、小笠原協会の調査能力に限界がありますが、概数として今まで小笠原復興事業以降30年間に73.58ha。
これは硫黄島帰島島民の母島におけるほ場も含めての数字でありますが、造成されている。
現実に使われているのは18.24ha。率にして24.8%程度だと思っております。
なおかつここで、ことしもそうですが来年度もほ場を造成する必要があるのか。
これは考え方の問題です。
4点目ですが、これは村長である宮澤委員あるいは村議会議長である稲垣委員の意見も伺いたいところでありますが、7ページの一番上に母島の住宅の基本設計、実施設計。
これは中村幹事から御説明いただいたとおり非常に老朽化しておりますので、この改築をしていただくのは非常にありがたいことでありますが、同時に今の小笠原における住宅の状況を考えますと、持ち家が、これも概算でございますが多分21.数%。
あとは都営住宅であったり官公庁の職務住宅等々であります。
一体、一つの村として村落として、2割程度の持ち家のまま推移していっていいのかどうか。
村人の定着ということを考えますと、非常に疑問が残ります。
したがって、この辺で持ち家があの島に住んでいる人でも頑張ればできるような政策がとり得ないのかどうか。
村の職員の給与では逆さになっても、定年まで幾ら頑張っても小笠原では住宅が取得できないと思います。
これは村長さんの意見を伺いたいところでありますが、定年になったら小笠原の職務住宅を出なければいけませんから、小笠原から去らなければいけない。
これでは村の職員も腰の座った仕事ができかねるのではないかと危惧をしております。
そこで繰り返しになりますが、土地の造成についても村が頑張って父、母それぞれ10数戸ずつやっておるようでありますが、この事業の中でそういうことが転換できないかどうか、ぜひ御検討いただきたいと思います。
4点でございます。村長さんや議長さんの思いがあれば、この際おっしゃっていただければなおありがたいと思います。
以上でございます。
会長
初めに事務方から説明をしていただきます。
和田東京都地域振興担当部長
それではまずマリーナの関係でございますけれども、ことしの5月の村の総合開発審議会でもって扇浦の方の計画の答申がなされたわけでございますけれども、それを踏まえまして、今後、漁協等とも関係を持って十分話し合っていきたいというふうに考えてございます。
これは小笠原空港とも非常に密接な関係がございますので、今後の非常に重要な課題として、漁協の方とも十分密接な連携を図っていきたいというふうに考えているところでございます。
これが1点目でございます。
それから沖港の浚渫につきましては、12年度予算には計上されておりません。
事実関係を申し上げれば以上でございます。
それからほ場の造成に関する利用率でございますけれども、私どもの調査によりますと62%程度ということで、4割がある意味では遊休地化しているという部分はございます。
それにつきましては、農業者の高齢化であるとか後継者不足といったような面が大きな原因としてあるのではないかというふうに考えております。
しかしながら、今後の小笠原の農業を継続してさらに発展させていくために、ある程度のほ場造成というのは今後とも継続していかざるを得ないのではないかというふうに考えておるところでございます。
とりあえず私の方からは以上でございます。
会長
宮澤委員、どうぞ。
宮澤委員
一言で申し上げてしまうと、○○委員と全く同意見の感覚を私が持っております。
今、村を預かる身として一番大きな問題点としてとらえていると言っても過言ではないと思っております。
今現在、○○委員からもありましたように、持ち家比率がああいう形態の離島で20%弱というようなところは、恐らくどこにもないというような現状の中で、確かに立派な都営住宅なり何なりをつくっていただいておるわけですが、その件につきましては感謝の気持ちを当然持つものでございます。
内地でいうと15万円も20万円もするような立派な都営住宅に、3万円あるいは高くて5万円という格安の家賃で住まわせていただいているわけなのです。
そういう土壌の中で、果たして本当に小笠原村民としてあるいは島民として、小笠原の村を愛して定住するような気持ちになるかといったら、甚だ疑問の点もあるわけです。
例えば子供さんが大きくなったら帰ってしまうとか、5〜6年住んでもう飽きたから帰ってしまうというようなケースもゼロではありません。
何件か目にしております。
そういう住環境というのは、私は全く異常な住環境だととらえていますし、それをいわゆる持ち家制度にすることによって自分の財産を取得する。
その財産を守る。
その基本的なスタンスが持てなければ、本当の意味での住民あるいは村民になり得るのかということになると、私は本当に疑問ですので、最も基本的なそういう部分から今後は展開していかないと、今後の村づくりについても大きな影響を及ぼすでしょう。
先ほど会長も言いましたが、役場の職員がいい例なのです。
60で定年になったら夫婦2人でどこ行くのだというのが現状なわけです。
ですから、今までも村で分譲政策を合計で70戸ぐらいやってきました。
村は莫大な造成費用をかけて、恐らくその半分ぐらいの値段で分譲するわけですが、それにしても建築コストが内地の2倍もするという状況の中で、土地を買って家を建てるということになると、最低でも
4,000万円から 5,000万円かかるというような分譲政策では、もう限界だろうというような考え方をしています。
でき得るならば振興法で造成ぐらいできるような形にしていただくと、ある意味では 2,500万円台から 3,000万円台ぐらいの分譲住宅政策も考えられるのではないかということで、いろいろと今現在役場の中でも調査検討をしているところでございます。
以上です。
会長
稲垣委員、どうぞ。
稲垣委員
まず指摘されました農地の件ですけれども、昭和46年から東京都と国の方で基盤整備が始まりまして、それに沿って入植したわけです。
確かに後継者不足の関係があって畑が使われていない、そういうところもあります。
ただ母島の場合には、そういうところを農協が全面借り受けて、新たに母島で農業をやりたいという方に提供していることも事実でございます。
それと戦前畑だったところが畑として使われていない。
それから後でまた申し上げますけれども、宅地に関しても宅地であったところが宅地として使われていない。
それはなぜかというと、土地の流動化が進んでいかない。
その一つの原因としては、土地が高すぎる。
離島でありながら、小笠原は伊豆七島と比べてかなり高い水準で土地の売り買いがされている。
それだけ魅力的な島であるのかなとも思いますけれども、現実にそういうことが要因していると思います。
それで農地の件ですけれども、近年、特に母島で農業をやりたいという意欲のある若い人が来ております。
そういう関係で、土地の流動化ができる対策を考えていただきたい。
それと一度基盤整備をされたところが使われていないという指摘があるのですけれども、後継者不足のために一度は入植したけれども4、5年使わないために、小笠原の気候では2年ぐらいするとジャングル化してしまって、次に借りたい、使いたいと思ってもゼロから開墾をし直さなければならない状態で、2度目の基盤整備はやっていただけない。
そこら辺も一つ問題があるのかなと思います。
それで先ほども出ましたソフト面、そういう政策を今後とっていただければと思います。
それから持ち家制度の件ですけれども、先ほども言いましたように土地の売り買いの値段が高い。
そして今も村長から言いましたように建築コストが高い。
そういうことを考えると、順番待ちで2年ぐらい待っても都営住宅に入った方が、持ち家をするよりも安上がりである。
建築コストの件と土地代の軽減化。
そして土地の流動化が進めば、持ち家は進むと思います。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
○○委員、いかがでございましょうか。
○○委員
前段の二つを希望として申し上げておきます。
一つはマリーナのことですが、これは現地の人、特に漁業関係者の理屈ではなくて情念です。
「我々がオーケーしないのに予算化したのか」と、こういうことがすぐはね返ってまいります。
この審議会が済んだら、こういうことだということを漁業関係者に直ちに伝えてやってください。
それをやることによって、これからの事業が数段好転するだろうと思います。
それから農地については、東京都の数値と私どもの数値のかけ離れが余りにも多うございます。
私どもは1件、1件農家に尋ねてこの数字を得たものでありますので、改めて東京都と私どもの間で資料の突き合わせをさせていただければと思います。
それから沖港の浚渫については、これから何かできるならぜひ。
あの現状を見ると放置すべきではないと思いますので、まだ概算要求の段階でありますから工夫をしていただけないかと、これは希望でございます。
4点目の持ち家政策については大きな転換でありますので、今年、来年ということにはいかないかもしれませんが、ぜひ積極的な御検討をお願いしたいと思います。
以上です。
会長
○○委員、どうぞ。
○○委員
私ごとですが、私は途上地域の農村開発の仕事を専門としております。
その上で、開発というものの概念が、先ほど○○委員初め、ほかの委員からも御提起がありましたけれども、どうも国あるいは都のあり方と、小笠原の住民の方々の間に断層に近いようなずれが生じ始めてきているような、そんな印象を今回の視察をさせていただいて受けました。
それは今までになかった感情といいますか、それが何がきっかけでこうなっていったかはわかりませんが、直観的に申し上げて非常に申しわけないのですけれども、それは空港建設の候補地のいろいろな推移の中で、そういうような方向にいったのではないかというふうに思います。
開発ということに関しましては、これはもう世界レベルで承認されておりますように、もはやGDPやGNPではかる時代でもございませんし、インフラではかるような時代でもありません。
ですからソフトと兼ね合わせてというようなことが言われて久しいわけでございます。
そういう中から、むしろ社会開発であるとかあるいは人間開発。
要は視点を個々の人間の潜在能力を生かす、人々の幸福とは何だろうかという厚生の増大を図るという視点で、例えば教育であるとか生活水準とか平均余命とかさまざまな指標。
GDPやGNPという単一の指標ではなくて、そういうものではかりましょうというような量的なものから質的なものへと転換している中で、やはり小笠原の開発という意味合いもその中にのっとって、例えば内発的な発展とはとか、あるいは住民参加型の開発というのが今非常に叫ばれておりますけれども、そういうような住民の合意形成をいかに得ていくのかという、そういうプロセスを大事にする。
あるいは1周目、2周目という議論もございましたけれども、その単線的な発展主観も非常に大事でしょうけれども、もう一つの座標軸の方には多様性というものも世界的には非常に重要視されている時代であります。
そういうようなことを勘案して開発というものをとらえていかなければならないのではないかということを今回の視察で住民の方々の声、つまり「こういう開発事業によって多額のいわゆる援助は、もう我々にはある意味では必要ないのだ。ありがたくは思っている。しかし今後続けていくのならば、これはもう甘えの構造になってしまって、我々は自分の足で立っていくことができない」とはっきりおっしゃった方がいらっしゃいました。
恐らくこれはお一人の言葉ではないかと思いますし、お立場によって非常にまだ自然的な条件に左右される産業、漁業、農業にしろそうだと思います。
それぞれの立場によって違うとは思いますけれども、やはり上からのということではなくて、住民の合意形成をどうやって図るかということが非常に大事かと思います。
そういう意味で、例えば介護保険の施設を母島につくる、つくらないというようなこと。母島には2名しか該当者がいないということで、それは却下されたというような意見も伺いました。
確かに数でやっていけなければ、量的に尺度をつくっていかなけばならないということもわかりますけれども、父島まで50km離れた船旅を、我々の視察中にも90歳のおばあちゃまが骨折されたということもございました。
東京で骨折したら、すぐに救急車が来てくださるわけですけれども、そういう状況ではない。
生活そのものが全く違うのだというようなことから発したときに、やはり高齢化率もこれからますます高まるでしょうし、現状でも数だけでそういうものを割り切っていただきたくないなというふうに感じております。
それからまた先ほどの開発に関して中村幹事からいろいろ御回答がございましたけれども、漁業で単身者が非常にふえている。これは○○委員から伺うところによりますと、漁業面だけではなくて農業の面においても非常にふえております。
農村においてこれだけ若手の産業があるということは非常に珍しいかと思います。島しょ、特に南東では一般に新しいものを受け入れるという、そういう傾向が非常に高いとは思うのですけれども、ただ問題は入って来ても10年先、20年先の定着率ということを考えたときに、果たしてどうなのかということがあるかと思います。
その結果、未婚で子供を持つということ。
母子家庭とか父子家庭というものがふえていく。
そのために住民と居住スペースのバランスを失っていく。
つまり母子家庭、父子家庭というのは福祉で優先的にケアされるわけですから、そうなっていくと、必ずしもこれは人口や労働力の移動率が高いということの両面を考えていかなければいけないのではないかと思います。
また、最近母島で切り葉の出荷を非常に一生懸命やっていらっしゃる。
八丈島の方から専門家の方がセンターの方にいらしてというようなことです。
自然の方途に立ったやり方というのは非常にいいかと思います。
まずは1枚の仕切り伝票を切るということによって、市場へ出荷するということの認識を高めていくというようなやり方をされていました。
しかし、食糧と違って花卉類の絶対的な弱みは食べるものではないということであります。
ブームというものもございます。
そういう中で、中村幹事がおっしゃるようにこれを長期的な安定という目で見れば、市場の中で安定的に非常に信用度の高い品質のいいものを出していくということ。
これは亜熱帯、熱帯の地域の農産物を出していくときに非常に難しい問題だと思うのです。
ですから現にもう一つの例としてお挙げになったシカクマメについても、これは決して安泰な流通のルートを確保されているとは聞いておりませんので、その辺は単年度ではなくて、長期的な目で開発とか発展ということを見ていただきたいと思います。
長くなって恐縮なのですけれども、そういった農業の発展の芽がありながら、小笠原においては農業後継者の数が少ないというようなことで、それがネックになっているのだというようなことの御説明もありましたけれども、○○委員の御説明のとおりに、ではなぜ耕作放棄地が広がっているのか。
○○委員のおっしゃるように流動化がなぜしないのか。
その上に遊休地や耕作放棄地が広がっている現状。
これをやはりクリアしていかなければ、幾ら面を広げていってもイタチごっこではないかなと思います。
蝙蝠谷の方も今法人の方が1軒入っていらっしゃいますけれども、あれは結果として1軒になったのであって、ところが好むと好まざるとにかかわらず1軒になってしまったことが、住民の間でさまざまな軋轢を生んでいるようにも聞いていますけれども、果たして帰島される際にどこまでの支援が充実して行われていたのか。
例えば、農業の土地を持つ意味合いというのは工業と決定的に違いますので、土壌改良、土地改良というものはどの程度きちんとした形で行われていたのかということ。
こういうこともきちんと追跡して調査などをしていただきたいと思います。
長くなりましたけれども以上です。
会長
ありがとうございました。
きょうはほかにも議題がございますので、その議題の説明をさせていただきました上で、改めて御質疑、御意見を賜りたいと思います。
〔 議題(2)平成11年度小笠原諸島振興開発事業第2次補正予算案について 〕
会長
それでは議題(2)平成11年度小笠原諸島振興開発事業第2次補正予算案につきまして、事務局から御説明をいただきます。
中村幹事
資料3を御覧ください。
「平成11年度小笠原諸島振興開発事業関係予算について」」ということです。
11年度第2次補正要求額の道路整備のところに、国費ベースで 2,152万8,000円が村道改築として出ております。
平成11年度の2次補正予算におきましては、村内の都営住宅の袋小路の解消を図るということで、現在、途中でとまっております都道の行文線の終点箇所から都営住宅内の道路に接続させる村道の整備を要求しております。
一応12年度の予定ということでございましたが、工事を進めまして補正でも対応可能ということでこれを上げさせていただいております。
次のページをおめくりいただきますと地図が出ておりますが、都道行文線というのがぷちっと切れておりまして、これと清瀬アパートのところをつなぐ村道につきまして舗装ということをやらせていただきたいということでございます。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
この補正予算につきまして格別の御意見がありましたら、まずお伺いしたいと思います。
(「なし」の声あり)
会長
格別ないようでございましたら、この補正予算案の取り扱いにつきまして、委員の皆様にお伺いしたいと思います。
この予算が補正されますと実施計画を変更する必要がございます。
この実施計画の変更につきましては、大変恐縮でございますが私に御一任をいただきたいと思いますがよろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
会長
ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
〔 議題(3)その他 〕
会長
なお、きょうは東京都から空港建設整備につきましての説明をしたいという申し出がございます。
また前回の審議会で、農地台帳といわゆる他国船等の取り締まりにつきましての御質問がございましたので、その点につきまして東京都と国土庁で説明をしたいという申し出がございます。
この説明を受けました後、再び戻りまして全般的に御意見をちょうだいいたしたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
それでは、まず東京都から御説明をお願いいたします。
和田東京都地域振興担当部長
それでは小笠原空港の関係をまず説明させていただきます。
小笠原空港につきましては、現在、東京都条例に基づきます環境アセスメントを実施するための現況調査や設置許可申請に必要な基本設計の策定作業等を行っているところでございますが、委員の先生方の方から、これまで検討してまいりました空港の代替案について説明をしていただきたいという御要望がございましたので、本日、この場をお借りいたしまして御説明を申し上げたいと存じます。
お手元の参考資料1を御覧いただきたいと存じます。
これまで検討してきた案のうち主なものを掲げてございます。
いずれも代替案としては適さないという結論に達しております。
まず一番左側の「水上飛行艇案」でございますが、委員の方々にはさきの10月の初めに行われました審議会での現地視察で水上飛行艇を御利用いただいておりますけれども、小笠原では防衛庁の協力によりまして急患搬送に水上飛行艇が用いられているわけでございます。
この飛行艇を活用するという案につきましては、まず自然環境に与える影響が極めて大きいということでございます。
旅客を目的として飛行艇を用いる場合には、自衛隊による運航とは異なりまして、安全性確保の観点から航空法によるもろもろの規制を受けます。
飛行艇でありましても海上のどこにでも着水できるわけでなく、海上にいわば滑走路を決めまして、離発着の際に進路上の障害となるものを除去する必要があります。
このため、仮に二見湾内に滑走路を設置する場合には、三日月山、それから夜明山等を切る必要がございまして膨大な残土が発生いたします。
一方、二見湾の湾外に滑走路を設置した場合には、飛行艇というのは少し海が荒れますとなかなか安全に着水できないということもございまして、いわば運航の安定性を確保するためには防波堤を設置する必要があるということで、その建設費用ももちろんでございますが、それによりまして魚類の回遊の妨げになるなど、海洋生物に対する影響が甚大となるということがございます。
さらに現実的には水上飛行艇といいますのは、現在、ロシア製のペリエフであるとか新明和のUS1が挙げられますけれども、いずれも旅客用にはつくられていないことから、いわば汎用性がなく民間の航空会社では所有していないということでございます。
したがいまして専門の運航スタッフが必要であること。
それから搭乗可能人員が少ないため採算が合わない。
さらには旅客機としての型式証明、耐空証明の取得が困難である。
こういったさまざまな問題点から水上飛行艇の案は実現が困難であるという結論に達しております。
次に真ん中の「父島洲崎案」でございます。
委員の方には現地で御視察いただきましたけれども、この案の一番の問題点は、滑走路をつくるには狭すぎるということでございます。
洲崎の陸地でとれる滑走路分は 600mが精いっぱいでございますが、この長さではジェット機はもちろんコミューター機でも離発着はできませんので、仮にコミューター機だとしても
200m以上海域に滑走路を延長する必要がございます。
そうしますと、埋め立て方式ですとやはり海洋生物に大きな影響を与えます。
また桟橋方式であっても何らかの影響は避けがたいということがございます。
さらに建設費や維持費も膨大なものとなってしまうわけでございます。
さらに制限表面上に三日月山及び野羊山がございますので、その切土が必要となる。
こういった多くの問題がございます。
最後に右の方の「聟島案」でございますが、聟島は自然環境上の問題点はほとんどなく、空港の位置を決定するために設けた専門委員会におきましても、時雨山周辺域とともに最後まで残った案でございます。
空港の立地適性という点では、問題が少ないと言える箇所かと存じます。
問題は、それよりもむしろ父島・母島間と聟島をつなぐ交通アクセスの利便性にございます。
すなわち船舶を利用しますと片道で3時間を要する。
それでは生活路線として大変不便でございますし、観光振興上も他の観光地との競争で劣勢に立たされてしまうということもございます。
それから、この間をヘリコプターで結ぶという案も考えられるわけでございますけれども、一番にヘリの搭乗人員というのは大型でも30名程度でございますので、複数の機材が必要になります。
それから運航会社の確保が困難である。
さらにはヘリはパイロットの養成であるとかメンテナンス、それから燃料費が高いといったさまざまな面で採算性の面での問題があるということでございます。
さらに聟島の場合には、ターミナルのほかに悪天候時の宿泊施設であるとか、電気、ガス、上下水道などの基盤のインフラ整備や港湾施設の整備が必要になるなど、やはり時雨山に比べてデメリットが多いという結論に達してございます。
なおここには記載してございませんけれども、硫黄島の空港を活用する案につきましても、やはり聟島と同様の問題がございます。
さらに硫黄島と父島、母島を船舶で結んだ場合には約9時間を要するといったような点もございます。
また、最近マスコミ等で報道されておりますメガフロートの可能性についてでございますけれども、これは基本的には内湾、いわば東京湾のような内湾の静かな場所での活用というものが考えられるところでございます。
したがいまして小笠原の場合には二見湾内に仮に浮かべるとするならば、当初、一番最初の「水上飛行艇案」と似たような意味での切土の問題が出るとか、そういった問題がございます。
さらに湾外ですと波浪の影響を受けやすいわけでございますので、防波堤の問題がやはりここでも浮上してくる。
「水上飛行艇案」と似たような意味での問題が発生するということでございます。
以上のように、いずれの案につきましても自然環境面からの問題や物理的、経済的な問題があり、代替案として不適であるとの結論に至ったものでございます。
それから続きまして2枚目は「小笠原空港整備と振興開発について」の関係でございます。
空港の建設につきましては、御承知のとおり、都は当初兄島としておりましたけれども、環境庁からの指摘もございまして、自然環境に最大限配慮した結果、現在の時雨山に決定をしたものでございます。
決定に至る経過につきましては、既にこれまでの本審議会で御報告してまいりましたけれども、重要な事項でございますけれども、恐縮でございますが、参考資料の3枚目を御覧いただいて、簡単に触れさせていただきたいと存じます。
(参考)と書いてございまして、「小笠原空港建設地決定に至るまでの経緯」というところでございます。
まず2の「経緯」のところを御覧いただきたいと思います。
平成7年2月に小笠原空港の建設地を兄島に決定したところでございますが、平成8年1月に環境庁から兄島空港案の見直しの意向が伝えられたわけでございます。
このため平成8年7月から学識経験者で構成される委員会を設置しまして、自然環境面から検討を進め、平成9年の11月、次のページでございますけれども、空港立地の可能性のある地域として9地域を選定させていただきました。
さらに平成9年12月から航空工学であるとか建設技術の学識経験者で構成される専門委員会を設置しまして、自然環境、運航の安全性、安定性それから経済性、建設技術面等を総合的に判断して最終的に父島の時雨山周辺域と決定をしたものでございます。
このように、空港建設地の決定に当たりましても自然環境面に最大限配慮して決定したものでございますが、小笠原諸島は委員の方も御承知のように全域にいわば貴重な動植物が存在しておりまして、時雨山自体もその例外ではございません。
このため時雨山の自然環境も踏まえて、これに最大限配慮した空港整備を行う必要があるということでございます。
また空港が整備され開港されれば、観光客等が増加します。
これは一方で島の自立のために大変重要なことではございますけれども、また他方、これによる自然環境面への悪影響が懸念されるところでございます。
したがいましてこのための対応策でございますが、また戻っていただいて恐縮でございますが、2枚目の「小笠原空港整備と振興開発について」を御覧いただきたいと存じます。
まず左側の「自然環境保全」を御覧ください。基本方針のとおり学識経験者の助言、指導等を受け、全庁的な体制の下で自然環境の保全策を講じていくという考えでございます。
このために下の基本施策にございますように、第1に学識経験者で構成される委員会を設置して指導・助言を仰いでいるというところでございます。
その内容といたしましては、まずアとして空港整備に係る環境影響評価に関する事項。それからイとして小笠原全域に係る保全・活用策の両面にわたります。
また充実した審議をしていただくために、自然環境の調査方法の段階から御検討いただきまして、その指導・助言のもとに現況調査を実施しているところでございます。
また、空港整備計画の検討経過を随時御報告申し上げ、どのように空港整備計画を策定すれば、いわば自然環境にやさしい整備ができるかということも御審議をいただいているところでございます。
第2には庁内にプロジェクトチームを設置しまして、小笠原諸島全域に係る保全・活用策について検討しているところでございます。
学識経験者で構成された委員会の指導・助言を踏まえながら、具体的な施策に結びつけていくために、小笠原村の当局の参加もいただきまして全庁的に検討し事業化を目指していこうとするものでございます。
第3は「ムニンツツジの増殖」でございます。
空港の建設予定地には、ムニンツツジの唯一の自生地がございます。
その種を絶やすことなく次代に引き継いでいくため、小笠原支庁にプロジェクトチームを設置しまして、農業試験場と連携して学識経験者の指導・助言も得ながらムニンツツジの増殖事業に最大限努力をしているところでございます。
右の方の「地域開発」でございます。
航空路が開設されますと、来島者が増加し宿泊施設等、観光関連施設が今まで以上に必要となってまいります。
観光産業の隆盛に伴い人口の増加も期待され、生活基盤もやはりまた必要になってくる。
しかしこのような整備によっても、貴重な自然環境を損なうことのないよう自然環境との共生を図った振興開発を行っていく考えでございます。
このための対応策でございますが、基本施策の1にございますように、本委員会で御審議いただき、内閣総理大臣が決定をされました「新小笠原諸島振興開発計画」では集落地域、自然保護地域など4地域にわけて土地利用計画を定めておりまして、これにより無秩序な開発を抑制し、秩序ある土地利用に誘導をしていきたいというものでございます。
第2は「総合的・計画的な地域開発」でございます。
空港開設後を見据えまして生活基盤、産業基盤を整備する適地として、先ほどもお話に出ましたけれども父島の扇浦地区がございます。
戦前から集落のあった地区でありまして、土地利用計画上も集落地域に位置づけられております。
この地域の開発に当たりましては、自然との共生が図れるよう地域の自然環境を踏まえた総合的な計画を立てて整備していく考えでございます。
第3は「水源の確保等」でございます。
水源はいわば小笠原村民の生命線でございまして、空港整備に当たっても最大限配慮をしてまいります。
このため空港整備計画を策定するに当たっては、空港建設に伴う流域への影響が最小限になるよう計画するとともに、空港整備の工事中の濁水につきましても沈砂池、沈殿池などの処理施設を整備しまして、その影響を最小限にするよう計画をしてまいります。
また、自然環境保全のところで御説明いたしました学識経験者で構成された委員会の中には、水文環境の専門家の方にも入っていただきまして、現在、その助言・指導をいただきまして計画策定作業を進めているところでございます。
それから水源の確保につきましては、簡易水道事業を所管している小笠原村ではダムの適地を含め、これまでにも対策立案に必要な調査を実施してきております。
また現在行っております環境現況調査の結果を踏まえて、さらに万全の対策を講じていくというふうなことで伺っております。
このように、空港整備に当たりましては 自然環境に最大限配慮するとともに、小笠原空港開設後を見据えまして、小笠原諸島全域の自然環境の保全・活用策を検討・実施し、地域開発に当たっても自然環境との共生を図った振興開発を実施していく考えでございます。
続きまして1枚ものの参考資料の2を御覧いただきたいと存じます。
前回の審議会で御質問いただきました農地基本台帳につきまして御説明をいたします。
農地基本台帳は農家基本台帳と同じものでありますけれども、市町村の農業委員会が当該区域内の農家の経営状況等を把握するために、農水の事務次官依命通達に基づきまして農家単位に取りまとめて整備することとしたものでございます。
その内容といたしましては、農家の世帯員及び就業状態、それから主要農機具の種類や台数等の営農状況、そして経営面積、所在、地目、貸付地等の土地にかかわる状況等を記帳したものであります。
小笠原農業委員会での台帳整備の実績といたしましては、昭和61年に初期整備をいたしました。
これからの予定でございますけれども、平成12年1月1日付で農業委員会の委員の選挙人名簿の作成作業を行いますので、これにあわせまして農地基本台帳の更新・整備(電算化)を行うことにしたいというふうに小笠原農業委員会事務局から伺っております。
御参考までに、下の方に「農地基本台帳整備時の農業委員会の選挙人名簿の世帯数等」として、昭和61年は55世帯、89名、直近の平成11年は59世帯、94名を載せてございますので御覧いただきたいと存じます。
長くなりましたけれども、以上で東京都からの説明を終わらせていただきます。
よろしくお願いします。
中村幹事
次に参考資料の3でございますが、「小笠原諸島周辺海域における海上取締りについて」ということで、二つございます。
一つは、海上保安庁さんの第三管区海上保安本部に属する小笠原海上保安署においてやっている。
もう一つは漁業関係ということで、漁業法の第74条で司法警察権が付与できるようなものがあるということで、小笠原水産センターの所属職員のうち1人指定されておりまして、この方が取り締まりを行うということでございます。
管轄区域でございますが、小笠原海上保安署は聟島・父島・母島各列島より12海里(約22km)以内。
水産センターは小笠原諸島各島より30マイル(48km)以内で水産センターの方がちょっと広い。
担当業務としては、水産センターは違法操業の取り締まりだけということでございます。
外国船への対応、管轄区域外の対応ということで、管轄区域外についてはほかの管轄区域のところの保安庁が対応するということで、実績といたしまして立ち入り検査、いわゆる漁船灯火の確認等をやっておるということでございます。
以上でございます。
会長
ありがとうございました。
それでは小笠原関係につきまして、どのようなことでも構いませんので御意見がございましたらお伺いしたいと思います。
○○委員、どうぞ。
○○委員
先ほどから各委員の御意見をお聞きしていてちょっと感じたことを申し上げます。
小笠原特別措置法という一つの法律のもとで開発計画をつくるわけですから、現行のやり方がいい、悪いは別といたしまして、先ほど○○委員からもお話がありましたけれども、東京都の小笠原でなく、日本の小笠原ということをもうそろそろ表に出していったらいいのかなというような感じがいたしました。
ことしの予算の内容につきましてはどうのこうのございませんけれども、私もことしは都合が悪くて行けなかったのですけれども、昨年参りまして、その後、東南アジアとか何とか言って日本の特色その他の質問をいろいろ受けるわけです。
私は自然環境の仕事をしていますので考えるのですけれども、「日本でどこが一番自然環境が残されているか」という質問をよくされます。
そのときに、私は昨年お邪魔したものですから小笠原が非常に印象的でございまして、「小笠原が一番いい」と言うと「小笠原というのはどういうところなのですか」という話が出ます。
30年前に日本の領土に帰ってきて、これを30年かかって日本政府、東京都、地元小笠原村でいろいろな振興計画に基づいて、例えばを申しますと、私が感じたところでは漁業施設などは日本で相当いいレベルまでいっているのではないかと考えております。
そういう観点に立って話をしてしますと、東南アジアの方々も台湾の人も小笠原というのは余り知らないのです。
それで、いろいろこういう施設があってこういう問題があってという話をしますと、「やはり日本としての小笠原の将来の利用方法みたいなものをもう少し考えるべきなのではなかろうか」というふうな意見がありまして、私もつくづくいろいろ考えるのですが余りいい案はございません。
しかし先ほど○○委員とかほかの委員がおっしゃいましたように、定量的にどうあるべきなのだろうか、定性的にどうあるべきなのだと、そういうことを含めて。
特別措置法ですからそういうところまではなかなか踏み込めないかもしれませんけれども、そういうことを相当念頭に入れて、このことを考えていった方がいいのかなと。
というのは、私はことしの7月にベトナムに公園の仕事で行ったのですけれども、日本のある企業の方が、これは私が北海道出身だから申すわけではないのですが、北海道の冬期の間に年とった方がベトナムとかそういうところに長期間保養に来られる、そういう希望もある。
したがって、そういうのは今のあなたの話を聞いていると、小笠原が一番適しているのではないでしょうかというような意見を言われました。
それは第三国の方がお話するのですが、なるほどと。
そういう面では、小笠原諸島というのは日本国民としてどういう将来の活用方法があるのか。
先ほど言った一つの例は第三国の方が言われた例ですけれども、私も北海道出身でございますからいろいろと。
例えば北海道の人間は、昔は伊豆半島に行って冬期間過ごしたりとか、九州に行って冬期間過ごして春になったら北海道に帰って来た。
北海道で開かれてシンポジウムなどでは、そういうようないろいろな意見が出ます。
そういうのも一つの例なのかなと思っているのですが、特別措置法に基づく計画ですからそこまではなかなか踏み込めないかもしれませんが、もう30年たったわけですから、そういう面を事務的にもそろそろ検討いただいて、念頭に置いて計画をつくるなり、実行するなりしていただいた方が、先ほどの皆さんの御意見の中にもありましたように、将来の小笠原ということを大局的に考えれば、そのぐらいのことは考えていった方がいいのかなという総括的な意見でございますけれども、そんな感じがいたします。
会長
どうもありがとうございました。
いわゆる法律の枠を超えてでも考えなければならない問題が数多くあろうかと思います。
事務方で今後また検討をしていただければと思います。
どうぞ。
○○委員
質問ですけれども、先ほど空港のことについて御説明いただいた中で、ムニンツツジの増殖問題というのがありました。
これは今度の選定地区で空港がつくれるか、つくれないかということにもかかわるぐらい大事な問題だと思うのです。
だから1年前から既に増殖プロジェクトに取り組んでいらっしゃると思うのですけれども、どういう方針で取り組んでいるのかということと、1年たってどれぐらいのところまで進んでいるのかというのをお教えいただければと思います。
和田東京都地域振興担当部長
おっしゃるとおりムニンツツジは空港予定地のところにございまして、逆に言えば、現在わかっている段階ではそこが唯一の自生地ということでございます。
したがいまして今やっておりますのは、亜熱帯農業センターというところで種から発芽させて小さなポットにたくさんつくっております。
それを大きくしていくのが一つでございます。
それから、周辺で環境の似たところに苗を移植しまして大きくして育てよう。
こういったこともやっております。
この2点で今作業を進めている段階でございます。
○○委員
既に新しいところに植えるという作業まで進んでいるわけですか。
和田東京都地域振興担当部長
実際には新しいところに植えてございます。
しかしながらなかなか活着といいますか、うまくつかないということで苦労されている。
先ほど申し上げた自然保護の先生方にも御指導いただきながらやっているわけでございますけれども、これがうまくつかないというのが現時点で悩ましいところでございます。
会長
○○委員、どうぞ。
○○委員
非常に細かいことかもしれませんけれども、先ほど持ち家のことで土地が高いというお話がありました。
農地についても土地が高くて流動化が進んでいない。
それで何か方策はないかと○○委員からお話がありましたけれども、土地が高くて所有権を取得して規模を拡大するというのは、内地の方でも大分以前からそういう方法には限界がある。
土地取得資金というような制度資金もあるわけですけれども、そういう所有権取得ではなくて賃借権の設定をスムーズにやっていこうという制度があります。
具体的な制度の名前は忘れてしまったのですけれども、これは市町村長さんが出し手と受け手の希望をとって何か計画を立てるのです。
公告か何かしまして、一定期間異議がなければ、その公告の内容に従って当事者間で賃借権が設定される。
それは1人1人ではなくて、Aさん、Bさん、Cさん、Dさんという出し手と甲乙丙丁という大勢の人で一つの計画にまとめる。
そういう制度がもう大分前からできています。
そういう形で賃借権の設定の規模を拡大していこうという制度ができています。
それを御利用になっているのだろうと思いますけれども、そういうものはありますか。
そういう方向でもひとつ御検討していただけたらと思います。
やっていると思いますけれども。
○○委員
村の農業委員会の中で、流動化対策として農地銀行の取り入れ。
そういう形でも今やり始めております。それと以前から賃貸しして、借りて、新たな農業者がふえていることも事実でございます。
ですから今言われたような流動化は進んではおりますけれども、ただ賃貸しの場合には、6年とか10年という区切りで地主さんがどうしても返してほしいという場合は返すという形になりますので、やはり私みたいに農業をやってきた者とすれば、自分の土地にしっかりした形で根づきたい、そういう農業者がほとんどでございます。
ですからやはり流動化が進むことを願っているわけです。
会長
○○委員、どうぞ。
○○委員
飛行場のことなのですが、皆さんのところにも7月7日に「小笠原の航空路を考える会」からいろいろな文書が参ったと思います。
地元の父島の方が代表のようでございますが、中身を拝察いたしますと、かなり理屈の通ったことを書いておられる。
理屈の通ったというのは失礼なのですけれども。
絶対だめだとかそういうことではなくて、いろいろな案を提示されて、先ほど東京都から説明があったわけですが、これに対して東京都は何か対応をされておられますか。
この手紙の内容につきまして、地元の方に対応をされておられますか。
中村幹事
先ほど都の方で説明した空港の位置を選定する際にも自然環境関係の委員の先生方を入れて、その中にこの方は入っております。
それと今やっている中にも入っておられます。
ですからそういう場で意見は言っておられるということで、それなりの対応はしているということになると思います。
そういう場も設けております。
○○委員
それでよろしく対応をお願いします。
和田東京都地域振興担当部長
実際に私どもの方へお見えになることもございますので、御本人とは何度も話し合いは進めさせていただいています。
会長
それではほかに御意見もございませんようですので、以上で本日の議事を終わらせていただきたいと存じます。
本日は、皆様方から多くの貴重な御意見をちょうだいいたしました。
これらの意見につきましては、審議会として政府に対し意見を申し入れることはいたしませんで、議事録にとどめることとさせていただきたいと思います。
いかがでございましょうか。
(「異議なし」の声あり)
会長
それでは、そのようにさせていただきます。
なお、本日、お集まりの各省庁を初め、政府当局におかれましては、今日委員の皆様方から出されました意見を十分に尊重して、今後の小笠原諸島の振興開発につきまして格段の御努力をお願い申し上げますとともに、予算の折衝につきましても御尽力をいただきますようお願いいたしたいと思います。
〔東京都及び小笠原村礼辞〕
会長
最後になりましたが、東京都の福永副知事及び小笠原村の宮澤村長から御挨拶の申し出がありますのでお願いいたします。
まず福永副知事からお願いいたします。
東京都知事代理福永副知事
東京都副知事の福永でございます。
本日は会議の冒頭から出席をいたすことができませんで大変申しわけございませんでした。
この場をお借りいたしまして、私から一言御礼を申し述べさせていただきたいと思います。
本日は、委員の先生方並びに国土庁を初めといたします各省庁の皆様方におかれましては、大変お忙しい中を平成12年度の小笠原諸島振興開発事業予算の概算要求、及び同諸島の振興開発につきまして御審議を賜りましてまことにありがとうございました。
また、前回の同審議会におきまして御審議をいただきました新小笠原諸島振興開発計画につきましては、内閣総理大臣の決定をいただきまして、本年6月から施行をされております。
これも重ねて御礼を申し上げる次第でございます。
さて、来年は小笠原諸島が東京都の所管となりましてから満120 年を迎える年に当たります。
明治13年に内務省から東京府に移管されて以来、戦後23年の空白の時期を除きまして、東京都は一貫して小笠原諸島の島民の定着や生活の安定等の策に取り組んでまいっております。
東京都といたしましては、小笠原諸島の真の自立発展を目指して、小笠原村とともに関係省庁と十分に調整を図りながら各種基盤の整備や産業の振興等、新振興開発事業をしっかりと推進してまいりたいというふうに考えております。
また現在、小笠原空港につきましては環境影響評価等の作業も進めておりますが、1,000kmという距離を超える21世紀のかけ橋として確実に整備を進めてまいる所存でございます。
今後とも委員の先生方並びに国土庁を初めといたします各省庁の皆様方の一層の御指導と御協力を賜りますよう、この場をお借りいたしましてお願い申し上げますとともに御礼を申し述べさせていただきます。
ありがとうございました。
会長
ありがとうございました。
次に宮澤村長さん、お願いいたします。
宮澤村長
小笠原諸島振興開発審議会委員の皆様におかれましては、日ごろより小笠原諸島の振興につきまして御尽力をいただき深く感謝をしております。
本日は、平成12年度小笠原諸島振興開発事業概算要求につきまして貴重な御意見を賜りまことにありがとうございました。
また先月初旬には、7名の委員の皆様に父島と母島の現状を御視察いただき、重ねてお礼を申し上げます。
小笠原村は返還31年、村政確立20年のまだ若い自治体であり、未来に向けてまだ多くの可能性を秘めていると言えます。
21世紀の村を考えますと、豊かで恵まれた自然環境を最大限に生かしながら、持続的な発展が可能となる新産業の確立と循環型地域社会の構築が必要であります。
委員の皆様の長期的な視点に立った御助言を今後とも賜りたいと存じます。
さて、小笠原村が事業主体の平成12年度の新規振興開発事業としまして、第1に救急患者の夜間輸送が可能となる施設整備、第2に航空路開設に向けた扇浦集落整備のための調査、第3に母島小中学校改築のための基本計画を要求させていただいております。
また、そのほかに引き続き村道の改築、簡易水道施設及び地域し尿処理施設の改良・更新、また、ごみ処理施設として父島では埋立処分場の建設、母島では中間処理施設用地の造成などを要求させていただいており、生活基盤の維持向上のため一層の御理解をいただければと、このように思っております。
国、都、村それぞれが財政的に非常に厳しい状況が続く中、村といたしましては村民と一丸となって創意工夫を凝らし、夢のある村づくりに努めていく所存であります。
都民や国民の財産であります限りない魅力を秘めた小笠原村へのより一層の御支援、御協力を賜りますようお願いをさせていただきまして、私の御挨拶とさせていただきます。
本日はありがとうございました。
会長
ありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の会議を終わりたいと存じます。
長時間にわたりまことにありがとうございました。
〔 閉 会 〕
− 以 上 −