小笠原諸島振興開発審議会(第６８回)会議録

日　時　平成12年11月22日（水）
場　所　中央合同庁舎第５号館別館７階共用第12・13会議室

国土庁地方振興局特別地域振興課

小笠原諸島振興開発審議会会議録

日　時　平成12年11月22日（水）午前10時
場　所　中央合同庁舎第５号館別館７階共用第12・13会議室

議　題　（１）平成13年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求の概要について
　　　　（２）その他

出席者　会　　　　　　長　　森　　　繁　一
　　　　委　　　　　　員　　赤保谷　明　正
　　　　　　　　　　　　　　小豆畑　　　孝
　　　　　　　　　　　　　　伊　中　義　明
　　　　　　　　　　　　　　岩　崎　美紀子
　　　　　　　　　　　　　　岡　田　��　夫
　　　　　　　　　　　　　　川　崎　正　道
　　　　　　　　　　　　　　首　藤　宣　弘
　　　　　　　　　　　　　　台　　　たまえ
　　　　　　　　　　　　　　田　村　久仁夫
　　　　　　　　　　　　　　沼　田　早　苗
　　　　　　　　　　　　　　山　口　甚　郎
　　　　　　　　　　　　　　石　原　慎太郎（代理：大関幹事）
　　　　　　　　　　　　　　宮　澤　昭　一
　　　　　　　　　　　　　　稲　垣　　　勇
　　　　幹　　　　　　事　　芳　山　達　郎　　国土庁地方振興局長
　　　　　　　　　　　　　　野見山　恵　弘　　国土庁長官官房審議官
　　　　　　　　　　　　　　大　木　健　一　　国土庁地方振興局特別地域振興課長
　　　　　　　　　　　　　　大　関　東支夫　　東京都総務局長
　　　　　　　　　　　　　　相　川　一　夫　　小笠原総合事務所長
　　　　国土総括政務次官　　蓮　実　　　進
　　　　東京都　　和　田　正　幸　　東京都総務局地域振興担当部長

目　　　次

１．開　　　会
２．議　　　事
　　（１）　平成13年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求の概要について
　　（２）　その他
３．閉　　　会



〔　開会　午前10時00分　〕

○森会長
　おはようございます。本日は、皆様方、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
　小笠原諸島振興開発審議会委員20名のうち、現在のところ13名のご出席をいただいておりますので、只今から小笠原諸島振興開発審議会を開会させていただきます。

〔　国土総括政務次官挨拶　〕

○森会長
　それでは、まずここで蓮実国土総括政務次官からご挨拶をいただきたいと思います。
○蓮実国土総括政務次官
　おはようございます。本日ここに第68回小笠原諸島振興開発審議会が開催されるに当たりまして一言ご挨拶を申し上げます。
　森会長を始めとする委員の皆様には、ご多忙中にもかかわらず本審議会にご出席をいただき、誠にありがとうございます。また、常日頃から国土行政の全般にわたりましてご尽力を賜り、とりわけ小笠原諸島の振興開発の推進につきましては格別のご指導、ご鞭撻をいただきまして、この場を借りて改めて厚く御礼を申し上げます。
　さて、小笠原諸島は、昭和43年の本土復帰以来、特別措置法のもとで産業の振興、社会基盤の整備などの各種施策を実施し、相当の成果を上げてまいりました。しかしながら、本土から1,000km 以上も離れた外海離島であるという厳しい自然的条件のもとにあって、住民の定着、産業の振興、交通手段の改善など、引き続き多くの課題を抱えております。
　このため、昨年、小笠原諸島振興開発特別措置法の改正を行うとともに、小笠原諸島振興開発計画を改定いたしました。現在この計画に従いまして、道路、港湾や廃棄物処理施設の整備などを着実に推進しているところであります。
　本日は、平成13年度の小笠原諸島振興開発事業関係予算の概算要求の内容についてご審議をいただくとともに、あわせて豊かな自然環境と調和した今後の振興開発の進め方について、ご忌憚のないご意見をいただきたいと考えております。
　国土庁といたしましては、本日のご審議の内容を今後の振興開発に生かしてまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては、引き続きご支援賜りますよう心からお願いを申し上げます。
　以上、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　国土総括政務次官 蓮実 進
○森会長
　ありがとうございました。
　なお、蓮実総括政務次官は所用がございますのでここでご退席されます。
（蓮実国土総括政務次官　退席）

〔　新任幹事紹介　〕

○森会長
　それでは、まず審議に入ります前に、幹事の異動がございましたので事務局からご報告を願います。
○大木幹事
　国土庁の地方振興局特別地域振興課長の大木でございます。国土庁の人事異動によりまして、鳥飼幹事が退任いたし、私、大木が就任いたしております。よろしくお願いいたします。
　幹事の異動についてご報告いたします。東京都の人事異動により、横山幹事が異動され、大関総務局長が就任されました。この他に６名の幹事の異動がございましたが、お手元の資料１のとおりでございます。

〔　議題（１）平成13年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求の概要について　〕

○森会長
　では、会議次第により議事を進めさせていただきます。
　まず議題（１）の「平成13年度小笠原諸島振興開発事業関係予算概算要求の概要」につきまして、事務局からご説明をお願いします。
○大木幹事
　それでは、資料２「平成13年度小笠原諸島振興開発事業費概算要求説明資料」によりまして説明させていただきます。
　１ページをお開きいただきたいと思います。この１ページ、２ページが全体の要求の方針となっております。
　要求要旨でございますが、小笠原諸島は昭和43年６月に本土復帰して以来、小笠原諸島復興特別措置法、小笠原諸島振興特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法に基づきまして、振興事業及び振興開発事業を実施してまいりました。基幹的な施設につきましては、相応の整備が進みまして成果を上げてまいりました。しかし、小笠原諸島は戦後20数年の空白期間に加えて、本土から1,000km 離れた外海離島であるという条件もございまして、人口の定着、産業の振興、交通手段の改善と、引き続き解決すべき課題がございます。
　このため平成11年（昨年）に、新小笠原諸島振興開発計画を策定いたしまして、これに基づきまして東京都、小笠原村等が実施する振興開発事業に対して補助金を交付いたしまして、同諸島の振興開発を推進するということとしております。
　平成13年度におきましても引き続き、各種の事業を推進するということでございます。
　事業内容でございます。
　１が、「小笠原諸島振興開発事業費補助」でございまして、これはインフラ整備といいますか、社会基盤整備的なものでございます。交通、産業振興、観光開発、生活基盤施設の整備等でございます。
　まず、「（１）交通施設整備費補助」のうちの「�@港湾整備」に関しましては、父島の二見港の岸壁の整備、それから母島沖港の船客待合所等の整備を実施いたします。
　「�A道路整備」に関しましては、都道、村道の改良でございまして、父島の循環線とか母島の沖港・北港線等の事業を行います。
「（２）産業振興・観光開発費補助」では､ 「�@農業生産基盤整備」に関しては農地の造成やかんがい施設、農道の整備等、それから「�A農業振興」といたしまして、営農者に対する農業経営等の支援ということで、畜産指導所とか農協施設等の整備を行います。それから、「�B漁業基盤整備」といたしまして、二見漁港（父島）及び母島漁港の整備等を行います。
　２ページに参りまして、「�C水産業振興」といたしまして、父島の共同利用施設を整備いたします。それから、「�D観光開発」といたしましては、園地、遊歩道の整備、景勝地買収等を実施いたします。
　「（３）生活基盤施設整備費補助」でありますが、「�@生活環境等施設整備」といたしましては、住宅や簡易水道、ごみ処理施設、地域し尿処理施設の整備等を行います。
　また、「急患搬送用夜間離着陸施設」とありますのは、ヘリの夜間着陸施設を12年度父島で整備することとしておりますが、それに続きまして、13年度は母島におきましても整備したいというふうに考えております。現在、救急患者につきましては自衛隊に依頼いたしまして、ヘリで硫黄島に送っているところでありますが、これが夜間でも支障なくできるようにということでございます。それから、母島診療所におきましてＣＴスキャン施設の整備等を行います。
　あと、「�A市街地等整備開発」ということで、父島の大神山公園の整備等を行います。
　「（４）防災・国土保全費補助」としましては、砂防や地すべり対策等を実施いたします。
　２が、「小笠原諸島振興開発費補助金」でございまして、こちらは公共事業的でないものの方でございます。引き続きまして、病害虫等防除対策費、それから診療所運営費、各種調査費等の補助を行います。
　それから、「３　小笠原諸島調査」とございますが、これは国土交通省の国の直轄の調査でございまして、小笠原諸島の自立振興を図るため、今後の島の将来像を探り、発展に必要な具体的方途を調査するということとしております。
　それから、「また、」とございまして、「高度情報通信技術の小笠原振興開発への活用策についての調査を実施する」ということとしております。これに関しましては、ＩＴを活用して、電子商取引によって消費者と直結しながら小笠原の農産物の販売拡大等の方策を検討したいと考えております。
　３ページが、「平成13年度小笠原諸島振興開発事業費概算要求」の総括表でございます。
平成13年度要求につきましては、全体で国費で22億2,352 万1,000 円となっております。事業費ベースで見ますと36億数千万円となっております。
　右端の対前年度比のところを見ますと、国費で88.8％ということで若干のマイナスとなっているわけでありますが、その背景といたしましては、一つには、個別の事業の進捗といいますか、大きな事業が12年度で終了したという事情がございます。もう一つには、東京都の財政事情ということも影響しております。こうした中で、地元の要望を十分に踏まえました最大限の要求をしているところでございます。
　４ページ以降は、それぞれの事業の具体的な事業費であるとか国費であるとか、事業内容が記載されておりますので、後ほどご覧いただきたいと思います。
　最後の12ページに、全体の地図で要求箇所の箇所図がございますので、これもご覧いただきたいと思います。
　以上でございます。
○森会長
　ありがとうございました。
　ただいま事務局からご説明がありましたが、これにつきましてご質問、ご意見がございましたら、ご発言をお願いいたします。
○小豆畑委員
　この審議会でかねてから発言させていただいている事項が幾つかありますが、そのうちで、小笠原村民の定着をする上でどうしても必要な宅地分譲がこの予算の中にはどうも見えないような気がいたします。前回、前々回、当局からお答えをいただいておりますが、「個人資産の形成にかかわるので」というようなお答えを頂戴したと記憶しておりますけれども、小笠原村は長期賃借権でどうかということを考えておられるようですし、あるいはまた住都公団なり住宅供給公社なりの活用も考えられるはずでありますので、持ち家施策について現時点でどういうことをお考えになっていらっしゃるか、是非お聞かせいただきたいと思います。
○大木幹事
　国土庁でございます。小笠原村におきまして住宅の取得が困難であるということは十分承知しております。持ち家取得が困難になっている背景といたしましては、建築コストの問題であるとか、地価の問題であるとか、あるいは土地の流動化が進まない、こういった問題があるというふうに考えられるところでございます。今年度、その原因あるいはその対策のあり方ということの基礎的な調査でございますけれども、東京都や小笠原村を含めて実情の調査検討をしているところであります。この調査検討を踏まえて今後のやり方を考えていきたいと考えておりますが、ただ、予算で直接的に考えるということはなかなか難しい問題があるのではないかと感じているところでございます。
○和田東京都地域振興担当部長
　今、委員からのお話がございましたが、確かに東京都の場合ですと大体持ち家率というのは４割ぐらいですけれども、小笠原村の場合には住民の方の１割ちょっとしか持ち家がない、実際には公営等の借家に住んでいる方が圧倒的であると。これはある意味では日本の他の地域と比べて極めて特異な構造を持っているということで、委員のご指摘になられたような宅地分譲なり何なり、持ち家施策の推進が必要であろうということについては、私どもも同様の認識を持っております。
　したがいまして、これまで住宅資金の拡充といったような施策、また一面ではどうしても外海離島、1,000km という話もございましたが、遠くにあるものですから、どうしても資材が高くなってしまうといったようなハンディキャップを持っているわけでありますので、そういった中で、小笠原の住宅事情をどうやって改善していくか。例えば今後扇浦の方に第二集落の計画を村が持っているわけでございますが、その中で宅地分譲ないし定期借地権つきの住宅の提供といったようなことも検討されるやに伺っております。したがいまして都としましては、そういった村の動向を踏まえながら国の方へもお願いをできるものはお願いをしていきたいと考えております。
○森会長
　いかがでしょうか。
○小豆畑委員
　まあ、わかりました。
○森会長
　この問題は、小豆畑委員から数回にわたり問題が提起されておりまして、今、国土庁の方から基礎調査をやっておると、こういう話がございました。都の方でも諸般の事情を考えて格段の努力をすると、こういう話がございました。いずれその基礎調査がまとまりかけました段階で、またその結果をこの審議会に報告をしていただきたいのと、それから、せっかくのご意見でありますので定住が進むような何らかの方策が新しく考えられないかということもあわせてご検討いただいて、次の審議会でご報告をいただければ幸いかと思います。それでよろしゅうございますか。
　どうぞ。
○川崎委員
　個々の事業につきましてはいろいろとご苦労されてまとめられたのでこれで結構だと思うのですが、前回にも申し上げましたが、やはり一つの物の考え方で全体の事業をくくるといいますか、環境と人間の共生というような一つのコンセプトで全体の計画をまとめ上げていくというようなことをもう少し色濃く出してきてもいいのではないかという気がするわけです。特に来年になりますと国土交通省という大きな省庁の中でのやはり小笠原という位置付けにもなると思いますので、そうなりますと環境と人間の共生という一つの大きな国土交通省としてのテーマがあると思いますので、小笠原は一つのモデル事業、パイロット事業として位置付けるというのもいいのではないかと思うのです。
　そういう意味では、小笠原ぐらいの規模−というと小笠原の方には失礼な言い方になるかもしれませんが、手頃の大きさではないだろうかと。あまり大きな事業ですとお金の問題、いろいろかかると思うのですが、小笠原でひとつ日本としての環境と人間の共生を図るいろいろなテストを行ってみると。そのために多少のお金は惜しまないでつぎ込んでいく、あるいは冒険といいますか、新しい事業の試みもテストとしてやってみるようなことを、小笠原という舞台の上で展開するという物の見方、考え方でこの予算をつくっていくこともいいのではないか。そういう時期に日本も来ているのではないかという気がするのです。
　ですから、個々の事業、エレメントそのものはこれで結構だと思うのですが、そのエレメントの色づけといいますか、一つの方程式というか構造を一つ考えていただいて、それはまさにソフトの領域になるので、すぐにお金がどうこうという話ではないのですが、色づけを少し考えていただきながらこの予算要求、そして予算要求そのものがこのまま通るわけでもないでしょうから、復活折衝をまとめていく段階でそういうものをできるだけ重点的に残すというような形で予算を組んでいただければいいなと。
　そういう観点から先程の説明を聞いておりまして、調査費で高度情報通信技術の小笠原振興開発への活用策というのですか、の調査が盛られていますが、これはどういう内容なのか、ご説明願えれば非常にありがたいと思います。
○大木幹事
　これは「日本新生特別枠」というのが、来年度予算で通常の他に要求していいということになっておりまして、それを活用して要求しているところでありまして、小笠原の農産物ですけれども、量的に小さいものですから通常の販売ルートだとなかなか難しいということもございまして、ＩＴを活用して電子商取引で消費者に直接小笠原の良さとか小笠原で作ったものの魅力を呼びかけまして、消費者と直結して小笠原のものを理解していただいて、販路を拡大してはどうかというような視点で、そういった農産物の販路としてのテーマですが、そういったことを考えております。
　その他にも、特に小笠原のような本土から距離の離れたところというのは、情報通信による効果が非常に革命的に大きいところだと思いますので、それ以外にも距離の障害を克服するような新しい可能性というのがＩＴを通じて広がっていくのではないか、そんなことを調査したいと思います。後ほど村の方で村の情報化の構想のご紹介があると思いますが、そういったことも踏まえましてやっていきたいと思っております。
○野見山幹事
　補足いたします。ただいま川崎委員のご指摘の、まず小笠原の全体について省庁再編も踏まえてより広い観点から行うべきだという点につきましては、全くそのとおりでございまして、現在の小笠原振興開発事業につきましては、私どもの特別地域振興課が窓口でございますけれども、来年１月６日から省庁再編によりまして国土交通省を発足いたしますが、都市・地域整備局の中に、同じく特別地域振興課の課の業務を増やしまして、そのまま移行いたします。したがいまして従前どおり都と村の窓口は同じ体制で進めたいと思っております。
　その中で、国土交通省になりますと、例えば山口委員もご案内のとおり、沖ノ鳥島で海岸事業で経済水域の保全事業という国家的事業を行っておりますが、前回、２回保全工事をやったのですけれども、２回目の前回は海岸法を改正して直轄事業で行うということでやったわけですが、今後も、いわば同じ国土交通省の中でやりますので、そういう意味で対応もより色々できるのではないかということが１点ございます。
　さらに環境の面がございますが、これはご存じのとおり小笠原村全域が国立公園区域でございますので、環境庁とは今までもよく連絡をとっておりますけれども、環境省になりましても、環境調整権限のある環境省ができますので、国土交通省と環境省、よく連絡をとりたいと思っております。
　さらに今後の課題であります情報化の案件につきまして、後ほどまた、村の方から「ｅ島おがさわら構想」のご説明を申し上げますが、これも岩崎委員からいろいろご指摘も踏まえまして、構想もございますので、環境対応と情報化について引き続き国土交通省でより幅広い観点ができるように努力したいと思っております。
○川崎委員
　非常にこの調査費はおもしろい調査費だと思いますので、是非これは実現をしていただきたいと思います。
○山口委員
　予算要求のお話をいただきまして、新小笠原振興計画に基づいて予算を着々といただいて整備していくと、こういうお話でございましたが、来年度、要するに平成13年度にどういうことに重点を置いて整備していくのか、その背景となっている考え方がどういうことになっているのか、いま少し情報通信とかお話がありましたが、これに重点を置くのだと、そういうお考え方、私は何も予算の額だけではないと思うのですが、そういうお話を少しお聞かせいただければありがたいと思います。
○大木幹事
　特に一つの目玉というものがあるわけではございませんで、地元の要望に基づきまして各種の基盤施設整備であるとか、産業振興策のために必要な予算を要求しているということでございまして、特色といたしましては、先程の説明の際にも若干申しましたけれども、救急医療機能の向上のための急患搬送用のヘリコプターの夜間離着陸施設、それから診療所へのコンピューター断層撮影装置（ＣＴスキャン）、こういった救急医療関係が特色といえるのではないかと思います。非常に本土から距離の遠いところで医療に関しましては住民の関心が強い、希望も強いというふうに聞いておりますので、それに応えた施策と申し上げてよろしいのではないかと考えております。
○山口委員
　公共事業というのは継続的にやらなければいけないということは割合にわかっているわけですけれども、やはりその中でも重点を置いて、例えば来年はこうする、それから２〜３年のうちにこういうものを整備すると。そして次々とやはり目標を身近に置いてやっていかないと、継続的にずっと何もかも一様にやっていくという考えでは、もう時代遅れなのではないか。地域といいますか、小笠原の中の地域の問題とか、あるいは毎年毎年考え方が変わっていくわけですが、そういったものをとらえて、この小笠原振興計画の中で整備していかなければいけないのではないかという気がするわけで、今後もそういうことを意識して年度計画なり予算なりを立てていただきたいと思います。
○野見山幹事
　山口委員のご指摘の点でございますが、今、課長が申しましたように、公共事業と医療ということで、公共事業経費、その他経費についてもやっておりますし、今回、例えば道路整備につきましても循環線の整備を引き続き進めるとか、そういう形でもやっておりますけれども、引き続き村との要望をよくお聞きしながら小笠原のこういうシステムがありますので、そのシステムの中で、いろいろと財政状況もございますので、これは確かにおっしゃるとおり公共事業についていろいろな意味で重点化、政策評価も必要になりますので、その点も配慮しながらやっていきたいと思っております。
○田村委員
　私、この審議会へ入れていただいてもう５年目に入るのですけれども、事務当局と我々−私だけかもしれませんが−小笠原の振興計画と申しますか、これは毎年度予算であらゆる部門でそれぞれやってきているわけですが、その部門の中でそこはどこまでいくのだ、どの程度までやるのだと、これが小笠原の村、このためにどういうウエートがあるのだと、そういうことが理解ができていないのではないか。私が勉強不足なのかもしれませんが。川崎委員から話がございましたように、今日のようなご意見は二、三回前の審議会から意見が出ていまして、これについてはやはり国とか公共ベースとか予算的なあれではなくて、民需でもどういう形で小笠原が進んでいったらいいのかというような形のものが全体計画の中であれば、その目標がわかってくるのかなという感じがします。ですから、民間ベースでこういうことをやって、これがこの項目の中のどこに該当していって、これがこういう形で伸びていって小笠原の振興に将来役立っていくのだとか、現時点でこうだとかというものが理解ができていないのかなという感じがするわけです。
　そういうことで、今回今日初めて参考資料として「ｅ島おがさわら構想」というのを出していただいて、これは非常にわかりやすくて、これにまた何かプラスの民需の面があれば、将来小笠原がこうなるのだ、これはいつまで目標だ、例えば空港ができるまでには道路網はどういうふうに引いていく、という形のことが理解できるのではないか。これは私だけが理解していないのかもしれませんけれども、ちょっとそんな感じがいたしますので、余計なことかもしれませんが。
○森会長
　今、田村委員からご発言がございまして、基本的には山口委員のお考え方も川崎委員のお考えかもほぼ一緒かなと、こういう感じがいたします。要するに総花的と言うとあれですけれども、満遍なくやるよりもポイントを絞りカラーをつけて将来見通しを明らかにした方がいいではないかと、こういうご意見だろうと思いますので、今すぐというわけにはなかなか参らないと思いますけれども、事務局の方で十分都や村と相談をしていただいて、ここまで来て、あとここまでいけばこうなるのだという、そういうカラフルなものを作っていただければありがたいなと思います。どうぞよろしくお取り計らいをいただきたいと思います。
○台委員
　その点につきましていろいろな課題がかなり立ち上がっている。構想としていろいろなキーワードというような形で出てきている。それが集約されていないのか、できないのか、よくわかりませんが、要はその論点を整理するに当たって、この予算の中におきます小笠原諸島調査あるいは各種調査というもの、これが非常に基礎調査として大変重要な位置を占めてくるものと思われるのですが、この吟味といいますか、どの程度行われているのか。つまり毎年1,500万、1,300 万の、民間の我々にしてみれば非常に巨費を投じて行われている調査の成果品が、報告書というような形で出ているかと思います。しかしながら、その報告書の内容自体、あるいはその活用方法、それからその活用する際に国土庁とそれからコンサルのお名前の連名で出ておりますが、こういった成果品が島民の方を巻き込んだ形でどのように整理されているのかという点も少し気になりますので、その辺を教えていただきたいと思います。
○野見山幹事
　台委員からもご指摘は、まず調査の成果をどういう形で生かしていくかということと、島民の方々に対する周知という２点かと思います。
　前段につきまして、先程言いました「ｅ島おがさわら構想」というのは村の一つの取り組みかと思いますが、先程「民」というお話もございましたけれども、外海離島、1,000km 離れたところにおける民として、やはり観光が大きな重点を占めるわけですけれども、今、観光につきましていろいろな形で空港問題がまだ決まっていないとか、そういう厳しい状況の中で、村の長期構想についてもいろいろ見通し等で苦労しておられる、それに対して我々の調査がお役に立てるようなものにしなければならないという形で考えております。
　島民の方々に対しての周知ということでありますが、現在、調査成果について東京都と小笠原村と一緒にいろいろとお話をして、議会等でも議論いただいていると思いますけれども、あるいは個別調査がどうも我々の手元だけでいかない面があるとすれば、そこのところはまたいろいろ工夫しましてインターネットなりを活用しまして、国土庁ホームページにもそういうコーナーがありますので、それをご覧いただけるような周知を図っていきたいと思います。
　何か都の方から補足はありますか。
○和田東京都地域振興担当部長
　先程来のお話にも関係するのですけれども、総花的にという話の中で、今後の方向性というか、進んでいく方向はどうあるのかというようなご指摘もあったかと存じます。今、私ども、確かに小笠原の基盤整備という意味での必要性から、いろいろな事業について国の方にお願いをして予算措置をしていただいているという状況でございますけれども、大ざっぱに申し上げますと、ある意味では公共施設の整備というのは８割方ないし９割方というか、９合目近くまで来ているのかなという感じはいたしております。例えば道路整備につきましても、都道・村道ともに計画の８割から９割まで達成率が来ております。したがいましてあともう少しと。港湾整備につきましても、１島２港という考え方がございますけれども、ある程度のところまで来ているという状況でございます。
　したがいまして、今後何が課題かというのは、一つは来年度予算にもお願いしておるのですけれども、例えば住宅の改修の問題がございます。つまりこの間、復興から始まりまして30年が経過する中で、当初のインフラ整備をしたものが大分傷んできておりまして、改修の時期に来ている。もう一つは、かなりの面でそのインフラ整備をしていただきましたけれども、メンテナンスをどうしていくのか、このメンテナンスの事業というのを今後是非振興開発事業にお取り入れていただければありがたいと思います。村の方としましても、つくったけれども、あと維持管理をしていかなければ傷んでしまいますので、その維持管理が村財政をかなり圧迫するような事態にいずれ立ち至ってくるのではないか、こういった面もございますので、その辺のご配慮もできればありがたいと思います。
　それから、調査の関係で申し上げますと、来年度、私どもは調査を国から補助率２分の１でいただいているのですけれども、それにつきましては13年度の調査の中では、これまでやってきた、昭和44年以来の復興事業、振興事業、振興開発事業の成果と、それから、今後どういった方向に転換していくべきかといった面についても、来年度の調査の中で考えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○大木幹事
　国土庁でございますけれども、先程の台委員からのご質問ですけれども、小笠原諸島調査につきましては、例えば今年度は先程若干申しましたが、土地問題に関しまして土地及び住宅の取引実態、あるいはその価格形成の実態把握調査をいたしておりまして、持ち家率の低いという住宅問題の解決のための基礎資料としようと考えております。
　それから、昨年度（11年度）は循環型社会ということで調査いたしました。それから、13年度の予定といたしましては、これまでの30年余りの振興開発事業の効果の分析ということをやろうと考えております。
　これらの調査成果につきましては、都や村の方に提供いたしまして、今後の施策の基礎資料としていただくように考えております。
　あと具体の施策に関しましては、そういったこちらから行う調査も含めまして地元の方でいろいろ考えていただいて、それを踏まえて国の方の予算要求なり事業に対する補助ということで具体化していくという形になると思います。漠とした説明で申しわけございませんが。
○台委員
　今までの報告書をある分だけ見せていただいた感想といたしましては、果たしてどれだけの巨費を投じてどれだけの成果が得られているのかということが気になりまして、質問させていただきました。是非島民の生活や生産に生かされる形で、ただ調査のコンサルに委託をされるという形はよくあるかと思いますが、是非その成果を島民の方を交えて議論するなり、それは非常に手間のかかることかもしれませんけれども、それでこそ論点は整理されてくることだと思いますし、是非ともそういった成果品を、我々、特に私なんかは勉強不足でございますので、この審議会の中でも配付していただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
○森会長
　今の調査の話につきましては、いつでしたか一覧表のようなものを審議会にお話しいただいた覚えがありますが、またせっかくのご意見でございますので、ここ近年の分をまとめて次の審議会にでも事務局から報告させていただくということでよろしゅうございますか。では、そういうことにさせていただきます。
○岩崎委員
　ちょっと会長がおまとめになったところでまた調査について質問するのは申しわけないのですけれども、ここにある来年度の調査はどういうことを予定していらっしゃるのですか。国の方で、「小笠原諸島に関する総合的調査」というところですけれども。
○大木幹事
　ＩＴに関しましては先程説明したと思います。あともう一つその前にございますのが、「小笠原諸島に関する総合的調査」ということでありまして、これまで30年以上に及ぶ振興開発事業の成果を踏まえまして、小笠原諸島の現状とその課題というのを具体的に整理いたしまして、今後の振興開発のあるべき姿を明らかにするというものでございます。
　具体的には、第１には復帰後の小笠原の経済社会の変化であるとか、各種の施設整備であるとか、それから生活指標のレベルというのが全国と比較してどのような状況にあるのか、全国レベルに達しているのか、まだまだ問題があるのか、そういった比較調査を行いたいと考えております。もう一つには、土地利用の実態を考えていきたいと考えております。振興開発事業もかなり長い期間やっておりますので、それを現段階での総括ということをしたいというふうに考えております。
○岩崎委員
　各種調査というのは、事業主体が都の場合と村の場合と国の場合と３種類ございますね。今、私が質問させていただいたのは国の方ですけれども、30年の総括をすると。小笠原諸島振興開発事業の総括と。それは上に書いてある事業の成果の作成というところと似たようなものですね。私は、やはり調査は、例えば村がやる調査というのは日常の生活基盤というか、一番近い地方自治体としてそういうところの振興開発計画の事業のいろいろなことがどうなっているかとか、これから何が必要ですとか、日常生活のそういうことに関する日常空間の調査。都ですと、もう少し大きくというふうに、やはり事業主体に応じて調査の内容を、それぞれのガバメントが担当する調査というのがあるわけですから、それは変えなければ、みんなが事業の総括で30年の同じことをやっても意味がないわけですね。
　それで国の方に是非お願いしたいのは、私は、ＩＴのことが入ってどうもありがとうございましたと、それはお礼申し上げます。是非とってほしいと思いますが、総合調査の方ですけれども、国土交通省になられるわけですから、できればちょっと、この審議会ではマンデート（注：権限）の外かもしれないと思ったので余りこれまで申し上げませんでしたが、小笠原の置かれているジオポリティカル（注：地政学上の）な位置ですね、国境上の島であり、かつそれが持つ領海の広大さですとか、そういうのを考えていっていただきたい。つまり国家、安全保障とは言いませんけれども、そこまで申し上げませんが、そういうふうなところの視野から是非考えていただきたいと思います。それで、多分防衛とか安全保障の、今、硫黄島がもっと南にあるのでそこだとすれば、領海というのから考えると、硫黄島には港がありませんね。したがって、海保が持っている領海のコーストガードの沿岸警備といいますか領海警備の意味というのは大きくなるわけですから、国土交通省で一緒になるわけですので、是非今まで縦割りでできなかったような、国としての調査、国土というか領土というか領海というか、そういうのを是非、この総合調査でおやりになっていただきたいと私は切にお願いいたします。
○野見山幹事
　まず調査に当たりましては、東京都、村にも参加いただいて、単にコンサル任せでないようにやったつもりでございますし、これからも気をつけたいと思っておりますし、また実施主体は岩崎委員がおっしゃるように村がやるもの、都がやるもの、国がやるものとあります。実は小笠原につきましては従前から国の直轄調査がありまして、実は同じ仕組みの奄美にはありませんので、私どもそれは非常にある意味で全体的な構想の場合に、鹿児島県は一生懸命やってくれているのですが、不便を感じましたので、今年、かなり厳しいのですが、新規で初めて小笠原方式の国直轄調査を要求しているところでございます。おのおの役割を分担し、特にＩＴのような分野については国がやるということで、そうでなければできないものを、引き続き対象としながらやりたいと思っております。
　それと、第２点の、今硫黄島の問題の国防は別におきましても、先程ちょっと申し上げましたように、沖ノ鳥島の海岸保全事業を建設省が一生懸命やってくれているわけですけれども、これによって日本の経済水域は守られていると。それが同じ国土交通省になりますので、別に今までもばらばらではありませんで、当然建設省の河川局の方から実際に事業実施する部署の配置のあれも含めていろいろなお話もございましたが、今後はより充実しながらやっていきたいと思っております。
○森会長
　よろしいですか。他にご意見もおありかと思いますけれども、きょうは他にも議題が幾つかございますので、特に小笠原の方からは「ｅ島おがさわら構想」が出ておりますので、その説明も伺いたいと思います。
　そこで、一応残余のご意見につきましては、（発言を求める者あり）−どうぞ。
○赤保谷委員
　中身についてのご質問とか意見ではありません。概算要求しているわけですから、もうすぐ内示があるし、できるだけ頑張って予算の確保をしてくれと、こういうことです。
　先程からＩＴの問題が関心を引いているようですが、中身をお聞きしましたら農産物、あるいは水産も入るのかもしれませんけれども、それのいわば産直のようなことを考えておられる。これは今民間ベースで北海道とか日本海側でも魚とか農産物、いろいろやっておりますので、金をとるのではなくて、知恵の出し方を−道路をつくったり漁港をつくったりハードの問題は中身は決まっていますけれども、この手の話は知恵の問題ですから、うまく予算をつくって、効果のあるような執行をお願いしたいと思います。
　それと、きょう概算要求の内容説明、もう近々年末に来年度の予算は決まってしまう。５月のときに私は出られなかったのですが、12年度（今年度）の振興開発計画、これは13年度の振興開発計画というのがあって、それに基づいて概算要求をしているならあれなのですけれども、だからこの時期に概算要求の内容をご説明をいただいても、意見を出したって変えようがない。どうもタイミングが何か変だなという気がするのですが、私の誤解かもしれませんが。
　一つは、だからＩＴのことは頭をよく使って民間の知恵に負けないようにというか、民間と一緒にやるわけですけれども、各地でやっていますから、効率的な予算の執行をお願いしたい。これはご要望。
　あと、この審議会を開くタイミングの問題。私も約２年、委員を務めさせていただいているのですが、今頃言うのも変ですけれども、どうもちょっとお聞きしていて変だなという感じがしたもので、ばかな質問かもしれませんけれども、そこのところをちょっとご説明いただけたらと思います。要するに概算要求する前に、いつだか知らんけれども、こういう委員会を開いて、それで関係団体、関係機関のご意見を集めて、こんなことで要求したいという段階でやるならわかるけれども、今やっても、もう意見を出してもどうしようもない、こういうタイミングではないかという気がするのです。
○野見山幹事
　タイミングの話は従前も出ておりまして、私どももいろいろと考えているところでございます。概算要求はご存じのとおり８月の段階で相当膨大な作業をして、庁議決定して８月末に出しますので、余り早くやりますと我々の案が全く固まっていないということでもございます。本来もう少し概算要求提出後早くやりたいということは我々も努力しておりますし、従前のパターンですと、まず現地をご視察いただいて現地を見ていただいた上で、我々の要求内容をご説明いたし、５月の段階では実施計画という大事な問題がございますので、これは是非お願いしたいわけでございますが、できればその段階でいろいろなご要望をお聞きしながら、それをやっていくと。
　ちょっと８月の庁議から提出までの間、あるいはその直前の段階で開くというのはなかなか厳しいものがございますので、なお時期につきましてはいろいろ会長始め皆様のご意見を伺いながら考えたいと思います。なるべく効率的に行えるようにしたいと思います。
○森会長
　今のご意見ですけれども、現地のご視察、今年は諸般の事情のため困難だったわけでありますが、来年は年が明けまして余り間がたたないうちにお願いをしたいという、こういう事務局の希望がございます。そういう現地視察なりいずれにしろ予算通過後、実施計画を定めなければいけないわけでありますが、その段階でこの審議会を持つことになろうかと思います。その時点で概算要求の段階のような、いわば精緻なものがまとまっておるかどうかちょっと難しいかと思いますけれども、粗々の方向付けのようなものは事務局の方でお考えになっていらっしゃるはずでありますので、それを説明していただいて委員の方からご意見をいただく、こういう運びにさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。事務局もそれで構いませんか。では、そのようにさせていただきます。

〔　議題（２）その他　〕

○森会長
　それで、他にもまだ審議をお願いしたい案件がございますので、ご意見につきましては後ほどお伺いさせていただくことにしまして、まず平成12年度小笠原諸島振興開発事業予算における実施計画の計上状況につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○大木幹事
　参考資料１、縦長の表をご覧いただきたいと思います。平成12年度の実施計画につきましては春の審議会でご報告させていただきましたとおり、政府予算につきましては要望どおり措置されたものの、東京都において厳しい財政事情等を背景といたしまして一部予算措置がなされていないため、実施計画に満額計上されていない状態にあります。詳細につきまして資料に従い説明させていただきます。
全体で６億8,700 万円余りの未計上額がございます。内訳でございますけれども、「１　交通施設整備費補助」の港湾整備におきまして、１億1,400 万円余りの未計上額が生じております。これは二見港、沖港における港湾整備事業でございます。
「２　産業振興・観光開発費補助」の中の漁業基盤整備における５億5,000 万円余りでございますが、これは母島漁港の整備事業でございます。同じく２の中の水産業振興における1,900 万円余り、これは漁協の共同利用施設整備事業でございます。
それから、「３　生活基盤施設整備費補助」の生活環境等施設整備における200 万円余りは、小笠原住宅の整備事業でございます。それぞれの事業の内容等につきましては２ページ以降にまとめてございますので、ご覧いただきたいと思います。
　平成12年度の小笠原諸島振興開発事業における実施計画の計上状況の説明については以上でございます。なお、現在の予算措置の状況につきまして、東京都の方からご説明をお願いいたしたいと思います。
○和田東京都地域振興担当部長
　平成12年度につきまして、未計上額があるということで大変恐縮に存じております。先程幹事の方からもお話がございましたが、都は、他の府県もそうかと思いますけれども、かなり大変厳しい財政状況の中にございます。そういった関係もございまして、大変申しわけないことでございましたけれども、平成12年度振興開発事業予算のうち、先程来ご説明いただきました母島漁港や沖港の整備費について、国費ベースで約６億8,000 万円余りについての都分の負担が確保されていないという状況にございます。この点につきましては、春の審議会のときにも申し上げましたけれども、今年度の補正予算や、もしくは執行面での対応ができるものはできるだけ努力をしていくということで、その事業実施のための所要額の確保に向けて努力してまいりますというふうに申し上げたところでございます。
　その後の状況でございますが、今回、東京におきましては伊豆諸島の噴火地震災害がございまして、その関係で12月の都議会定例会におきまして補正予算の計上がなされます。しかしながら、この補正予算につきましては、今申し上げた伊豆諸島の災害関連のみということになっておりますので、そこでの計上は難しいかというふうに考えております。したがいまして、都におきます最終補正でのこの額の確保に向けて、今後とも最大限努力をしていきたいと考えております。
　以上でございます。
○大木幹事
　国土庁といたしましては、東京都において予算措置がなされた際には、ご説明いたしました事業の範囲内におきまして実施計画に計上してまいりたいと考えております。
○森会長
　ありがとうございました。
　ただいまの報告につきましてご質問等がございましたらお願いをいたします。
　これは春の審議会でも議論になったところでありますが、都の方におかれましては小笠原諸島振興事業分につきまして、今の話では最終補正ということでありますけれども、なお最大限の努力をしていただきたいと思います。
　そこでこの実施計画の取り扱いにつきまして委員の皆様にお諮りをさせていただきたいと思いますが、東京都で最終補正等で予算化されました場合には、この実施計画の変更の手続が必要になってまいります。そのためにまた審議会を開くということも大変ご迷惑な話だと思いますので、政府において既に予算措置されております範囲内でこの実施計画を変更いたします場合には、その取り扱いにつきましては私にご一任願えれば大変ありがたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
（「異議なし」の声あり）
○森会長
　ありがとうございました。では、そのようにさせていただきます。
　それでは次に、本日は小笠原村から情報通信施策の取り組みの状況につきましての説明がございますので、お願いをいたしたいと思います。
○宮澤委員
　それでは、小笠原におけるＩＴ化の現状についてご説明をさせていただきます。
　本年５月に開催された第67回振興開発審議会において川崎委員から、「公共事業の観点を盛り込んだＩＴインフラ整備」、寺澤委員からは「ＩＴ化による離島のハンディキャップの克服」、岩崎委員からは「ＩＴ化により新しいビジネス環境を提供する可能性」などについてご意見がございました。その後、私が郵政省に出向きまして、ＩＴ化を推進したいという旨の考え方をお伝えし、ご相談をさせていただきました。また、国土庁の皆様にも同様の旨をお伝えし、ご理解を頂戴しております。
　一方、庁内に職員による「ＩＴ化推進に関するワーキンググループ」を設置し、ＩＴ化に関する構想の検討に着手いたしました。８月になりましてから、今国会に提出されることとなった平成12年度補正予算が編成される場合、ＩＴ化に関する事業予定があるかどうか、郵政省よりご照会がございました。そこで再び郵政省にお伺いし、小笠原村のＩＴ化構想である「ｅ島おがさわら構想」をご説明させていただいた上で、地域イントラネット基盤整備事業と地域インターネット導入促進事業について、事業希望がある旨をご説明させていただきました。この時点で小笠原村として正式に郵政の事業にエントリーをしたわけでございます。その後、1,000 校以上の学校を光ケーブルで結ぶことなどが事業目的に盛り込まれたことにより、「ｅ島おがさわら構想」の見直しを行い、学校を構想に盛り込むとともに、郵政省に事業説明書の提出を終えたところでございます。
　委員の先生のお手元には「ｅ島おがさわら構想」をお配りしておりますが、本構想を実現する中で、離島の情報化による地域振興のモデル事業となることを目指しております。
　２ページ目をお開きください。１といたしまして「ｅ島おがさわらの将来像」でございます。将来像として４項目を掲げております。最初に、「住民の誰もがいつでも必要な最新情報を得られる、安心して暮らせる島」を目指しております。次に、「ＩＴ生活環境により、1,000km の距離感が短縮し、島内には活発なコミュニティが成立した島」を目指します。３としまして、「ＩＴ産業環境を整備することにより、既存産業が活性化し、環境負荷の少ない新産業も成立するなど、産業が活性化した島」を目指しております。４としまして、「住民の誰もが情報の発信者となり、生き生きと暮らせる島」を目指します。以上４点を将来像として掲げております。
　３ページ目をお開きください。２といたしまして「小笠原がめざすＩＴ項目」がございます。大きく二つの柱がございます。一つは、「行政の情報化」です。もう一つが「地域の情報化」です。情報通信インフラ整備を行うとともに、学校教育と生涯教育をベースにした、ＩＴ環境に即した人材育成を図りながら、地域の情報化が推進するというような構想であります。
　次のページからは、「総合情報センター（仮称）」「防災情報」「行政拠点の住民端末」「来島者への島の情報提供」などを、それぞれ絵柄でお示しをしてございます。
　最後のページをご覧ください。「ｅ島小笠原」の全体イメージ図を添付してございます。先程、地域イントラネット基盤整備事業と地域インターネット導入促進事業について事業説明書を提出したと申し上げましたが、予定事業費としましては、地域イントラネット基盤整備事業、約11億4,200 万円でございます。地域インターネット導入促進事業は約1,500 万円でございます。金額面から申し上げましても、地域イントラネット基盤整備事業が主となるわけでございますが、中でも島内の各拠点を結ぶ光ケーブル網の敷設、総合情報センターの設置、各行政拠点などに設置する住民端末、行政端末などが事業費内訳の大半を占めるものとなっております。
　本イメージ図では、総合情報センターと防災センターとしての村役場を中心に島内に光ケーブルのネットワーク網を構築し、各行政拠点を結ぶことを示しております。総合情報センターでは、住民へのＩＴ教育やマルチメディア体験を可能といたします。防災センターとしての村役場からは、最新の天気図や船舶入出航のライブ映像、村民や来島者へのお知らせなどをネット上に流します。住民端末ではそれらの情報を見ることが可能となります。また、学校端末は学校間交流などでの活用を予定しております。
　将来的には各家庭へも光ケーブルを引き込み、各家庭や職場からのネットワークの活用を図るとともに、現在のＴＶ地上波放送も光ケーブル網において配信できるようにしたいと計画しております。また、島内のネットワーク網を整備するだけでは当然片手落ちなので、島と本土間の通信に関しても、容量余裕のない、衛星を利用したＮＴＴ回線だけではなく、現在ＴＶの地上波放送のために借用している衛星のトランスポンダーの空き地帯の有効利用についても検討を進めております。実現を図るに当たっては、委員の皆様からもご意見を伺えれば幸いでございます。
　以上、雑駁ではございますが小笠原村のＩＴ化構想「ｅ島おがさわら構想」についての説明を終わらせていただきます。
○森会長
　ありがとうございました。
　今、宮澤委員から小笠原村のＩＴ構想につきましてのお話がございました。今のお話につきましてのご質問でも結構ですし、あるいは将来こういうのをもっとつけ加えたらいいではないかとか、そういうご意見がございましたら、是非ともお聞かせいただきたいと思います。
○大関幹事（石原委員代理）
　これは非常に結構だと思うのですが、ただ私も労働経済局長を経験していることから考えますと、是非これをここの小笠原が目指す将来像の中の（３）にありますように、産業の振興、それから雇用の促進、こういった面でＩＴが工夫できるような仕掛けをしていただけると非常に心強いと思うわけです。
　と申しますのは、確かに小笠原のいろいろな振興、基本的には自助努力といいますか、島でやれることがまず基本だと思うのですが、残念ながら、今、島の住民からの税収は、恐らく全体の１割強ではないだろうかと思っております。そういう意味でも、島の収入構造がシェアがふえていくという仕組みをつくっていきませんと、なかなか、「これで小笠原振興対策終わり！」というところまでたどり着けないのではないかと思うわけです。そういう点で、ＩＴ産業というのは、非常に離れておりましても、例えばソフト産業を起こすとか、そういう点で非常にすぐれた手法だと思いますので、是非そういう意味でＩＴ産業をここで何とか工夫できないかということが一つ。
　それから、そういう中で新たな雇用を、そういうところもここの中でやっていただく。
　それから、いわゆる島から売るのも、漁業とか農産物は確かにこういうことは活用できるかもしれませんが、逆に島の人が買い物をすること、これも大変島の物価は高いですから、これを何とかｅコマースなどを活用して、できるだけ安いものが手に入るような仕掛けをして、生活に潤いを持たせるようなことも必要なのかなとい思いますので、もう一つこの３ページ目にありますような「行政の情報化」「地域の情報化」とあわせて、「産業の振興」「雇用の促進」ということも柱に入れていただけるとありがたいと、こんな思いでございます。
○宮澤委員
　ありがとうございました。
○野見山幹事
　今の大関幹事のお話は、東京都は実施の面での主体でもあられますので、決意表明を含めてと思いますので、（大関幹事より「勿論です」の声あり）今回、国の方で私どもも、先程のＩＴ調査で朝倉委員からも産直についてはいろいろな情報があると。我々は農産物、水産物、本当もっといろいろやりたかったのですけれども、農産物等の販路ということで先程申し上げましたような形に小笠原の現状としてはまずそれに取り組んでいこうと。まさに大関さんがおっしゃるように、今後産業で、今の東京都のご発言で、「振興開発事業が終わり……」という話はちょっとこの場ではいかがかと思うのですが、いずれにせよ島が自立していくため、そのために我々も頑張りたいと思いますので、東京都におきましても是非その面から主体としてもよろしくお願いします。
○台委員
　農産物のｅコマースということになりますと、農協との関連はどうなっていらっしゃるのでしょうか。つまり産直ということになりますと、個別の生産者が消費者と直結していくことになりますね。そうすると、農産物が農協を通らなくなっていくということに関して……。
○大関幹事（石原委員代理）
　農協を絡ませればいいのではないでしょうか。個人でできませんから、そこを農協にコーディネートさせて、村から出るものを全部情報を集めて、インターネットに入れるという仕掛けをすれば、その一定の利益は農協に還元できるような仕組みをすれば、そんなに抵抗はないような気がします。
○台委員
　農協さんとしては、その辺は了解しているのでしょうか。
○大関幹事（石原委員代理）
　そこまではまだいっていないでしょう。
○稲垣委員
　私も議会の方から農業委員として出ているのですが、農業委員会の中でも、今年度、村の予算をいただいてパソコンを導入していただいて、農業者にまず専門家による講習会を開いていただいて、インターネットに通じるような形で農業者が活用できる、まずそういう場を設けてから農協でも取り組んでいきたいと、そういうように農協が伊豆七島、小笠原と合併が進んでいるわけですけれども、その中で東京都ともお話し合いをして現在進めている状態です。
○伊中委員
　イメージ図を楽しく拝見しました。まさにこれが別に発展するといいと思うのですけれども、これをさらに膨らませていくにはいろいろな方の知恵が必要になるわけで、その意味でも私はパブリックコメントというのがものすごく必要だと思って今拝見していました。ちょうど中央省庁改革に伴って来年１月からパブリックコメントが正式に入ります。政策評価とパブリックコメントという形で国民の意見が行政にいかに参画できるかという仕組みが整っていくわけですから、とりわけこのようなＩＴに間するものについては小笠原について関心を持つ人は全国津々浦々にいらっしゃるわけですから、これは単に来島者用ということだけに限定する必要はないわけで、私は村のレベルにおけるパブリックコメント、それから国のレベルにおけるパブリックコメント、そういう形で小笠原に関心を持っていらっしゃる全国津々浦々の人の意見が吸い上げられるような、そこからここでは思いつかないような使い方も出てくるのではないかと思うので、そういう意味で行政の中だけではなくて、もっと外に向かって大いに意見を聞く、そういう機会をつくっていただければありがたいと思います。
○沼田委員
　多分皆さんご存じなのかもしれませんけれども、私、この間、徳島の上勝町というところへ行きまして、とても年配の方たちがコンピューターを、特殊なコンピューターなのですが、年配の方でも使えるコンピューターを使って、柿の葉っぱとか松葉とかそういうものを高級料亭に出しまして、それも農協の方が総括して毎日データをお年寄りの方に送って、きょうは大安吉日なのでそういう色々な葉っぱ、今の時期でしたら松茸の下に敷く杉の葉っぱとか、そういうものがとてもたくさん出ますよという情報がきちっと村の中に広がって、それでお年寄りの方たちが葉っぱを集めて農協に持っていって、そして農協が東京とか大阪に配って、70歳ぐらいの方たちでも年収50万円ぐらいあるというところへ行ってきたのですけれども、この間小笠原に行かせていただいたときに、やはり小笠原の特別な花、時期外れにそういうお花を東京に送ったり、もちろんしていらっしゃいますけれども、それはこのコンピューターが入ることによって、もっとたくさん的確に、的確な場所に送れるというのがあると思いますので、コンピューターを利用するというよりも、小笠原独特の自然とか、要するに葉っぱとか、そういうような「物」ですね。あと食べ物ですね。そういうものをいかにうまく出すかというのも、これからできるのではないかという感じがいたします。多分日本国中にそういうところが結構あると思いますので、やはり無理せずに小笠原もできる産業というのをいろいろ研究なさったらいいと思います。
○森会長
　いろいろ素晴らしいご意見をいただきました。この事柄の性格上、この審議会の場で終わりという性格のものではないと思いますので、今後もこの問題につきましてご意見がございましたら、どうぞ事務局の方にお寄せいただいて、それをまた村の方で咀嚼していただくと、こういうことにさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょう。−それでは、是非ともそのようなことで、今後ご意見がございましたら事務局の方にお話をいただきたいと思います。
　そのほか小笠原関係につきましてどのような問題でも結構でございますので、ご意見がございましたらご発言をお願いいたします。
○小豆畑委員
　特別賃借権について、その後東京都と各省庁の話し合いがどうなっているか、是非お聞かせいただきたいと思います。
　私ども、460 人ばかりの特別賃借権関係者にアンケート調査をいたしまして、まだ中間集計の段階ですので正確なことは申し上げられないのですが、５問ほど問題を投げかけましたが、一番多いのは、賃借料の値上げの方々60％、２番目が、農業継続が無理だということを前提として特別賃借権を買い上げてほしい、この方々が約42％、一番少なかった方が、帰島して、硫黄島に帰って、これは北硫黄島も含めますが、島に帰って農業のできるような状況をつくってほしいという方が15％。こういうことを考えてみますと、特別賃借権のありようがそろそろ結論を考えていただく時期に来ているような気がしております。
　第65回のこの審議会でも、森会長さんから「この問題は小笠原を考える上では避けて通れない問題だ」という極めて的確なお言葉をいただいておりますので、是非困難な問題だということは重々承知はしておりますが、解決に向けて、東京都と各省庁の話し合いを続けてほしいと思います。でき得れば、前回以降どういう進展があったのか、お聞かせいただければ幸いです。
○和田東京都地域振興担当部長
　特別賃借権の問題は、今小豆畑委員の方からお話がございましたが、これはいわば戦後の長きにわたった中での極めて小笠原、特に硫黄島ですが、特有の問題かと。前回、戦後処理というお話も出たかと思いますけれども、これが終わらなければ本当の意味の戦後処理が終わらないのではないかというような趣旨のご発言もいただいたかと存じます。そういった意味で、これをどうするかというのは大変大きな問題で、前回のお話を伺い、かつまた前回、東京都で父島、母島の特別賃借権の状況について調査した結果についてご報告をさせていただいたわけでございますが、その後、私どもとしましては小笠原協会さんの方にもお願いをいたしまして、実際に賃借権者ないしその土地の所有者の方々がどういったお考えをお持ちなのか、それによって都としてもその方々のご意向を踏まえて国の方へも協議をしていきたいというようなことで、その間、小笠原協会さんの方とご相談をさせていただいております。
　今、小豆畑委員の方から、各権利者の方々のご意向というものを承ったわけでありますが、これまで何をしたかというと非常に苦しいところでございまして、特段の進展はないのですけれども、今ご意見を伺いましたので、それを踏まえて関係省庁とも今後折衝をしてまいりたいというふうに考えております。
○赤保谷委員
　特別賃借権の問題について、以前ここで発言をさせてもらったことがあるのですが、前回は私は出られなかったのですが、調査結果のご説明があって若干質疑があったようでございます。会長さんから、「この審議会に関係ないことではないけれども、制度を所管している農林省と、運用している東京都でいろいろ議論をしてもらって、その結果をここである程度まとまったら発表してもらう」ということで幕を閉めたと議事録で見ているのです。そのときに、農林省の方が、「いろいろ問題があります」と、何と言ったのか、「相続で権利者というか関係者が非常に複雑になってしまう。そういう問題があるけれども、放っておいても特段支障があるわけではない」というような、そういう発言をされたのではないかと思うのですが、これはほっておけばますます関係権利者がふえてしまって、収まりがつかなくなってしまう。どうせそうなるに決まっている。
　あの特別賃借権をつくったのは、復帰というか、日本に返ってきて、島民が帰る。帰るときに何か食べて生きなければならぬ。とりあえずは農業、漁業。あの頃は観光なんていうことは頭にもなかった。それでは農業ができるように、ということであの権利を特別に犠牲をして認めてしまったわけです。
　ですから、そういう意味ではあの法律をつくった趣旨、復帰直後に入れるようにということでつくったはずなのですね。それから30数年たっているので、もうある意味では使命を果たした。特別賃借権者で耕作をしている人は10名いないのでしょう。ですから、これは放っておいても権利が複雑化するだけで、独断しようがないというのもちょっと変な話で、いろいろ問題があるかと思うのですけれども、いずれ解決しなければいけない問題で、もうそろそろ、そういう時期に、もうとっくにというのか、来ているような気もするのです。だから、農水省と都の方と、あるいは小笠原協会の意向もよく伺って、それで何らかの結論を出すべき時期に来ているのではないかという気がいたしますので、今日は発言するつもりはなかったのですけれども、今ご発言がありましたので、関連して一言申し上げておきたいと思います。
○農林水産省
　農林水産省でございます。実は農地法関係の問題はご承知だと思いますけれども、農水省の担当が所用で本日は出席しておりませんが、特別賃借権について何か質問があれば、代わって答えておいてほしいというコメントをもらっておりますので、ご質問の部分、若干お答えをさせていただきたいと思います。
　先般の審議会の中で特賃権の関係につきまして相続につきましては、今の委員の方からお話がありました、特に問題がないということでの説明ではなかったかと思います。ただ、このまま放置すればどんどん権利者がふえまして、相続が複雑になることについての問題は申し上げたかと思いますが、それが特に問題がないということを申し上げたことはないと思います。
　それから、東京都の方からもお話がございましたが、これまで特に農林水産省の方に特賃権に関しての相談はございませんでした。
　それで特別賃借権についてあえて申し上げますならば、今の特別賃借権につきましては、いわゆる暫定措置法の中で特別賃借権というものが定められておりまして、基本的に特別賃借権だけをとらえてというお話ではなくて、暫定法そのものからこうだというものを決めていただいた賃借権というもの、それが先ではないかと思いますし、今の暫定措置法の中に小笠原につきましては農地法の適用がないということになっておりますので、いわゆる根本的な暫定措置法のもとで今の制度というものを考えていただきたいと思いますし、そのことに関して我が方に何かお話があれば、当然そこに関わって参りたいというふうに思っておりますので、農水省としても特別賃借権だけで何か関わることができれば、それはそれで関わって参りたいと思いますけれども、今の状況の中では、これだけをとらえてどうこうできるような話ではないのではないかという担当からの話がございましたので、ご報告させていただきたいと思います。
○赤保谷委員
　言い出してしまったもので……。今のご説明で、なるほど特別措置法全体の中でもう既に使命を果たした、終わってしまったものと、いまだに生きているものとある。特賃権だけ取り出してどうのこうのするような話ではないのではないかと。それはそうかもしれません。それぞれの省庁で所管している特別措置法の中のそれについて、これはどこかが言い出さないとやらないのではないでしょうかね、どこもすくんでしまって。だから、とにかく農水省と、運用している都庁でよく特賃権のあり方について、どう幕引きをするのか、生かすものは生かして。いたずらに権利を複雑化してもしようがありませんから、そういう議論をよくしておいてもらう。
　それとあと、あの特別措置法の所管というのはどこなのか。そこが音頭をとって、空になっちゃって放っておいても支障のないものはそれでいいかもしれない、死文化しちゃっているものは。ところが特賃権については、今のお話のようにますます権利関係が複雑化しちゃって、権利者の当事者がどこにいるのだかさっぱりわからない。それで制度上は立派な賃借権として残っちゃっている。こういうのはやはり放っておいていいというものではないと思うんです。それだけ取り出してどうのこうのというのは難しいかもしれませんけれども、農水省と都庁と小笠原協会なり関係機関、団体で、どう処理するのかということをよく相談しておいてもらったらいいと思います。
○野見山幹事
　若干発言いたします。特賃権の問題については今までもお話がございましたが、小豆畑委員のお話のように、帰って耕作をしたいという人がごくわずかであるというのが、国民の理解を得る上で一つの問題かと思います。もともと特賃権の性格からいって、やはり耕作、そのために母島について代替農地等の整備もしたところでございます。ただ、今、赤保谷委員からもご発言がございましたが、暫定措置法の中の特賃権についての所管は農水省でございます。また、今いろいろと発言しておられる地権者の方は硫黄島の関係の方でございまして、また硫黄島の問題と母島の問題等も、いろいろな問題もあるように考えております。ですから、この点については引き続き東京都と農水省とよく話し合っていただきたいと、私どもとしてはそう考えております。
○森会長
　特賃権の問題は大変微妙なかつまた難しい問題でありまして、私、以前に申し上げたことがあるかと思いますが、この審議会が直接関わりを持つべきマターではないような気がいたしておりますけれども、小笠原の問題を考えるに当たっては避けて通ることができない問題であることも事実だと思います。
　今、各委員からそれぞれお話がございましたように、暫定措置法の所管がどこかというと、これはどこになるのでしょうか。
○野見山幹事
　暫定措置法の所管は国土庁ではございますけれども、農地法との関係において特賃権については農水省でございます。
○森会長
　特賃権はその部分につきましては農林水産省と、こういうことになるわけであります。いずれにいたしましても関係者の合意ができないと、事柄の解決は図れないと思いますので、都を中心に関係方面十分ご相談いただく以外、道はなかろうかと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。皆さん方、ご意見がございましたけれども、都の方も大変ご苦労さまですけれども、いずれ小笠原の問題でありますから、大変重要な問題だと思います。ひとつご努力のほどをお願い申し上げたいと思います。
　それから、私からお尋ねしていかがかと思いますけれども、例の１月の各省統合でいろいろな審議会が１省原則一つに確かなるはずであります。その場合にこの小笠原審議会というのが一体どうなるのか、お教えをいただければありがたいと思います。
○野見山幹事
　先程所管の事務局の方を先にご説明申し上げまして失礼いたしました。現在の小笠原諸島振興開発審議会は引き続き国土交通省所管の審議会といたしまして、引き続きこういう体制で存置するということに決まっておりますので、いろいろ審議会の見直しの中でございましたけれども、この審議会の重要性は今までの活動実績から、これは単独審議会として国土交通省に設置すると決まっておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
○森会長
　他にございませんでしょうか。
　ございませんようでしたら、以上で本日の議事を終わりたいと存じます。
　なお、本日皆様からいただきましたご意見につきましては、特にこの審議会として文書で取りまとめて政府に申し入れするということではなくして、会議録にとどめることとして、政府において十分配慮をしていただくことにさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますでしょうか。
（「異議なし」の声あり）
○森会長
　それでは、そういうふうにさせていただきます。
　なお、本日お集まりの各省庁始め政府当局、東京都及び小笠原村におかれましては、今日の委員各位のご意見を踏まえて、今後の小笠原諸島の振興開発につきまして格段のご努力をお願い申し上げたいと思います。
　最後になりましたが、東京都の大関総務局長さん及び小笠原村の宮澤村長さんからご挨拶の申し出がありますのでお願いいたします。
○大関幹事（石原委員代理）
　石原知事にかわりまして一言お礼申し上げたいと思います。
　本日は、委員の皆様方並びに国土庁を始めとする各省庁の皆様方におかれましては、多忙の中、平成13年度小笠原諸島振興開発事業予算の概算要求及び同諸島の振興開発につきましてご審議を賜りまして、厚く御礼申し上げます。
　21世紀の初年度となります平成13年度小笠原振興開発事業の推進に当たりましては、東京都も大変今厳しい状況の中でありますけれども、着実に新小笠原諸島振興開発５カ年計画を達成するため、引き続き、交通施設や産業振興及び生活基盤整備等の充実と各種振興施策を実施していきたいと考えております。
　また、村民生活の安定、あるいは観光振興等、小笠原村の自立発展のためにも、空港整備が大変重要だと考えておりまして、この推進につきましても全力を挙げていきたい、このように考えております。
　一方で、小笠原諸島の素晴らしい自然環境は、村の最大の資源であるばかりでなく日本全体の共有財産でもあるわけでございます。この魅力ある貴重な自然の保全に向けまして、更なる努力もいたしていきたいと考えております。
　今後とも、委員の皆様方並びに国土庁を始めとする各省庁の皆様方におかれましては、一層のご指導、ご支援を賜りたいと存じ上げます。お礼の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○森会長
　ありがとうございました。
　次に、宮澤村長さん、お願いいたします。
○宮澤委員
　発言の機会をいただき、ありがとうございます。
　小笠原諸島振興開発審議会委員の皆様におかれましては、日頃より小笠原諸島の振興につきまして、ご尽力をいただき深く感謝をいたしております。また、本日は、平成13年度の概算要求について貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。
　本日ご意見をいただいた平成13年度事業のうち、小笠原村分といたしましては、引き続き村道改築・簡易水道事業・地域し尿処理施設・ごみ処理施設を継続事業といたしまして、生活環境の維持、利便性の向上を図らせていただきました。
　また、その他に、急患搬送用夜間離着陸設備とＣＴ設備の整備、小中学校施設の整備を予定しております。これらはいずれも村民の福祉・教育水準の向上に必要不可欠なものであります。
　急患搬送用夜間離着陸設備は、母島離着陸場の整備を行い、今年度実施している父島夜間離着陸設備とあわせて、村における救急患者の内地への搬送が夜間においても行われるように体制を整えます。あわせて母島診療所にはＣＴ整備の導入も行い、急患搬送患者を始め一般診療においても的確な診断を下すことにより、医療サービスの向上が見込めるものであります。
　教育設備の整備としましては、今年度基本計画をもとに母島小中学校の基本設計と地質調査を行い、より良い教育環境の充実を目指して参ります。
　さて、小笠原村では、米国からの返還32年を迎え、社会基盤の充実は全国の離島町村の中でも非常に高い水準に達するに至りました。これもひとえに振興開発審議会委員の皆様を始め、国・東京都のご尽力の賜物であり、厚く感謝を申し上げます。
　さて、社会基盤施設の充実が進んできた一方、村の自立発展に向けた今後の課題とすべきことが浮上してきております。
　まず住宅事情の問題であります。未だに島民の持ち家率が約２割となっていることからもわかりますとおり、個人で住宅を取得するのは依然として厳しい状況が続いております。島で一生働いても自分の財産として住宅を持つことができない現状は、当村といたしましても早急に対応する必要があるのではないかと考えており、振興開発事業で何らかの手だてができるよう皆様のご助言をお願いいたします。
　また、産業の育成も急務と考えております。先程も申し上げましたとおり、島内の社会基盤が充実してきた一方で、公共事業に強く依存する体質の産業構造が形成されてまいりました。今後は観光産業を始めとする既存産業の底上げとともに、新産業の育成に取り組み、確実に体質の改善を図る必要がございます。小笠原村としましては、今年度振興事業で実施する海洋深層水利活用調査を始めとして、新たな産業形成の可能性を模索し、旧体制から脱皮して新たな飛翔に向けての準備を整えて参ります。
　引き続き大きな課題として空港の開設、交通アクセスの改善もございます。
　小笠原村が前途有望な21世紀を迎えられるよう、改めまして今後より一層の皆様方のご支援、ご協力を賜りますようお願いをいたしまして、私の挨拶といたします｡
　本日は誠にありがとうございました。
○森会長
　ありがとうございました。
　なお、ここで事務局からお知らせがあるということでございます。
○大木幹事
　当審議会におきましては、先月、小笠原諸島への視察を予定しておりましたけれども、当初予定しておりました現地への移動手段が確保できなかったために、やむなく中止とさせていただきました。皆様には大変ご迷惑をおかけいたしました。
　今後の予定でございますけれども、天候が穏やかになる来年の３月頃を目途に実施したいということで、現在関係機関と再度調整中でございます。実施に際しましては、また後日、ご連絡、ご案内申し上げますので、よろしくご承知おきいただきたいと思います。
○岡田会長代理
　ちょっと事務局の方にお願いができたらと思うことが一つあるのですけれども。この会議録ですけれども、次回の会議の時にこういうふうにして配付されているのですが、私たちも議論したことを段々日が経つと忘れていきますので、もし物理的に可能であればこれがまとまった段階で送っていただけないかなというお願いなのですが、いかがでしょうか。
○大木幹事
　承知いたしました。
○森会長
　それでは、以上をもちまして終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
〔　閉　会　〕
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