小笠原諸島振興開発審議会(第69回)会議録


日 時 平成13年7月11日(水)
場 所 経済産業省別館9階各省庁共用第944号会議室

国土交通省都市・地域整備局特別地域振興課

 

小笠原諸島振興開発審議会会議録

日 時 平成13年7月11日(水)午後2時
場 所 経済産業省別館9階各省庁共用第944号会議室

議 題 (1)小笠原諸島振興開発審議会会議規則の改正について
    (2)平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画について
    (3)小笠原諸島における振興開発のあり方について  
    (4)その他
 

出席者 会     長  森   繁 一
    委     員  赤保谷 明 正
             秋 本 敏 文
             小豆畑   孝
             伊 中 義 明
             岩 崎 美紀子
             岡 田  夫
             川 崎 正 道
             首 藤 宣 弘
             台   たまえ
             田 村 久仁夫
             寺 澤 則 忠
             沼 田 早 苗
             山 口 甚 郎
             石 原 慎太郎(代理:東京都副知事 福永 正通)
             宮 澤 昭 一
             稲 垣   勇
    幹     事  澤 井 英 一 国土交通省都市・地域整備局長
             相 川 一 夫 小笠原総合事務所長
    国 土 交 通 省  坂 山 修 平 国土交通省大臣官房審議官
             阿 部   健 都市・地域整備局総務課長
             大 木 健 一 都市・地域整備局特別地域振興課長
    東  京  都  高 橋 敏 夫 総務局島しょ・小笠原振興担当部長

              目         次

1.開  会  
2.議  事
   (1)小笠原諸島振興開発審議会会議規則の改正について
   (2)平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画について
   (3)小笠原諸島における振興開発のあり方について
   (4)そ の 他
3.閉  会

開     会

○森会長 定刻になりましたので、ただいまから会議を開かせていただきます。
 本日は皆様方、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。小笠原諸島振興開発審議会委員20名のうち、現在14名の方々の御出席をいただいております。ただいまから小笠原諸島振興開発審議会を開会させていただきます。

挨     拶

○森会長 ここで扇国土交通大臣からご挨拶をいただく予定でございましたが、本日は大臣所用のため、澤井都市・地域整備局長にお願いいたします。
○澤井都市・地域整備局長 7月6日付けで都市・地域整備局長になりました澤井と申します。委員各位におかれましては今後も引き続き御指導を賜りますようよろしくお願い申し上げます。
 ただいま会長からお話がございましたように、大臣、所用のため出席できませんので、大臣の挨拶を預かってまいりました。代読を申し上げます。

 小笠原諸島振興開発審議会の開催に当たり、一言ご挨拶を申し上げます。
 森会長をはじめ委員の皆様方には、御多忙中にもかかわらず本審議会に御出席いただき、誠にありがとうございます。また、日頃より小笠原諸島の振興開発をはじめ国土交通行政の全般にわたり格別の御理解と御協力をいただき、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。
 さて、小笠原諸島は、昭和43年の本土復帰以来、特別措置法のもとで産業の振興、社会基盤の整備などの各種施策を実施し、相応の成果を挙げてまいりました。しかしながら、本土から1,000 km以上も離れた外海離島であるという厳しい自然的条件のもとにあって、住民の定着、産業の振興、交通手段の改善など引き続き多くの課題を抱えております。これらの課題を解決し、島民の生活の安定と地域の自立的発展を図るため、これまで小笠原諸島振興開発計画に従い、道路、港湾や生活基盤施設の整備などを着実に推進してきたところであります。
 また、本年1月の省庁再編により、小笠原諸島の振興開発は国土交通省において担当することになりました。国土交通省におきましては、総合性の重視、国民ニーズの重視、質の重視といった3つの視点から行政を行っていくこととしております。小笠原諸島の振興開発におきましても、このような観点から再編統合の効果が十分発揮できるよう努めてまいります。
 さて、本日の審議会におきましては、平成13年度の小笠原諸島振興開発実施計画について御審議をいただくとともに、豊かな自然環境を活かした振興開発など、小笠原諸島の今後のあり方について忌憚のない御意見をいただきたいと考えております。国土交通省といたしましては、本日の御審議の内容を今後の振興開発に活かしてまいりたいと考えておりますので、委員の皆様方におかれましては引き続き御支援賜りますようお願い申し上げます。
 以上、簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。
    平成13年7月11日
                     国土交通大臣  扇 千景(代読)

 どうぞよろしくお願いいたします。
○森会長 ありがとうございました。
 審議に入ります前に、本年1月に省庁再編がございまして、新たに国土交通省が当審議会の事務局となっておりますので、国土交通省からの出席者について御紹介をお願いいたします。
○大木特別地域振興課長 それでは国土交通省の出席者の紹介をさせていただきます。
 ただいまご挨拶申し上げました澤井都市・地域整備局長でございます。
 小笠原振興開発担当の坂山審議官は間もなく参る予定でございます。
 阿部都市・地域整備局総務課長でございます。
 なお、引き続き特別地域振興課において審議会の事務局を担当させていただきますのでよろしくお願いいたします。

議     事

(1)小笠原諸島振興開発審議会会議規則の改正について

○森会長 それでは会議次第により議事を進めたいと思いますが、きょうは大変蒸しておりますので、どうぞ御自由に上着を外していただければと思います。
 初めの議題は「小笠原諸島振興開発審議会会議規則の改正について」でございます。事務局から説明をお願いいたします。
○大木特別地域振興課長 資料2をお開きいただきたいと思います。
 小笠原諸島振興開発審議会会議規則は、審議会の運営について定めたものでございます。今回、数点改正を行いたいと考えております。
 1枚お開きいただきますと新旧対照表がございます。第4条、書面による議事とございます。「会長は、やむを得ない理由により審議会の会議を開く余裕のない場合においては、事案の概要を記載した書面を委員及び議事に関係のある臨時委員に送付し、その意見を聴し、又は賛否を問い、その結果をもって審議会の議決に代えることができる」と定めたいというのが1点でございます。
 もう1点は第7条の2の議事の公開でございます。「会議又は議事録は、速やかに公開するものとする。ただし、特段の理由があると認められるときは、会議及び議事録を非公開とすることができる」ということでございます。
 当審議会におきましては、従来より会議そのものを公開しておりましたし、議事録も公開していたところですが、今回、会議規則において明文化したいと考えております。
 それ以外の部分は形式的な改正で、国土審議会等の運営規則に準じた改正となっております。説明は以上でございます。
○森会長 ありがとうございました。
 事務局から説明がございました会議規則の改正について、何か御意見、御質問ございませんでしょうか。
 ないようでございますので、会議規則については資料2のとおりとしてよろしゅうございますでしょうか。
              〔「異議なし」の声あり〕
○森会長 それではそのように取り計らわせていただきます。

(2)平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画について

○森会長 続きまして、「平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画」について当審議会が諮問を受けておりますので、この件について審議をいたしたいと存じます。まず事務局から御説明をお願いいたします。
○大木特別地域振興課長 資料3、平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画でございます。
 この実施計画は、小笠原諸島振興開発特別措置法第5条に基づき、毎年度の振興開発事業について東京都知事が計画を作成し、国土交通大臣に協議、同意を得ることとなっております。国土交通大臣は、同意をしようとするときにはあらかじめ審議会の意見を聞くこととされております。
 目次でございますが、構成が4段になっておりまして、T基本方針、U総括表、V事業別実施計画、W箇所図となっております。
 1ページをお開きいただきたいと思います。平成13年度の基本方針でございます。「引き続き、道路、港湾等の交通施設及び住宅、急患搬送用夜間離着陸施設等の生活基盤施設の整備を行うとともに、小笠原諸島の自然特性を生かした農業、漁業及び観光等産業の振興を図り、村民生活の安定と同諸島の自立発展を促すための振興開発事業を推進するものとする」となっております。
 事業概要ですが、詳しくは事業別実施計画で説明することといたしまして、簡単に構成を紹介させていただきます。
 1が小笠原諸島振興開発事業費補助となっており、いわゆるハードの施設整備を行うもので、交通施設、産業振興・観光開発、生活基盤施設の整備等を実施するための経費でございます。2ページに参りまして、小笠原諸島振興開発費補助金とあります。こちらはソフトの施策でございます。3が小笠原諸島調査。これは国土交通省が行う調査費でございます。
 3ページに参ります。総括表でございます。一番上の列を見ていただきたいと思いますが、小笠原諸島振興開発事業費全体として、平成13年度実施計画においては、事業費36億200 万円、国費が22億1,200 万円となっております。平成12年度と比較して事業費で5億5,500 万円、国費で1億8,300 万円のマイナスとなっております。この要因としては、一つには村が事業主体でございましたごみ処理施設、あるいは地域し尿処理の処理場といった大規模な事業が12年度に終了したこと、また、東京都が現在財政再建中ですので、都が主体となる事業についても減額になっているといった事情がございます。
 なお、昨年11月にこの審議会の際に概算要求の段階のものとして説明したものと比較いたしますと、日本新生特別枠で要求しておりました情報関連の調査は認められませんでしたが、それ以外はほぼ要求どおり予算が成立いたしまして、そのすべてが実施計画に計上されております。
 6ページに飛びまして、事業別実施計画でございます。主なものを紹介させていただきたいと思います。
 まず、一の交通施設整備費補助の中の港湾整備ですが、(1) 二見港とございます。これは小笠原の玄関口となる港で、おがさわら丸などが接岸するところですが、その岸壁の老朽化対策工事及び桟橋の耐力増強工事を行うこととしております。(2) の沖港でございますが、これは母島の港で、船客待合所の建て替え及び防波堤の整備を行います。
 2の道路整備でございます。都道改築とありますが、小笠原においては、都道については既定の計画に基づく道路整備は完成に近づきつつある状況でございます。父島の循環線で長谷と書いてありますが、ここが唯一の未改良地区で、急カーブ、急勾配の区域となっております。13年度、14年度でトンネルの掘削工事等を実施いたします。それから村道の改築で、父島、大村奥村地域線とあります。これは中心集落内の道路をインターロッキング舗装、透水性のブロック舗装ですが、これを行いたいということでございます。それから扇浦地域線とありますが、新しい集落形成に関連する道路の測量・設計でございます。母島では沖村地域線の整備を行います。
 7ページに参りまして、産業振興・観光開発費補助でございます。農業生産基盤整備のほ場造成。これは母島において農地の整備や農業の施設化に対応してかんがい施設の整備等を行うものであります。
 2の農業振興の中で農業協同組合施設とありますが、これは鉄骨ハウス、温室のようなものですが、農協施設としてつくって農家に貸与するというものでございます。
 8ページに参りまして、漁業基盤整備でございます。二見漁港ですが、大型の漁船の避難対策としての泊地の浚渫を行います。母島漁港は避難港としての防波堤の整備を行います。
 4の水産業振興でありますが、水産センター。漁業に関して研究や指導を行っているところですが、本館が老朽化したため建て替えを行っているところでございます。共同利用施設というのは、漁獲物を水揚げするクレーン、バケット等の整備でございます。
 9ページに観光開発。自然公園施設とありますが、父島、母島において園地、遊歩道、景勝地の買収等を行います。それから植生回復とありますが、媒島、婿島において野ヤギの食害からの回復事業を行います。南島においては、過去の野ヤギの食害のほか、帰化植物の侵入繁茂、あるいは観光客の立ち入りによる表土の侵食といった問題が起きておりますので、その回復のための事業を行うこととしております。
 10ページに参りまして生活基盤施設整備費でございます。住宅整備でありますが、小笠原においては都営住宅の整備をしてきておりますが、復帰直後、昭和40年代から50年ごろまでに建てたものについては一部老朽化あるいは塩害により劣化が激しくなっているものがございます。そのための建て替えということです。簡易水道も、老朽化した施設の計画的な更新・改良でございます。ごみ処理施設でございますが、父島については11年度にクリーンセンターが稼働しております。一方、母島に関しては現在使っている焼却施設がダイオキシン類対策特別措置法に基づく構造基準に適合しないということで、今後、可燃ごみは父島に搬送する、不燃ごみは母島内で埋め立てという方針を立て、そのために中間処理施設を整備することとしております。地域し尿処理施設については、処理人口の増大に対応した施設の処理能力の増強及び老朽化した施設の改良・更新でございます。
 それから急患搬送用夜間離着陸施設ですが、これは今年度の事業で一番特徴的なものと言えるかと思います。小笠原諸島で救急患者が発生した場合、従来は夜間においてはヘリコプターの離着陸が出来ないため、夜明けまで待機を余儀なくされておりました。こうした状況に対処するために、平成12年度に父島に夜間の照明施設を整備いたしました。13年度は母島に照明施設を持つヘリポートを整備することによって、母島においても夜間でもヘリが離着陸できるということでございます。これによって硫黄島経由で本土へ患者を移送できるようになるということで、住民の方々に、より安全で安心した生活を送っていただけるようになるということでございます。
 小中学校の整備でありますが、母島の小学校、現在使っているものが昭和47、8年に建設したもので、台風とか塩害によって老朽化が著しい、また特別教室が不足しているという状況がありますので、その建て替えのための設計でございます。それから診療所建物として、母島の診療所にCTスキャン設備を設置するということでございます。
 主なものは以上でございます。全体をまとめますと、今年度の予算、実施計画は前年に比べて減額となっておりますが、そういった中でも急患搬送用夜間離着陸施設の整備でありますとかCTスキャンの導入ということで、地元の要望を十分に配慮したものとなっていると考えております。また事業内容としては、復帰後30年以上経過しておりますので、既存の計画に基づく事業がかなり完成に近づいているものが多いと。一方で復帰後早い時期に整備した施設に関しては老朽化が目立つものがございまして、その改築、機能更新といった関係の事業が増えているということに特徴があるかと思われます。
 14ページは主要な事業の箇所を地図に示したものでございます。以上でございます。
○森会長 ありがとうございました。
 ただいま平成13年度の小笠原諸島振興開発実施計画について説明がございました。御質問、御意見等がございましたらどうぞ御発言をお願いいたします。
○岩崎委員 補助率のところですが、まず10ページで、母島の離着陸のところの補助率が5.5/10で、ここだけ小数点が目についたので、中途半端なのはなぜかということと、もう一つは12ページですが、防除というところで事業主体が都であるのに国費の補助率が10/ 10というのは、国が全部お金を出してやるわけですね。直轄に近いということになるわけですが、国が補助をするというのは、ある部分だけ補助をするということで、その割合が2分の1とか3分の1とかいうことだと思いますが、全部補助をするということは今まであったのかどうか。都の財政が厳しいからとか、そういうのがあるんでしょうか。以上2点です。
○大木特別地域振興課長 後の方の病害虫の防除でございますが、これは本来は国の責任で行うべきものを都にやっていただくということで、費用については国が全部負担するということでございまして、小笠原以外では、農水省の関係で同じようなものがあるんですが、それについても同様と聞いております。
 急患搬送用の施設ですが、こちらも内地で消防庁でこれに類似の事業があり、それに合わせているということでございます。
 それぞれの事業、補助率を定めておりますが、小笠原は独自に定めているわけですが、類似の事業の内地であるとか一般の離島の補助率を勘案しながら、小笠原の特殊事情にかんがみ、それぞれ決めております。
○森会長 10/10 の補助というのはちょっと不思議な感じがしますが、沖縄なんかでもこういうことです。決して小笠原だけではないと思います。
 他にございませんでしょうか。
○秋本委員 今の表に関連して、地方債、起債の欄というのが、数字が入っているところ、入っていないところ、東京都の事業については地方債という数字がほとんど入っていない。村営事業の中にも、私なんかの経験だと起債というのが入ってもいいんじゃないかなと思うのが入っていないとか、いろいろありますが、これは統一的に何か整理してあるんですか。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 都のやる事業については基本的に補助金という形で、起債は今までやっておりません。村の場合には、起債でやった方が有利かどうか、村の財政事情を考慮してここに挙げてあるという形でやっております。
○秋本委員 一般財源も負担しているわけですが、適債事業であれば財政状況が苦しければ苦しいほど地方債を活用しながら必要な事業をやっていくのが普通だろうと思うんですが、全然やっていない。村の事業の場合も、それぞれで判断をしたのかもしれませんが、例えば診療所だとか病院というのは、まさに公営企業的なものでいうと地方債を活用するのが普通だろうと思うんですが、やっていない。要するに財源として利用できるものはできるだけ活用しながら事業をやっていくのが普通だろうと思うんですが、特にやっていないのは理由があるのかなという疑問なんですが。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 東京都の場合は、事業費100 億円以上の場合に起債という形でやっておりまして、それ以下の場合には原則として起債でやっていないということです。それから、村の場合には、交付税との関係がございますので、裏負担がどうかという形になりますので、そこで判断をしていると聞いております。
 村が充てる分の起債の部分については、後で交付税で償還されるという形になっておりますので、交付税との関係で起債にするか、起債をしないかという形で判断をしていると聞いております。
○秋本委員 もう一つストンと落ちませんが、わかりました。(笑声)
○森会長 今の秋本委員のお尋ねの趣旨というのは、都の場合はある程度の金額にならないと起債をしないということで、これはおわかりいただけるのではないかと思いますが、村の方で、適債事業であるにもかかわらず起債を充当していないのは一体なぜだろうかということですね。たとえて言いますと、私が言うのもおかしいですが、急患搬送用夜間離着陸施設は村の事業ですから、8,600 万円一般財源が要るわけですね。相当な金額ですから、これは起債に振りかえてもいいのではないかと。一方、公債費の制限比率というのがありますから、そこでひっかかるかもしれません。いろいろな要素があって判断されたんだろうと思いますが、今日でなくて結構ですから、もう少しわかりやすい説明を準備していただきたいと思います。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 わかりました。詳しく調べまして回答させていただきたいと思います。
○@委員 10ページの3番のごみ処理施設の件ですが、父島の最終焼却灰の置き場が地下水の浸透水が溜ってしまって機能していないままだと伺ったんですが、事実関係を教えていただきたいことと、今現在、焼却灰が野積みになっていると。もし事実であれば早期に何か手を打たなければいけないんじゃないかと思うんですが。
○宮澤委員 現実には、本年4月から管理型の最終処分場が機能するはずだったわけですが、御指摘のとおり、予測できないような地下水という現実がありまして、コンサルも含めて対応策を検討中でございます。近々結論が出るものと思っております。
 焼却灰ですが、今までの焼却灰はきちんとトン袋に入れて、トン袋を積んでいるという状況になっていますから、飛散とかについては全然影響ないと思っております。
○寺澤委員 先ほど情報関係の予算が認められなかったというお話がありましたが、現状を教えていただければと思うんですが、インターネットなんかの利用というのは小笠原ではどのぐらい行われているのかとか、CATVは行われているのかどうか、その辺を教えていただければと思います。これは必ずしも自治体、村がやるということでなくて、民間がやる部分も入っているかと思うんですが、CTスキャンとか救急医療の関係は予算化されてよかったと思いますが、今後の課題かもしれませんが、例えば情報通信を利用した遠隔地医療、遠隔地の診断とか、そういうものについて展望のようなものがあれば、13年度予算ではないと思いますが、ちょっと教えてください。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 今の小笠原の通信機能の関係ですが、NTTの一般電話回線、ISDN、携帯電話サービス、それから地上波のテレビ放送等は整備されております。電話回線ですが、小笠原諸島と本土とは180回線で結ばれておりまして、ISDNが36回線入っております。インターネットの普及によりこれから容量の問題が出てくると思いますが、現状では最低限の確保はできているという考えであります。
 それから、スキャンの関係で電送写真でやりたいという形で診療所は考えておりますので、撮ったものを送って指示を仰ぐということを検討しております。
○寺澤委員 インターネットなんかの利用はできるという理解でよろしいわけですね。スピードの問題が今後あるということでございますね。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 スピードと、容量の問題が出てくる可能性があると思います。
○寺澤委員 これはいずれ充実していくというお考えでございますか。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 後ほど、14年度の予算になりますが、基盤整備の関係の調査をやりたいという形で予算に乗せたいと考えております。
○森会長 今コメントがありましたが、きょうの会議はこれまでの会議とちょっと違いまして、諮問は諮問でまず処理をして、その後、いわばフリーディスカッションのようなことで小笠原の問題全般について御議論を賜る時間を設定いたしておりますので、平成13年度の開発実施計画についてまず皆さん方の御意見をお伺いいたしたいと思います。先ほど説明いたしましたことについて格別御質問、御意見がございませんようでしたら、原案で適当である旨、答申をさせていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
              〔「異議なし」の声あり〕
○森会長 ありがとうございました。御異議がないようでございますので、そうさせていただきます。
 答申案をお手元に配付させていただきます。
                〔答申案配付〕
○森会長 それでは、事務局から答申案を朗読してください。
○大木特別地域振興課長 朗読いたします。

平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画について(答申)

 平成13年7月11日付け国都特第101 号で当審議会に諮問のあった平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画については、慎重に審議した結果適当であると認められるので、この旨答申する。

○森会長 ただいまの案文についていかがでございましょうか。
              〔「異議なし」の声あり〕
○森会長 ありがとうございました。格別御異議がないようでございますので、そのように取り計らわせていただきます。

(3)小笠原諸島における振興開発のあり方について

○森会長 続きまして、先ほどの課題に帰るわけでありますが、これからしばらく時間をいただきまして小笠原諸島における振興開発のあり方について御審議を願えればと思っております。この際でありますから、小笠原諸島の抱える課題、あるいは今後の小笠原諸島に関する施策のあり方について、幅広い観点から御自由な意見を頂戴できれば大変幸せでございます。
 そこで、議論の材料として国土交通省から資料が提出されておりますので、まずこの説明をお聞きいただきました上で御議論をいただければと思います。
○大木特別地域振興課長 議論の題材として2つ資料を用意しております。1つは資料4、小笠原諸島における土地及び住宅に関する基礎調査でございます。これは昨年度実施いたしました調査結果の概要でございます。もう一つが資料5、小笠原諸島振興開発に関する総合的な調査についてということで、こちらは今年度実施しようとしている調査の実施の方針でございます。
 まず資料4について簡単に説明させていただきます。この調査の趣旨でございますが、小笠原諸島においては他の地域に比べ持ち家率が非常に低くなっており、振興開発計画の目標である島民の定住及び生活の安定の支障になっているという指摘がございます。その原因としては、コスト高による住宅取得難が挙げられています。このため、その実態について把握し、問題の所在及び原因を明らかにして今後のあり方を検討すると。そのための調査でございます。
 5ページ、6ページに参考ということで小笠原の土地・住宅の実態に関するデータを記載しております。5ページの左上の表でございますが、住宅の種類・住居の所有関係別世帯数を見ますと、小笠原村は持ち家率が12.7%と極めて低い水準になっております。一方、公営の借家に住んでおられる方が30%、民営の借家が9.5 %、それから給与住宅、公務員宿舎とか社宅ですが、こちらに住んでおられる方が43.6%ということで、持ち家率が極めて低いという数字になっております。
 公営の借家でございますが、下にあります小笠原住宅は、旧島民の帰島・定住を促進するために都営の小笠原住宅を昭和43年の本土復帰以来整備してきたわけですが、全体で393 戸整備されております。
 それから、建築コストが高いということですが、5ページの右側に現地ヒアリングよりということで事例がありますが、民間の建物で見ましても、坪単価で内地の価格の1.5 倍から2倍、あるいはそれ以上のコストになっております。コストが高い理由としては、右下の建築資材の単価ですが、東京と比べて父島で2.6 倍、母島でも2倍以上と資材の単価が高いということがございます。
 6ページは土地の価格ですが、公示地価あるいは基準地の地価で、小笠原におきましては住宅地で1u当たり2万円程度と、離島としては比較的高い価格になっております。何よりも供給がないといいますか、市場に出てこないという事情もございます。
 1ページに戻りまして、こういったことから、小笠原の、特に父島における土地及び住宅に関しては非常にコスト高になっているということが言えると思います。
 その原因ですが、まず土地に関しては供給が少ないということで、地形とか土地利用計画があって開発の適地が少ないということ、平坦地で一部低未利用地が残っているということ、不在地主であるとか、不動産情報が流通していないということで地権者がわからないということ、それから市場に出る土地が非常に少ないので売り手市場になって地価が高いという事情がございます。建設コストに関しては、1つには建築仕様が内地と異なる。台風とか気温の高さといった気候条件、塩害とかシロアリ対策といった特別の事情があるということでございます。それから運搬コスト、労務費、建築資材も高いという事情がございます。
 こういった問題点を把握した上で、対応方針、具体的な対応方策、それから主にどこが中心になって推進するかという点を整理したものでございます。
 当面執り得る施策というところだけ若干詳しく説明したいと思いますが、まず土地利用計画の見直しでございます。現在、小笠原諸島の振興開発計画の中で土地利用計画上「集落地域」と位置づけられている地域に関しては飽和状態に近い状況になっております。一方、農業地域の中には耕作放棄地など、宅地として利用可能な土地も残っておりますので、そういったところを活用することによってある程度の宅地供給ができるのではないかと考えられます。そのためには土地利用計画の見直しということで国を交えた協議が必要でございますし、並行して村が都市計画のマスタープラン等においてまちづくりの方向性を示すことが必要ではないかということでございます。
 ただ、2ページの課題にも示しておりますが、小笠原というのは自然保護地域以外においては土地利用の規制が弱いと。都市計画法上の規制も非常に弱いし、農地法も施行されていないので農地としての利用を担保することもできていないということで、適正な規制もあわせて検討する必要があると考えられます。
 次が公的主体による開発促進でございます。現在、扇浦地区というところで第二集落の開発を計画しているわけですが、村が主体になり公的な開発を促進する必要があるのではないかと考えられます。
 それから土地情報のデータバンク化ということで、土地情報の収集・整備を行うとともに、売却意向を含めた情報公開を検討することが必要ではないかということであります。
 それから定期借地権の推進ということで、扇浦開発等に当たって定期借地権の普及、啓発を行ってはどうか。
 それから、小笠原は地価が下がっていないために今でも監視区域となっているわけですが、当面そういったことを継続すると。
 次に建築コストの関係ですが、その対策としては、まず小笠原方式住宅の規格化ということで、例えば斜面の地形を生かした住宅整備ということで造成費を軽減するとか、小笠原に合った住宅を提案して、規格化によって量産化あるいは資材の有効利用を図ると。それによって建設コストを軽減できるのではないかということであります。
 それから運搬費助成ということで、何といっても輸送コストにより資材、労務費についても高くなってしまうと。それを軽減するための公的な助成が考えられないかということでございます。
 それから産廃処理場等の建設とありますが、輸送コストが高いということは逆にリサイクルがペイすることになりまして、コンクリート等の建築資材を再利用するための施設の建設計画を推進してはどうかと。こういったことを当面執り得る施策として整理したところでございます。
 以上が土地及び住宅に関する調査結果でございます。
 もう一つが資料5の小笠原諸島振興開発に関する総合的な調査についてでございます。これは今年度スタートする調査で、その方針を整理しただけですが、1ページに目的と調査の内容が書いてございます。小笠原諸島については、復興事業開始から30年以上経過しておりますので、これまで実施してきた事業が法の目的である住民の生活の安定、福祉の向上にどの程度寄与しているか総合的に評価する時期を迎えております。また、あと2年数カ月経ちますと平成15年末を期限にしている現在の特別措置法の期限が到来することから、今後のあり方も考えないといけないといった事情がございます。そのために総合的な調査を実施し、小笠原諸島の現状と具体的課題を整理し、今後のあるべき姿を模索するということであります。
 調査の内容としては、復帰後の小笠原の経済・社会の変化を整理するということが1つ。それから全国及び他の離島と比較した振興開発の現状。どの部分が進んでおり、どの部分が遅れているかといったことを把握するということ。それから振興開発政策の評価と具体的課題の整理ということで、現在、政策評価ということが政府全体として非常に重要なテーマになっておりますので、これまでの振興開発政策について、政策評価的な観点も踏まえながら評価していきたいということでございます。その上で今後の方向性を検討すると。さらに、従来の振興開発の枠にとどまらず、多様な視点から小笠原のあり方を検討するということで、国土・環境保全といった多面的な機能も踏まえながら検討していきたいということであります。
 2ページ以降が現在の小笠原に関する資料で、ざっと説明させていただきたいと思います。2ページ、3ページが振興開発の経緯でございます。昭和43年に本土に復帰いたしまして、44年に復興特別措置法が制定されました。45年に最初の復興計画が策定され、以後、おおむね5年ごとに法の延長と計画の策定をしてきているところでございます。
 4ページが現在の新小笠原諸島振興開発計画の概要でございます。平成15年度までの5カ年間の計画であります。
 5ページが復興・振興・振興開発事業の推進でございます。平成11年までの32年間で事業費として1,116 億円(国費665 億円)を投入して振興開発を進めてまいりました。6ページに主な事業の成果を表にまとめております。
 人口でございますが、復帰当時は181 人、欧米系の方だけしか住んでいなかったということで非常に人口が減っていたわけですが、その後人口は増加を続けており、現在2,400 人となっております。7ページに人口の増加の経緯が示されております。
 8ページは産業・就業構造でございます。経済の自立発展ということが大きな課題になっているわけですが、現在の就業構造を見ますと、帯グラフにありますように、小笠原におきましては建設業と公務の比率が非常に高くなっております。振興開発計画におきましては農業、漁業、観光、こういったものを主要な産業として期待しているわけですが、現実には小笠原の経済は公共事業、あるいは公務員の所得に大きく依存したものとなっております。主な産業の推移では、農業、漁業、観光の推移がございますが、農業に関しては年間生産額が直近の数字で1億1,700 万円、漁業については5億9,300 万円となっております。また年間の観光客は3万人程度となっております。
 9ページが本土との交通アクセスで、これが小笠原の最大の課題でございますが、現在、本土から小笠原への交通アクセスは、おおむね6日に1便の船が唯一の交通手段になっております。片道25時間30分を要しており、その改善が強く求められているわけでございますが、空港の整備に関しては、この表にありますように、最近では平成10年の5月に東京都が父島の時雨山周辺域に空港の設置箇所を決定したわけでございます。現在、都において環境アセスメントのための調査など、各種の調査を進めているところでございます。
 もう一つがテクノスーパーライナーの検討経緯でございます。テクノスーパーライナーは平成元年から運輸省において研究を進めているもので、現在実用化に向けた段階になっております。昨年8月に旧運輸省が運航希望事業者を公募いたしまして、小笠原村をはじめとして8つの企業等から応募がございました。現在、国土交通省の海事局において関係者と調整をしている段階でございます。
 10ページが小笠原諸島の可能性でございます。小笠原諸島は、広大な圏域、豊かな自然環境や資源等を有しております。@として小笠原の海域でございますが、日本の漁業水域、経済水域の約29%が小笠原諸島の島々があることによって日本のものになっているということでございます。
 それから小笠原の自然でございます。固有種、希少種の表がありますが、小笠原は大陸から離れた海洋島でございますので、生物が独自に進化してきております。このため、ほかでは見られない固有種、希少種がたくさんございます。こういった環境を生かして、それと調和した振興開発が望まれていると考えられます。
 資料としては以上でございます。
○森会長 ありがとうございました。
 事務局から、この審議会でたびたび問題になっておりました小笠原の土地と住宅の問題、また小笠原の総括的なレビューと今後の総合的な政策の立案についての調査の方向、この2点について御説明をいただきました。これから自由に御議論いただきたいわけでございますが、この資料についての御意見、御質疑でも結構ですし、これにとらわれずに多面的に御発言をいただければありがたいと思います。この審議会の一つの存立意義は、皆様方、各界の有識者に来ていただいているわけでありますから、その方面から小笠原に対する各般の建設的な御意見をいただいて、それを事務局なり都や村で紹介していただくということが一番いい姿ではないかと思いますので、どうぞ忌憚ない御意見を拝聴させていただければと思います。
○川崎委員 いろいろな地域開発計画があるわけですが、小笠原の地域開発計画についても、どういう目的でやるのかという位置づけをきちんとしたらいいのではないかと思うわけです。先ほど経緯にもありましたように、もともと小笠原というのは復帰ということが主目的であったわけですが、そろそろ他の目的といいますか、例えば人間と自然の共生というモデルプランを実施する地域開発計画であるというような位置づけもあってもいいのではないだろうかと。小笠原という舞台を借りて、日本の国として人間と自然の共生を図るための特別のプランをモデル事業として実施すると、そういう位置づけで行いますと、先ほどから議論が出ています補助率、あるいは地方債その他、財源措置をも含め、一般の事業のあり方でなくて、特別のモデルであるからという形での財源措置も可能になっていくだろうと思いますし、いろいろな事業を実施する場合も、うまくいくかどうかわからないけれどもテストとしてやるんだという形でいろいろな事業が実施しやすいのではないかと。
 一般的に事業をやるとなれば、国にしても、東京都にしても、あるいは小笠原村としても、責任のあることですから、軽々に行いがたいと思うんですが、テストだという形で事業をやるとなれば比較的実施しやすいのではないか。そういうようなことをも含めて、モデル事業を小笠原という舞台でやる、そういう特別の地域開発計画だというような位置づけをしていろいろな問題を考えていくと。
 先ほど御説明のありました土地の利用、あるいは住宅の整備にしても、そういう観点で考えていけば、例えば土地の値段についても、自然との共生をやるんだからいろいろな制限を課すよと。とすれば土地の値段の決まり方も違ってくるのかもしれない。そのかわり、いろいろな制約を課した中で生活をしていただくためには、普通のところと違った公的援助が住宅あるいは土地取得についてあってもいいのかもしれないというような考え方が出てくるのではないだろうか。
 そういう切り口をしていかないと、土地の問題、住宅の問題も、なぜ小笠原かということになってくるんで、小笠原だから特別だよという一つの理由づけというものは、人間と自然の共生というよりどころに求めていかなければいけないのではないかなという気がするもんですから、地域開発計画というものの位置づけをまず考えるところから議論していただけるといいのではないか。
 しかも、小泉内閣でいろいろな事業のあり方、国の施策、地方の施策のあり方、交付税も含め、起債の問題も含めいろいろな議論が行われるというこの夏から秋は、そういう議論をするチャンスじゃないのかなという気がするもんですから、御提案をさせていただきます。
○森会長 ありがとうございました。
 事務局の方で、御質疑がありました場合にはそれに対して説明をお願いしたいと思いますし、委員の御発言に対し、そうではないんだという反論がある場合には反論していただいて結構ですし、委員の意見を拝聴するということならば別に発言は要りません。そのような整理の仕方で進めさせていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
○坂山審議官 調査は、現行法の法改正がまだ2年準備期間がありますので、課長から御説明申し上げましたのは、かなりロングスパンで、現状までにどういう成果があったのか、残されている課題がどういうことなのか、小笠原村、東京都と協力させていただきながら足元を見させていただきたいなと。川崎委員がおっしゃったトータルの、どういう位置づけにしていくかというようなことにつきましては、今もそういうことも射程に入れながら事実関係を把握していく必要があろうかと思いますが、それに的を絞った議論というのは、きちんとするのは来年度かなと考えております。
○川崎委員 結論が出るのは来年度でもいいと思うんです。次の計画策定のときなんだろうと思うんですが、議論は今年からやったっていいんじゃないですか。
○坂山審議官 おっしゃるとおりだと思います。
○宮澤委員 私は、昭和43年に小笠原が返還になって、44年に小笠原に戻りまして、ことしで33年目を迎えているわけですが、33年間を振り返ってみますと、まさに小笠原は、特別振興法のもと、公共工事、さまざまなインフラ整備で成り立ってきたといっても過言ではないと思っております。その成果としてさまざまなインフラ整備等も、他の離島町村に比べると屈指のものができてきたのも事実だろうと思っております。しかしながら、今後を考えるときに、今までみたいな形態は物理的にも環境的にも限界にきているという現状にあろうかと私は判断しております。まさに今まで小笠原村民が経験してこなかったことを経験しつつあるのかなと。例えば町場のラーメン屋さんがつぶれているとか、土木屋さんが出稼ぎに行っているとかいうようなことはかつてなかったんですが、現状はそういう姿になりつつあると。もちろん観光客等についても減少傾向にあるという現状を考えますと、今後の地方分権だとかいろいろな流れの中で自治体として生き残っていくという観点からいっても、私はまさに川崎先生がおっしゃるような方向性しか方法がないのかなと考えております。
 小笠原の現状は、環境問題にしましても、ごみ問題にしましても、離島町村の中ではトップクラスにあるという地域ですから、そういう希望を申し上げても恥ずかしくない現状にあると思いますので、川崎先生の御提案には大賛成という気持ちでおります。
○川崎委員 今の話にも関連して、村長さんがおっしゃったようにハードウェア中心の計画だったと思うんですね。ですけど、これからはソフトウェア中心の計画といいますか、小笠原に住んでおられる方々がハッピーになるためにはどのようなことをすればいいのか、それが中心で、そのために必要ならば必要な範囲でインフラ整備も行うという、物を考える順番が、今までは僕らもそうだったんですが、日本中がそうだったと言ってもいいぐらいですが、ハードウェアを中心に、それからソフトという考え方だったのを、僕はよく言うんですが、物事を進めるという「事」を考えて、事柄の中で物を考えると。何をやるかということを考えながら、何をやるためにその施設、物を必要とすると。「事」から始めて「物」に落とすというふうに物事を逆転して考えていかなければいけないのかなと。日本全体がそういうところにきているんだろうと思いますが、特に小笠原の場合はそういうところにきているんでしょうから、そういう物の考え方で計画の整理をしていくのがいいのかなと。
 先ほど御説明があった13年度の計画などは典型的な「物」中心でつくられているんですが、今まではやむを得なかったと思いますが、できれば14年度からお願いしたいんですが、14年度が無理ならば15年度、16年度でもいいんですが、「事」を中心として「物」にくるというような計画であってほしいなと希望を申し述べておきます。
○伊中委員 朝日新聞の伊中ですが、私の部屋のアルバイトの女の子が、まさに今、小笠原に遊びに行っておりまして、前の日から興奮して、楽しみな顔をして行ったんで非常に印象深いんですが、私が申し上げたいのは、小泉内閣になってこれから交付税がカットされるという厳しい状況の一方で、村長さんがおっしゃられたように、各自治体が自立を強く求められるという、まさに大きな曲がり角になっている。だからこそ今のお話のような、いわば個性が求められると思うんですね。そういうときに、やっぱり観光であり、自然と共生がキーワードになると思うんですが、1つ伺いたいのは、空港整備というものが、ここにあるのは平成10年の決定ということで、その後のことはわかりませんが、空港が開かれれば大変なカルチャーの変化になるわけですね。そのことを開発計画の中でどう織り込もうとしているのか、今の説明の中では全然わからないというのが1つですね。
 それから、ノウハウというお話なんですが、まさに開発計画のつくり方そのものなんですが、今、全国でいろいろな自治体が開発計画をつくるときに、パブリックコメント等々、住民の意見を吸い上げる仕方にものすごく工夫をしているわけですね。小笠原の場合は村民の皆さんの気持ちとかアイデアをどう吸い上げているのか、同時に、訪れる観光客からアイデアを聞いてみるというようなことはないのか、もっと言えば、積極的にホームページ等を通じて全国に発信して、どういうふうに使えば日本の中で非常におもしろい小笠原になるんだということを、小笠原の人たちが自分で考えるだけじゃなくて、日本中の人に考えてもらう、そういう方法もあってもいい。全く関係ないところに住んでいる人が、おもしろがって、楽しんで考えてくれるということも十分あり得ると思いますので、開発計画をつくるプロセスそのものが今までと同じやり方では同じ結論になっちゃう。そこのところからいろいろな工夫をされてみてはいかがかなと思うんですが。以上です。
○稲垣委員 村議会の稲垣ですが、委員の方から航空路の問題で発言がありましたので、村民の現在抱えている率直な、そして切実な思いを皆さんに聞いていただきたいと思います。
 村の基本計画は、本来、航空路の確保にありました。現在の振興法の諸事業においても、扇浦第二集落、マリーナ整備そのほかの事業に関しても、すべて航空路の開設と補完をやりながら村の自立をなしていく、そういう位置づけできております。
 小笠原空港について一言所見を述べさせていただきますが、資料5の本土との航空アクセスというところで小笠原空港整備の検討経緯とあります。この中で、東京都は都営空港として小笠原空港の整備を平成元年に公表しました。そして兄島が適地であるということで兄島空港案が決定いたしました。しかし環境庁から、環境の面で兄島は問題がある、兄島以外で検討しなさいということで、東京都はその後9カ所候補地を出しまして、現在の時雨山周辺域を決定しました。そして第7次空港整備の中で14年度着工を目指して、計画が案として現在あります。
 しかし、東京都知事の交代に伴って空港に関していろいろな発言があるのは皆さん御存じだと思います。その中で時雨山周辺域に関しては知事としては財政の面で問題がある。代替案を出すとか、そういう発言がたびたびありました。そのたびに我々村民は一喜一憂しております。
 このことに関しては、東京都の事務方の方も同じ気持ちだろうと思います。しかしながら我々は、我々の先輩、先人が累々と積み重ねてきた空港に関しての努力に報いるためにも、ここまできた計画を砂上の楼閣のごとく捨て去るわけにはいかないんです。小笠原の最重要課題は、過去も現在も航空路にあります。振興事業の根幹も航空路があるということで始まっております。我々村民の命も限りがあります。我々の人生はすでにリセットはききません。
 また、当初、航空路の開設までの対応策としてTSLについて早期に対応していただけるものと期待しており、宮澤村長は波が荒い中を何回も陳情を重ねてきましたが、いまだに回答をいただいておりません。
 我々村議会は、村民の悲願としての航空路確保を、東京都をはじめ国へ何回も陳情、要望活動を重ねてまいりました。結果はまだ出ておらない状態でございます。東京都は航空路についていま一度村民に対して責任のある説明をしていただきたい。このように村議会としては考えております。審議会の皆さんにもこのことを御理解いただきたいと思っております。どうもありがとうございました。
○森会長 伊中先生、空港の問題は、稲垣さんからお話がありましたとおりのいきさつで今日に及んでいます。村あるいは議会、村民の方々が空港に寄せる熱意といいますか、期待、願望は、ここにいらっしゃる先生方は皆さんよくおわかりだと思います。ただ、諸般の情勢が変わったこともあり、今後どうするか、もちろん都が中心に考えるべきことだろうと思いますが、大変ナーバスな事態になっているということは現実の問題としていえるのではないかと思います。あえて都の方から現段階での対応策をお聞きするということは酷だと思いますので、これは避けたいと思いますが、都の方でも稲垣さんの話も十分斟酌されて、今後どういうふうに持っていくか真剣に考えていただきたいと思いますし、TSLの話も、今は25時間、これができますと15時間になるんですか。時間距離はかなり減りますが、それでもヨーロッパへ行くより遠いということであります。かつ、費用がかなりかかるという問題点もあるようでありますが、その辺も総合的な視野の中に入れて、十分お考えいただきたいと思います。ここで都の方から発言を求めるというのはちょっと酷かと思いますので、これは避けさせていただきますが、ほかに御意見がありましたら。
 どうぞ。
○小豆畑委員 空港に関して、森会長のまとめで十分で、これ以上申し上げるべきではないと思いますが、経過だけ若干申し上げますと、日本に復帰した翌年の昭和44年から、小笠原空港を兄島につくるということでずっと進んでまいりまして、過去33年の間、22年間にわたって各種調査が行われています。費やした調査経費は15億7,000 万程度になるかと思います。平成7年に、稲垣委員からもお話がありましたが、環境庁の御発言で時雨山周辺ということで変更になり、その後また地質調査なり環境調査あるいは風力調査なりが繰り返されて今日に及んでいると。33年間のうち23年間調査がある。その都度、小笠原関係者が一喜一憂してきたと。それが1つ。
 それから、沖縄や奄美と比較するには余りにも小さな小笠原でありますが、沖縄諸島、奄美諸島には計19の空港があると承知をしております。小笠原はゼロであります。宮澤村長も、お父さんを患者として水上飛行艇で内地に運ぶ途中亡くされております。生活を守る、生命を守るということを考えますと、いろいろ問題点はありますが、空港の必要性というのは非常に強い、高いものがあると考えておりますので、一言だけつけ加えさせていただきます。以上です。
○岩崎委員 小笠原の特殊性といいましょうか、他の地域にはないというところをもう少し前面に出した計画にしていただきたいなと思うのでありますが、地理的な位置づけですとか、前に申し上げたと思いますが、漁業水域をたくさん持っているとか、そういうことも含めてですが、ワン・オブ・ゼムではなくて、小笠原という特別の旗印、これまでのとは違うと、ぜひ掲げたいと思います。
それから、空港の問題は余り触れたくはないんですが、自然と人の共生ということをおっしゃったんですが、私は小笠原に関しては、手つかずの自然と、人が住むというメリハリの方が重要かなという気がしまして、全体としては共生なんですが、知事が小笠原大好きと言ってガラパゴスに行かれたというのを新聞報道で読んだんですが、あれを読んだときに、小笠原の南島あたりの問題だと思うんですが、ガラパゴスと小笠原を一緒にしてほしくないというのが私の気持ちで、「人が住んでいるんですよ、人が」という気持ちがしたわけです。99でしたか、島があって、人が住んでいるのは4つという感じでしたが、申し上げたいことは、手つかずの自然を残すところ、それはガラパゴスでもいいんですよ。だけど人が住んでいるところはそういうことで考えるというメリハリが非常に重要かなという気がします。
 こちらから、「亜熱帯のすごく自然がきれいなところね」と無責任に対岸の火事風に見ているのではよくないと思いますし、そこに暮らしている人々がいて、人がいるからこそその土地が重要であるということもあるわけですから、新たな旗印を掲げるときは、小笠原の特別な位置づけというのをちゃんと理論武装してやっていただきたいと思います。そういう意味では来年度と言わずに準備していただきたいという気がいたします。以上です。
○川崎委員 私も岩崎委員がおっしゃったとおりだと思うんですね。自然というのは非常に大事ではあるんですが、人間あっての自然というと言い過ぎかもしれないですが、自然のための自然というのは行き過ぎた議論で、人間あっての自然という考え方をもう少し押し出して小笠原の問題は考えていった方がいいんだろうなと。私が先ほど人間と自然の共生と言ったのはそういう趣旨で、自然は自然として大事にしていかなければいけない部分は当然あるんですが、人間を中心としながら自然を考えていくということではないかという気がしておりますので、今の岩崎委員の御意見に付け加えさせていただきます。
○岡田委員 小笠原の将来について大変貴重な御意見が出ていると思うんですが、私は、今度総合調査で評価をなさって、何度も事務局がおっしゃっていますように、私もそう思いますが、基盤的なインフラについてはほぼできてきたと。そして老朽化したものが更新されていく。多分それも機能的に向上しつつ更新されていくという形になって、島民の皆様にとっては環境はある程度整っていくということになるんだろう。そういう結果が出てくるんだろうと思うんです。そしてIT関係とか医療関係のシステムの新しいものを取り入れていくという形で、この3つを考えると非常によくわかるんですが、将来のことを考えると、島の大きさからいえば日本全体から見てほんのわずかですから、日本全体の国民がいろいろな意味で負担し、応援していくということは大したことはないかもわからないけど、小笠原に住んでいらっしゃる方の生きがいということからいえば、自立という言葉でしかないと思うんですが、そういう側面がどうしても要る。
 だから、空港の問題も関係してくるけれども、島民の方だけがお使いになるという目的ではなくて、島民でない人が小笠原の活動に参加するという将来を考えないと、島民の皆さんが本当に満足されるような将来というのがイメージできにくいところがありまして、今おっしゃったような自然との共生とか、そういうのはものすごく大事だと思いますが、それプラス、外からも人が入ってくるという形のものがどうしても必要ではないか。今度の総合調査も、そういう将来を見据えながら、環境がどう整ってきたのかという評価をしていただけたらいいのではないかと私は思っているわけです。
○秋本委員 申し上げようかなと思うことは伊中委員とかからお話があったんですが、私は、振興開発に関する総合的な調査を行うときに、空港についてどういう前提を置いて考えていくかによってこの調査というのはかなり変わってくるんじゃないかという気がしていて、先ほど森会長が整理されましたように、今どうこうと申し上げるつもりはありませんが、総合的な調査をこれから行いますというときに、空港の問題をどうしていくのかということがないと非常にやりにくいんじゃないか。非常に難しいんだと思いますけど、方向性をしっかりしていかないと調査そのものもできない。これから先の計画だって非常に難しいんじゃないかという気がいたします。
 それと、私のような者が申し上げることはありませんけど、時雨山に決定をした前後にこの審議会も開かれたことがあって、私、個人的には兄島のころに地方振興局に勤めさせていただいていて、あのときは兄島ということで関係方面もみんな了承されたんだと私は聞いていた。ところがそれがだめで、今度は時雨山だということなもんですから、時雨山で大丈夫なんですねと審議会の席でも何人かの方が、私もその一人だったと思いますが、確認をしたことがあって、それがまた進んでいかないということになってくると、今まで関係した人たち、島の方が一番でしょうけど、釈然としない思いをしているんじゃないかなという気がいたします。
 今これ以上のことをお話しいただく必要はありませんが、例えば環境の問題というのが大きくあるのかもしれませんが、同時に財政的な問題があるということになった場合に、時雨山でやるんですということになったときに、私はこの席で、具体的な財源措置の問題というのがこれから大きな問題になりますよねと。すぐということではないけど、早くそのことについて詰めなければいけないんじゃないでしょうかと申し上げたと思うんですが、本当に小笠原で空港をつくることになった場合に、財源措置を通常の3種空港とかと同じような、3種ではないだろうと思いますが、どうしていくのか、小笠原村の問題だけではない、東京都だけの問題でもないという観点をどう持ち込めるかといったことが本当は必要なんじゃないか。あの当時もそういう議論をしたと思います。
 どういう問題があるのか、それぞれお詰めになると思いますが、これから先の総合調査、あるいはこの法律をその次にどうするのかというときに、空港についての方向性がないままというのは非常にやりにくいんじゃないかという気がしますので、出来る限り早く進めていくように、我々の立場で応援できることがあれば応援をしなければいけないんじゃないかという気がしていますが、そういうことで御検討をいただければと思います。
○山口委員 空港の議論は避けてと思っておりましたが、今おっしゃったように、長期的に考えても空港機能というのは何らかの形で必要だと思います。多分、東京都もそのようにお考えだと思いますが、長期的な形で、こういうふうにすべきだというものを考えていくべきだと。沖縄あたりに私も時々行きますが、小さな離島にも、飛行機に乗ると30分ぐらいで着くようなところにも空港があって、ダイビングの方がたくさん乗っていっているというニーズもあるわけですし、長期的に見た地域のニーズというものもよく考えて、先ほどから議論が出ています共生といいますか、私も人間があって自然があるという考え方ですが、長期的な観点で計画を考えて、実施は、財源の議論とかいろいろありますから、そういうものを考えてやっていくべきじゃないかと思います。
○@委員 先ほど、小豆畑委員からの発言だったかと思うんですが、復帰後33年間のうち23年間が調査期間だったと。要は調査ずくめであったと。これは基礎的な調査で、それはそれとしていろいろな事業を導入するときに重要な調査ではあったかと思いますが、果たして15億円をかけた何十回にわたる調査そのものがどれだけの効果があったのか、調査のあり方自体も見直さなければならないのではないかと思います。というのは、どこまで島民の方々の意見を吸い取る場となっているのかということがあるかと思います。
 例えば総合的な調査についての1ページですが、遅れているか遅れていないかという表記が非常に目立つんですが、確かに復帰後、遅れているところは経済量的な発展で取り戻さなければいけないと思いますが、皆さんがおっしゃっているように地域的な個性ということを考えたときに、遅れているか遅れていないかの議論では結果が出ない部分もあるかと思います。そうなったときに、島民の方の真のニーズを酌み取るべく、例えばこういう調査の中に、外部的評価が通常行われている評価手法かと思いますが、内部評価もまた評価の1つの手法でございますので、ニーズを酌み上げるという意味で島民の方々を委員の中に盛り込んだような調査もされてはいかがかなと。これは提案ですが、そういうことを感じました。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 今、島民の方の意向というお話が出ましたが、この調査も国と東京都、村と分担してやっておりますので、東京都の方では今後、この成果について島民の方にアンケート調査等を実施したいと考えておりますので、そこで意見の酌み上げをやっていこうと考えております。
○森会長 いろいろ御意見を頂戴いたしました。空港問題は避けて通れないというのは皆さん方共通の御認識だと思います。空港問題を抜きにした計画というのは現実問題としては全く意味がないと言い切っても私はいいだろうと思います。こういう審議会の委員の空気といいますか、物の考え方を十分お考えになった上で対処していただきたいと思います。

(4)そ  の  他

○森会長 ということで、時間の関係もございますので、また次の機会に御議論を継続させていただきたいと思いますが、きょうはまだ議事が若干残っております。国土交通省から平成12年度小笠原諸島振興開発実施計画の変更の報告がございますし、また東京都から平成14年度における小笠原諸島振興開発事業の方針について説明がございます。よろしくお願いいたします。
○大木特別地域振興課長 資料6でございますが、平成12年度小笠原諸島振興開発実施計画の変更でございます。
 前回の審議会で御説明したところでございますが、12年度の実施計画、年度当初において東京都の財源不足を理由に国の予算額の満額は計上しておりませんでした。前回の審議会で皆様の御理解により、年度途中に不足分について東京都で予算措置された際には、実施計画の変更については会長一任の取り扱いとさせていただいたところでございます。その結果について本日御報告させていただきます。
 今年の3月に、東京都の補正予算において振興開発関連予算が追加計上されました。その上で都から実施計画の変更について国土交通省あてに協議がされてきたため、これを受けて森会長及び関係行政機関の御了解を得て3月22日付けで変更について同意いたしました。
 変更内容としては、港湾関係で沖港の防波堤及び船客待合所の調査設計、緑地等施設整備の実施、それから、地元漁船の拠点港としての機能の充実を図るため、二見漁港の道路整備及び母島漁港の防波堤、泊地整備の実施、合わせて国費ベースで5億8,000 万円の増額がなされたところでございます。以上、この場をお借りして御報告させていただきます。
○高橋東京都島しょ・小笠原振興担当部長 続きまして平成14年度小笠原諸島振興開発事業の方針について御説明をさせていただきたいと思います。参考資料1をご覧いただきたいと思います。
 平成14年度の主要事業として、本年度に引き続き、産業振興・観光整備事業、生活基盤整備事業、交通基盤整備事業を推進していくこととしております。
 まず産業振興・観光整備事業でございますが、4つの事業を中心に推進してまいります。1点は、観光と自然との調和を目指して、近年、人の入島に伴い外来種の増加や踏み荒らしにより固有種の被害の著しい南島をはじめ、その他の属島も含め、自然公園施設として植生回復を行っていきたいと考えております。それから2番目として、観光客の窓口となる父島大村地区に観光施設として都市公園施設を整備してまいります。3番目として、持続的な養殖生産を確保するのに必要な魚類の防疫態勢の強化を図るため、水産センターに研究設備を設置してまいりたいと考えております。第4番目でございますが、ラテライト土壌の改善に加え、資源の有効利用を目指して母島に堆肥センターを建設してまいります。
 次に生活基盤事業でございますが、5つの事業を中心に推進してまいりたいと考えております。第1に、扇浦地区整備基本計画に基づき、観光客受け入れのため同地区の新設村道の整備に着手いたします。第2番目として、先ほどもちょっとお話が出ましたが、離島における医療において最も重要とされる診断・検査能力を向上させるため、今年度の母島に続き、父島にCT設備を導入したいと考えております。3番目として、環境容量を考慮しながら簡易水道施設整備及び地域し尿整備を行ってまいります。第4に、資源循環型地域社会の構築を目指し適正なごみ処理を行うため、14年度内に母島に中間処理施設を設置し、稼働させたいと考えております。第5番目でございますが、ITの利点であります距離的・時間的制約の解消を有効に活用するため、村内に高度情報ネットワークシステムを整備し、情報伝達基盤を確立するため、地域情報化実施計画を策定してまいります。これは、昨年郵政省の補助事業として「e島おがさわら」構想という形でお示しさせていただきましたが、残念ながら事業採択になりませんでしたので、振興開発事業の中でソフト事業として予算化をしていきたいと考えております。
 次に交通基盤整備事業でございますが、大型船の接岸に向けて、引き続き岸壁改修を実施する。それから村道のインターロッキング化及び未改良地域の道路整備事業、それから拡幅整備及び危険箇所の災害防除工事を実施したいと考えております。
 先ほどからソフト化の御意見もいただきましたが、継続事業を実施しながら、一部新しい事業としてITの事業に取り組んでいきたいと考えております。以上でございます。
○森会長 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして御発言がございますでしょうか。
 それでは、先ほど来議論が重ねられました小笠原の施策のあり方等について、時間の関係で発言できなかったとか、言い足りなかったという委員各位の御気持ちもあるかと思います。事務局の方に、後日、口頭でも文書でも、あるいはハイカラなEメールでも結構でございますし、御気持ちを伝えていただければ大変幸せでございます。
 それから、これは余計な話ですが、私個人で言いますと、もう少し資料の字を大きくしていただいた方が皆さん方がお読みになりやすいのではないかという気がいたします。
 それでは、きょうの議案はすべて終了いたしました。本日お集まりの各省庁をはじめ政府当局、東京都、小笠原村におかれましては、きょうの委員の皆様方の御意見を参考にされ、格段の御努力をお願いしたいと思います。
 最後になりましたが、東京都の福永副知事さん、小笠原村の宮澤村長さんからご挨拶のお申し出がございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 どうぞ。
○福永副知事 東京都の副知事の福永でございます。知事に代わりまして一言皆様方に御礼を申し述べさせていただきたいと存じます。
 本日は、委員の先生方並びに国土交通省をはじめとする各省庁の皆様方には、御多忙の中、御熱心に平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画及び同諸島の振興開発について御審議を賜り、誠にありがとうございました。
 21世紀の初年度となります平成13年度の小笠原諸島振興開発事業につきましては、東京都も御案内のとおり依然として厳しい財政状況の中ではございますが、着実に新しい小笠原諸島振興開発五箇年計画を達成するため、引き続き交通施設、産業振興及び生活基盤整備等の各種振興施策を実施し、村民の皆様の生活の安定と小笠原村の自立的発展の推進に努めてまいりたいと存じます。
 また、小笠原諸島の素晴しい自然環境は、村の最大の資源であるばかりでなく日本全体の共有財産であることからも、小笠原村と十分に協力しながら、この魅力ある貴重な自然の保全に向けて更なる努力を重ねさせていただきたいと思いますし、お話のありました自然環境との共生を目指した新たな観光施策の構築も図ってまいりたいと考えております。
 さらには、会長のお計らいにより私どもの発言をお許しいただいたわけでございますが、航空路の開設につきましても、東京都としては重要な課題であると認識をしており、さらに具体的なものに向けて努力をいたしたいと思いますが、いかんせん国、都を問わず財政状況の厳しい中で、巨額の経費をどのような形で負担をしていくかという問題もございます。都民、国民の皆様方に納得のいただけるような方法を模索しているというのが実態でございますので、是非よろしくお願いいたしたいと思います。
 今後とも委員の皆様方、あるいは国土交通省をはじめといたします各省庁の皆様方に一層の御指導と御協力を賜りまして、私どもとして最大の努力をしてまいりたいと思います。これからもどうぞよろしくお願いいたします。
○宮澤村長 小笠原村長の宮澤でございます。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 委員の皆様をはじめ国土交通省並びに東京都の皆様におかれましては、日頃より小笠原諸島の振興開発について御尽力を賜り、厚く御礼を申し上げます。また、本日は平成13年度小笠原諸島振興開発実施計画をはじめ、小笠原諸島の振興について貴重な御意見をいただきましたこと、重ねて御礼を申し上げます。
 さて、我が国経済における景気の低迷は今なお続いているところでございます。小笠原村におきましても観光客数の減少をはじめ、あらゆる分野において少なからずその影響を受けているのが実態でございます。その厳しい状況を打開するため、私もさまざまな可能性を調べ、お願いをしてきたところでございますが、その一つの契機が間もなく訪れるのではないかと考えております。それは超高速船テクノスーパーライナー、いわゆるTSLの就航でございます。私は、我々村民の悲願であります航空路開設がなかなか進まない中、海上交通アクセスの改善を当面の小笠原村に活力を生み出す大きな契機としてとらえ、村の真の自立に向けた抜本的施策を今後さらに進めてまいりたいと思っております。
 また、その自立に向けた施策を進める中で、小笠原しかできないこと、小笠原だからできること、これを私は「小笠原主義」と称し定義づけておりますが、小笠原主義を視点とし、小笠原村の特性を生かした自立振興策を構築してまいりたいと思っております。
 総合的な振興策の構築はまだ若干の時間を要しますが、一部具体的なところとしては、他の地域に真似のできない海の清浄性を生かした製塩事業を手がけてみたいと思っております。観光振興においては、豊かな自然を生かしエコツーリズムを基軸とした新たな観光誘致策、また超遠隔離島であるがゆえのIT事業への先進的取り組みを行い、村民生活の充実を図るなど、小笠原しかできない施策、小笠原だからできる施策を打ち出してまいりたいと考えております。
 今年度の振興開発事業については、本日の審議をもとに着実に事業を実施いたしますが、平成14年度以降におきましては村の施策にも合致させた事業が積み上げられれば幸いかと思っております。今後とも小笠原村の自立発展に向け、より一層の皆様方の御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本日はありがとうございました。
○森会長 福永副知事さん、宮澤村長さんから大変力強い御発言をいただきました。誠にありがとうございました。
 ここで事務局からお知らせがあるようでございます。
○大木特別地域振興課長 先週末に御連絡を申し上げたところですが、小笠原諸島への現地視察については、防衛庁などの関係機関の御協力を得まして、来月、8月29日から31日にかけて実施することとなりましたので御報告いたします。なお、御案内させていただきましたとおり、ヘリコプターの定員に限度がございますので、参加者数が限られております。参加者については後日調整させていただきたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。
 それから、次回の審議会の開催については後日御連絡することとしたいと思います。
 そのほか、参考資料として1月の扇大臣の現地視察の件、それから前回審議会の席で御指示のありましたこれまでの国土庁の調査の概要を取りまとめたものを用意しておりますので、御参考としていただきたいと思います。以上です。
○森会長 ありがとうございました。
 それでは、以上をもちまして本日の会議を終了させていただきます。長時間にわたり御協力いただきまして大変ありがとうございました。

  閉      会                




     



                                  − 以 上 −


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