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平成13年5月9日
平成12年度
下水道における内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)に関する調査の結果について


 この度、平成12年度の下水道における内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)に関する調査の結果がとりまとめられた。本調査は平成10年度より3ヶ年にわたり実施してきたものであり、本調査結果はその成果をとりまとめたものである。
 国土交通省においては、水環境保全のための根幹的な社会基盤である下水道における環境ホルモンの実態について調査するため、平成10年度に学識経験者及び行政関係者からなる「下水道における環境ホルモン対策検討委員会」を設置し、地方公共団体と共同で調査を実施してきた(全国47下水処理場で調査実施)。
 この結果、以下のとおり、下水処理場における水処理、汚泥処理の過程を通じ、環境ホルモンはかなりの程度除去できることが確認された。


 本調査で得られた主な知見は次のとおりである。
  • 流入下水中の環境ホルモンは下水処理の過程で大きく低減し、物質の種類により相違はあるものの、多くの物質で放流水中では90%以上減少している。さらに、高度処理を行えば、多くの物質でほとんど検出されないレベルにまで低減している。
特に平成12年度の調査では次の知見が得られた。
  • 汚泥処理の過程での環境ホルモンの濃度の低下の状況について
    → 焼却した汚泥では環境ホルモンはほとんど検出されない。
  • 水処理の方式と低減効果との関係について
    → 窒素除去型の高度処理施設のように、反応タンクで長い滞留時間を確保することができる水処理施設では、環境ホルモンがより大きく減少する傾向がある。
  • 下水処理過程における環境ホルモン物質の形態ごとの存在について
    → @洗剤などに利用されるノニルフェノール関連物質は、ノニルフェノールエトキシレート、ノニルフェノキシ酢酸類、ノニルフェノールから成るが、放流水では、合計としては大きく減少している。またノニルフェノールの形態として存在するものよりもノニルフェノールエトキシレートやノニルフェノキシ酢酸類の形態として存在するものの方が多い。
    → A人畜由来ホルモンであるエストロゲンは、17β-エストラジオール、エストロンから成るが、放流水では大きく減少しているとともに、ほとんどがエストロンの形態となっている。
 本調査は、世界でも類例のない規模で行われた調査であり、今後の下水道における環境ホルモン対策の検討のために、また、各分野での調査研究のためにも有用な成果であると考える。
 国土交通省としては、これらの成果も活かしつつ、今後ともリスク管理の観点からさらに検討を行い、環境ホルモンへの適切な対応に努めていくこととしている。

 概要版 (59KB)
 全体版 (615KB)

■下水道における環境ホルモン対策検討委員会
委員長 松尾 友矩 東洋大学工学部環境建設学科 教授
委員 井口 泰泉 岡崎国立共同研究機構統合バイオサイエンスセンター 生命環境研究領域 教授
藤田 正憲 大阪大学大学院 工学研究科環境工学専攻 教授
眞柄 泰基 北海道大学大学院 工学研究科都市環境工学専攻 教授
松井 三郎 京都大学工学部付属 環境質制御研究センター 教授
藤木 修 国土交通省都市・地域整備局下水道部下水道企画課 下水道事業調整官
高島英二郎 国土交通省都市・地域整備局下水道部流域管理官付 流域下水道計画調整官
高橋 正宏 国土交通省土木研究所下水道部 新下水処理研究官
田中 宏明 国土交通省土木研究所下水道部 水質研究室長
大嶋 吉雄 日本下水道事業団技術開発研修本部 技術開発部長
串山宏太郎 東京都 下水道局技術開発担当部長
木葉 佳成 大阪市 下水道局建設部長
事務局:財団法人 下水道新技術推進機構
(平成13年3月現在)

下水道における内分泌攪乱化学物質に関する調査実施都市
東京都・茨城県・埼玉県・滋賀県・京都府・大阪府・札幌市・仙台市・ 川崎市・横浜市・名古屋市・京都市・大阪市・神戸市・福岡市
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問い合せ先:
 国土交通省 都市・地域整備局 下水道部
 TEL:03-5253-8111(代表)

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