国土交通省都市・地域整備局下水道部
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下水道未来計画研究会の提案に対するご意見の報告

国土交通省では、平成16年4月23日から平成16年6月23日まで、下水道未来計画研究会の提案について、広く国民の皆様からご意見を募集させて頂きこれに対して、38件のご意見をいただきました。

お寄せいただいたご意見について、以下の通り取りまとめましたのでご報告いたします。

また、今回の意見の募集にあたり、ご協力いただきました方々へ厚く御礼申し上げます。

下水道未来計画研究会の提案に対するご意見
NO 意見対象 提案タイトル 意見概要
1 全般
自由な発想は素晴らしいが、都市部を対象とした提案が多いように感じた。
都市部での実現可能性はあるかもしれないが、農村地域の視点にたっての提案もあればよかった。
2 全般
右肩上がりの幻想にとらわれず、少子高齢化、水資源、エネルギー資源・環境容量の制約を意識し、人口減少・節水指向→流入水量減→料金収入減を見通していることも今までの計画論と全く違い評価できる。
水循環の中での下水道という発想は高く評価できる。わが国の水循環は様々な問題があり、報告書で引用されている「日本の水資源」については、もっと裏まで読むと良い。
3 全般
再生水利用が進まない理由として処理場の立地を問題にする点等現場の疑問がストレートにでている点がよい。
4 全般
現行の処理場は雑多な排水を処理するシステムだが、排水の性質が単純ならより効率的な処理システムが可能であり、その意味でし尿・雑排水を分離収集する提案が多かったのは新鮮である。
ビル単位やコミュニティ単位のリサイクルは決して無理な提案ではないし、上水道の使用量・河川取水量が減り、利水ダムが不要になることも考えられる。
5 全般
他の行政分野に積極的に発言していることも評価できる。
なお、食糧・農業問題に多くの関心が寄せられているが、私見は水田の保水力回復が対極的にベストだと思う。
ヒートアイランド対策は空調電力の節減というエネルギー対策の柱と捉え、エネルギー予算から資金を調達するよう要求すべきである。
6 全般
汚泥問題は、バイオマス・リサイクル派と発生量減少派に分かれているがどちらも正しいので、処理場の立地、規模等の指標からどちらに特化すべきかガイドラインが望まれる。
ただし、下水道への生ゴミの取り込みは、下水に混ぜるより生ゴミ専用処理装置に投じる方が格段に経済的であり、競争力はない。
7 全般
巨大な地下構造物やもう1系統の管路網の整備などは、かなりの追加投資が必要であり、コスト計算はどうなっているのか心配である。
8 全般
いろいろネガティヴな意見がトラディショナルかつコンベンショナルな考え方の方面から出ることと想像されますが、メンバーのみなさんは自信をもって新しい考え方で仕事を進めていただきたい。
9 全般
国民のニーズに合っていることが大切である。有望商品として、雨水管理と水資源、国境を越える水(水以外の形で越えられないか例えば農産物とか)、排水系統の分離、脱化石燃料、世界一の水と緑の都市、都市構造に即した下水道、食糧難時代の下水道、WATERPOWER(住民との協調)、超上水道、ユピキタス下水道などがある。
もう少しずばり明確に強調してほしい点として、ディスポーザ、ネットワーク、浸透貯留、雨水コントロールなどがある。
10 全般
行政組織が実行する下水道事業では、これまで各省庁の役割分担が明確であったために必ずしも最大効率が達成されていない事態があった。報告書の中で「他の行政分野との協調」が多くでてくるが、下水道が主体となって他の省庁に働きかけて実現できたらすばらしいシーズとニーズが報告書の中にたくさんある。
11 全般
グレードアップには、改築更新が絶好の機会であり、現在の下水道施設の存在を前提にしてその延長線上に無理なく乗れるような眼に見えるようなシナリオを用意しておくことが必要である。
12 提案1 「効率的な雨水管理による安定した水資源確保を目指して」
大都市は既に合流式で整備されていること、中水利用には集水設備・送水設備のコストから雨水の中水としての利用はスポット的なものとなるのではないか。
克服すべき課題は多いが今後の方向性を示唆する提案である。
オンサイト的な中水利用は突き詰めれば各家での雨水貯留である。一戸建向けの雨水利用タンクへの補助などにより普及・啓蒙を図ってはどうか。
13 提案1,2,3 「効率的な雨水管理による安定した水資源確保を目指して」
「100年後の職住近接立体都市の創造」
限られた資源での最大の効果、より一層の効率的事業を行うためには、管轄の一本化や関係事業の連携による実行ある体制が必要である。
14 提案1など 「効率的な雨水管理による安定した水資源の確保を目指して」など
雨水管理の問題提起は正しいが、中水供給プラントや大規模貯留槽より地下水管理にウェイトをかけたい。江戸時代並みの流出係数に抑えること、井戸を復活させれば防災上も有効である。
15 提案2 「水ゼロエミッション」
「再生水の用途として洗濯や風呂」とあるが、洗濯や風呂に再生水は使いたくないという考えもある。利用者の意識改革を先行させないと難しい提案ではないか。
水ゼロエミッションはいいネーミングである。下水道の名称を「再生水道(中水道・高度処理水道・水資源中水道)」にしイメージアップを図り、事業に関わっているという誇り・プライドをもてるようにしてほしい。
16 提案2など 「水ゼロエミッション」など
地区内循環で河川取水量を減らすという考え方は、河川と地下水を殺す下水道との一部批判に正面から応えるものであり支持できる。
中水道はビルごと、街区ごとの再利用はいいとしても、面整備となると河川上流に逆送とか再生水の地下への圧入と同量をくみ上げるなど、自然のフィルターを通した方がよい。
17 提案3 「国境を越える水」
地球規模のCO2削減の考え無しに環境問題・水問題(の解決)はありえない。
設備建設=エンタルピーの増大になるので、いっそ昭和30年代の日本の生活レベルまで戻してしまった方が得策ではないか。
水を徹底管理し、溜め込むのではなく、昔のような水の自然循環(雲→雨→川→海→雲)に戻すことを考えてはどうか。
18 提案3など 「国境を越える水」など
水の輸出は、日本がリードしている海水淡水化技術では蒸留方式から浸透膜方式に転換が進んでおり選択肢として検討する価値はある。
19 提案4 「水循環社会の創造」
下水処理水の水道水源地域への送水について、現行の下水道の品質管理体制、放流基準では飲料水の安全を保障できない。
クリプト、環境ホルモンなど、微量汚染物質などの問題に対応できるか。
20 提案5 「排水系統の分離による効率的かつ効果的な栄養源の回収と水利用の実現」
リン等の資源回収については、し尿処理の分離化より、現在の下水処理場を活用した一極集中管理の方が理想的である。
総合的な観点から水をマネジメントする政策を打ち出すには、各省庁の連携が必要不可欠であり、また官学民からなる諸団体(JS、水道技術センター等)の結成も有用である。
循環型社会構築に向け、社会(住民)に対して下水道の役割等を積極的にPRすることが必要である。また、住民が下水道事業に対し参加できること、事業主体として住民にお願いしたいこと等を明確にしていく必要がある。
21 提案5など 「排水系統の分離による効率的かつ効果的な栄養源の回収と水利用の実現」など
し尿と雑排水の分離は大胆な政策転換の提案。別系統の管路網整備と回収される資源で費用のバランスが取れるか疑問だが、モデル事業でやってみてはよいのではないか。
風呂水の再利用は賛成である。
22 提案7 「リサイクル自立型コミュニティ」
将来の下水道施設を小規模化させることに賛成である。各小学校、公園に下水道施設を設置することで自分の排泄物が身近な場所で処理されれば、下水道に対する認識も変わるのではないか。
家庭内の排水を飲料用以外は再生水と区分することで水に対する認識も変わるのではないか。
23 提案7など 「リサイクル自立型コミニュティ」など
大規模処理場の郊外立地が再利用の妨げという問題意識は正しい。小規模分散・街中立地には完全密封型のコンパクトな処理場の技術開発が必要である。
24 提案8 「資源・エネルギー・温室効果ガス対策が存続条件となる都市」
「都市に散らばる全ての資源・エネルギーを回収・利用できるような都市づくり!」に心惹かれた。
新エネの中で最も社会的意義のあるものは下水道エネルギーだと思う。他の新エネに比べ、下水道は廃棄物からエネルギーを得る、マイナスから有をえるので新エネの中でも、単なる原油換算量以上の価値をもっているのではないか。
コジェネのシステムを組めば汚泥を全量消化ガス発電に利用する場合とほぼ同量の熱エネルギーが回収されるし、汚泥自身も熱エネルギーを有しているので無駄なく利用すれば、総合的な自給率は高まるはずである。
25 提案10 「下水処理場におけるゼロエミッション構想〜エネルギー自立型下水処理場〜」
畜産の糞尿(豚糞尿、牛糞尿他)と下水汚泥との融合消化設備が実現できれば、メタンガス発生量が増加しより効果的ではないか。
また、融合消化汚泥を堆肥化すれば、下水汚泥に不足するカリウムを補うことができること、畜産汚泥を混ぜることで農家への意識の変化が期待できること、といったメリットもある。
26 提案10など 「下水処理場におけるゼロエミッション構想〜エネルギー自立型下水処理場」など
汚泥消化ガスに自然エネルギーを組み合わせて100%自給という提案はきわめて現実的な提案である。もう一歩進めて余剰エネルギーを売る提案までには、ガス生成率の高い微生物の分離や排水でのエネルギー作物の栽培など夢のある提案や、現実的な熱回収なども検討が必要である。
バイオマスだけでのエネルギー自給の議論には生ゴミの全面的取り込みが前提となりますが、これはやめたほうが良い。エネルギー回収行政手段として下水道行政はゴミ行政よりかなり遅れている状況にある。正しく分別された生ゴミはエネルギー資源、肥料・資料、生分解性プラスチックの原料として無限の可能性がある。
27 (ディスポーザに関する提案全般)
ディスポーザは、深刻な生ゴミ問題の解決、福祉対策、ゴミ処理にかかる行政コストの削減、環境負荷の低減等社会的に大きなメリットがある。
現行の下水道施設の改善や汚泥処理の増加など下水道関係のコストアップ要因はあるが、デメリットを克服しメリットを活用する政策を推進すべきである。
生ゴミを重要なバイオマス資源と位置付け、ディスポーザの利便性を活用した生活文化の向上と生ゴミの資源としての有効活用を図る政策転換が求められる。
28 提案12 「Re-Water System〜水の完全利用を追及したシステム〜」
低コストで地域内の汚水処理が可能になれば排水管渠が大幅に削減できる。また、無水方式の管内移送技術、汚水処理システムの確立で地域内循環型システムの構築は可能ではないか。
29 提案14 「泳ぎ・遊び・なごめる川づくり」
水辺整備への整備税を設ける等により財源を確保し暮らしやすい都会にしてほしい。
30 提案15など 「緑あふれる都市環境」など
ヒートアイランド対策に再生水で貢献できることは大賛成である。
31 提案16など 「既存施設の有効利用 更なる公共用水域の水質保全へ」など
既存施設の有効利用に対しては、大いに心理的抵抗感がある。初めから無駄なものを造るなといいたい。
32 提案18など 「処理場のいらない下水道」など
管渠に自浄能力を持たせるという革命的提案はユニーク。上流の水源からミネラルウォーターを直送する超上水道もユニークである。
33 提案22 「食糧難時代を生き抜け!ニッポン〜処理場を中心とした食糧生産システム〜」
下水道の有効利用によりわが国の食糧自給率を上げ、世界の食糧不足を改善することは大変重要である。
ただし、処理水や汚泥に含まれる重金属等のイメージから農業経営者に抵抗があり、水質、成分のレベルの検討が必要である。
また、水質を良くするための設備投資が食糧コストに反映されると消費者は購入しないのではないか。
34 提案22など 「食糧難時代を生き抜け!ニッポン〜処理場を中心とした食糧生産システム〜
農業活用の提案について、遊休農地活用は現実的な発想である。広大な敷地と豊かな水に着目した施設づくりは考えられる。水耕栽培の手法をとりいれるのもよい。
35 提案25など 「世界に誇る日本の下水道〜東アジアの一大センターとして〜」など
世界の環境対策への貢献の考えには賛成だが、高価でエネルギー多消費の日本型システムは途上国には合わない。安価でエネルギー自給型の技術開発が必要である。
36 提案26〜36など 「WATER POWERが街・人を変える〜行政と住民による水環境の創造〜」
生活スタイルに関する多くの提案は正しいと思う。
21世紀をリードするクールな生活様式を生み出すには江戸時代の研究が有益かもしれない。
右肩下がりの日本が世界に貢献するには、世界があこがれる生活様式を生み出すことが最も近道かもしれない。
37 提案28 「水を使って良くする水環境」
現時点で技術的に可能な範囲でかつハード面の構築が重要と考えるが、その点で比較的現実味のあるものと思われた。
サテライト的に処理施設を整備しその周辺地域で処理水を再利用することは有意義である。
処理水の供給元の処理場と需要先の都市等の距離が大きいことが処理水利用の遅々として進まない理由の一つであり本提案のメリットは大きい。
「水」の価値も再認識されるであろう将来は分散型の考え方も必要になる。分散処理施設の実現も十分に検討の余地がある。
38 提案36 「下水道ネットの構築〜余暇時間の増大やマルチハビテーションに対応した新しい下水道経営〜」
「他の公共料金徴収システムとの連携」とあるが、現状の連携が取れていない徴収システムはメーター記録の面でも人件費の無駄が生じており、早期の実現を期待したい。
集合住宅は戸別訪問によるメーター記録ではなく、一括管理も選択肢に加え、割引料金の設定も検討してはどうか。
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