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多様で柔軟な市街地整備手法
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「柔らかい区画整理」と「身の丈にあった再開発」

 市街地整備手法は、長年の事業実績の積み重ねの中で、凝り固まった既成概念に基づく画一的な運用がなされているのが実態です。今後は、以下のような「柔らかい区画整理」や「身の丈にあった再開発」といった柔軟な活用が求められます。

基本概念


工夫を凝らした中心市街地の活性化

事例@ 集約換地を活用した区画整理
       (滋賀県彦根市:彦根本町地区)

 中心市街地において、地域の状況を踏まえ、区域を柔軟に設定するとともに、地権者の土地利用意向等を踏まえ、現位置換地にこだわらず集約換地
事例@

【事業の特徴】
 土地区画整理事業の換地手法により、散在する商店や共同利用希望者の土地を集約し、商店街街区、集約施設街区等を形成


事例A 土地区画整理事業を活用した中心市街地の活性化
       (山口県宇部市:中央町三丁目地区)

 共同建替えを利用した定住人口の回復及び商業機能の再編
事例A

【事業の特徴】
・主な区画道路について、中心市街地にふさわしい魅力的な空間とするため、歩車共存型道路とする。
・敷地の共同利用及び優良建築物等整備事業を活用し、地区内の老朽建物の建て替えを実施。また住戸の一部を市営住宅として借り上げることにより定住人口の回復を図る。
・街づくり協定の締結により、屋根の形状や外壁の色等について協調化を図り、良好な都市空間の形成を実現。



点在する空地の集約化による土地の有効利用

事例B 敷地の整序に主眼を置いた区画整理(敷地整序型土地区画整理事業)
       (東京都港区:南青山二丁目地区)

 敷地が細分化され、低未利用地が点在している街区において、簡易な公共施設の整備とあわせ、敷地の整序・集約化に主眼を置いた区画整理を実施
事例B

【事業の特徴】
・敷地の入れ替え、集約化により、権利者の意向に対応した市場性の高い建築物の整備が可能となる。
・土地の有効高度利用が可能となるとともに、必要に応じて建築敷地と公共施設の整備が一体的に進められることから、高度利用に相応しい良質な都市環境が形成される。



細分化された街区の再編成と既存公共空間の有効利用

事例C 公共減歩を行わない区画整理
       (東京都台東区:御徒町駅南口地区)

 街区がいたずらに細分化されている地区等において、公共減歩に頼ることなく、公共施設の再配置により必要な公共空間を確保しつつ、街区を再編成することにより土地の有効利用を実現
事例C

【事業の特徴】
・敷地を分断している道路空間を駅前広場へ集約化
・駅前広場用地として民地のまま一部活用(地区計画で担保)
・敷地の一体的活用が可能となり有効利用が実現



事例D 公共施設の再配置と街区の再編を行う区画整理
       (鹿児島県鹿児島市:中町地区)

 街区がいたずらに細分化されている地区等において、公共減歩に頼ることなく、公共施設の再配置により必要な公共空間を確保しつつ、街区を再編成することにより土地の有効利用を実現
事例D

【事業の特徴】
・戦災復興土地区画整理事業により一定の基盤整備がなされた中心市街地において、市道の廃止・立体都市計画道路の整備と街区の再編を行うことにより、中心市街地の核となる商業機能の集積を図る。



大幅な更新を伴わない既成市街地の修復

事例E 修復型の区画整理
       (東京都江戸川区:篠崎駅西部地区)

 幹線道路が整備された「アンコ」の市街地などの整備にあたっては、全面更新型の区画整理ではなく、必要最低限の基盤整備と土地利用の整序を行う「修復型の区画整理」も有効
 比較的緊急性が低い道路は、地区計画等で整備計画を担保し、建物の建替にあわせて段階的に整備
事例E



工夫を凝らした密集市街地の解消

事例F 民間による小規模・短期間の区画整理
       (大阪府門真市:末広南地区)

 木造賃貸アパートをはじめとする老朽住宅が密集している地域において、アパート経営者が中心となって建替えを計画し、組合の区画整理を事業化
 市の行う老朽家屋の買収・除却事業(住市総(密集型))との合併施行により区画整理事業費を圧縮
 地権者でもある民間事業者の適切なコーディネートも一助となり、円滑な合意形成が図られ、共同化を図りつつ土地の有効利用が実現
事例F



公図混乱地区の解消

事例G 地籍整備に主眼を置いた区画整理
       (東京都江戸川区:西篠崎地区)

 地籍混乱地区においては、敷地界が確定できず、建築行為や公共施設整備もできない状況。このような場合、区画整理手法を活用し、現状に合わせた状態で換地処分を行うなど地籍を確定させる取組も有効

事例G



事業停滞地区の見直し

事例H 長期未着手地区等の見直しにおける「柔らかい区画整理」の活用
       (埼玉県桶川市:下日出谷東地区)

 土地区画整理事業の長期未着手地区や事業停滞地区については、集約型都市構造への再編を進める上での必要性・緊急性の観点から、再点検と大幅な見直しが必要
 この際、これまでにご紹介した「柔らかい区画整理」を活用することも有効

事例H



身の丈にあった再開発

事例I 身の丈にあった市街地再開発事業

 地方都市では、
  ・ひとつだけの再開発の成功より、むしろ規模を小さくして、複数連鎖的に波及させるべき
  ・高層建築になるのは、景観にマッチしない
  ・地域の床需要に合わせて保留床の規模を決定し、リスクを最小限に留めるべき
 であることから、身の丈にあったまちづくりが望まれている

事例I