W.引き続き取り組むべき課題
本答申は、都市計画法を中心とする法制度について、必要な見直しの方向を提示したが、都市計画制度ひいては都市行政の全体像を再構築していくためには、以下の点について、引き続き検討を深めていくことが必要である。
(1)国土計画、地方計画と都市計画との連携のあり方
首都圏等の大都市圏は、一体の都市として機能するものであり、都市計画上も、都道府県レベルを超えた鳥瞰図としての広域的マスタープランが必要であるという指摘がある。これについては、国土総合開発計画等の国土計画、首都圏整備計画等の地方計画、及び具体の土地利用規制等を定める都市計画という国土全体の計画体系の中で、それぞれの計画が、運用面を含め有機的に連携し、全体として効果的に機能しうるよう、都市計画の側からも、他のレベルの諸計画との連携の充実を図る必要がある。
(2)土地区画整理事業等の面的な整備事業と都市計画制度とを、より効果的に連動させるための方策のあり方
既成市街地の再整備を進める上で、土地区画整理事業等の面的整備事業の実施は極めて有効であり、その一層の促進を図ることが重要である。このため、面的整備事業の実施と用途地域など土地利用に係る都市計画とを、より効果的に連動させる方策等を講ずる必要がある。
(3)地区計画制度をより汎用性の高いものとするための制度改善
地区計画制度について、既成市街地の土地利用の改善のための主要な手段として、より汎用性の高い制度となるよう、定めうる内容や用途地域との関係等について、建築審議会で行われている建築基準法(集団規定)の形態制限等についての総点検等の動向を踏まえつつ、都市計画としても対応する必要がある。
(4)都市計画及び都市計画事業の円滑な実施を図るための財源措置や税制の充実等
望ましい都市像を実現するためには、都市計画法に規定する規制や事業のみならず、補助、融資、税制など総合的な取り組みが必要となることは言うまでもない。特に、緑地等の自然的な環境の保全を確実に図るためには、規制のみでは限界があり、地方公共団体による買い取りなどの財源措置や、関連税制のあり方などを含め、総合的な観点から、必要な措置を講ずる必要がある。また、地球温暖化の防止等地球環境の保全の観点から、環境負荷の少ない街づくりを実現するための総合的な取り組みについても検討を深める必要がある。
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