X.おわりに
当審議会では、基本政策部会の下に計画制度小委員会を設置し、平成11年3月から平成12年1月にかけて、新たな時代に対応した都市計画法のあり方について検討を進めてきた。検討の過程では、多くの団体や個人からヒアリングを行い、また、中間的に検討内容を取りまとめて、広く国民から意見を募集するなど、できるだけ各界各層の広範な意見を踏まえて検討を行うことを心がけた。
検討の集大成として、ここに制度改革案を提示する。この内容は、現行の都市計画法全般にわたるものであり、マスタープランや線引きなど都市計画制度の骨格をなす制度の見直しをも含むものである。また、都市計画区域外や非線引き都市計画区域のいわゆる白地地域などにおいては、現行の土地利用規制を強化する内容となっている。このため、新制度への移行に当たっては、これまでのものの考え方や都市計画の実務の場面で大きな転換が求められることになると考えられる。しかし、都市計画が真に将来のまちづくりの手法として機能し、広く一般の支持を得ていくためには、是非とも必要な改革であり、速やかな制度化を求めるものである。
また、都市計画制度は、それを利用する地方公共団体が、まちづくりに取り組む熱意をもって活用してこそ、はじめて効果を発揮するものである。地方分権一括法により都市計画に係る事務は地方公共団体の自治事務となったところであり、各地方公共団体が、都市を望ましい方向に変革していくという強い意思を持ち、また、地域の実情に応じた工夫をしながら、新しい時代の都市計画に主体的に取り組まれることを期待する。
さらに、新しい都市計画制度のもとでは、一般の市民の役割が一層高まることになる。市民一人一人が、市町村マスタープランや、地区計画といった身近な都市計画を中心に、都市計画に大いに関心を持ち、積極的にその決定過程に参画することが重要である。
なお、引き続き取り組むべき課題が残っていることからも明らかなように、都市計画制度自体、まだ発展途上であるし、社会経済情勢の変化に伴い、都市計画制度に求められる要素も変化、多様化する。都市の健全な発展と秩序ある整備を真に実現するためには、都市計画法に規定される土地利用規制や都市計画事業以外の多様な政策手段を含めた総合的な検討も必要である。当審議会としては、今後とも、国民の健康で文化的な都市生活と機能的な都市活動を支える望ましい都市計画制度の実現のために、不断の検討を行っていく決意である。
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