都市計画法及び建築基準法の一部を
改正する法律案要綱

第一 市街化区域と市街化調整区域との区分制度及び開発許可の基準に係る改正等

一 市街化区域と市街化調整区域との区分に関する都道府県による選択制の導入

市街化区域と市街化調整区域との区分(以下「区域区分」という。)を原則として都道府県 が選択することができることとし、都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、区域区分を定めることができるものとすること。ただし、次に掲げる都市計画区域については、区域区分を定めるものとすること。

1 次に掲げる土地の区域の全部又は一部を含む都市計画区域
   
a首都圏整備法に規定する既成市街地又は近郊整備地帯   
b近畿圏整備法に規定する既成都市区域又は近郊整備区域   
c中部圏開発整備法に規定する都市整備区域  

2 1に掲げるもののほか、大都市に係る都市計画区域                            (都市計画法第七条第一項及び附則第三項関係)  

二 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針等   

1 市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針を、区域区分を定めない都市計画区域についても定めることとするとともに、区域区分に関する都市計画と独立した都市計画とし、都市計画区域については、都市計画に、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針を定めるものとすること。      (都市計画法第六条の二第一項、第七条第四項及び第十三条第一項第一号関係)

2 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針には、次に掲げる事項を定めるものとすること。    

(1) 都市計画の目標   

(2) 区域区分の決定の有無及び当該区域区分を定めるときはその方針   

(3) (2)に掲げるもののほか、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する主要な都市計画の決定の方針 (都市計画法第六条の二第二項関係)   

3 都市計画区域について定められる都市計画は、当該都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に即したものでなければならないものとすること。 (都市計画法第六条の二第三項関係)

4 都市再開発法の規定による都市再開発の方針、大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法の規定による住宅市街地の開発整備の方針、地方拠点都市地域の整備及び産業業務施設の再配置の促進に関する法律の規定による拠点業務市街地の開発整備の方針並びに密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律の規定による防災再開発促進地区を市街化区域及び市街化調整区域の整備、開発又は保全の方針と独立した都市計画とし、都市計画には、これらの方針(防災再開発促進地区は防災再開発の方針と改称)のうち必要なものを定めるものとすること。 (都市計画法第七条の二及び第十三条第一項第三号から第六号まで関係)  

5 都市計画区域の整備、開発及び保全の方針に関する都市計画並びに都市再開発の方針、住宅市街地の開発整備の方針、拠点業務市街地の開発整備の方針及び防災再開発の方針に関する都市計画は、都道府県が定めるものとすること。    (都市計画法第十五条第一項関係)

三 開発許可の基準等に係る改正   

1 開発許可の技術基準(都市計画法第三十三条)に係る改正

(1)開発許可の技術基準の条例による強化又は緩和      

地方公共団体は、その地方の自然的条件の特殊性等を勘案し、環境の保全、災害の防止及び利便の増進を図ることが困難であると認められ、又は環境の保全、災害の防止及び利便の増進上支障がないと認められる場合においては、条例で、政令で定める技術的細目において定められた制限を強化し、又は緩和することができるものとすること。                        (都市計画法第三十三条第三項及び第五項関係)    

(2)建築物の敷地面積の最低限度に関する基準の条例による追加      

地方公共団体は、良好な住居等の環境の形成又は保持のため必要と認める場合においては、条例で、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができるものとすること。 (都市計画法第三十三条第四項及び第五項関係)  

2 開発行為の立地基準(都市計画法第三十四条)に係る改正     

市街化調整区域における次に掲げる開発行為を許可対象に加えるものとすること。    

(1)市街化区域に隣接等する土地の区域内における一定の開発行為      

市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっておおむね五十以上の建築物が連たんする地域のうち、一定の基準に従い、都道府県の条例で指定する土地の区域内において行う開発行為で、予定建築物等の用途が、開発区域及びその周辺の地域における環境の保全上支障があると認められる用途として都道府県の条例で定めるものに該当しないもの  (都市計画法第三十四条第八号の三関係)    

(2)市街化を促進するおそれがない等と認められる条例で定める開発行為      

開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認められる開発行為として、一定の基準に従い、都道府県の条例で区域、目的又は予定建築物等の用途を限り定められたもの                         (都市計画法第三十四条第八号の四関係)   

3 開発許可を受けた土地以外の土地における建築等の制限に係る改正     

市街化区域に隣接し、又は近接し、かつ、自然的社会的諸条件から市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であっておおむね五十以上の建築物が連たんする地域内に存する土地で市街化調整区域に関する都市計画が決定され、又は市街化調整区域が拡張された際すでに宅地であった旨の都道府県知事の確認を受けた土地において行う建築等について、許可不要の取扱いを改め、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内における建築等の制限の合理化(2aの開発行為に準じて、建築許可を受けることができるよう政令において措置する予定)を行うものとすること。  (都市計画法第四十三条第一項関係)

第二 良好な環境の確保のための制度の充実  

一 風致地区に係る改正    

風致地区内における建築物の建築等の行為について、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため必要な規制を定めることができるものとすること。  (都市計画法第五十八条第一項関係)  

二 特定用途制限地域制度の創設   

1 特定用途制限地域の指定     

都市計画区域については、都市計画に、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、特定用途制限地域を定めることができるものとし、特定用途制限地域に関する都市計画については、位置、区域のほか、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定めるものとすること。 (都市計画法第八条第一項第二号の二及び第三項第二号ホ並びに第九条第十四項関係)  

2 特定用途制限地域内における建築行為等に対する制限     

特定用途制限地域内における建築物の用途の制限は、当該特定用途制限地域に関する都市計画に即し、地方公共団体の条例で定めるものとすること。      (建築基準法第四十九条の二関係)  

三 用途地域の指定のない区域内における容積率、建ぺい率等の合理化

1 用途地域の指定のない区域内の建築物の容積率の限度は、十分の五、十分の八、十分の十、十分の二十、十分の三十又は十分の四十のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し都道府県都市計画審議会の議を経て定めるものとするとすること。   (建築基準法第五十二条第一項第六号関係)

2 用途地域の指定のない区域内の建築物の建ぺい率の限度は、十分の三、十分の四、十分の五、十分の六又は十分の七のうち、特定行政庁が土地利用の状況等を考慮し都道府県都市計画審議会の議を経て定めるものとするとすること。 (建築基準法第五十三条第一項第四号関係)

3 その他用途地域の指定のない区域内において、道路斜線制限、隣地斜線制限及び日影規制の合理化を行うものとすること。                                (建築基準法第五十六条第一項第一号及び第二号、第五十六条の二第一項並びに別表第三及び第四関係)

第三 既成市街地の再整備のための新たな制度の導入  

一 商業地域における特例容積率適用区域制度の創設   

1 特例容積率適用区域の指定     

商業地域については、建築基準法に規定する特例容積率適用区域(適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域において、当該区域内の土地の高度利用を図るため、同法の規定による建築物の容積率の限度からみて未利用となっている建築物の容積の活用を促進する必要がある場合に限る。)を定めることができるものとすること。        (都市計画法第八条第三項第二号ニ関係)

2 特例容積率適用区域内における建築行為に対する制限    

(1)特例容積率適用区域内の二以上の敷地に係る土地について所有権又は借地権を有する者等は、当該敷地について一定の利害関係を有する者の同意を得て、特定行政庁に対し、当該二以上の敷地(以下「特例敷地」という。)に適用される特別の容積率(以下「特例容積率」という。)の限度の指定の申請をすることができるものとすること。                         (建築基準法第五十二条の二第一項及び第二項関係)    

(2)特定行政庁は、申請に係る特例容積率の限度が、特例敷地における建築物の利用上の必要性、周囲の状況等を考慮してふさわしい容積を備えた建築物が建築されることによりそれぞれの特例敷地の土地が適正かつ合理的な利用形態となるよう定められていることその他の要件に該当すると認めるときには、特例容積率の限度を指定するものとすること。                              (建築基準法第五十二条の二第三項関係)    

(3)特定行政庁は、(2)の指定をしたときは、遅滞なく、特例容積率の限度その他の事項を公告するとともに、一般の縦覧に供さなければならないものとすること。      (建築基準法第五十二条の二第四項関係)    

(4)特例敷地内の建築物については、(2)の指定による特例容積率の限度を、建築基準法第五十二条第一項各号に掲げる数値とみなして、同条の規定を適用するものとすること。  (建築基準法第五十二条の二第六項関係)    

(5)特例敷地である土地について所有権又は借地権を有する者は、その全員の合意により、特例容積率の指定の取消しを特定行政庁に申請することができるものとすること。 (建築基準法第五十二条の三関係)  

二 都市施設に係る立体的な都市計画の決定手法の導入   

1 都市施設を整備する立体的な範囲等の決定     

道路、河川等の都市施設については、適正かつ合理的な土地利用を図るため必要があるときは、当該都市施設の区域の地下又は空間について、当該都市施設を整備する立体的な範囲を都市計画に定めることができるものとし、地下に当該立体的な範囲を定めるときは、併せて当該立体的な範囲からの離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度を定めることができるものとすること。 (都市計画法第十一条第三項関係)   

2 地下に立体的な範囲を定めた場合における建築許可の対象行為の特例     

離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度が都市計画に定められている都市計画施設の区域内において行う行為であつて、当該離隔距離の最小限度及び載荷重の最大限度に適合するものについては、都市計画施設等の区域内における建築物の建築に係る許可を要さないものとすること。 (都市計画法第五十三条第四号関係)   

3 立体的な範囲を定めた場合における建築行為の許可基準の特例     

都市計画施設等の区域内において許可される建築物の建築行為として、都市計画施設の区域について都市施設を整備する立体的な範囲が定められている場合において、当該立体的な範囲外において行われ、かつ、当該都市計画施設を整備する上で著しい支障を及ぼすおそれがないと認められるものを加えるものとすること。ただし、当該立体的な範囲が道路である都市施設を整備するものとして空間について定められているときは、安全上、防火上及び衛生上支障がない場合に限るものとすること。 (都市計画法第五十四条第二号関係)  

三 地区計画の決定要件に係る改正    

地区計画を定めることができる土地の区域を再整理し、次のいずれかに該当する土地の区域について定めることができるものとすること。  

1 用途地域が定められている土地の区域   

2 用途地域が定められていない土地の区域のうち次のいずれかに該当するもの   

(1)住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域   

(2)建築物の建築又はその敷地の造成が無秩序に行われ、又は行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるもの   

(3)健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域 (都市計画法第十二条の五第一項関係)  

四 建ぺい率制限の合理化   

地境界線から後退して壁面線の指定等がある場合において、当該壁面線等を越えない建築物で、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて許可したものの建ぺい率は、その許可の範囲内で、建築基準法第五十三条第一項から第三項までの限度を超えるものとすることができるものとすること。 (建築基準法第五十三条関係)

第四 都市計画区域外における開発行為及び建築行為に対する規制の導入  

一 準都市計画区域制度の創設   

1 準都市計画区域の指定    

(1)市町村は、都市計画区域外の区域のうち、相当数の住居その他の建築物の建築又はその敷地の造成が現に行われ、又は行われると見込まれる一定の区域で、当該区域の自然的及び社会的条件並びに農業振興地域の整備に関する法律その他の法令による土地利用の規制の状況を勘案して、そのまま土地利用を整序することなく放置すれば、将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域を、準都市計画区域として指定することができるものとすること。            (都市計画法第五条の二第一項関係)    

(2)市町村は、準都市計画区域を指定しようとするときは、あらかじめ、市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の意見を聴くとともに、都道府県知事に協議し、その同意を得なければならないものとすること。 (都市計画法第五条の二第二項から第五項まで関係)  

2 準都市計画区域内における都市計画の決定   

(1)準都市計画区域については、都市計画に、用途地域、特別用途地区、第二の二に規定する特定用途制限地域、高度地区(建築物の高さの最高限度を定めるものに限る。)、美観地区、風致地区及び伝統的建造物群保存地区を定めることができるものとすること。           (都市計画法第八条第二項及び第三項第二号ト並びに第十三条第三項関係)  

(2)準都市計画区域については、都市計画は市町村が定めるものとすること。  (都市計画法第十五条第一項関係)    

(3)市町村は、準都市計画区域について都市計画を決定しようとするときは、市町村都市計画審議会(当該市町村に市町村都市計画審議会が置かれていないときは、当該市町村の存する都道府県の都道府県都市計画審議会)の議を経るとともに、都道府県知事の意見を聴かなければならないものとすること。また、都道府県知事による意見の申出は、都道府県が定め、又は定めようとする都市計画との適合を図る観点から行うものとすること。 (都市計画法第十九条第一項、第二項、第五項及び第六項関係)   

3 準都市計画区域内における開発行為又は建築行為に対する制限  

(1)準都市計画区域内における開発行為に対する制限      

準都市計画区域内における一定規模以上の開発行為について都道府県知事の許可を受けなければならないこととし、開発許可の技術基準(都市計画法第三十三条)を適用するものとすること。                            (都市計画法第二十九条第一項関係)    

(2)準都市計画区域内における建築行為に対する制限      

準都市計画区域内における建築基準法第六条第一項第四号に規定する建築物の建築については建築主事の確認を受けなければならないこととするとともに、建築基準法第三章(第八節を除く。)の規定を適用するものとすること。 (建築基準法第六条及び第四十一条の二関係)  

二 都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内における開発許可制度の適用    

都市計画区域及び準都市計画区域外の区域内において、一定規模以上の開発行為について都道府県知事の許可を受けなければならないこととし、開発許可の技術基準(都市計画法第三十三条)を適用するものとすること。 (都市計画法第二十九条第二項関係)

第五 都市計画決定手続の合理化等  

一 都市計画の案の作成における都道府県と市町村の役割の明確化    

市町村は、必要があるときは、都道府県に対し、都道府県の定める都市計画の案の内容となるべき事項を申し出ることができるものとすること。また、都道府県は、都市計画の案を作成しようとするときは、関係市町村に対し、必要な資料の提出その他必要な協力を求めることができるものとすること。   (都市計画法第十五条の二関係)  

二 地区計画等に対する住民参加手続の充実    

市町村は、都市計画法第十六条第二項の条例において、住民又は利害関係人から地区計画等に関する都市計画の決定若しくは変更又は地区計画の案となるべき事項を申し出る方法を定めることができるものとすること。 (都市計画法第十六条第三項関係)  

三 都市計画の案の縦覧の際の理由書の添付    

都道府県又は市町村は、都市計画を決定しようとするときは、当該都市計画の案を、当該都市計画を決定しようとする理由を記載した書面を添えて、公衆の縦覧に供するものとすること。 (都市計画法第十七条第一項関係)

四 都市計画決定手続の条例による付加    

都道府県又は市町村は、住民又は利害関係人に係る都市計画の決定の手続に関する事項(都市計画法第十六条及び第十七条の規定に反しないものに限る。)について、条例で必要な規定を定めることができるものとすること。 (都市計画法第十七条の二関係)  

五 都市計画に関する知識の普及及び情報の提供    

国及び地方公共団体は、都市計画に関する知識の普及及び情報の提供に努めなければならないものとすること。  (都市計画法第三条第三項関係)

第六 その他所要の改正を行うものとすること。

第七 施行期日その他  

一 この法律は、公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとすること。       (附則第一条関係)  

二 所要の経過措置を定めるものとすること。 (附則第二条から第九条関係)  

三 その他所要の改正等を行うものとすること。 (附則第十条から第三十六条関係)


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