問い合わせ先 建設省都市局都市政策課 東、美濃部、奥村
電 話 03-3580-4311 内線2953・2960
FAX 03-3580-0959
平成11年12月2日
建設省都市局
「OECD都市政策セミナー 1999 −都市の魅力の再構築−」について
(英語名:OECD JAPAN SEMINAR on Urban Policies 1999)
1 趣旨・内容
当セミナーはOECDから都市問題専門家を招き、国際的視点から日本の都市政策
を評価するとともに、都市づくりの今後のあり方を考えることを目的としており、O
ECD地域開発政策委員会の「都市と経済」プロジェクトの一部と位置づけられてい
ます。
OECDが日本の都市政策を全般的に調査するのは、1986年にOECDによっ
て行われた「OECD対日都市レビュー」以来です。
今回のセミナーの調査結果に基づき、平成12年7月にOECDより日本の都市政
策についての提言が行われます。
セミナーの一環として、東京都、神戸市、松江市の三都市においてシンポジウムが
開催され、開催都市が抱える都市問題等が議論されました。
2 OECDからの参加者
○事務局
Bernard Hugonnier(ベルナール・ユゴニエ) OECD地域開発局長
Josef Konvitz(ジョセフ・コンビッツ) OECD地域開発局都市部長
○OECD都市問題専門家
Lyndsay Neilson(リンゼー・ニールスン) キャンベラ大学都市開発センター所長
Michael Parkinson(マイケル・パーキンソン) リバプール・ジョン・ムーア大学ヨーロッパ都市問題研究所長
Jane Nishida(ジェーン・ニシダ) メリーランド州環境省長官
John Zetter (ジョン・ゼッター) イギリス環境・交通・地域省計画部長
3 全体日程
11/23(火) 関係者来日
11/24(水) 神戸現地視察・調査資料説明
25(木) 神戸シンポジウム
26(金) 日本の都市政策全般の説明
27(土) 関西地方視察
28(日) 松江現地視察・調査資料説明
29(月) 松江シンポジウム
30(火) 東京現地視察・調査資料説明
12/1(水) 東京シンポジウム
12/2(木) 関係者離日(成田)
4 シンポジウム日程・出演者
(1)神戸シンポジウム
11月25日(木) 13:00〜16:30
<テーマ> 成熟社会におけるまちづくり
<内 容> 環境と共生した、人にやさしいコンパクトなまちづくり、市民と行政の
協働による安全で安心なまちづくり等大都市の再構築について議論する
<開催挨拶> 芦田弘逸 兵庫県副知事 ベルナール・ユゴニエ OECD地域開発局長
<基調講演> 笹山幸俊 神戸市長
<シンポ出演> 原隆之 OECD地域開発政策委員会副議長(座長)
リンゼー・ニールスン氏 マイケル・パーキンソン氏
ジェーン・ニシダ女史 ジョン・ゼッター氏
安田丑作 神戸大学教授 平山京子 (有)プランニング・オフィス・カーサ代表取締役社長
山本繁太郎 建設省大臣官房審議官(都市局担当)
<会 場> 神戸国際会議場 ポートライナー市民広場駅下車 神戸市中央区港島中町6-9-1
連絡先 078-302-5200(代表)
(2)松江シンポジウム 11月29日(月) 13:30〜16:30
<テーマ> 水辺を活かした街づくり
<内 容> 中心市街地の活性化、堀川や宍道湖など水を活かした国際文化観光都市
づくり等を主題とした地方都市の再構築を考える
<開催挨拶> 澄田信義 島根県知事 ジョセフ・コンビッツ OECD地域開発局都市部長
<基調講演> 宮岡寿雄 松江市長
<シンポ出演> 黒川洸 東京工業大学大学院教授(座長)
リンゼー・ニールスン氏 マイケル・パーキンソン氏
ジェーン・ニシダ女史 ジョン・ゼッター氏
中村寿男 天神町商店街理事長 川本正一郎 建設省都市局都市政策課長
宮岡寿雄 松江市長
<会 場> プラバホール
JR松江駅より徒歩13分又はバス6分(文化センター入口下車)
松江市西津田6-5-44松江市総合文化センター 連絡先 0852-27-6000(代表)
(3)東京シンポジウム 12月1日(水) 15:00〜18:00
<テーマ> 国際都市としての東京の魅力の危機とその克服
<内 容> 我が国の中枢機能を担う東京の国際競争力の再生に向けた都心のリノベ
ーションとそれを推進する上で民間部門に期待される役割について議論
する
<開催挨拶> 青山 東京都副知事
山本正堯 建設省都市局長 (代理:原田技術審議官)
<基調講演> 成戸寿彦 東京都技監兼都市計画局長
<シンポ出演> リンゼー・ニールスン氏 マイケル・パーキンソン氏
ジェーン・ニシダ女史 小林重敬 横浜国立大学教授
原田邦彦 建設省大臣官房技術審議官(都市局担当)
山下保博 東京都都市計画局技監
安間謙臣 東京都都市計画局次長(コーディネーター)
<会 場> 東京都庁第一本庁舎5階大会議場
JR新宿駅から徒歩12分又は都営12号線都庁前下車
東京都新宿区西新宿2-8-1 連絡先03-5321-1111(代表)
5 各都市シンポジウム問い合わせ先
東京都都市計画局総務部相談情報課 連絡先 03-5321-1111 内線 30-153
神戸市都市計画局計画部計画課 連絡先 078-331-8181 内線 4521
松江市都市建設部都市計画課 連絡先 0852-55-5379 直通
6 主催等
主 催:OECD(経済協力開発機構)、建設省、東京都、兵庫県、島根県、神戸
市、松江市
後 援:外務省、国土庁
協 賛:国際都市交流推進協議会、(社)不動産協会、(財)建設経済研究所
7.日本の都市政策全般に関する指摘事項
○地方政府がまちづくりについて一義的に責務を負うとしても、中央政府は一定の方向
付けを行い、地方政府の施策を誘導するなど積極的な役割を果たすべきである。
○まちづくりに当たっては、開発のコントロールが重要であり、一律的な規制緩和では
なく、場合によっては規制を強化するなど、より良い都市の形成に向けての開発の規
制・誘導方策を制度的にも構築すべきである。特に都市計画区域外の建築規制は検討
すべき課題である。
○特に、日本では個別の建築物についていえば質の高い優れたデザインの建物が少なく
ないが、街並み全体としては必ずしも質が高いとは言い難く、景観面を含めた街並み
の質ということを考慮し開発のコントロールをすべきである。
○まちづくりに当たっては、コンセンサスづくりが重要であり、住民の合意形成を図る
ため、地域の状況に即して様々な手法をとるべきである。そうした意味で計画につい
て十分な理解を得るということが重要
○人口増加の鈍化により、日本もOECD各国と同様に、既成市街地の再構築が最も重
要な都市政策の課題となっている。
○特に政策の重点としては、劣悪な環境にあり、災害時の危険度も大きい木造密集市街
地の改善が重要である。
○欧米の都市においても中心部の空洞化は大きな問題となっており、日本でも公共機関
を中心部に集めるなど、様々な手段を講じ中心市街地対策を強化すべきである。
○まちづくりに当たっては、投資のための財源が必要であり、開発利益の還元なども含
めて財源の確保等を検討すべきである。
8.各都市における指摘
[神戸市]
○震災からの復興は極めて短期間で円滑に進んできたことは賞賛されるべきで、復興の
経験を広く世界に伝える必要がある。
○復興での経験を活かし、今後は新市街地の開発より、既成市街地の利用の促進により
コンパクトなまちをつくっていくことが重要
○安全を核としながら、経済、環境、社会の調和に配慮し、さらに高齢化、グローバリ
ゼーション、情報化を加味したまちづくりが重要
○まちづくりに当たっては、地方政府、民間、コミュニティーの3つの足を持ったパー
トナーシップが重要であり、現在行われているまちづくり協議会の積極的な活用が必
要である。
○今後まちづくり協議会が有効に作用するためには、
@小さな地域単位で運営されること
A多様な課題に柔軟に対応できること
Bプランニングだけではなく、プログラムやマネジメントをめざすべき
C私的領域と公的領域の中間を大切にする組織であること
Dプランナー、ビルダーなどマンパワーの育成がなされること
の5点が重要である。
○現在のまちづくり協議会も、調整役に多大な負担がかかるなどの問題があり、改善し
ながらその活用を図っていく必要がある。
[松江市]
○地方の中規模都市においては、大都市と同じ様なまちづくりを目指すのではなく、地
域の資源、歴史、伝統、多様性を活かした個性的なまちづくりを進めるべき。
○松江市のような地方都市では、優れた自然環境が大きなメリットであるため、環境保
全との調和に十分配慮して開発を進めていくことが重要である。
○地方都市のまちづくりに当たっては、財源にも制約があることから、多くの目標を掲
げるのではなく、ポイントを絞ったまちづくりを進めるべきである。
○中心市街地の空洞化については、地方都市共通の重要な課題であり、都市の求心力を
回復するためにも、郊外部の開発などに都市の有する力を分散することなく、都市中
心部に人口を呼び戻し、商業の活性化を図るための施策を集中させるべきである。
○地方都市の中心市街地においては、高齢者も含めて歩いて様々な活動ができるように
まちづくりを進めていくべきである。
○商店街の空店舗は、すき間産業など新たな産業が参入するチャンスととらえ、企業家
精神を大切にしていくべきである。
○国際的な観光地として大きな都市改造を行うよりも、もてる資源を活かしてゆっくり
滞在したい観光を核とした都市を作ってはどうか。
[東京都]
○東京の再生のためには、行政が明確な戦略を持ち、行政とコミュニティー、市民がビ
ジョンを共有することが必要である。
○都市環境への投資は、国際都市としての魅力の向上、居住環境の向上という観点から
経済的な見返りもあるので積極的に推進すべきである。
○民間のリスクを軽減し、都市開発事業を推進していくため、目標年次を明確にした計
画を行政が明らかにすることが必要である。
○通勤時間の短縮のためには、公共交通機関の周辺に人を住まわすなどの土地利用と交
通の一体的な計画を策定すべきである。
○これからのリーディング産業が活動する場としての都市づくりを進めるべきである。
○大都市対策は広域的取り組みが重要であり、自治体間の連携が必要である。また、単
にハードな取り組みだけではなく、福祉、教育、環境など幅広い視点から都市政策を
考えるべきである。
○「東京らしさ」を活かした都市づくりを行うべきである。
9.今後の予定
都市政策全般のサーベイを引き続き進め、平成12年7月頃に報告書をまとめる予定
10.参考:各都市での視察先
(神戸市)新長田地区区画整理・再開発(復興まちづくり)、
淡路ハイウエーオアシス(明石海峡大橋)、
西神ニュータウン(市街化調整区域と開発)
ハーバーランド、HAT神戸(都市の再構築)
(松江市)堀川遊覧、県立美術館(水を活かしたまちづくり)
秋鹿(あいか)なぎさ公園(市街化調整区域、自然資源の利用)
山陰合同銀行展望室、松江駅周辺、天神町、京店、殿町の各商店街(中心市街地の活性化)
(東京都)墨田区京島(木造密集市街地)、臨海部副都心(大規模土地利用転換)、
新宿区富久(虫食い土地の整形化)