《都市再生特別地区の運用改善関係》
Q 環境貢献の促進が期待できるのであれば、大都市の枢要地区や、同一都市計画区域内に限定せずに、広く推進すべきでは
ありませんか。
A 大都市の国際競争力の強化の要請に対応するとともに、床需要の状況や高度利用の必要性等の観点から、大都市枢要地区
(都市再生緊急整備地域)について特別な運用を図ることとしています。また、都市計画決定権者が環境貢献の効果等を評価す
ることから、原則として、同一都市計画区域内の環境貢献との組合せを推進することとしています。
Q 環境貢献の継続的発現が必要な期間の目安はどの程度ですか。担保手段としては、どのようなものが考えられますか。
A 容積率の大幅な緩和によって都市空間を占有し負荷を加える面もあることから、緩和対象建築物の存続する期間を念頭に、環
境貢献の発現期間とのバランスを都市計画決定権者として判断すべきだと考えられ、例えば、先端的技術の採用などで比較的
短期的に一般化すると考えられるものとの組合せは慎重に考える必要があります。
こうした相当期間の環境貢献を担保する手段としては、協定の締結等のほか、地区外の環境貢献については、都市計画制限を
活用することが望ましいと考えます。
Q 不動産市場の状況からみて床需要が不足し、実効性が期待できないのではないですか。
A 民間の積極的提案を促す観点から、可能性の高いと考えられる大都市の枢要地区において取り組むこととしています。既に、
名古屋市や大阪市では、取組が検討されているところです。
Q 都市再生特別地区は、これまでも自由度が高く、改めて環境貢献の考え方を明示する趣旨に ついて教えてください。
A これまで、離れたエリアで行われる緑地保全等の環境貢献の取組も評価している実態は見られないことから、この度、評価の
対象となる環境貢献の取組の考え方や運用について改めて整理し、明示することで、民間事業者からの積極的提案を促し、環境
貢献の範囲の拡張を図ります。
Q 国が認める考え方を示しても、都市計画を決定する地方公共団体の方針によって、認められないこともあるのですか。
A 多様な地域の状況に応じ、画一的でなく、都市計画決定権者としての地方公共団体の実体判断が重要と考えられます。
国としては、これを前提としつつ地方公共団体の積極的な取組を働きかけていきます。
Q 都市再生特別地区の実例はどのようなものがありますか。東京圏に限られているのですか。
A 全国65地域の都市再生緊急整備地域において、49の都市再生特別地区が都市計画決定済みであり、10数地区が決定を
目指し調整中です。東京圏以外の事例としては、大阪市の角田町地区(阪急百貨店建替え等:1000%→1800%)、神戸市の
三宮駅前第一地区(旧新聞会館の建替え等:800%→1600%)、名古屋市の名駅四丁目7番地区(ミッドランドスクエア:1000%
→1420%)などがあります。
※東京圏:21/49地区=43%、三大都市圏38/49地区=78%。その他、札幌、仙台、浜松、広島、高松、北九州。
Q 都市再生特別地区や、計画提案の具体的要件はどのようになっていますか。
A 都市再生特別地区は、都市再生特別措置法に基づき政令で指定された都市再生緊急整備地域内の都市再生上の効果の高い
土地の区域で決定されます。計画提案を行うためには、0.5ha以上の一団の土地について、区域内の所有者・借地権者の2/3
以上の同意を得て行うことが必要です。0.5ha以上の都市再生事業を実施しようとする者が提案した場合は、都市計画決定権者
が速やかに対応を判断し、6か月以内に都市計画決定等することになっています。
Q 容積率関係以外にどのような支援措置がありますか。期限がありますか。
A 都市再生緊急整備地域内においては、金融・税制等の支援措置が設けられており、地方独自の制度と併せ、詳細は、関係地方
公共団体にお問い合わせ下さい。国の制度の場合、適用期限が設けられているものもあります(国土交通省成長戦略においては、
期限の延長を検討することとされています。)
《都市計画特例制度の活用関係》
Q 高度利用を誘導する都市計画の実例や実績、それぞれの具体的要件を教えて下さい。
A 高度利用を誘導する都市計画としては、特定街区(110地区)、高度利用地区(924地区)、再開発等促進区を定める地区計画
(212地区)、都市再生特別地区(49地区)などがあります。例えば、特定街区では、建築物の容積率並びに建築物の高さの最高
限度及び壁面の位置の制限を都市計画で定める必要がありますが、こうした要件や緩和される項目(前面道路幅員による容積率
制限、斜線制限等)は制度によって異なります。また、活用事例等について、ホームページにおいて順次充実させていくこととしてい
ます。
※地区数の実績は、都市再生特別地区は平成22年3月31日現在、その他は平成21年3月31日現在。
Q 利用条件の緩和や、割増率の増大は行われないのですか。
A これまでの制度の拡充により充実を図ってきた都市計画特例制度のさらなる活用を図ることが肝要と考えています。効果的な
活用事例を積極的に情報提供し、地域の課題解決を支援していきます。
Q 容積率緩和により、建替えが困難な既存不適格建築物の建替えの促進を図るべきではないですか。
A 現行の規制に適合させると同様の規模・用途の建替えが困難ないわゆる既存不適格建築物が、市街地の更新のネックになっ
ているような場合があると考えられます。容積率緩和をインセンティブとして建替え・更新を促進するとしても、規制に適合している
建築物との公平性や市街地環境の確保等の観点から、適切な環境貢献を求め、その貢献内容に見合った容積率の緩和を行うこ
とが必要と考えます。
Q 容積率の緩和の一方、近年、高度地区等により絶対高さ制限が設定され、高度利用の実現が 難しくなっているのではありま
せんか。
A スケール感の異なる建築物が混在することによる周辺環境との軋轢を避けるため、絶対高さ制限が広い範囲に設定される例が
近年増加する傾向にあり、市街地の将来像の実現に向けた適切な制限による誘導が必要と考えます。
Q 容積率の引き上げによる近隣の環境悪化が心配です。
A 容積率緩和の特例制度の適用については、市街地環境の確保が前提となるものであり、その都市計画を決定するにあたっては、
案の縦覧・意見書の提出・都市計画審議会における審議などの手続を経て、周囲の市街地環境に与える影響も考慮して進められ
ることになっています。
Q 都市計画の特例制度の効果的な活用方法について教えてください。
A まちづくりの目標や課題は、地区ごとに異なりますが、具体化したプロジェクトごとに個別対応するばかりではなく、都市計画上
望ましい建替え等を面的に実現することもまちづくりを進める上では重要です。この際、地区の実情にあわせて、環境貢献の内容と
容積率の緩和の具体的なルールを定め、これを事前に明示することで 、早期の事業検討が促進され、まちづくりの誘導が図られま
す。都市計画提案制度を活用し、地元発意によりこうしたきめ細やかなルールを定めている例もあります。また、「高度利用型地区
計画と街並み誘導型地区計画」、「街並み誘導型地区計画と用途別容積型地区計画」など複数の手法を組み合わせることも、地区
の課題解決のためには効果的です。
Q 都市計画提案の手続について、教えて下さい。
A 都市計画の提案を行うためには、0.5ha以上(条例で0.1haまでの範囲で引き下げられている場合があります。)の一団の土地に
ついて、区域内の所有者・借地権者の2/3以上の同意を得、都市計画の素案を添えて行うことが必要です。都市計画決定権者で
ある地方公共団体は、都市計画決定・変更を行うかどうか判断し、都市計画審議会にその素案を提出して審議されることになります。
Q 計画提案に向けて、計画づくりの支援はしてもらえますか。
A 国においては、重点密集市街地など、国として面的整備が重要と考えられるエリアについて、地元地権者等が地区計画等の提案
を行うための計画素案づくりについて、策定費等の支援を行う「まちづくり計画策定担い手支援事業」を実施しているほか、地方公共
団体独自にアドバイザー派遣制度等の支援を行っている場合もあります。