関西文化学術研究都市の建設に関する基本方針

序章

関西文化学術研究都市の建設は、「関西文化学術研究都市建設促進法(昭和62年6月9日法律第72号。以下「法」という。)に基づき、文化、学術及び研究の中心となるべき都市を建設し、もって我が国及び世界の文化等の発展並びに国民経済の発達に資することを目的としている。

これまでの間、産学官の協力と連携を基調として本都市の建設推進が図られた結果、けいはんなプラザ、国際高等研究所及び奈良先端科学技術大学院大学をはじめとする大学、研究所等の立地、集積が進むとともに、住宅や都市基盤施設等の整備の進展により都市の骨格が形成されつつある。

このように都市建設が進み、様々な文化学術研究活動が展開されるとともに住民の日常生活が営まれる段階を迎えている中で、住民や研究者の利便性の確保等残された課題もある。

一方、この間、本格的な高度情報化及び社会経済の国境を越えた一体化の急速な進展、地球環境問題等地球規模での人類の生存に関わる諸問題の深刻化、冷戦終結後の国際秩序の流動化に起因する新たな国際問題の発生等我が国を取り巻く諸条件は大きく変化している。また、国内的には、高齢化・少子化の進行、個人の生き方を大切にする生活中心主義への移行、日常生活や経済、社会のあらゆる側面での文化の重要性の高まり、産業空洞化の懸念等による新産業創出への期待の高まり等、我が国経済社会の構造変革を促すような新たな時代潮流が形成されつつある。さらに、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災は、生活の豊かさの基礎としての安全の大切さを改めて認識させることとなった。

21世紀の扉が開けられようとする今、こうした時代潮流の中で人類的課題をはじめとする内外の諸課題に対応していくためには、自然科学だけでなく、人文・社会科学、さらには文化面からのアプローチまで含めて一丸となった取り組みが必要であり、まさに、文化を冠した学術・研究都市としての本都市の役割がますます重要になってきていると言える。

このような観点から、法施行後の経済的社会的諸条件の変化、本都市に対する社会的要請の高まり及び本都市の現状を踏まえ、以下の方針のもとで、新たな段階、いわばセカンド・ステージを迎えた本都市建設の推進を図る。