1 概要
東京圏における住宅問題、職住遠隔化等の大都市問題の解決を図るため、東京都区部以外の地域で相当程度広範囲の地域の中心となるべき都市(業務核都市)を業務機能をはじめとした諸機能の集積の核として重点的に育成整備し、東京都区部への一極依存型構造をバランスのとれた地域構造に改善していくことが必要です。このため「首都圏基本計画(第4次)(昭和61年6月決定)」において、業務核都市の整備の考え方が示され、昭和63年に制定された多極分散型国土形成促進法において業務核都市制度が定められ、これらに基づく支援措置等により、業務核都市の育成・整備が進められてきました。
その後、平成11年3月に決定された「首都圏基本計画(第5次)」では、首都圏における地域構造の目標として「分散型ネットワーク構造」が掲げられました。これは拠点的な都市を中心に、諸機能がバランスよく配置された自立性の高い地域を形成するとともに、首都圏内外の拠点とも相互の連携・交流によって機能を分担し、補完し高めあう地域の構造です。そして、広域的な連携・交流の要となる都市を広域連携拠点として育成・整備することとしており、このうち東京圏においては、業務核都市を広域連携拠点として育成・整備することとしました。
2 位置づけ
東京都区部以外の地域において、その周辺の相当程度広範囲の地域の中核となるべき都市。
なお、多極法第22条第4項では、業務核都市基本方針について、首都圏整備計画等との調和が保たれなければならないと規定しており、第5次首都圏基本計画では次の通り定めています。
東京都市圏 | 第4次首都圏基本計画で位置づけられた業務核都市 | 第5次首都圏基本計画で位置づけられた業務核都市 |
---|---|---|
西部 | 横浜 | なし |
川崎 | なし |
|
厚木 | なし |
|
八王子・立川 | (八王子・立川・)多摩 | |
青梅 | なし |
|
なし |
町田・相模原 | |
北部 | 熊谷・深谷 | なし |
浦和・大宮 | なし |
|
土浦・つくば・牛久 | なし |
|
なし |
川越 | |
なし |
春日部・越谷 | |
なし |
柏 | |
東部 | 成田・千葉ニュータウン | なし |
千葉 | なし |
|
木更津 | なし |
第5次首都圏基本計画で新たに業務核都市都市として位置づけられた多摩市は、八王子・立川・多摩業務核都市として育成・整備されることとなりました。
は基本構想策定済み。
3 整備の手法
(1) 業務施設集積地区
業務核都市の区域のうち、業務施設を特に集積させることが適当と認められる地区。業務施設集積地区においては、同地区を整備する上で中核となる施設の整備等が促進されます。
(2) 中核的施設
以下の施設のうち、業務施設集積地区を整備する上で中核となる施設。
- 多極法の政令で定める施設(以下の11種類の施設)
- 1) 研究施設
- 2) 情報処理施設
- 3) 電気通信施設・放送施設
- 4) 展示施設・見本市場施設
- 5) 研修施設・会議場施設
- 6) 交通施設
- 7) インテリジェントビル
- 8) 流通業務施設
- 9) 教養文化施設
- 10) スポーツ・レクリエーション施設
- 11) スポーツ、音楽、展示等の多様な機能を有する施設
4 業務核都市整備の手続き
- 第一段階
- 基本方針の策定
(国土交通大臣)
(平成元年4月告示)
(平成11年12月変更)
- 関係行政機関の
長に協議
- 第ニ段階
- 業務核都市基本構想
の作成、同意の申請
(都県市)
- 関係市町村に協議
- 第三段階
- 業務核都市基本
構想の同意
(主務大臣)
- 関係行政機関の
長に協議
- 第四段階
- 同意基本構想の円滑な実施(国、地方自治体、民間事業者)
5 支援措置
(1) 地方債の特例等
公設民営の中核的施設の整備事業…一般単独事業債の対象