研究学園地区建設計画(旧)

(昭和55年9月 国土庁)

目 次

    序 章
    第1章 研究学園地区建設の基本方針
    第2章 人口の規模及び土地の利用
    第3章 試験研究・教育機関等の施設計画
    第4章 公共・公益的施設等の計画


序 章
1 計画の性格
    この計画は、筑波研究学園都市建設法に基づいて作成したもので、同法に基づいて作成される周辺開発整備計画とあいまって、筑波研究学園都市の建設に関する総合的な計画となるものである。
2 計画の対象区域
    この計画は、筑波研究学園都市の地域のうち、筑波研究学園都市建設法施行令第1条に定める区域を対象とする。
3 計画の運用等
    首都圏整備計画等この計画と関連する主要な計画が改定または策定された場合その他情勢の変化があった場合においては、必要に応じ弾力的な運用または見直しを行うものとする。


第1章 研究学園地区建設の基本方針

筑波研究学園都市建設法第1条の目的を達成するため、筑波研究学園都市の中核となる研究学園地区の建設を次の方針により推進する。
1 試験研究・教育機能の充実
    筑波研究学園都市をわが国における試験研究・教育の中心として育成し、高水準の試験研究・教育機能を維持し、及び増進するため並びに試験研究・教育の諸活動が相互に有機的連携を保ちつつ効率的に行われるよう、試験研究・教育機関の施設、試験研究・教育の交流活動を円滑にするための施設等の整備を図る。
2 総合的な都市機能の充実
    研究学園都市にふさわしい総合的な都市機能を充実するため、行政、商業、業務、文化等の施設のほか、新しい機能を有する交通、通信等の整備を図るとともに、住民の日常生活のための利便施設の整備を図る。
    また、研究学園地区内の交通通信体系の整備を図るとともに、これに併せて、周辺開発地区及び東京その他の近隣都市との連絡を強化するための交通通信体系の整備を図る。
3 良好な環境の確保
    研究学園都市にふさわしい良好な環境を確保するため、市街地と自然的環境との調和、安全性の確保、公害の防止等に配慮しつつ、快適な居住環境と良好な市街地景観の整備及び保全を図る。

第2章 人口の規模及び土地の利用

第1節 人口の規模  
研究学園地区の人口は、10万人を目標とする。  

第2節 土地の利用
  1. 研究学園地区を、研究・教育施設地区、都心地区及び住宅地区に大別し、土地の適正な利用を図る。

    (1) 研究・教育施設地区
      試験研究・教育機関等の施設利用地を各機関の相互の関連等を配慮しつつ、同系統の機関を集団化して配置することを原則とし、文教育機関を北部に、建設系機関を北西部に、理工系機関を南部に、生物系機関を南西部にそれぞれ配置する。
      なお、各機関の配置及び建設に当たっては、優れた環境と景観を確保するとともに、公害の防止について十分配慮する。


    (2) 都心地区
      研究学園地区の中心部において、試験研究・教育の諸活動を円滑に行うための施設及び研究学園都市の都心にふさわしい行政、商業、業務、文化等の施設を整備するとともに、交通、通信、公害防止等について新しい機能を有する施設を整備する。この場合、原則として、文化機能を有する施設は北部に、商業、業務機能を有する施設及び交通ターミナル機能を有する施設は中心部に、研究交流のための施設は南部にそれぞれ配置する。


    (3) 住宅地区
      研究学園地区人口10万人に必要な住宅地を都心地区周辺及び研究・教育施設地区に近接した地区に数団地に分けて整備し、地区の居住者のための教育、福祉、販売等の施設を適正な配置のもとに、人口の集積に応じて整備する。
      なお、住宅地の整備に当たっては、良好な住宅環境の確保を図る。


  2. 研究学園地区面積2,696ヘクタールの用途別土地利用は、おおむね、研究・教育施設用地1,457ヘクタール、住宅用673ヘクタール、公共施設用地449ヘクタール及び公益的施設等用地117ヘクタールとする。


第3章 試験研究・教育機関等の施設計画 
第1節 機関の施設

1 文教系機関の施設
    (1) 図書館情報大学
    情報及び図書館学の教育・研究に必要な施設を整備する。

    (2) 筑波大学
    新しい構想に基づく総合大学として必要な研究・教育施設その他の施設(付属病院を含む。)を整備する。

    (3) 高エネルギー物理学研究所
    高エネルギー陽子加速器による素粒子に関する実験的研究等に必要な施設を整備する。

    (4) 国立科学博物館筑波実験植物園
    植物分類学の研究等に必要な施設を整備する。

    (5) 国際協力事業団筑波インターナショナルセンター
    海外からの技術研修員に対する研修に必要な施設を整備する。


    (6) 国際協力事業団筑波国際農業研修センター
    海外からの農業技術関係研修員に対する研修に必要な施設を整備する。

    (7) 国立教育会館分館
    教育関係職員の研修に必要な施設を整備する。
2 建設系機関の施設
    (1) 国立防災科学技術センター
    防災科学技術に関する研究に必要な施設を整備する。

    (2) 国土地理院
    国土の測量、基本図等の整備に必要な施設及び地震予知、衛星測地、海洋開発、地図情報システム化等に関する調査研究等に必要な施設を整備する。

    (3) 土木研究所
    道路、河川、砂防、海岸、下水道等建築事業の計画、設計の合理化・標準化及びこれに関する調査、試験、研究等に必要な施設ならびに自然災害の防除、水資源の総合的開発、交通体系の整備、環境との調和及び保全、建築技術の開発等の研究に必要な施設を整備する。

    (4) 建築研究所
    建築に関する設計・施工の合理化、建築構造、住宅計画、都市計画、建築物の各種災害からの防止等に関する研究に必要な施設及び地震学・耐震工学の国際協力に必要な施設を整備する。

    (5) 日本電信電話公社筑波電気通信建設技術開発センター
    電気通信線路・土木施設の建設技術開発に必要な設備及び開発した建設技術を広く普及させるための訓練に必要な施設を整備する。

3 理工系機関の施設
    (1) 金属材料技術研究所筑波支所
    金属材料その他これに類する材料の品質の改善を図るための研究等に必要な施設を整備する。

    (2) 無機材質研究所
    非金属無機材質にかかわる超高純度材質そのほかこれに類する材質の創製に関する研究等に必要な施設を整備する。

    (3) 国立公害防止研究所
    大気汚染、水質汚濁が人の健康及び生活環境に及ぼす影響の研究等に必要な施設を整備する。

    (4) 工業技術院総務部筑波管理事務所
    工業技術院移転機関の研究推進に係わる企画、調整業務、共同利用施設等の運営等に必要な施設を整備する。

    (5) 計量研究所
    長さ、質量、時間、温度等の基本量等の単位の標準の設定・維持・供給・計量技術に関する研究等に必要な施設を整備する。

    (6) 機械技術研究所
    機械工業の根底となる基礎的研究及び機械工業の分野におけるシステム化技術等新技術の開発研究等に必要な施設を整備する。

    (7) 化学技術研究所
    化学工業及び窯業に関する基礎から応用、開発に至る分野の研究等に必要な施設を整備する。

    (8) 微生物工業技術研究所
    微生物の工業的利用に関する試験研究等に必要な施設を整備する。

    (9) 繊維高分子材料研究所
    繊維及び高分子材料に関する研究等に必要な施設を整備する。

    (10) 地質調査所
    地質、地下資源の解明、国土の環境保全の基礎的調査研究等に必要な施設を整備する。

    (11) 電子技術総合研究所
    電子技術、情報処理技術及び電力技術の開発並びにこのための基礎研究等に必要な施設を整備する。

    (12) 製品科学研究所
    工業製品の性能の評価に関する研究等に必要な施設を整備する。

    (13) 公害資源研究所
    産業公害予測技術の開発、廃棄物の処理技術の開発及び資源開発を行うための基礎研究等に必要な施設を整備する。

    (14) 気象測器工場
    気象関係各種機器の開発、改良、設計、試作等に必要な施設を整備する。

    (15) 気象研究所
    気象予報、自然災害の防止等に関する研究、地震、火山、海洋等地球物理一般に関連する研究等気象業務に係わる技術に関する研究に必要な施設を整備する。

    (16) 高層気象台
    地上気象観測、下層大気の精密観測、高層気象の定常的観測、大気オゾン観測及び太陽・大気輻射観測の実施等に必要な施設を整備する。

    (17) 宇宙開発事業団筑波センター
    人工衛星及び人工衛星打ち上げ用ロケットの開発試験並びに人工衛星の追跡管制に必要な施設を整備する。

4 生物系機関の施設
    (1) 国立予防衛生研究所支所筑波医学実験用霊長類センター
    霊長類に関する実験用動物の繁殖、育成、保持及び供給並びにこのための研究に必要な施設を整備する。

    (2) 国立衛生試験所筑波薬用植物栽培試験場
    薬用植物の品種改良、利用開発、品種評価等に関する研究に必要な施設を整備する。

    (3) 農林水産省農蚕園芸局種苗課筑波分室
    種苗検査を行うために必要な施設を整備する。

    (4) 農林水産技術会議事務局筑波事務所
    農林水産省関係移転機関の試験研究にかかわる計算、情報管理等に関する研究関連等の共同利用に必要な施設を整備する。

    (5) 農業技術研究所
    作物の遺伝・育種・生理・生態及び病害虫防除、農耕地土壌の調査及び改良、施肥改善、農業気象、数理統計的手法の応用並びに農業経営及び農家生活の改善等農業技術に関する基礎的研究等に必要な施設を整備する。

    (6) 農事試験場
    畑地及び水田の地力の維持増進技術、合理的作付体系・作業技術、作物の良質安定多収技術、作物育種技術並びに地域農業における技術改善・経営改善に関する試験研究等に必要な施設を整備する。

    (7) 畜産試験場
    家畜及び家きんの育種、繁殖、生理、栄養、飼育管理、加工等に関する試験研究等に必要な施設を整備する。

    (8) 果樹試験場
    果樹の育種、栽培、病害虫防除等に関する試験研究等に必要な施設を整備する。

    (9) 農業土木試験場
    土地利用及び水の農業上の開発利用、農業地域の開発整備、農業施設の建設等に関する試験研究等に必要な施設を整備する。

    (10) 蚕糸試験場
    蚕及び桑の育種、生理及び病害虫防除、養蚕技術並びに生系の生産及び需要の増進等に関する試験研究等に必要な施設を整備する。

    (11) 家畜衛生試験場
    家畜、家きん等の衛生、疾病の予防、治療、飼料安全性等に関する試験研究及び動物用生物学的製剤の製造等に必要な施設を整備する。

    (12) 食品総合研究所
    食料資源の利用及び加工技術、品質保持のための流通技術並びに品質評価法の確立等についての試験研究等に必要な施設を整備する。

    (13) 植物ウィルス研究所
    植物ウィルス及び植物のウィルス病に関する基礎的試験研究等に必要な施設を整備する。

    (14) 熱帯農業研究センター
    熱帯又は亜熱帯に属する地域における農林畜産業に関する技術上の試験研究等に必要な施設を整備する。

    (15) 林業試験場
    林業経営・経済、育林技術、森林保護、防災、木材加工等についての試験研究等に必要な施設を整備する。

5 共同利用系機関その他の機関の施設
    (1) 研究交流センター
    筑波研究学園都市内の研究者間及び外部の研究者との交流の促進、科学技術情報の円滑かつ迅速な提供等に必要な施設を整備する。

    (2) その他の機関
    本節に掲げる機関以外の機関で、筑波研究学園都市建設法の目的に照らし、研究学園地区に設置することが適当であると認められるものの業務に必要な施設を整備する。
第2節 機関の敷地利用
1 機関の敷地の利用に当たり環境整備上配慮すべき事項
    試験研究・教育機関等の施設整備に当たっては、周辺の環境と調和を図り、現存する良好な自然環境を極力保全するとともに、十分な空き地を確保する。
    また、水質汚濁、大気汚染、騒音、振動等の公害を防除するため、施設の適切な配置を図るとともに、その防除に必要な施設を整備する。

2 機関の敷地
    各期間の敷地面積は、おおむね別表のとおりとする。


第4章 公共・公益的施設等の計画
第1節 公共的施設等
1 交通施設  
(1) 道路等
    都市計画道路土浦学園線、東大通り線等の道路を、公害の防止及び安全の確保のため植樹帯、歩道の設置等道路の構造について配慮しつつ、整備するとともに、歩行者専用道路赤塚妻木線を幹線とする歩行者専用道路網を整備する。
     また、新交通システム筑波研究学園線を整備するとともに、都心地区の道路の一部に共同溝を整備する。
(2) 交通広場及び駐車場
    新交通システム、路線バス等が集中する都心地区に交通広場を整備するとともに、都心地区及び住宅地区の一部に駐車場を整備する。

2 用排水施設  
(1) 上水道
    計画人口10万人及び試験研究・教育機関等の施設に対応した給水施設を整備する。
(2) 下水道及び河川
    流域下水道、公共下水道及び都市下水道を整備し、雨水汚水の分流式により排水する。
    汚水については、研究学園地区の全域を対象に公共下水道を整備し、流末は霞ヶ浦常南流域下水道により処理する。雨水については、公共下水道により排水するとともに、下水道計画との関連を保ちつつ、花室川、稲荷川等の河川を整備する。
    なお、試験研究・教育機関の排水のうち有害物質を含むものについては、除外施設を設置して処理する。

3 公園緑地等
    総合公園として、太陽熱利用の温水プール等のスポーツ施設を有する洞峰公園及び植物園的な雰囲気を持つ赤塚公園を整備するほか、近隣公園、児童公園、緑地及び広場を整備する。

4 廃棄物処理施設等
    一般ごみ処理施設、粗大ごみ処理施設及びし尿処理施設を整備するほか、都心地区において、廃棄物運搬用パイプライン施設によるごみの収集を行うための施設を整備する。
    また、火葬場を整備する。

第2節 公益的施設等
1 教育施設
    小学校、中学校、高等学校及び幼稚園を、住宅の配置・構成等を勘案し、適正に配置するとともに都市人口の増加に対応するよう整備するほか、給食センターを整備する。
2 行政サービス施設
    消防署、警察署、保健所、総合行政庁舎等を整備する。
3 福祉・厚生施設
    保育所、児童館、児童遊園及び医療施設を整備するほか、総合的な医療機能を有する筑波大学付属病院を整備する。
4 社会教育・文化施設
    公民館、図書館、博物館等を整備するとともに、必要に応じてこれらの分館を整備する。
5 郵便・通信施設  
(1) 郵便施設
    集配施設を持つ郵便局を都心地区に整備するとともに、必要に応じて特定郵便局を整備する。
(2) 電気通信施設
    都心地区に電報電話局を整備するとともに、新しい多様な情報通信の需要に対応するため、データ通信、CATV等の情報通信システムを整備する。
6 都市エネルギー供給施設  
(1) 電気供給施設
    高水準の試験研究・教育活動、住民生活その他都市活動に必要な諸電力需要に対応する供給体系を確立し、これに必要な変電所、送電線等を整備する。
(2) ガス供給施設
    ガス供給に対応するため、ガス供給設備を整備する。
(3) 地域暖冷房施設
    都心地区に地域暖冷房施設を整備するとともに、住宅地区の一部に必要に応じて暖冷房及び給湯施設を整備する。
7 購買施設等
    都心地区に百貨店、総合量販店等を整備するとともに、住宅地区に居住者の日常生活に必要な地区ショッピングセンター及び商店街を適正に配置し、整備する。
    また、都心地区に文化、購買、宿泊、業務等の諸機能を備えた複合的公益施設として、学園センタービル(仮称)を整備する。
8 一団地の住宅施設
    試験研究・教育機関等の整備に対応して、その職員及び家族のための住宅を整備する。この場合、研究学園都市において試験研究・教育に携わる職員にふさわしい住宅とするため、その質及び量の確保に努める。
    また、人口の増加に対応して、公的住宅を整備する。

別 表
機    関    名面積(ヘクタール)
1 文教系
(1)図書館情報大学12
(2)筑波大学
245
(3)高エネルギー物理学研究所203
(4)国立科学博物館筑波実験植物園14
(5)国際協力事業団筑波インターナショナルセンター2
(6)国際協力事業団筑波国際農業研修センター
3
(7)国立教育会館分館
7
2 建築系
(1)国際防火科学技術センター
27
(2)国土地理院
18
(3)土木研究所
126
(4)建築研究所
20
(5)日本電信電話公社筑波電気通信建設技術開発センター22
3 理工系
(1)金属材料技術研究所15
(2)無機材質研究所
15
(3)国立環境研究所
28
(4)工業技術院総務部筑波研究支援総合事務所
140
(5)計量研究所
(6)機械技術研究所
(7)化学技術研究所
(8)微生物工業技術研究所
(9)繊維高分子材料研究所
(10)地質調査所
(11)電子技術総合研究所
(12)製品科学研究所
(13)公害資源研究所
(14)気象測器工場53
(15)気象研究所
(16)高層気象台
(17)宇宙開発事業団筑波宇宙センター
4 生物系
(1)国立予防衛生研究所
  筑波支所筑波医学実験用霊長類センター
9
(2)国立衛生試験所筑波薬用植物栽培試験場5
(3)農林水産省農蚕園芸局種苗課筑波分室421
(4)農林水産省技術会議事務局筑波事務所
(5)農業技術研究所
(6)農事試験場
(7)畜産試験場
(8)果樹試験場
(9)農業土木試験場
(10)蚕糸試験場
(11)家畜衛生試験場
(12)食品総合研究所
(13)植物ウィルス研究所
(14)熱帯農業研究センター
(15)林業試験場
5 共同利用系及びその他
(1)研究交流センター6
(2)その他の機関16
合 計1,457
注1)各機関の面積は、小数点第1位を四捨五入して表示した。
注2)将来公共施設等の整備に関連して若干の変動のある場合がある。

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