生物相の回復の実態調査報告
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国土交通省屋上庭園では開設以来、昆虫類や鳥類の調査を行っています。調査を継続することで都市における屋上という環境下で生息する生物の生態や特徴を知ることができます。最近では竣工当初に野草マットや資材に付着して持ち込まれた昆虫類が減少するとともに、トンボ目やチョウ目など飛翔力の大きい昆虫が増加する傾向が見られます。
鳥類については、ヒヨドリ、ツグミ、スズメ、ハシブトガラス、ドバトなどが多く確認されており、いわゆる都市鳥の採食および休憩に屋上庭園が利用されていることが確認されました。

昆虫類の繁殖について

竣工した年から6年連続で、夏、セグロアシナガバチ(写真)が木製ベンチの表面を削り取って運び去っており、17、18年度は多くの個体が確認されました。セグロアシナガバチは、17年度に喫茶室前のヒラドツツジ植え込みの中で、18年度には南東角のモッコクの枝で営巣していました。17年度の巣は、育房数約300の大きなものでした。繁殖のための素材として木製ベンチなどが役立っている様子です。 また15年度、ベニカナメモチ生け垣の根本付近にスズバチ(写真)の巣が確認されました。その営巣行動を観察したところ、素材となる数種の泥は地上から搬入していました。
交尾するセグロアシナガバチ セグロアシナガバチの巣 スズバチ スズバチの巣
交尾する
セグロアシナガバチ
(18年度撮影)
セグロアシナガバチ
の巣
(17年度撮影)
スズバチ
(15年度撮影)
スズバチの巣
(15年度撮影)

カマキリ類については、13年度はオオカマキリが多く見られていましたが14年度以降はチョウセンカマキリ(写真卵鞘)の個体数が多く、18年度にはオオカマキリは確認されず、ほとんどチョウセンカマキリに代替したものと思われます。チョウセンカマキリの個体数は多く、その生息場所は野草マット周辺から外周フェンス沿いのハーブ類植え込み付近へと移動しており、餌となる昆虫類が野草マット付近には少なくなったことが推測されます。
またクロヤマアリ(写真)の個体数は著しく多く、ボックスウッドやゲッケイジュのプランター、南東角のツバキ等が植栽されたプランターなどに営巣して雌アリが飛び立つのが確認されるなど、現在の屋上庭園で最も繁栄している種の一つと考えられます。
チョウセンカマキリ卵鞘 クロヤマアリ女王の旅立ち
チョウセンカマキリ卵鞘(17年度撮影) クロヤマアリ女王の旅立ち(16年度撮影)
以上の事例のように、屋上緑化空間という限られた空間の中でも生物が繁殖している様子が調査により、明らかになりました。

屋上庭園で観察された希少種について

「東京都環境局(2010.3):東京都の保護上重要な野生生物種」の東京都区部対象種に記載されている種として、以下の種が確認されています。ナツアカネは幼虫1個体のみが13年度に確認されただけです。ハッカハムシは14年度も多数の成虫が確認されましたが、15年度以降は確認されていません。従ってこの2種は、植物等に付着して移入されたものと考えられます。 またチョウトンボは、16年度に初めて飛来が確認されて以降、毎年飛来しています。屋上空間の緑化は持ち込む資材の生産地によっても、生物相に変化をもたらす可能性があります。
ハッカムシ チョウトンボ
ハッカハムシ(13年度撮影) チョウトンボ(17年度撮影)

東京都環境局(2010.3):「東京都の保護上重要な野生生物種」における掲載種(区部対象)
種名 ランク 確認年度
13 14 15 16 17 18 22 25 26 27
ハッカハムシ DD
情報不足
× × × × × × × ×
ナツアカネ※ 記載無し × × × × × × × × ×
チョウトンボ NT
準絶滅危惧種
× × × × × ×
クルマバッタ CR
絶滅危惧TA類
× × × × × × × × ×
※1998年版ではCランクとして記載があったため掲載した
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