エネルギー輸送を担うLNG船 2.日本の外航海運企業の現状と動向

(1)日本の外航海運企業の運航状況
(i)我が国の海上輸送
 世界の海上輸送における我が国発着貨物のウエイトは大きく、荷動きを重量ベースで見ると世界の海上貿易量50億7,400万トン(1997年推定値)のうち17.3%の8億7,784万トンを我が国発着貨物が占めている。その内訳は輸出が1億193万トン(対前年比7.5%増)、輸入が7億7,591万トン(対前年比2.4%増)であった。(以下、貿易量・輸送量は全て海上分である。)


図表2-1-17 世界の主要品目別海上荷動き量


図表2-1-18 我が国の主要品目別海上荷動き量

 我が国の輸入貨物の内訳を見ると石炭、鉄鉱石、原油といったばら積み貨物の貿易量が大きな割合を占めている。
 まず、石炭について見ると、我が国の石炭貿易量は97年で1億3,360万トン(対前年比3.2%増)であり、世界全体の石炭貿易量の約30%を占めている。石炭は、鉄鋼を製造する際の原料として使用される原料炭と、主に発電用の燃料として使用される一般炭とに分類されるが、我が国の石炭貿易量が87年の9,260万トンから、97年の1億3,360万トンへと増加したのは、第3回IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)閣僚理事会(79年)において、電力用石油の使用抑制や、石炭火力発電所の建設促進の考え方が採択されたことを反映して、81年より95年までに全国で38ヶ所の石炭火力発電所が建設され、石炭火力発電用の一般炭の輸入が増加したことによる。
 次に鉄鉱石の貿易量について見ると、97年の粗鋼生産量が前年実績を575万トン上回る1億455万トン(前年比5.8%増)となったことを受け、前年比6.2%増の1億2,660万トンとなった。これは世界の鉄鉱石の貿易量4億2,300万トン(97年推定値)の30%を占めている。
 原油については、97年の我が国の貿易量は2億2,870万トン(対前年比2.7%増)であり、世界全体の原油の貿易量15億2,500万トン(97年推計値)の15%を占めている。97年に数量ベースで伸びの高いのは、米、ニッケル鉱、機械機器、鉄鉱石である。
 一方、我が国の輸出貨物について見ると、97年には対前年比7.5%の伸びとなっており、中でも我が国の主要輸出品目の一つである自動車(シェア4.5%)について、85年以降の円高傾向や輸出自主規制を受けて、我が国自動車メーカーが海外に生産拠点を移したため、近年、輸出台数が減少する傾向にあったが、最近の円安傾向により再び輸出台数が増加に転じており、97年の自動車輸出量は460万トン(前年比23.7%増)となっている。ちなみに、97年で数量ベースでは鉄鋼、セメント、機械類がそれぞれ22.8%、11.9%、11.9%のシェアを占めている。


図表2-1-19 我が国の品目別海上貿易量及び貿易額
 次に、96年の我が国発着貨物を相手国の地域別に見てみると、定期船の主要貨物である食料品、機械機器、金属製品等、プラスチック等のコンテナ貨物についてはアジア域内の貿易が中心であり、我が国海上貿易量の52%を占めている(図表2-1-20)。他方、不定期船貨物については中東、アジア、大洋州、北米からのエネルギー資源や原材料、穀物の輸入が圧倒的に多くなっている(図表2-1-21)。
図表2-1-20 我が国海上貿易量(コンテナ船、1996年)


図表2-1-21 我が国海上貿易量(不定期船、1996年)


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