2. 外国人旅行者の訪日
 12年における訪日外国人数は、表1-3-5のとおりで、前年比32万人増の476万人となった。滞在客は前年比7.0%増の461万人で、そのうち観光客は前年比5.2%増の269万人、業務その他の客が9.6%増の192万人であった。訪日外国人全体に占める比率は、観光客が56.6%、業務その他の客が40.4%となっている。

表1-3-5 訪日外国人旅行者数の推移

1)訪日外国人旅行者数は476万人と過去最高を記録
 11年の訪日外国人旅行者数は、アジア地域の景気回復等を背景に、444万人と過去最高を記録したが、12年は、為替レートの安定、アジア地域における日本への関心の高まり等を背景に、すべての月でプラス成長となり、前年比約7%増の476万人と過去最高の受入者数を記録した(図1-3-9)。

図1-3-9 訪日外国人旅行者数の推移

2)受入数は依然として国際的に見て低水準
 我が国を訪れる外国人旅行者数は、11年には444万人に達したものの、世界各国と比較すると、日本は世界第36位にとどまっており、地理的にほぼ同条件にある韓国よりも少ない数値となっている(図1-3-10)。また、世界の主要国・地域の人口千人当たりの外国人旅行者の受入数で比較しても、日本の外国人旅行者の受入者数は極めて低い水準にあるといえる(図1-3-11)。このように、訪日外国人旅行者数は国際的に見ても依然低水準となっており、また、訪日外国人旅行者数は日本人海外旅行者数の約4分の1と不均衡な状態が続いているため、外国人旅行者の訪日の促進と地方圏への誘致のための施策を引き続き推進していくことが必要となっている。

図1-3-10 平成11年外国人受入数

図1-3-11 平成10年世界各国・地域の人口千人当たりの来訪外国人旅行者数

3)最近の外国人旅行者の訪日の動向
1アジア地域からの訪日旅行者数の増加
 12年の訪日外国人旅行者数は、476万人と過去最高となったが、中でもアジア地域からの訪日旅行者数の増加が顕著であり、アジア地域で全体の約6割を占めている(図1-3-12)。また、国・地域別に見ると、中国約21%増、韓国約13%増となっており(図1-3-13)、特に、中国からの訪日外国人旅行者数の伸びが大きくなっている。

図1-3-12 地域別訪日外国人旅行者数の構成比の推移 

図1-3-13 アジア諸国・地域からの訪日外国人旅行者数の推移

 また、アメリカ、ヨーロッパ諸国からの訪日外国人旅行者数も、観光客向けの訪日キャンペーンの実施等によって順調な伸びを示している。

2訪問地別の訪問率の傾向
 国際観光振興会(JNTO:JapanNationalTouristOrganization)の調査によると、訪問率上位5都府県(東京都、大阪府、京都府、神奈川県、千葉県)の構成は過去5年間で変化はないが、その訪問率の推移を見ると中長期的には減少傾向にあるといえる。また、過去5年間の訪問率上位20ヵ所の構成についても大きな変化はないが、京都、奈良といった伝統的観光地への訪問率は減少傾向にある(表1-3-6)。

表1-3-6 都道府県別訪問率(上位20ヵ所)の推移

3日本の文化と近代日本が魅力
 訪日外国人観光客の日本での活動内容を見ると、日本料理・郷土料理、買物・ファッション、大都市の体験・観光、寺社・庭園・歴史的名所などが多く、近代日本と日本の伝統文化の人気が高い(表1-3-7)。

表1-3-7 平成11年訪日外国人旅行者の国・地域別の活動内容順位

 また、地域別の特色を見ると、アジア地域からの観光客は、他の地域に比較して、テーマパーク等や温泉への人気が高い。
 これに対し、欧米地域からの観光客は、小都市・田舎の体験・観光、日本の生活様式、伝統工芸等の日本固有の文化や風俗習慣に比較的に関心が高い(図1-3-14)。

図1-3-14 平成11年訪日外国人旅行者の国・地域別の活動内容比較

4)州、国籍・地域別
 州別、国籍・地域別の訪日外国人数は、表1-3-8のとおりで、国籍・地域別では韓国が106万人(前年比12.9%増)、次いで台湾が91万人(同2.0%減)、アメリカ73万人(同4.1%増)、中国35万人(同19.3%増)、イギリス〔香港〕19万人(同7.8%減)の順となっている。対前年伸び率では、南アフリカ(30.2%増)、ロシア(27.4%増)、インドネシア(24.5%増)が高い伸びを示している。州別ではアジア州が285万人で全体の60.0%を占め、次いで北アメリカ州86万人(同18.1%)、ヨーロッパ州が80万人(同16.9%)、オセアニア州が18万人(同3.8%)の順となっている。近年における訪日外国人数の州別構成比の推移を見ると、53年からはアジア州が主流になっている(図1-3-15)。

表1-3-8 州別,国・地域別訪日外国人旅行者数の推移 

図1-3-15 州別訪日外国人旅行者数の推移(構成比)

5)月・季節別
 月別の訪日外国人数は、図1-3-16のとおりで、季節別には冬季(1、2、12月)が他の時期に比べて少なく106万人(全体の22.3%)で、春季(3、4、5月)、夏季(6、7、8月)、秋季(9、10、11月)は、それぞれ119万人(同25.0%)、131万人(同27.5%)、120万人(同25.2%)となっている。

図1-3-16 月別訪日外国人旅行者数

6)滞在日数
 訪日外国人の平均滞在日数は、8.0日となっており、前年と同じであった(表1-3-9)。

表1-3-9 訪日外国人旅行者の平均滞在日数

7)居住地域別の訪問地
 近年、訪日外国人旅行者がよく訪れる都道府県は、東京、大阪、京都、神奈川、千葉の順となっている。また、韓国、台湾を中心として九州地域の人気が高い(表1-3-10)。

表1-3-10 訪日外国人旅行者の居住地別都道府県訪問率(上位10位)

8)消費額
 近年、訪日外国人の1人1日あたりの消費額(円ベース)は、減少傾向にある。特に、飲食、宿泊費の減少が目立っている(図1-3-17)。

図1-3-17 訪日外国人旅行者1人1日あたりの消費額の推移(円ベース)