第2章 観光振興をめぐる新たな動き

第2章のポイント
 12年12月に観光政策審議会は観光をめぐる近年の急速な経済社会情勢の変化に対応して,「21世紀初頭における観光振興方策―観光振興を国づくりの柱に―」を答申した。
 答申においては,産業構造の変化等による国内各地域の「まち」の停滞,IT革命,少子・高齢化,環境意識の高まり,グローバル化の進展等観光をめぐる経済・社会環境の変化を踏まえて,今後,観光振興を国づくりの柱に据えていくことが提言されている。また,このような観点から,21世紀初頭において早急に検討・実現すべき具体的施策の方向を提示し,国,地方公共団体,観光産業界を含む経済界や一般国民に向けて,具体的行動を要請している。
 これを受けて,国土交通省においては,各省庁連携による効率的な施策の実施のため,その要として調整機能を発揮しつつ,地方自治体や経済界の協力も得ながら国づくりの柱としての観光振興政策の積極的展開を行うべく,検討を深めている。
 政府としては,日本新生のための新発展政策における高齢者等観光振興策の推進,改正祝日法の施行による旅行環境の改善,観光分野における情報インフラの整備,国内の新たな観光交流拡大の啓発普及事業等,雇用創出・まちづくり事業等に取り組んでいる。また,観光関係事業者等においても,「観光産業振興フォーラム」が訪日外国人倍増に向けた取組みに関する緊急提言や観光産業振興に関するアピールを行ったほか,全国各地で「観光を考える百人委員会」が設立されるなど,観光振興に向けた取組みが進められている。