第5節 旅行関連手続きの円滑化施策の展開

  1. 出入国管理の現状等
     
    我が国を訪れる外国人は、上陸に際し、出入国管理及び難民認定法に基づき、入国審査官から上陸許可を受けなければならず、上陸許可を受けるに当たっては、入国審査官に有効な旅券と日本国領事官等から発給を受けた査証を提示しなければならない。
     なお、我が国は、人的交流の促進を図る観点から、現在62か国の一般旅券所持者に対して査証免除措置を実施しており(表3-5-1)、当該免除措置の対象となる一定の入国目的については査証は不要であり、入国手続の円滑化が図られている。

    表3-5-1 一般旅券所持者に対する査証免除措置を行っている国

     さらに、船舶等の乗客については、寄港地上陸許可と通過上陸許可の特例措置があり、いずれも査証を必要とせず、船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者が申請を行い、入国審査官が当該外国人に上陸許可を与える。
     大型観光船については、航海中に上陸審査等を済ませることにより、入港の際に乗客が速やかに上陸できるよう、船会社側が、寄港先国の入国管理官署等に対し、あらかじめ係官を乗船させるよう要請することが国際的な慣行であり、我が国もこの要請に応じてきた。12年の洋上審査は6件であった。

  2. 査証発給手続の簡素化・迅速化
     我が国は、適正な出入国管理を行うために査証審査を厳格に行いつつ、規制緩和推進計画の一環として、我が国を訪れる外国人の査証取得の負担を軽減し人的交流を促進する観点から、様々な査証発給手続きの簡素化・迅速化を推進してきている。例えば、12年には、リトアニア、ラトビアに対する短期滞在を渡航目的とする場合の査証免除措置を実施したほか、国籍のいかんを問わず、在留資格認定証明書を伴って査証申請がある場合の現地在外公館限りでの査証発給を認める措置を実施した。

  3. 検疫の実施
     検疫所では、入国者に対して健康上の質問及び診察、並びに航空機等の機内食、飲料水等の調査を実施する等の措置を講じ、危険な感染症の国内侵入を防ぐとともに海外旅行者の健康面での安全確保対策を実施している。

  4. 通関
     出入国旅行者の携帯品については、国際間移動の利便を図るため、簡易な手続により迅速な通関を行っている。

    1)簡易化・迅速化
     課税物品の有無によりそれぞれの専用ブースを設け、通関の迅速化を図っている。一定の基準内の携帯品については、口頭による申告で、関税、内国消費税及び地方消費税を免除している。また、徴税事務を迅速に処理するため、関税、内国消費税及び地方消費税の率を統合した簡易税率を適用しているほか、主要の空港においてはコンピュータによる徴税事務を行っている。

    2)広報
     通関案内のパンフレットを作成し、一般旅行者に通関手続、携帯品免税の範囲等を周知している。

  5. 為替管理と旅行の容易化
     平成10年4月から、日本人旅行者、外国人旅行者を問わず、円貨及び外貨を持ち出すことあるいは持ち込むことは金額を問わず、何ら制限なく自由に行うことができることとなっている。また、対外的な資金の流れを把握するため、一定金額を超える円現金又は外貨現金等の携帯による輸出入について事前届出制が導入されたが、100万円相当額以下の場合には届出を要しないこととなっている。
     なお、外国為替公認銀行制度及び両替商制度の廃止により、平成10年4月からは、だれでも、円貨と外貨の両替を行うことも自由にできることとなっている。

  6. 郵便局における外貨両替サービス
     住民及び旅行者の利便を図るため、平成3年度から全国の100の郵便局において外貨通貨の両替及び旅行小切手の売買のサービスを開始して以来、順次取扱局を拡大し、現在、合計1,426局において同サービスを提供している。

  7. 外国人旅行者の購入する物品に対する免税措置
     外国人旅行者が購入する一定の物品については、一定の手続の下に消費税の免税措置が講じられている。外国人旅行者は、輸出物品販売場として許可を受けた店舗で旅券又は上陸許可書等を提示して、その物品を輸出することを条件に免税で購入できることになっている。