3. 世界遺産条約に基づく世界遺産の保護
(1)世界遺産条約の目的と概要
 「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)は、1972年の第17回ユネスコ総会で採択され1975年に発効した。日本は、1992年に締結し、締約国数は161(2000年10月末現在)である。
 世界遺産条約は世界の貴重な文化遺産及び自然遺産を人類全体のための世界の遺産として国際的な協力のもとで損傷・破壊等の脅威から保護・保存することを目的としている。
 現在、イタリアのローマ歴史地区、インドのタージ・マハル、オーストラリアのグレートバリアーリーフ、タンザニアのキリマンジャロ国立公園等690の遺産(文化遺産529、自然遺産138、文化と自然の複合遺産23)が世界遺産に登録されている。
 各締約国は自国内の遺産を保護し、将来の世代へ伝える義務を有する。また、危険にさらされている世界遺産一覧表に記載された世界遺産等に対しては、世界遺産基金により、保護等に関する研究、専門家・技術者等の派遣及び養成、資金の貸付け、機材の供与等の援助が行われている。

(2)日本の世界遺産の状況
 現在、我が国の文化遺産としては、「法隆寺地域の仏教建造物」、「姫路城」、「古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)」、「白川郷・五箇山の合掌造り集落」、「原爆ドーム」、「厳島神社」、「古都奈良の文化財」、「日光の社寺」、さらに、平成12年に新たに登録された「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の9件が世界遺産に登録されている(表4-3-5・表4-3-6)。

二荒山神社 本殿 

東照宮 陽明門 輪王寺 大猷院霊廟 拝殿 

表4-3-5 世界遺産一覧表に記載された日本の世界遺産 

表4-3-6 世界遺産一覧表に記載された日本の文化遺産

 自然遺産としては、「屋久島」、「白神山地」の2件が記載されており、これらについては、管理計画に基づき、入山者の急増に対応した保全対策を実施する等適切な保護・管理を行った。屋久島では、世界遺産センターにおいて、遺産地域の管理、調査研究等を行った。また、白神山地では、青森県側の世界遺産センター(西目屋館)において、遺産地域の管理、調査研究を行い、秋田県側の世界遺産センター(藤里館)において、普及啓発等を実施した。