4. 良好な景観の形成
(1)街並み景観の形成
1良好な都市景観
 良好な都市景観の形成を図るため、「都市景観形成モデル都市制度」や、「うるおい・緑・景観モデルまちづくり制度」等に基づき、事業の複合的・重点的実施等を行った。
 10月4日の「都市景観の日」を中心に行われる各種のイベントや「都市景観大賞」の表彰の実施により、都市景観に対する国民意識の高揚を図った。
 さらに、都市景観の保全と形成を図るため、風致地区等の地域地区の指定を促進するとともに、屋外広告物条例による屋外広告物の規制・誘導を行った。

2個性と潤いのあるまちづくり
 土地区画整理事業施行地区の核となる一定の区域を「地域の顔」として位置付け、質の高い公共施設の整備等により良好な景観形成に配慮した事業を、ふるさとの顔づくりモデル土地区画整理事業として指定し、積極的に推進した。

3建築景観
 歴史的建築物等活用型再開発事業や日本政策投資銀行等の融資により、歴史的建築物等を活用した市街地の一体的整備の推進を図った。また、民間等の任意の建築活動の適切な誘導により良好な建築景観の形成を行う事業を推進した。

4まちづくり総合支援事業
 地域が主役のまちづくりを推進するため、まちづくりに必要な各種市町村事業をパッケージで一括助成する「まちづくり総合支援事業」を創設した。本事業の補助対象には、道路・街路、公園等の施設整備や土地区画整理事業、市街地再開発事業等の面整備の他、修景施設、地域交流センター、人工地盤、ソフト事業等、多彩なメニューが含まれており、これにより、美しい街並みの形成等「地域が主役のまちづくり」を積極的に支援した。

5都市山麓グリーンベルト整備事業
 山麓斜面に市街地が接している都市において、景観に配慮した砂防関係施設等の整備を実施するとともに、土砂災害に対する安全性を高め緑豊かな都市環境と景観を保全・創出することを目的に、「都市山麓グリーンベルト整備事業」を実施した。

6地域の住文化の育成
 地域の持つ自然、伝統、文化などの特性を生かしながら、将来に継承しうる質の高い居住空間を整備するため、地域の住文化等に係る住宅供給に関する事項を定めた住宅マスタープランの策定及びプランに基づく景観に配慮した住宅・まちなみ整備等を推進した。

2)農山漁村景観の形成
 農山漁村の美しい景観を次世代へ引き継ぎ、地域の特色を活かした農山漁村の活性化を図るため、生産基盤・生活基盤の整備と併せて、農山漁村地域の秩序ある土地利用と、景観に配慮した整備を実施するとともに、全国的な普及活動を推進した。

1美しい農山漁村
 美しい農山漁村の創出に資するため、景観形成、環境・生態系の保全、伝統文化の継承、資源の循環利用等住民主体の美しいむらづくりに対して、施設整備等を行う各種農林水産施策の連携により支援するモデル事業と、国民への情報提供・意識の啓発を図るため、全国・都道府県段階での啓発普及活動を併せて実施した。

2水と緑に恵まれた農村空間
 子どもから高齢者に至る地域住民が快適で豊かに暮らせ、都市住民にも魅力ある地域環境を形成するため、自然環境や農村景観の保全・復元に配慮した農村地域の整備を総合的に行う地域環境整備事業を実施した。

3多面的機能の発揮に配慮した田園空間
 農村の有する豊かな自然、伝統文化等多面的機能を再評価し、伝統的農業施設及び美しい農村景観等の保全・復元に配慮した田園空間整備を実施した。

3)水辺景観の形成
1水辺空間
 国土の都市化が進展する中で、親しめる岸辺、清流の回復等水辺景観の価値をよみがえらせることは、人々のゆとりと潤いのある生活環境の創出に欠かせないものとなっており、豊かで潤いのある水環境の形成を図るため、水辺空間整備を実施した。

2河川
 魅力あるまちづくりを推進し、地域の活性化に資するため、地域整備と一体となった河川改修を行うふるさとの川整備事業を、12年度には122河川で積極的に実施するとともに、桜の植樹等水辺の緑化を図る桜づつみモデル事業を56か所で実施し、地域交流の拠点となる水辺プラザの整備を44か所で実施した。
 また、各種河川事業において、治水上の安全性を確保しつつ、多様な河川の環境を保全・復元する多自然型川づくりを実施した。
 さらに、紫川(北九州市)等において、河川改修と市街地整備事業等を併せて行うマイタウン・マイリバー整備事業を実施するとともに、地域のシンボルとして地域にふさわしい河川整備を推進する河川再生事業を13河川で実施した。
 また、水害に強く、良好な水辺環境の創出に寄与するスーパー堤防の整備を荒川の小松川地区等で実施した。

3水辺環境
 都市河川における環境機能の低下に対する対策として、水環境整備事業(河川浄化事業)による導水事業等により良好な水辺環境を確保するとともに、レクリエーションスペースの提供等を行う水環境対策ダム事業を大和沢川・大和沢ダム等2ダムにおいて実施した。

4水環境
 都市内における良好な水環境の創出を図るため、新世代下水道支援事業制度において下水処理水又は雨水をせせらぎ用水等として有効利用したり、雨水渠等に沿って緑化のための植栽や遊歩道、四阿(あづまや)等の整備を行った。

5港湾景観
 港湾は船舶や異国情緒の漂う雰囲気、あるいは水際として特有の様々な景観資源を備えている。これらの資質を活用した良好な港湾景観の形成を図ることを目的とした港湾景観形成モデル事業として、12年度までに全国13港が承認されている。

6親水空間等
 農業水利施設の有する水辺空間等を活用し、都市住民にも開かれた豊かで潤いのある快適な水辺景観の創出による農村の活性化を図るため、引き続き農業水利施設の保全管理又は整備と一体的に親水空間等の整備や歴史的価値の保全に配慮した土地改良施設の保全を行う地域用水環境整備事業を283地区で実施した。

4)道路景観の形成
1道路景観整備
 電線共同溝等の整備や道路のり面の樹林化、植樹帯の整備、景観に配慮した道路構造物の整備等を推進し、地域の自然や歴史・文化を活かした道路空間を創出するとともに、緑豊かで安らぎとうるおいのある道路景観整備の推進を図った。

2身近なまちづくり
 伝統的建造物群保存地区や重要文化財建造物等を含む地区において、その歴史的街並みの景観を活かした道すじの整備に併せ、電柱・電線の撤去等を行い、地区の歴史性を活かしたまちづくりを行う「身近なまちづくり支援街路事業(歴みち事業)」を推進した。