2.宿泊施設等における安全対策の推進
(1)火災防止対策
1宿泊施設
 旅館、ホテル等については、特に既存不適格建築物について、建築物防災週間等の機会をとらえて防災査察を実施し、改善指導に努めるとともに、一定規模以上の旅館、ホテル等に対しては「建築基準法」に基づき定期的に維持保全の状況について調査報告を求め、必要な改善指導を行い、防火・避難上の安全の確保を図った。
 「消防法」により義務付けられている消防用設備等の設置及び適正な維持管理を促進するとともに、初期消火、通報及び避難誘導が迅速かつ円滑に実施できる適正な防火管理体制の維持等による旅館・ホテル等における防火安全体制の充実を促進した。
 また、旅館・ホテル等の防火安全体制について関係者の認識を高め、防火安全に関する不備事項の是正を図るため、防火基準適合表示制度(いわゆる「適マーク制度」)による指導の促進を行うとともに、自動火災報知設備、屋内消火栓設備及びスプリンクラー設備等の主要な消防用設備等が未設置である悪質な「消防法」違反の旅館・ホテル等に関して違反是正指導の徹底を図るよう消防機関を指導した。
 さらに、旅館・ホテル等の所有者や防火管理者等の防火管理意識を高め、当該旅館・ホテル等の実態に即した合理的かつ実効ある防火管理体制の構築を推進するため、過去の火災事例等を踏まえて作成した「旅館・ホテル等の防火安全の手引き」等の活用による指導を促進した。
 「国際観光ホテル整備法」による登録を受けている登録ホテル・旅館のうち、特に木造3階建て以上の宿泊施設については、火災事故にかんがみ3階以上の客室を宿泊場所として使用しないこととし、やむを得ず3階以上を宿泊場所として使用する場合には、出火防止、避難安全が十分確保されるよう防火管理体制を徹底することなどについて指導を行った。
 このほか、観光旅行者等の安全を確保するため、年末年始の安全総点検等の機会に宿泊業者団体を通じてホテル・旅館に対し防火安全性の確保について指導した。

2 林野
 全国山火事予防運動(平成13年統一標語「育てたい 山へのマナー 火の始末」)を3月1日から3月7日まで実施し、ポスター、テレビ、新聞等を用いた広報活動や林野火災防御訓練等を通じて、林野火災の出火原因の大半を占めるたき火やたばこの不始末の防止等、火の不用意な取扱の注意を喚起し林野火災の防止を訴えた。
 また、林野火災に対する消防力の充実強化を図るため、防火水槽等の整備に努めたほか、近隣都道府県のヘリコプターによる応援出動を積極的に実施するなど広域的な対応力の強化を推進した。

(2)食品衛生対策
 観光地においては、一時に大量の食品需要が生じるなど、その特殊性を十分に踏まえた食品の衛生管理が必要である。また、ひとたび食中毒が発生した場合、多数の患者が広範囲に発生することがあり、迅速な対応が行える体制整備が必要となる。ホテル、旅館、飲食店など食品関係営業者は、その施設の衛生を保持するために、「食品衛生法」に基づいて都道府県知事等が定めた管理運営基準の遵守が義務づけられている。また、これらの施設の衛生状態について監視指導を行うために、保健所等には食品衛生監視員(11年度末:7,799名)が配置されている。
 さらに、これら食中毒の発生を未然に防ぐため、旅館等の調理施設における食中毒の発生防止を図るための調理工程などにおける重要管理事項を定めた衛生管理指針の普及を図るとともに、食中毒発生時に迅速かつ確実に対応するための調査指針の作成等、原因究明を確実に行うための体制を整備するなどの施策を講じている。
 なお、旅館、飲食店等に対して、その衛生設備の設置改善等に要する資金については、国民生活金融公庫及び沖縄振興開発金融公庫から融資を行い、衛生水準の向上を推進している。