第2節 旅行に係る消費者保護・サービス向上施策の展開
  1. 旅行業等に係る施策
    1)旅行に関する消費者保護
     旅行取引の公正さや一層の消費者保護等を図るため、旅行業法の円滑な実施を引き続き図る。
     その一環として、財産的基礎等についての立入検査及び報告徴収の強化等の措置を引き続き行う。さらに、拡大・多様化を見せるインターネットによる旅行取引について、e-TBTマークの交付等によりその適正化を図るとともに、海外のトラストマーク等との国際的な連携・協力を図っていく。

    2)旅行業等における公正な競争の確保
     旅行業等における公正な競争を確保し、一般消費者の適正な商品選択に資するため、景品表示法に基づいて、次のような施策を講じる。

    1旅行業に関する施策
     旅行業公正取引協議会に対し、「旅行業における景品類等の提供の制限に関する公正競争規約」及び「主催旅行の表示に関する公正競争規約」が適正に運用されるよう引き続き指導するとともに、各都道府県と協力して、過大な景品提供及び不当な表示に
    対し厳正に対処する。

    2観光土産品に関する施策
     全国観光土産品公正取引協議会に対し、「観光土産品の表示に関する公正競争規約」が適正に運用されるよう引き続き指導するとともに、各都道府県と協力して、不当な表示に対し厳正に対処する。

  2. 価格・サービスの多様化
     近年の景気低迷等の影響による国内観光市場低迷の現状を踏まえ、各運輸事業者が旅客需要の喚起及び利用者サービスの拡充のために行う各種運賃・料金施策を引き続き行えるよう体制を整え、利用者サービスの一層の充実を図る。
     なお、航空については、地方路線を含む航空ネットワークの維持・拡充を図るため、平成13年4月1日から、羽田空港の地方路線に係る着陸料を2/3に引下げるための措置を講じる。また、航空会社においても、引き続き、旅行者を始め利用者のニーズに対応して、特定便割引運賃、バーゲン型割引運賃等個人用割引運賃の拡充を行うとともに、各地域における観光の実情を踏まえ、団体旅行用割引運賃の弾力的な設定を行うこととしている。

     

  3. 観光情報提供の高度化と観光産業等の情報化
    (1)観光情報提供の高度化
     国民に観光地の最新情報を正確かつ迅速に提供するため、次の施策を推進する。

    1  多様化、個性化する国民の旅行ニ一ズに対応するため、情報通信ネットワークの進展や地方公共団体等の情報発信の活発化に併せ、インターネット、パソコン通信、FAXサービス等でのより一層効率的な観光情報提供システムの構築を推進する。
    2  観光情報を適切に提供するため、地方にインターネット等の情報通信メディアの導入を進め、その普及に努める。
    3  「活き活き情報交流サービス」を引き続き実施する。13年度は情報提供地方公共団体を232団体に拡大し、地域の観光・産業情報等の一層の交流促進を図る。
    4  地域衛星通信ネットワーク整備構想の一環として、衛星通信を利用して地方公共団体等から全国に向けて地域のイベント等の情報を発信する地域映像情報発信事業について、情報提供等の充実を図り、地域の活性化に努める。
    5  都市と農山漁村との交流を図るため、情報内容の充実、地域間交流活動の実施等ふるさと情報の魅力向上のための支援を推進する。
    6  森林とのふれあいを通じた様々な体験活動の場、都市と山村との交流の場、森林浴による健康づくりの場などの広く国民に開かれた森林について、森林総合利用ホームページ等による情報提供を実施するとともに、林野庁の森林センターのシステムにより、知床半島等の生きた森林の状況等の森林環境情報を広く国民に提供する。
    7  海水浴、釣、潮干狩、ヨット、サーフィン等の海洋レジャーの質的向上及び安全に資するため、海洋レジャー等に関する海洋情報を提供する全国の「海の相談室」の一層の利用促進を図る。

    2)観光産業等における情報化
     観光分野における情報化について、各事業者間のシステムの互換性を図り、各種予約業務等の利便性の一層の向上に資するため、旅行EDI研究会を中心として観光分野へのEDI(異なる企業間で、見積、注文、支払等の取引データを広く合意された規約に基づき、電子データとしてコンピュータ間で交換する仕組み)の導入を推進し、また近年、普及しているインターネット等を利用した取引等を推進するための検討を引き続き進める。

    3)次世代観光情報基盤の整備
     国際相互理解の増進や観光振興を通じた地域の活性化に資するため、日本の各種観光関係情報をデータベース化し、地図情報とともに多言語で、インターネット等を通じ、利用者が容易に検索可能な形で情報提供を行う次世代観光情報基盤の整備を引き続き推進する。

     

  4. 高齢者・障害者等の円滑な移動の確保
    (1)施設の整備
    1  12年11月に施行された「交通バリアフリー法」等により、駅等におけるエレベーター等の設置、ノンステップバスの導入等のバリアフリー化の推進を図るとともに、バリアフリー化施設の整備等に対して補助、税制上の特例措置、日本政策投資銀行等による融資を行うなど、支援策の拡充を行う。さらに、観光地における高齢者、障害者の利便を考慮した信号機、道路標識等の交通安全施設等の整備を推進する。
     また、幅の広い歩道等の整備や歩道の段差、傾斜、勾配の改善、電線類の地中化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等を進め、誰もが安心して歩ける歩行空間のバリアフリー化を推進する。また、積雪、凍結等による冬期特有のバリアを軽減するため、消雪施設、流雪溝、堆雪幅等の整備や歩道除雪の充実を図り、冬期バリアフリー対策を進める。交通バリアフリー法に基づき、鉄道駅等の周辺の道路等のバリアフリー化を推進する。
     見やすく分かりやすい道路標識、ゆずりあい車線、休憩施設(「道の駅」)等の整備を進め、運転者が安心してかつ安全に運転できる道路交通環境の整備を行う。高速自動車国道のサービスエリア、パーキングエリア、「道の駅」などの休憩施設においては、障害者用トイレや駐車ます等の整備を行う。
     さらに、ホテル・旅館については、高齢者・障害者の利用に配慮した施設整備に対し、中小企業金融公庫等による特利融資制度を推進するほか、関係団体を通じて、障害者の施設の利用の容易化について引き続き周知する。
     高齢者、障害者をはじめ、女性や子供、外国人等すべての人にやさしいまちづくりを推進する観点から、地方公共団体が地方単独事業により歩道の段差切り下げ、歩道の整備と一体的に行う障害物の除去など公共施設等の改良を体系的・一体的に実施する場合には、引き続き「共生のまち推進事業」により財政支援措置を講ずる。
    2  国立の文化施設等において、トイレ、スロープ、エレベーター等障害者用施設の整備を進めるとともに、入場料金の軽減措置を行う。
    3  福祉施設等と一体となった公園(いきいきふれあい公園)等の都市公園等の整備を計画的に推進する。
    4  河川改修及び砂防事業等を通じて、障害者等にも配慮した堤防坂路のスロープ化、休憩施設の設置等の河川の整備等を実施する。
    5  港湾の利便性を向上するため、マリーナ等において障害者や高齢者にも配慮したスロープや桟橋を設置するなど、港湾施設のバリアフリー化を実施する。

    2)通行料金の割引等
     有料道路においては、身体障害者手帳の交付を受けたすべての身体障害者が自ら運転する場合や、重度の身体障害者又は療育手帳の交付を受けた重度の知的障害者の介護者が運転する場合に、通行料金の割引措置を引き続き行う。
     また、国営公園における身体障害者等の入園料等の免除を引き続き行う。
     歩行困難な身体障害者が自動車を利用しやすいように、身体障害者の使用する車両に対し駐車禁止除外指定車標章を交付しており、今後も引き続き行う。

  5. 郵便サービスの充実
     観光地において臨時出張所を開設し、「ふるさと切手」、「ふるさと絵葉書」などの郵便切手類の販売等を行う。また各地の名所、史跡等をデザインした風景入通信日付印を郵便局で、郵便物の消印に使用し、旅行及び観光促進の一助となるように努める。