第4節 観光レクリエーション施設等の整備施策の展開

  1. 公的観光レクリエーション施設等の整備
    (1)オートキャンプ場と休暇村等の整備

    1オートキャンプ場
    ア.エコロジーキャンプ
     国立・国定公園の優れた自然の中で、家族が快適に長期滞在し、野生動物との出会いや星空の観察など自然とふれあうことのできるグレードが高く環境にやさしいキャンプ場(エコロジーキャンプ)の整備を引き続き行う。

    イ.都市公園におけるオートキャンプ場
     質の高いオートキャンプ場を整備することを目標に、都市公園の体系的整備をいかしてネットワーク化を図るため、その整備を推進する。

    ウ.北海道オートリゾートネットワーク構想関連施設
     北海道オートリゾートネットワーク構想を推進するため、オートキャンプ場などの整備を行う。13年度は、岩内町、音更町等において整備を進める。
     また、北海道オートリゾートネットワーク協会を中心として構想の一層の充実、発展を図るための事業を引き続き進める。

    2休暇村、保養地
    ア.国民休暇村
     国立・国定公園内において、「自然公園法」に基づく集団施設地区として国民休暇村を整備してきたが、引き続き公共施設の整備を行うとともに、運営に当たっている休暇村協会に対し指導を行う。

    イ.国民保養温泉地
     温泉の公共的利用の増進のため、保健・休養等に適した温泉地を国民保養温泉地に指定する。また、国民保養温泉地の中から「ふれあい・やすらぎ温泉地」の選定を行い、自然ふれあい・温泉センターや歩道等各種利用施設の整備を推進する。

    2)農山漁村地域におけるレクリエーション地区等の整備
    1都市と農山漁村との交流
    ア.過疎地域滞在施設整備モデル事業実施地域
     ゆとりある生活に対する欲求、自然環境への関心の高まる中で、過疎地域の有する優れた自然環境等を有効に活用し、国民一般が手軽に利用し得る滞在型交流施設並びに多様な居住空間の創出に資する交流住宅団地の基盤及び周辺施設の整備を推進する。

    イ.森林とのふれあいの場
     森林とのふれあい体験を通じて都市と山村との交流を推進するため基本構想策定、様々な体験の機会を提供するプログラムの作成や指導者の養成、ホームページによる情報提供等を支援する事業を実施する。

    ウ.ホーストレッキング用馬の道
     都市と農山漁村との交流に資するため、ホーストレッキング用馬の道の整備を推進する。13年度は、北海道の各地で馬の道ルートの設定や農業関連施設の活用などを検討する調査を実施する。

    2グリーン・ツーリズム
     緑や自然に対する国民のニーズの高まりを背景として、農業・農村の活性化を図るため、都市住民への情報発信システムの開発、都市農村交流に関する人材育成のためのスクールの設置、学童の農業・農村体験活動等を行う事業を実施する。

    3子ども長期自然体験村
     農家やユースホステル等において、子どもたちが夏休みに2週間程度の長期間宿泊して自然体験、農作業等の勤労体験、環境学習、地域の伝統行事への参加、レクリエーション等を体験する機会を提供する「子ども長期自然体験村」事業を実施する。
     また、都市等における居住地周辺の森林又は沖縄県内の荒廃した森林等が所在する地域において、防災、景観、森林とのふれあい等に配慮して居住環境としての森林の整備等を行う居住地森林環境整備事業を実施する。

    3)森林・公園等を活用したレクリエーション施設等の整備
    1森林
    ア.森林の総合利用の推進
    (ア) 森林の新たな利用の推進
     平成14年度からの完全学校週5日制に向けて、子どもたちが森林に興味を持ちながら様々な体験活動を行う機会を広く提供する「森の子くらぶ活動推進プロジェクト」を実施するとともに、地域における受け入れ体制の整備を推進する。
     また、森林とのふれあい体験を通じた森林環境教育に関するプログラムの作成と普及、全国シンポジウムの開催、ホームページによる情報の受発信を実施する。
     さらに、高齢化が進む中で、森林浴等健康づくりの場としての森林の利用を推進する観点から、年齢や障害の有無にかかわらず、利用者の体力等に応じた形で森林とのふれあいを体験できるような森林・施設設計の考え方としてユニバーサルデザイン手法の普及を図る。
    (イ) 里山林等の保全・整備・利用
     身近な里山林や都市近郊林が保健・文化・教育的利用の場として人々に継続的に利用され、維持管理されるよう、森林所有者、地域住民等の連携・協力の下で、利用活動と保全・整備活動を一体的に推進する条件を整備するため、多様な活動の場となる「里山利用林」の設定、利用活動の推進を通じてその保全・整備に寄与する「森林の育て親」の募集、新たな保全・利用活動の立ち上げに対する支援等を実施する。
    (ウ) 森林空間の整備
     森林の公益的機能発揮に対する国民の要請が多様化・高度化していることを踏まえ、森林環境教育、健康づくり等新たな森林利用に対応した、多様な森林等の整備を推進する森林空間総合整備事業を実施する。
     また、都市等における居住地周辺の森林又は沖縄県内の荒廃した森林等が所在する地域において、防災、景観、森林とのふれあい等に配慮して居住環境としての森林の整備等を行う居住地森林環境整備事業を実施する。

    イ.保健保安林等
     都市近郊等にあって特に風景等が優れ、森林レクリエーション利用に供する森林等を保健保安林等として指定するとともに、その機能向上を図るため、環境保全保安林整備事業として実施する森林の造成等の整備について助成するほか、保安林施設整備事業として実施する指導案内図板等の整備について助成する。

    ウ.レクリエーションの森等
    (ア) レクリエーションの森
     国有林野内の保健休養等に適する森林を今後とも積極的に国民のレクリエーション利用に供するため、森林レクリエーション施設の整備等を引き続き実施する。
    (イ) ヒューマン・グリーン・プラン
     国有林野内の自然景観が優れ、野外スポーツ等に適した森林空間について、人と森林とのふれあいの場を創造するヒューマン・グリーン・プランを積極的に推進することとし、民間能力を活用しつつ休養施設、スポーツ又はレクリエーション施設、教養文化施設等を総合的に整備する。
    (ウ) ふれあいの森
     国民が中心となった森林の整備等の活動の場として「ふれあいの森」の設定を推進する。
    (エ) 「森の巨人たち百選」の保護
    次世代へ残すべき遺産として選定した国有林野内の代表的な巨樹・巨木100本(「森の巨人たち百選」)の保護を図るための地域の取組みに対する支援を行う。

    2 公園
    ア.自然公園におけるレクリエーション地区等
    (ア) 自然公園核心地域総合整備
     国立・国定公園の核心地域において我が国を代表する優れた自然の保全や復元のための整備を一層強化するとともに、より快適な利用を確保するために「自然公園核心地域総合整備事業(緑のダイヤモンド計画)」を引き続き進める。
    (イ) 自然学習歩道整備事業
     自然豊かな国立・国定公園内の自然学習に適した地区等をフィールドとし、効果的に学習できる施設を有した「自然学習歩道」を整備し、自然史を軸とする自然学習を推進する。
    (ウ) ふれあい自然塾整備事業
     国立・国定公園内において、大自然の中における自然を活かした遊びや冒険、学習やゆとりのある滞在生活等を通じて、誰もが親しみやすい形で自然に学ぶことができる場を提供するための中核的拠点として「ふれあい自然塾」を整備し、自然とのふれあい活動を推進する。
    (エ) ふるさと自然公園国民休養地
     都道府県立自然公園内において、都市住民が自然とふれあい、自然を理解するために必要な博物展示施設(ふるさと自然公園センター)、園地、野営場、歩道等の総合的整備を引き続き進める。

    イ.都市公園等の整備
    (ア) 概説
     13年度は、第6次都市公園等整備七箇都市計画(8〜14年度)の6年度として、12年度に引き続き都市環境の保全、改善や自然との共生、広域レクリエーション活動や個性と活力ある都市、農村づくり等への対応を図るため、都市公園等の整備を推進する。
     また、2002年に開催されるワールドカップサッカーのスタジアムのうち8か所が都市公園施設であることから、大会に関連する公園整備を積極的に推進する。
    (イ) 国営公園 
     13年度には、国営武蔵丘陵森林公園等16公園の整備を引き続き行う。また、新たに開園する国営吉野ヶ里歴史公園及び国営明石海峡公園等15公園について適正な維持管理を行う。さらに、国営公園内の有料施設等の整備を促進するため、都市基盤整備公団が財政投融資資金等をもって、国営沖縄記念公園等の特定公園施設の整備を行う。
    (ウ) 大規模公園
     大規模公園については、用地の買収及び施設の整備を引き続き実施する。
    (エ) その他の都市公園等
     都市基幹公園及び特殊公園については、引き続き用地買収及び施設の整備を推進する。
     また、都市において地域レベルでの環境活動などの拠点となる公園(環境ふれあい公園)、各年齢層が手軽に各種の運動が行える拠点的公園等を整備する健康・運動施設整備事業、公園施設のバリアフリー化や、福祉施設と一体的に整備する公園(いきいきふれあい公園)を推進する。
    (オ) レクリエーション都市
    国の補助事業として地方公共団体が主体となリ、第3セクター方式により、レクリエーション施設をはじめとする各種公園施設を配置する都市計画公園を中核として、その利用に伴う宿泊・休養施設や道路等の基盤施設を併せて一体的に整備するレクリエーション都市の整備を三重県ほか1か所で進める。

    ウ.国民公園
     皇居外苑、新宿御苑及び京都御苑を広く国民の利用に供するために適正な維持管理を行うとともに、北の丸公園の外灯整備、新宿御苑の御休憩所整備等を行う。

    エ.こどもの国
     児童の健全な育成を図るための総合的な施設であり、牧場、遊戯広場等の整備を行う。

    3自然体験施設
    ア.自然歩道
    (ア) 長距離自然歩道
     豊かな自然や文化財等を有機的に結ぶ長距離自然歩道について13年度は、引き続き中部北陸自然歩道及び近畿自然歩道の整備を推進する。また、利用情報提供等の機能を備えた利用拠点(ウォーカーズ・パーク)の整備や老朽化した東海、九州、中国、四国及び首都圏の各自然歩道の再整備を行う。
    (イ) ウォーキング・トレイル
     歩行者専用道路や幅の広い歩道等を整備する「ウォーキング・トレイル事業」を推進する。

    イ.大規模自転車道
     交通の安全を確保し、併せて心身の健全な発達に資する大規模自転車道の整備を推進する。

    ウ.ふるさと自然ネットワーク
     身近な自然を活用し、生き物とふれあい、自然の中で憩い、国民が自然との共生を実感できる拠点の整備をふるさと自然ネットワークとして推進する。

    4)親水レクリエーション施設の整備
    1河川周辺レクリエーション施設
    ア.河川周辺レクリエーションの振興
     河川を野外学習や野外レクリエーションなどの場として整備し、さらに、河川を舞台とした清流ふれあい交流活動を推進する。
     特に地域において河川等を自然体験の場として活用の要望の強い場所においては、必要な施設、体制の整備を行い、水辺の楽校(がっこう)として利用を図る。
     また、河川の高水敷等を公園、緑地、運動場等に利用するための諸施設の整備を、河川環境整備事業(河道整備)により実施するとともに、河川利用の推進を図るため、河川環境整備事業(河川利用推進)を実施する。

    イ.山地渓流レクリエーション施設
     自然環境との調和を図りながら緑と水辺の空間を確保し、生活環境の整備を行うため、高水敷の整備、緑化等に加え市町村が実施する野外活動拠点整備と一体となった渓流整備を図る。また、良好な渓流を再生することを目的とした渓流再生対策を実施する。このほか、土砂災害の防止を図りつつ渓流の自然環境を保全する砂防事業を実施するため、「渓流環境整備計画」の策定を推進する。

    ウ.ダム周辺レクリエーション施設
     ダム貯水池周辺の環境を整備し、ダム貯水池の持つレクリエーション機能を発輝するため、17ダムについてダム湖活用環境整備事業を実施する。
     また、常時一定水位で利用可能な湖面を創出するレクリエーション湖面整備ダム事業を浄土寺川・浄土寺川ダムにおいて実施するとともに、地方公共団体等が事業主体となる、ダム堤体や貯水池を利用したレクリエーション事業と一体となったレクリエーション多目的ダム事業を新湊川・石井ダム等3ダムにおいて実施する。
     さらに、地域の創意工夫を生かし、ダム湖を中心とした魅力的な余暇活動の場として整備することにより地域活性化を支援する「地域に開かれたダム」事業を実施する。

    エ.遊漁等施設
     内水面域の有用な地域資源を活用した内水面地域の活性化を図るため、内水面環境活用総合対策事業により遊漁等施設の整備を行う。

    2海洋性レクリエーション施設
     公共マリーナや簡易な係留施設であるボートパークの整備を進めるほか、民間及び第三セクターが行うマリーナの整備や旅客ターミナル施設等の整備に対する支援を行う。
     ウォーターフロント空間の魅力の増進のため、人工海浜等の親水性に富む港湾・海岸の整備を進める。
     港湾における豊かな空間を保全・創出するため、港湾環境整備事業の一環として親水性に富む緑地等の整備を引き続き行う。

    3 漁港レクリエーション施設
     漁船とプレジャーボート等との秩序ある漁港利用を図り、都市と漁村との交流を促す海洋性レクリエーション空間の創出に資するフィッシャリーナの整備を推進するとともに、簡易な係留施設、総合交流施設等の整備を行う漁港漁村活性化対策事業を推進する。併せて、漁港内における快適な環境を保全・創出するため、親水施設等の整備を行う漁港環境整備事業を実施するとともに、都市住民との交流を促進するため、広場、親水護岸等の整備を行う漁港交流広場整備事業を推進する。

    4海岸レクリエーション施設
    ア 海岸環境整備事業
     安全で、利用しやすく親しみのもてる海岸の創造、さらには、自然と共生し快適で潤いのある海岸環境の保全と創出を図る海岸環境整備事業を全国で計画的に実施する。

    イ.ビーチ利用促進モデル事業
     マリーナ等の整備と連携しつつ、大規模なビーチ、遊歩道等を重点的に整備する「ビーチ利用促進モデル事業」を推進する。

    ウ.コースタル・コミュニティ・ゾーン
     地域住民が海と親しみ、集い、憩える場としてコースタル・コミュニティ・ゾーンの整備を推進する。

    エ.海と緑の健康地域づくり―健康海岸―
     砂浜の保全・復元、遊歩道の整備など健康増進のために利用しやすい海岸づくりを推進する。

    オ.いきいき・海の子・浜づくり
     自然・教育活動の場(野外活動、体験学習等)、マリンスポーツの場として利用しやすい海岸づくりを推進する。

    カ.日本の水浴場55選とふるさとふれあい水辺整備事業
     水浴場を国民の健全なレクリエーションの場や地域の生活・文化の核としての面と、自然の水循環の一部としての面から位置付け、望ましい水浴場の整備促進を図るため、全国的に見て特に優れた水浴場を選定し顕彰した「日本の水浴場55選」制度の普及・啓発等を進める。
     また、水浴場及びその周辺地域などにおいて、自然環境を学習・体験する施設、水質浄化施設等を整備することにより、優れた水環境を維持・創出し、人と水や水辺の豊かな自然とのふれあいを促進する目的で引き続き「ふるさとふれあい水辺整備事業」を実施する。

    キ.自然豊かな海と森の整備対策事業―白砂青松の創出―
     海水浴、森林浴を同時に楽しめる等、潤いのある生活環境の整備のため、「白砂青松」で代表される自然豊かな海岸づくりを推進する。

    ク.岬のオアシス構想
     近年、地元自治体において岬の灯台を地域のシンボルとして位置付ける地域振興策が企画されており、灯台においては、地元自治体が実施する公園化事業と連携する「岬のオアシス構想」を推進する。

  2. 民間能力の活用による総合保養地域の整備
     同意基本構想の着実な推進を図るとともに、リゾート整備アドバイザーの派遣や総合保養地域における意欲的な取組みに対する支援等を行うことにより、地域づくりという長期的な視点の下に魅力ある多様な総合保養地域の整備を推進する。