(街路の生み出すまちなみ)

 地域の選択と責任による個性ある地域づくりが求められている中、創造力と活力に溢れた地域社会を構築していくためには、都市における道づくりも、従来のように機能性や効率性のみを重視するのではなく、人々の生活の高度化、多様化に対応し、快適性や美しさを向上させる必要がある。このため、地域の自主的なまちづくり計画に基づき、地域の個性や多様性を活かした道筋とまちなみの整備などを進める街路整備のための事業を実施し、郷土色豊かでまちのシンボルとして誇りをもち、親しみとうるおいを与えられるような街路や、身近でより質の高い生活空間を演出する街路などの実現を目指している。
〈川越旧城下町を未来に残す〉
 川越は、埼玉県西部に位置し、江戸時代には舟運により江戸に物資を輸送したことで「小江戸」と呼ばれて繁栄したまちである。地区の北部には歴史的まちなみが残り、蔵づくりの町屋が比較的まとまって存在するなど、蔵づくりのまちとして観光客も多い。
 しかし、歴史的に形成された市街地は袋小路や細街路が多く、防災上・交通安全上支障があるため、「歴史的地区環境整備事業」を実施し、地区内の道路については、沿道の蔵づくりを保存しつつ、電線類の地中化、沿道景観と調和した舗装の工夫等を行った。また、併せて、一部を「伝統的建造物群保存地区」(「第1 総説」の第4章第2節1[伝統的建造物群保存地区・歴史的風土特別保存地区]を参照)に指定し、区域内にある伝統的建造物以外の既存建築物の修景等を実施した。
〈彦根城下町をよみがえらせる〉
 彦根城の南に面する彦根城下町として古い歴史と伝統的な町人町として栄えた地区である。伝統的なまちなみの再生により町の活性化を図るため、都市計画道路を彦根市の顔となる「シンボルロード」として整備することとし、電線類の地中化、歩道・車道の自然石舗装、照明塔の設置、ケヤキ等の植栽を実施した。また、「OLD・NEW TOWN」をメインテーマとして、古い良さを生かした新しい活気のみなぎるまちを目指し、その沿道地域のまちなみ景観を整備するための地区計画(「第1 総説」の第4章第2節1[地区計画]を参照)を策定した。この中で、地区整備計画及び建築条例により、建築物等の意匠、用途、高さ、壁面の位置の制限等を行い、歴史的なまちなみを形成した。

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