セントラル・アーテリープロジェクト(ボストン)  芸術、学問のまちとして知られているボストンは、活動的な近代都市と多数の歴史的建造物を有する落ち着いた古都が共存する都市である。この人口60万人の大都市において、現在セントラル・アーテリープロジェクトという全米でも有数の規模のプロジェクトが進行されている。セントラル・アーテリーとは、ボストン中心部を南北に縦断している高架高速道路であり、1954年に建設され、ボストンの都市機能・経済機能の発展に寄与してきた。しかし、経済機能発展に伴う交通量の爆発的な増加や放射状に多数のアクセスが連結されたこと等により、全米でも屈指の交通渋滞を招来し、都市機能の阻害、経済発展への影響、大気汚染の悪化等が懸念されたことなどから、高架高速道路の地下化等が計画され、現在建設が進行中である。計画内容としては、現在の高架高速道路や地上道路を全て供用したまま、地下高速道路を建設し、地下高速道路完成後、現在の高架高速道路を撤去し、地上の原状回復を行うこととされている。高架高速道路の地下化により、交通渋滞の緩和・輸送基盤の拡大や大気・騒音等の環境問題の低減等の効果が想定されるほか、高架道路の撤去に伴う公開空地の確保などによる都市景観の復活の効果も期待されている。  「あの「グリーンモンスター」、すなわちセントラル・アーテリーを撤去する。この50年を経過した時代遅れの代物は市の隣接地域を分裂させ、市を訪れるものに不快感を与えている。この高架アーテリーがなくなれば、ガバメントセンターから港湾を見渡せるようになる。…50年間失われていた景観の一体性を取り戻せる。」 (Massachusetts Highway Department資料)