(4)事後チェック型行政の確立

 従来は、事業の開始前に行政が積極的に介入する、いわば「事前チェック」型の行政が展開されてきた。しかし、大幅な規制緩和を行った今、このような行政のあり方も抜本的に転換する必要がある。
 今後も、事業者の参入に際して安全性要件を審査する等、最低限の事前チェックは必要である。しかし、それ以外の事前チェックは必要最小限のものとし、事業者の自由な参入を促進するべきである。
 一方、規制緩和により、「安全の確保」「消費者利益の保護」のための行政の役割が一層重要になっている。
 例えば、規制緩和後の新規参入者の増加により競争が激化した場合、事業者の事業内容が悪化し、経費の節減等による安全性の低下をもたらすおそれがある。また、競争の結果として独占的な地位を占めた事業者が、不当な価格設定を行う等して消費者利益を損なう可能性もある。
 事業者の活動を阻害せず、行政がこれらの弊害を除去していくためには、事業開始後のいわゆる「事後チェック」のための行政をこれまで以上に的確に遂行していく必要がある。
 これまでに取り組まれている事後チェック型の行政としては、例えば次のような例があげられる。

1)貨物自動車運送事業の監査体制の見直し
 国による貨物自動車運送事業者への監査回数、監査内容の充実等を図るとともに、地方の貨物自動車運送適正化事業実施機関との連携の強化を図っている。

2)貸切バス事業者への行政処分の基準設定
 規制緩和が実施された貸切バス事業について、輸送の安全の確保等のために遵守すべき事項に係る違反をした事業者に対する、点数制度による処分の基準を設定した。

3)航空輸送サービスに関する諸課題への対応
 運賃・料金にかかる変更命令の制度について、的確かつ透明性の高い運用を行うためのガイドラインを平成12年2月に策定するとともに、航空輸送サービスに関する情報提供(定時運航率、輸送人キロ当たりの旅客収入等のデータ)をインターネット上等で公開している。

 今後とも、規制緩和の動向を踏まえ、安全や消費者利益を確保するための事後チェック型行政を着実に実施していく必要がある。

 

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