第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(公共交通サービスの確保)

 人口構造の変化による旅客需要の減少に加え、規制緩和により事業者間の競争が促進されること等により、従来よりも厳しい経営を強いられる可能性もあり、また、沿線開発一体型のモデルも維持しにくくなること等から、今後事業者の投資余力の低下も懸念される。交通事業者が今後も必要な公共交通サービスを維持・確保していくためには、従来以上に経営の効率化を図り、人口減少社会にも対応できるよう経営体質を強化するなど、新たな時代に対応した事業構造への転換を進めていくことが求められる。
 このため、事業者においては、より利用者の立場に立った利便性向上を図るほか、分社化等による経営のスリム化、複数事業者の連携による車両や券売機等の標準化、共同調達といったコスト削減等の取組みが進められており、さらに幅広い取組みが適切に実施できるような環境の整備が重要である。
 また、過疎地域等の利用者の減少が著しい地域においては、事業者による公共交通サービスの維持ができなくなる事態がますます増加するものと考えられるが、地域のコミュニティを維持するためにも、生活交通の確保は重要な課題であり、地域の実情に応じたさまざまな取組みが進むような環境づくりが必要である。
 
図表I-3-1-8 公共交通シームレス化の推進

公共交通機関を利用する場合に、バスの乗り降り、駅の階段の昇り降り、乗り換えが大変などの不便な点を改善し、利用しやすい公共交通機関とするため、バスロケーションシステム、ノンステップバス、同一ホーム乗り換えや相互直通運転、共通ICカード乗車券の導入、乗継運賃割引の拡大などにより、物理的な面、運賃面、情報面でのシームレス化を進め、継ぎ目のない公共交通機関を目指すこととしている。



(注)シームレスとは、「継ぎ目のない」の意味。公共交通分野におけるシームレス化とは、乗継ぎ等の交通機関間の「継ぎ目」や交通ターミナル内の歩行や乗降に際しての「継ぎ目」をハード・ソフト両面にわたって解消することにより、出発地から目的地までの移動を全体として円滑かつ利便性の高いものとすること。具体的には、バリアフリー対策、同一ホームによる乗り換え、相互直通運転化、接続ダイヤの設定、乗継運賃割引の拡大、共通乗車船券の設定等

 

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