(3)モーダルシフト推進を始めとする物流の効率化等  現状、国内物流における輸送機関分担率では自動車が最大であり、50%を超えている。しかしながら、大量輸送機関である鉄道・内航海運の単体の排出原単位(1トンキロ輸送あたりに排出する二酸化炭素の量)に比してトラックの排出原単位は大きく、運輸部門の輸送機関別CO2排出割合においても、他の輸送機関との比較で上位となっている。国内物流を支え、かつ温暖化効果ガスの排出を抑制するためには、トラック単体の低公害化等と併せて、鉄道・内航海運等、単体のエネルギー消費効率の良い輸送機関の利用率を上げることが必要である。  地球温暖化対策推進大綱では、モーダルシフト・物流の効率化等によって、910万tの二酸化炭素排出削減を目指すこととしている。これを達成するために、鉄道及び内航海運の抱えるボトルネックの解消、貨物鉄道駅や港湾における道路輸送との結節の円滑化等を推進している。  具体的には、鉄道においては、我が国における幹線物流の大動脈をなす山陽線の輸送力増強事業の推進等により利便性向上を図っている。内航海運においては、次世代内航船(スーパーエコシップ)の開発・導入、規制の見直し等を内容とする次世代内航海運ビジョンの具体化、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルの拠点的整備、海上ハイウェイネットワークの構築、運輸施設整備事業団の共有建造制度の活用によるモーダルシフト船等の政策課題に適合した船舶の建造促進等により競争力の強化を図っている。さらに、貨物運送取扱事業法の改正により、従来航空及び鉄道に限定していた第二種利用運送事業者の幹線輸送モードを、海運に関しても取扱可能とする規制緩和を行い、利用運送事業者による内航海運利用の推進を促すとともに、国際海上コンテナターミナル及び多目的国際ターミナルの整備を推進すること等により物流の効率化を図っている。 図表II-7-2-4 貨物・旅客輸送機関の二酸化炭素排出原単位(平成12年度) 図表II-7-2-5 国内貨物輸送量の推移 図表II-7-2-6 モーダルシフト化率の推移  また、平成14年度には、モーダルシフトを始めとする幹線物流の環境負荷の低減に向けた取組みを開始しようとする事業者を対象とした「幹線物流の環境負荷低減に向けた実証実験」として、二酸化炭素排出量削減効果の大きい取組みを選定して補助を行い、環境負荷の小さい物流システムの定着を図っている。平成14年度の実証実験の具体的な事例としては、北海道から千葉まで、トラック輸送を行っていた特別積み合わせ貨物を長距離鉄道輸送へ転換する取組み等がある。 図表II-7-2-7  実証実験