第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開 

第I部 東アジアとの新たな関係と国土交通施策の展開



 近年、社会経済のあらゆる分野で国境の垣根が低くなりつつあり、人や物が世界中を活発に行き交う「地球大交流時代」となってきている中で、国際的な分業の進展など世界における経済的な結びつきが深まっている。一方で、地球規模化の進展は、国、地域、企業といった様々なレベルにおける国際的な競争関係をもたらしており、また、温暖化をはじめとする地球環境問題など、海外における社会経済活動が我が国に影響を及ぼすような事態も多くなっている。
 我が国は、輸出入や直接投資など海外経済と常に密接な関係をもって発展してきたが、今後は、観光立国の推進など「地球大交流時代」における人的交流を深める取組みも重要であり、2005年(平成17年)には2005年日本国際博覧会(愛知万博)の開催や日韓友情年2005の実施等が行われる。さらに、国際的な連携の強化に向けた動きも活発となっており、我が国においても、アジア太平洋経済協力(APEC)やASEAN+3、各国との経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)の締結などに取り組んでいる。

 これまで長い間、日本にとってアメリカは最大の貿易相手国であり、日本経済において重要な比重を占めてきた。また、多国間関係については、APECなど、アメリカを含んだ環太平洋における多国間の協力関係も構築され、日本もこうした枠組みの中で重要な役割を担ってきた。日米経済関係が摩擦から協調へと変化し、経済活動の地球規模化がいっそう進行する状況の中で、日米関係、環太平洋における多国間の枠組みは、引き続き日本にとって重要な比重を占め続けると考えられる。
 一方で、我が国と近接する東アジア諸国・地域は、近年目覚ましい成長を遂げており、生産拠点や市場として、また、競争相手として、欧米諸国とともに我が国の今後を考える上で欠かすことのできない存在となってきている。

 このような状況を踏まえ、第I部では、相互依存と競争の関係、国内の地域における国際的な地域間連携の動きなど、東アジア諸国・地域を中心とした近隣諸国・地域との関係の動向を分析するとともに、こうした関係の変化を踏まえ、東アジアと日本が相互に利益を得る形で共に発展していく上での国土交通施策の展開の方向について論じている。

 

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