(2)大都市圏の国際拠点空港機能の強化 1)成田国際空港の整備  成田国際空港(平成16年3月まで新東京国際空港)は、昭和53年の開港以来日本の表玄関として重要な役割を果たしてきたが、滑走路1本の運用による処理能力の限界から、強い増便要請や新規乗り入れ要請に対応できない状況となり、本来計画の2,500m平行滑走路を整備し、空港容量を拡大することが我が国としての緊急の課題となってきた。  現在は一部の地権者の了解が得られていないため、暫定的に2,180mの平行滑走路を供用している。  しかし成田空港における国際航空需要は今後とも引き続き増大が見込まれており、本来計画の2,500mの平行滑走路の早期完成を目指して、全力で取り組んで行く必要がある。さらに、平行滑走路の2,500m化が実現されても、現在地元と合意されている20万回の発着回数では将来処理能力の限界に達することが予測されるため、地元と協議しつつ発着回数の更なる増加を図る必要がある。  また、成田空港を設置・管理していた新東京国際空港公団は、平成16年4月に全額国出資の特殊会社である成田国際空港株式会社に移行した。民営化により、国際競争力のある自立的な経営主体を確立するとともに、空港経営の一層の効率化を図ることにより、利用者負担の軽減や空港の利用者の利便性の向上を実現することとしている。 図表II-5-2-1 成田国際空港の施設計画 図表II-5-2-2 成田国際空港における発着回数・旅客数 2)羽田空港の国際化  羽田空港の有効活用を図る観点から、羽田空港は国内線の、成田空港は国際線のそれぞれ拠点空港であることを基本としつつ、国際化を実施してきている。  深夜早朝時間帯での国際旅客チャーター便については、ソウル、グアム行きを中心に運航便数が増加しており、平成15年度には916便の運航があった。また、15年11月から開始された昼間時間帯における羽田−金浦(ソウル)間の国際旅客チャーター便については、旅客数が16年10月に累計50万人を突破するなど、両国間の交流拡大に寄与している。 3)首都圏における国際拠点空港機能の更なる強化に向けて  平行滑走路等の整備により成田空港の容量を拡大しても、将来増大する国際航空需要に対応できなくなることが考えられる。このため、羽田空港再拡張後の発着余裕枠を活用して2000年代後半までにおおむね3万回程度の国際旅客定期便(近距離路線)の就航を図ることとしている。 4)関西国際空港二期事業の推進  平成16年に開港10周年を迎えた関西国際空港では、中国路線を中心に国際線が堅調に伸びている中で、国際線の就航に便利な時間帯の発着枠が既に満杯に近く、今後の需要に対応できなくなる状況が見込まれている。  こうした状況を踏まえ、平成8年度から2本目の滑走路を整備する二期事業を進めており、用地造成は既に概成しているところであるが、供用開始に必要な施設の整備については、関西国際空港の今後の需要動向と関西国際空港株式会社の経営状況に見通しが立ったことから、平成16年12月の財務・国土交通両大臣間合意において、2本目の滑走路を供用するために必要不可欠なものに限定し、事業費を徹底して縮減した上で、平成19年に「限定供用」を図ることとされた。  これにより、関西国際空港は、我が国で唯一の「複数滑走路+24時間運用」というグローバルスタンダードの国際拠点空港となり、アジアを中心とした海外からのゲートウェイとして、航空需要の増大に適切に対応することが可能となる。  今後、関西国際空港株式会社は、一層の経営改善を進め、安定的な経営基盤を一日も早く確立するよう努めるとともに、関西国際空港が国際拠点空港としての機能を十全に発揮するよう、関係地方公共団体及び民間と一体となって、集客・利用促進・就航促進に向けた更なる努力を行うこととされている。 図表II-5-2-3 関西国際空港二期事業の進捗状況 5)中部国際空港の整備  名古屋の南約35kmの常滑沖海上に位置し、24時間運用可能な長さ3,500mの滑走路1本を有する中部国際空港は、平成17年2月17日に開港を迎えた。 <開港した中部国際空港>