第I部 安全・安心社会の確立に向けた国土交通行政の展開 

(1)密集市街地における地震火災等の発生

 戦後、高度経済成長期を中心に、都市部に人口が流入・急増する中、公共施設の整備を伴う計画的な開発・整備が行われなかったことにより形成された密集市街地が、都市部に多く存在している。全国の密集市街地の中で、「地震時等において大規模な火災の可能性があり重点的に改善すべき密集市街地(重点密集市街地)」は約8,000ha存在し、そのうち東京都と大阪府には、それぞれ2,339ha(約29%)、2,295ha(約29%)存在する。

 
図表I-2-3-3 「地震時等において大規模な火災の可能性があり重点的に改善すべき密集市街地」の分布状況(東京都、大阪府)

地震時等において大規模な火災の可能性があり重点的に改善すべき密集市街地は、東京都が2,239ヘクタール、大阪府が2,295ヘクタールである。

 密集市街地は、狭小な敷地に、老朽化した木造建築物が高密度に建て並んでおり、細街路が多く、公園等のオープンスペースが少ないこと等により、地震発生時に家屋の倒壊や同時多発火災・大規模な延焼を起こす可能性が高い。実際、平成7年に発生した阪神・淡路大震災では、老朽化した木造建築物が多い密集市街地で家屋の倒壊や火災が発生し、多くの人命が失われた。
 このため、安全に避難でき、延焼を遮断する都市構造に転換するなど密集市街地の改善・解消に向けた取組みが求められている。

 

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