第II部 国土交通行政の動向 

2 訪日外国人旅行者の旅行環境の整備

(1)外国人旅行者の受入体制の整備

1)国際観光テーマ地区の整備
 「国際観光テーマ地区」(注1)の整備を目的として作成される外客来訪促進計画については、平成17年12月現在で15地域において策定されており(注2)、観光案内標識の整備や外国語版ホームページによる観光情報提供等の取組みが行われている。

2)宿泊施設の整備
 財政投融資等によりホテル・旅館の整備を推進するとともに、特に訪日外国人旅行者の受入れを希望するホテル・旅館については、インターネット(注3)により海外に情報提供を行っている。また、「国際観光ホテル整備法」に基づき、ハード・ソフトの両面から見て訪日外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行い、税制特例措置の適用等による支援を行っている。平成17年10月末現在、1,124軒のホテル及び1,997軒の旅館が登録されている。

3)鉄道・バス交通の整備
 外国人観光客にも乗降駅や乗換駅を分かりやすくするため、札幌、東京、横浜、名古屋、京都、大阪及び神戸の地下鉄等において、路線名と駅名にアルファベットや数字を併記するナンバリング(番号制)を実施しており、今後も、路線が複雑で外国人の利用が多い地域を中心に導入を促進することとしている。
 また、外国人観光客が利用しやすいバス交通を目指して、平成17年度に、観光推奨バス路線を指定するとともに、車両のカラーリング、路線図や行き先表示における外国語表記等による実証実験を4地域で行った。

 
東京メトロにおけるナンバリングの例



4)外航クルーズの振興
 外航クルーズによる観光交流の促進や、クルーズ船の寄港がもたらす経済効果による地域振興等を図るため、石垣港等の9港で旅客船ターミナルの整備を行っている。
 また、地方港のにぎわい創出による地域の活性化を図るため、これまでに北海道、関西、中国、九州及び沖縄において、地方クルーズ振興協議会を設置し、官民一体となって外航クルーズの旅客需要の拡大や外航クルーズ客船の誘致等に取り組んでいる。

5)公共交通事業者等による案内情報提供
 平成18年4月の「外客誘致法等の一部改正法」の施行により、国土交通大臣が指定した区間については、外国語等による案内情報の提供が公共交通事業者等に義務付けられることになっており、外国語等による案内情報の提供のためのガイドラインの策定を進めている。

6)観光活性化標識ガイドライン
 道路、河川、公園、交通機関、観光施設、自然公園施設等に設置されている案内標識の外国語等の標記方法や計画・設置等の基本的考え方を定めた「観光活性化標識ガイドライン」を公表するとともに、実際にガイドラインに沿った整備計画を全国3箇所で策定した。

7)通訳案内士制度の改善に向けた取組み
 平成17年6月に「外客誘致法等の一部改正法」が成立し、「通訳案内業法」が改正されたことを受け、18年度以降実施される通訳案内士試験及び地域限定通訳案内士試験の内容、レベル、実施方法等についてのガイドラインを策定した。さらに、通訳案内士制度の周知や海外での試験の実施、段階的な標準スキルアップ・プログラム策定等、通訳案内士制度の改善に向けた取組みを進めている。

8)ITを活用した多言語での観光案内
 必要とされる観光情報を多言語で容易に取得できるように、電子タグ(注4)等の発信機や携帯端末によるユビキタス・ネットワーク技術(注5)を活用した観光案内システムの検討を進めている。


(注1)訪日外国人旅行者の来訪を促進しその来訪地域の多様化を図るため、優れた観光資源を有する地域と宿泊拠点となる地域を結び付け、訪日外国人旅行者が3〜5泊で周遊できる観光ルートを形成した広域的かつ一体的な地域
(注2)平成17年には、東京、大阪及び千葉・茨城の3地域において策定された。
(注3)Accommodation Japan http://www.e-stay.jp
(注4)ICチップとアンテナを内蔵したタグ。この中に個別の識別情報等を格納しておくことで、電波を利用し、接触することなく近接した距離において格納されたデータを読み書きすることが可能となる。
(注5)あらゆる情報機器が広帯域ネットワークで結ばれることにより、「いつでも、どこでも、何でも、誰でもつながるネットワーク」(ユビキタス・ネットワーク)の利活用環境を形成する情報通信技術(ICT)

 

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