第II部 国土交通行政の動向 

(2)新幹線鉄道の整備

 新幹線は、国土の骨格となる高速交通機関であり、その整備により、移動時間の大幅な短縮、沿線地域への入込客数の大幅な増加、地域開発・経済活性化等の大きな効果がもたらされる。また、新幹線は交通機関の中でも最も安全(昭和39年の東海道新幹線開業以来、乗客の死亡事故はゼロ)であり、省エネルギーで環境にやさしい交通機関(CO2排出原単位は航空機の1/5、自家用車の1/8、エネルギー消費量は航空機の1/4、自家用車の1/6)である。
 整備新幹線については、「全国新幹線鉄道整備法」に基づき整備計画が定められており、従来より、政府与党間の申合せ等に基づき着実に整備を推進してきている。平成16年12月には、開業効果をできる限り早期に発揮させることが重要との観点から、既に着工した区間の工期短縮を図るとともに、収支改善効果や投資効果等を厳密に検証した上で、特に整備効果の高い区間や既に着工している区間と同時開業が望ましい区間について新たに着工すること等を内容とする政府・与党申合せが決定された。具体的には、1)北海道新幹線(新青森-新函館間)の新規着工、2)北陸新幹線(富山-石動間、金沢-白山総合車両基地間、福井駅部)の新規着工及び長野-白山総合車両基地間のフル規格での一体的整備、3)長崎新幹線(武雄温泉-諫早間)の並行在来線区間の運営のあり方についての調整が整った後の新規着工等が決定され、上記区間の北海道新幹線については17年5月に、北陸新幹線については同年6月に着工された。
 なお、整備新幹線を建設する区間の並行在来線については、JRの経営に対する過重な負担を避けるため、累次の政府与党間の申合せ等において、整備新幹線の開業時にJRの経営から分離することとされている。
 今後とも、この申合せに基づき、整備新幹線の着実な整備を図っていくこととしている。

 
九州新幹線つばめ



 
図表II-5-1-5 整備新幹線の現状

北陸新幹線の福井駅部は平成20年度末に、東北新幹線の八戸、新青森間と、九州新幹線の博多、新八代間は平成22年度末に、北陸新幹線の長野、富山間は平成26年度末に、北海道新幹線の新青森、新函館間は平成27年度末に完成予定である。

 
図表II-5-1-6 新幹線整備による時間短縮効果

建設中の新幹線が整備されることにより、例えば、東北、北海道新幹線の東京、新函館間は約1時間52分短縮、北陸新幹線の東京、金沢間は約1時間16分短縮、九州新幹線の博多、鹿児島中央間は約51分短縮、博多、長崎間は約28分短縮される。
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