第8節 社会資本の老朽化に伴う課題  我が国の社会資本は、社会的ニーズに応じて着実に整備が進められてきた。その結果、なお整備をしなければならないものは依然として存在するものの、整備水準は相当程度向上し、生活・経済活動を支えるとともに、国民の安全を確保する基盤として大きな役割を果たしてきた。  しかし、近年、整備・蓄積されてきた社会資本について、建設後相当の期間を経過するケースが増えつつあり、老朽化に伴う障害事例が見られる。例えば、道路や下水道の一部において、老朽化が原因で陥没等の障害が生じている。  かつて米国では、1970年代から1980年代にかけて、1930年代のニューディール政策により大量に建設された社会資本の老朽化が進む中で適切な維持管理・更新投資がなされず、悪路や欠陥橋梁の増加により、経済的・社会的に大きな損失がもたらされた。  今後、我が国においても、高度経済成長期を中心に大量に整備・蓄積されてきた社会資本が順次老朽化していくことを考慮すると、適切な維持管理・更新を行わなければ、安全性が損なわれるおそれがある。