第I部 地域の活力向上に資する国土交通行政の展開 

コラム・事例 地域の価値の再発見〜人口減少市町村における地域資源の活用

○ 奈良県御所(ごせ)市〜古い街並みをいかす
 大和平野西南端に位置する御所市では、平成7年から17年の間に人口が約3万6千人から約3万2千人にまで減少するとともに、高齢化も進行し、市の中心市街地である「御所まち」においても活気が失われてきました。このような状況に対し、江戸時代中・後期から明治時代にかけての町家が多く残る街並みをいかした、住民主体の継続的なまちづくり活動が行われています。町家の特別公開や商家の蔵でのコンサート等を行う複合的なイベント「御所まち霜月祭(そうげつさい)」の開催が11年に始まり、15年にはNPO法人が設立され、ボランティアガイドによる「霜月祭」や「御所まち」の案内等の活動を展開しています。最近では、「日本風景街道」モデルルートの調査対象に「ごせまち近世景観街道」が登録され、古い街並みの価値の再発見を通じた地域の活性化への取組みが発展してきています。
 


「御所まち」の街並み

○ 島根県美郷(みさと)町〜中山間地域ならではの環境をいかした取組み
 島根県のほぼ中央に位置する美郷町では、若者の都市流出等により人口減少が続くとともに、高齢化が進行し、老年(65歳以上)人口割合は平成17年国勢調査では4割を超え、農業生産意欲の減退や農地の荒廃が問題となっています。
 このような状況に対し、同町では、地域再生計画の認定を受けて、一次産品の振興による雇用機会の創出に取り組んでいます。第一に、大麦若葉等の生産・加工を推進し、健康食品産業の振興を図っています。第二に、イノシシによる農林産物の被害が深刻化する中で、駆除イノシシを特産化するという逆転の発想により、捕獲から加工、販売に至るシステムを整備し、「おおち山くじら」というブランドの確立を目指しています。
 また、水量豊富な一級河川「江(ごう)の川(かわ)」が町を貫流していることから、カヌーの博物館や製作工房等を備えた「カヌーの里おおち」を整備し、県外からの長期研修生を募集するなど、豊かな環境をいかした地域興しに取り組んでいます。
 


江の川でのカヌーレッスン

 

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