第II部 国土交通行政の動向 

2 訪日外国人旅行者の受入体制の整備

1)国際観光テーマ地区の整備
 「外国人観光旅客の来訪地域の整備等の促進による国際観光の振興に関する法律」(外客来訪促進法)」に基づき、「国際観光テーマ地区」(注1)の整備を目的とした外客来訪促進計画が15地域(平成18年12月現在)で策定されており、観光案内標識の整備や外国語版ホームページによる観光情報提供等の取組みが行われている。

2)宿泊施設の整備
 「国際観光ホテル整備法」に基づき、ハード・ソフトの両面から見て訪日外国人旅行者の宿泊に適したホテル・旅館の登録を行い、税制特例措置の適用等による支援を行っている。平成18年12月末現在、1,123軒のホテル及び1,981軒の旅館が登録されている。

3)公共交通機関における外国語等による情報提供
 路線名と駅名にアルファベットや数字を併記するナンバリング(番号制)が主に都市部の地下鉄等において実施されるなど、外国人旅行者の利便を図るための様々な取組みが公共交通事業者等により行われている。
 これらの取組みのより一層の促進を図るため、平成18年4月に施行された「外客来訪促進法」では、公共交通事業者等に対して情報提供促進措置(注2)を講じるよう努力義務を課しており、特に、国際空港と主要な観光地を結ぶルート等の多数の外国人が利用する区間については、同措置を講ずべき区間として国土交通大臣が指定し、同区間において事業を経営している公共交通事業者等に対して、情報提供促進実施計画の作成・実施を義務付けている。また、18年3月に「公共交通機関における外国語等による情報提供促進措置ガイドライン」を策定した。
 さらに、外国人旅行者に対する情報提供を充実するため、バス交通においては、車両のカラーリング、路線図や行き先表示における外国語表記等を促進している。

4)観光地の情報提供のためのシステム開発等
 観光活性化標識ガイドラインの公表に加えて、平成18年度より観光客への情報提供の高度化による移動支援の先進的な取組みを支援するため、様々な観光情報提供手段が補完・連携できるような実証実験(まちめぐりナビプロジェクト)を全国25地域で実施している。

5)通訳ガイド制度の改善
 外国人旅行者に日本を正確に理解し、旅行を楽しんでもらうために、通訳ガイドの資格制度を設けている。平成18年度においては、「地域限定通訳案内士制度」の創設、筆記試験の評価方法の変更や試験免除制度の拡充等の通訳案内士試験制度の見直し、ソウル・北京・香港・台北における通訳案内士試験の筆記(一次)試験の実施等を通じ、通訳ガイドの増加を図った。また、個々の通訳ガイドのレベルアップを図るために、19年2月に通訳ガイドのスキルアップのための研修プログラムを策定した。

6)「外国人から見た観光まちづくり懇談会」の開催
 平成18年2月及び3月の2回にわたり「外国人から見た観光まちづくり懇談会」を開催し、日本の各地域で観光振興やまちづくりに取り組んでいる外国人から、日本人が気付かない日本の魅力や大切にすべき景観・伝統・文化、魅力向上のために改善すべき点等について意見やアドバイスを受けた。同懇談会での指摘等を受け、外国人による「ひとり歩き点検隊」を実施し、成田国際、関西国際、新千歳、広島、福岡の各空港とその周辺において、外国語表示の点検等を行った。


(注1)外国人旅行者の来訪を促進するため、優れた観光資源を有する観光地と宿泊の拠点となる地区を結び付け、3〜5泊で周遊できる観光ルートを設定した広域的かつ一体的な地域
(注2)外国人旅行者が公共交通機関を円滑に利用するために必要な、外国語等による情報の提供を促進するための措置

 

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