第II部 国土交通行政の動向 

コラム・事例 より速く、より快適に〜相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線の整備〜

 現在、横浜市西部や神奈川県央部地域から東京都心や新幹線駅にアクセスするためには、横浜駅等での乗換えが必要です。このような状況を受け、「都市鉄道等利便増進法」(平成17年制定)に基づく「速達性向上事業」として、18年度には国土交通大臣が相模鉄道(相鉄)・JR直通線の計画認定を行い、事業着手されたのに続き、相鉄・東京急行電鉄(東急)直通線についても鉄道事業者から計画の認定申請がなされました。両路線が整備されると、乗換えが不要となり、東京都心へのアクセスが大きく向上するとともに、新横浜駅における新幹線ネットワークとの接続が大幅に改善されることになります。
 


相鉄・JR直通線、相鉄・東急直通線事業の概要 相 鉄・JR直通線は、西や駅から横浜羽沢駅付近までの約2.7kmを整備するもので、平成18年11月21日に、速達性向上計画の認定を行った。整備期間は平成18年度から26年度である。相 鉄・東急直通線は、横浜羽沢駅付近から日吉駅までの約10kmを整備するもので、平成18年11月21日に、速達性向上計画の認定申請が行われた。整備期間は平成19年度から30年度である。両方の直通線が完成した際には、現在54分要している、二俣川駅・目黒駅間は、約16分短縮され38分となるとともに、乗り換え回数は2回から0回となり、東京都心へのアクセスが大きく向上する。また、現在42分要している、大和駅・新横浜駅間は、約23分短縮され19分となるとともに、乗り換え回数は1回から0回となり、新横浜駅における新幹線ネットワークとの接続が、大幅に改善されることになる。

 「都市鉄道等利便増進法」は、既存の都市鉄道の間を連絡する新線の建設等による速達性の向上や、駅内外の一体的整備による交通結節機能の高度化を図るための法律です。上記の両路線の整備は、同法が新たに採用した「受益活用型上下分離方式」を活用することにより、実現に至りました。この方式では、既存の鉄道網を有効活用する連絡線の整備に「鉄道施設を整備する主体」と「それを借りて営業する主体」が参加し、営業主体である鉄道事業者は、連絡線の整備によって受けた利益の範囲内で無理なく使用料を支払い、施設を整備・保有する主体は、安定した使用料収入で施設整備費用を償還していくことになります。
 今後、このような新たな制度の活用により、都市鉄道ネットワークを充実させる鉄道路線の整備が更に進んでいくことが期待されます。
 


「都市鉄道等利便増進法」に基づく事業の概要 都市鉄道等利便増進 法に基づく事業では、路線間の接続が不十分で、遠くの乗換駅へ迂回をせざるを得ない場合に、連絡線の整備を行うこと等により速達性の向上を図るとともに、駅内外の一体的な整備が不十分で、円滑な移動が困難な場合に、一体的な整備を行うこと等により、交通結節機能の高度化を図っている。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む