第II部 国土交通行政の動向 

第3節 総合的・一体的な物流施策の推進

 近年、東アジア域内物流の準国内化、京都議定書発効による環境対策の必要性、米国同時多発テロを契機とした物流セキュリティ対策の強化等、物流をめぐる環境は大きく変化している。これらから生ずる課題へ迅速かつ的確に対応するため、平成17年11月に「総合物流施策大綱(2005−2009)」を閣議決定し、1)スピーディで円滑かつ低廉な国際・国内一体となった物流の実現、2)グリーン物流(注1)など効率的で環境にやさしい物流の実現、3)消費者や市場のニーズを重視した効率的物流システムの実現、4)国民生活の安全・安心を支える物流システムの実現の4点を目標として、物流施策の総合的かつ一体的な推進を図っており、その進捗状況はPDCAサイクルにより毎年度フォローアップし、施策の一層の推進を図っている。
 平成18年度には国土交通大臣、経済産業大臣及び民間団体のトップから構成される「国際物流競争力パートナーシップ会議」を設立し、東アジアシームレス物流圏の実現を目指して、アジア域内における電子タグ(注2)を活用した物流資材の高度利用化、現地での人材育成、輸出入通関手続等の標準化・電子化、国境を越えた広域物流網の整備等を促進するための行動計画を策定した。
 また、2006年(平成18年)9月にソウルにて第1回日中韓物流大臣会合を開催し、北東アジアシームレス物流の実現に向けた意見交換等を行い、共同声明及びシャーシの相互通行に関する調査を行うこと等について行動計画を策定した。
 このほか、内閣総理大臣を議長とする「アジア・ゲートウェイ戦略会議」が平成18年10月に設置され、ヒト・モノ・カネ・文化・情報の流れにおいて、日本がアジアと世界の架け橋となる「アジア・ゲートウェイ構想」を取りまとめることとしており、国土交通省としても、同構想を推進すべく施策を進めている。


(注1)モーダルシフト、トラック輸送効率化、流通業務の統合化・効率化、輸送機関の低公害化等により環境負荷の少ない物流体系の構築を図ること
(注2)ICチップとアンテナを内蔵したタグ。この中に個別の識別情報等を格納しておくことで、電波を利用し、接触することなく近接した距離において格納されたデータを読み書きすることが可能となる。

 

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