第II部 国土交通行政の動向 

(3)水質の調査と水質事故対応

 良好な水環境を保全・回復する上で、河川・湖沼・ダム・貯水池の水質調査は重要である。平成17年は、109水系の1,106地点(約10kmに1地点の割合)を調査した。

・全国で見ると、平成17年度におけるBOD(生物化学的酸素要求量)値(又はCOD(化学的酸素要求量)値)が環境基準を満足した調査地点の割合は88%で、15年、16年に引き続き、3年連続で過去最高の割合となった。
・河川の調査地点のうち、BOD値がサケやアユが生息できる良好な水質とされる3.0mg/l以下となった地点は92.5%であった。16年を0.2%上回り、引き続き9割以上の地点で良好な水質が確保される結果となった。
・大都市部の河川:近年はBOD75%値(注)10mg/lをほとんどの地点で下回り、かなり水質改善が進んできている。
・人の健康の保護に関する環境基準項目:ヒ素等26項目については若干の地点を除き環境基準を満たしている。
・要監視項目:クロロホルム等、要監視27項目については、すべての調査地点で指針値を満たしている。
 
図表II-7-4-3 主要都市河川代表地点におけるBOD75%値の経年変化

主要都市河川代表地点におけるBOD75%ちは、近年10ミリグラムパーリットルを下回っている。例えば、綾瀬川(手代橋)では、BOD75%ちが、昭和49年には41.1ミリグラムパーリットルだったが、平成2年には23.2 ミリグラムパーリットル、平成15年には6.5ミリグラムパーリットルまで減少している。
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 また、市民と協働で、水質調査マップの作成や、水生生物調査を実施している。さらに、河川を多様な視点で総合的に評価する新しい水質指標に基づき、初めて全国規模で住民協働調査を試行した結果、人と河川の豊かなふれあいの視点がAランクなのは約15%、豊かな生態系の視点がAランクなのは約52%となった。
 一方、油類や化学物質の流出等による河川の水質事故は、平成17年に一級水系で1,255件発生し、年々増加傾向にある。河川利用者の水質への関心の高まりや情報連絡体制の充実等の背景もあり、水質汚濁防止連絡協議会を全国109水系のすべてに設立し、事故発生時の速やかな通報・連絡、オイルフェンスの設置等被害の拡大防止に努めている。


(注)例えば、月1回の測定の場合、12個のデータを小さい順に並べたときの9番目(全体の75%がこれ以下となる値)のもの

 

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