第II部 国土交通行政の動向 

(4)国際海事機関(IMO)、国際労働機関(ILO)への対応

 IMOは、海上の安全・保安、航行の能率及び海洋汚染の防止に関する政府間の協力や条約の作成等を行うことを目的とした機関である。我が国は世界有数の海運・造船国としてIMO設立以来連続して理事国の地位を占めており、最近では、任意によるIMO加盟国監査制度の実施、目標指向の新造船構造基準(注1)の検討等、同機関の活動に積極的に参加し、主導的な役割を果たしている。特に、シップリサイクル(注2)に関しては、リサイクルヤードからの海洋汚染や労働安全衛生の問題解決のため、新たな国際規制を2008年(平成20年)から2009年(平成21年)の間に採択することが合意されている。このため、国土交通省としては、シップリサイクル検討委員会を設置し、IMOにおける議論に積極的に参加している。
 2006年(平成18年)2月、ILOにおいて採択された海事労働条約は、船員の労働環境の向上及び国際的に公正な競争条件の確立を図るものであり、国土交通省は、批准に向けて、国内関係者との検討・調整を進めている。また、アジア地域における本条約の批准促進のため、同年10月にアジア各国等の参加を得て「ILO海事労働条約セミナー」を開催した。


(注1)従来、各国、船級協会ごとに異なっていた船舶の構造基準について、ある一定の目標を定め、国際的に合意された要件を設定していくこと
(注2)船舶の解撤:寿命に達した船舶は、解体され、その大部分は鉄材等に再活用

 

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