第1節 東日本大震災の発生 

コラム 乗客の安全を守った新幹線システム

 新幹線においては、従前から沿岸部や新幹線の沿線に地震計を設置するとともに、地震による大きな揺れが列車に到来する前に列車を緊急に減速、停止させるシステムを導入しており、2004年の新潟県中越地震において、上越新幹線で運行中の列車が脱線したことも踏まえ、更にシステムの強化を図っている。東北新幹線においても、同様に沿線や太平洋沿岸に設置された地震計が地震の初期微動を検知することで、主要動の到達前に列車を停止させる「早期地震検知システム」が導入されている。
 東日本大震災においては、地震発生当時27本の列車が運転(うち8本は駅に停車中)されていたが、このシステムが作動したことにより、すべての営業中の列車が安全に停止し、乗客乗員に負傷者を出すこともなかった。
 東北新幹線は、2010年12月4日に新青森まで延伸され、東日本の大動脈として経済や文化の更なる発展に寄与することが期待されていた矢先に、大震災に遭遇することとなったが、今回の乗客乗員の安全確保によって改めて日本の新幹線の安全技術の高さを世界中に示すことにもなった。
 


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