第2節 国土交通省の総力対応 

コラム 被災した地方鉄道の奮闘

 東日本大震災において大津波が押し寄せた三陸沿岸地域を南北に走る三陸鉄道は、大震災により駅舎や橋梁、線路の流出等の甚大な被害を受けた。乗客と乗員を含め社員に人的被害はなかったものの、家族や住居を失った社員もいた。
 そうした苦境に置かれながらも、家や車を失い、買い物や病院にも行けない地域住民を目の当たりにし、これまで支えてもらった地域住民の役に立ちたいという認識の下、震災直後より「とにかく復旧できるところから列車を動かそう」と不眠不休で復旧作業に当たった。
 こうした尽力に加え、現行ルートの6割強を占めるトンネルには被害がほとんどなかったことから、震災から5日後の3月16日には久慈・陸中野田間で、20日には宮古・田老間で、29日には田老・小本間で、それぞれ「復興支援列車」として運転を再開し、3月中は運賃を無料とした。運行再開直後は、速度を落として運行するなどにより安全を確保し、地域住民を始め避難所等へ向かう人々の貴重な足となった。4月以降も、引き続き久慈・陸中野田間、宮古・小本間において、臨時ダイヤで運転を行い、被災者については無料とし、その他の利用者についても運賃を割引するなど、被災住民の生活を支えている。
 
【三陸鉄道の被災状況】
【三陸鉄道の被災状況】


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