第2節 急がれる次なる災害への備え 

コラム 住民を救った津波避難ビル

 東日本大震災の被災地においては、あらかじめ津波避難ビルとして指定されていたビルも大津波による浸水被害を受けたが、その中にあっても、地域の住民が避難し命が救われた事例が報告されている。
 岩手県釜石市では、大津波発生時に高台に避難することが困難な地域の住民のための避難場所として指定していた津波避難ビルの一つ、釜石港から50mほどの位置にある8階建ての市営釜石ビルに周辺住民が逃げ込んだ。大津波は3階まで押し寄せたが、4階以上は被害を免れ、避難者は大津波から守られた。
 また、宮城県南三陸町の志津川湾に面する4階建ての町営松原住宅は、津波避難ビルとして建設されていた。大津波は屋上にまで及んだが、建物自体は倒壊を免れ、屋上に避難していた住民はかろうじて一命をとりとめた。
 今回の被害の実態を検証し、より安全な津波避難場所の確保を進めていくことが求められる。
 
【宮城県南三陸町の津波避難ビルの状況】
【宮城県南三陸町の津波避難ビルの状況】


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