参考資料1 阪神・淡路大震災からの復興と東日本大震災 

参考資料1 阪神・淡路大震災からの復興と東日本大震災

 甚大な被害をもたらした東日本大震災から、既に1年以上が経過した。インフラの復旧は着実に進められてきたが、被災地の復興まちづくりについては、防災集団移転への合意形成をはじめとして、課題も見られるところである。ここでは、平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災からの復興状況を振り返って、両震災の発生後1年間の状況を比較した。

【人口の流出】
 阪神・淡路大震災の際も、東日本大震災の際も、被災地においては震災後に大規模な人口の流出が起こっている。阪神・淡路大震災では、被災地が大都市であったために、震災直後の平成7年2月には、兵庫県単独で1万7千人近い転出超過となっている。東日本大震災においては、震災直後の23年4月、岩手・宮城・福島(東北3県)合計で1万4千人以上の転出超過となっている。
 
図表79 人口の推移

図表79 人口の推移
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【生産の状況】
 阪神・淡路大震災の際、兵庫県では震災発生後、3箇月で震災前の水準まで回復している。一方、東日本大震災では、震災発生による落ち込みが大きく、また、全国的な影響も大きかった。
 これは、東日本大震災が電力供給制約やサプライチェーンの寸断等の影響により、経済的影響が被災地以外にも広く及び、全国的な影響を与えたためである。
 
図表80 鉱工業生産指数の推移

図表80 鉱工業生産指数の推移
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【消費の状況】
 阪神・淡路大震災では、被災地の兵庫県において、震災後に消費は大きく落ち込み、その後回復しているものの、震災前より低い水準で推移している。
 一方、東日本大震災では、震災発生の3月に、3県ともに大幅に販売額が減少した後、4月以降、急激に回復し、特に宮城県では5月以降、震災前を大幅に上回る高水準が続いている。
 
図表81 大規模小売店販売額(前年同月比)の推移

図表81 大規模小売店販売額(前年同月比)の推移
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【雇用の状況】
 阪神・淡路大震災では、兵庫県の有効求人倍率は震災直後から増加が見られ、その後1年間、震災前よりやや高い水準でおおむね推移している。
 一方、東日本大震災前後では震災後、いったん大きく落ち込んでいるが、その後5月から急激に増加し、平成24年1月以降、3県ともに全国を上回る倍率となっている。
 これは、東日本大震災は、被災範囲が広く、復旧工事等に関連した求人が阪神・淡路大震災以上に多く発生したためと推察される。
 
図表82 有効求人倍率の推移

図表82 有効求人倍率の推移
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【港湾における貿易動向】
 阪神・淡路大震災により被災した神戸港では、震災後、輸出額が大幅に減少し、平成7年2月には、前年同月比で80%の減少となった後、1年間で震災前の8割程度まで回復した。東日本大震災後の仙台塩釜港では、震災後の23年4月には、輸出量が前年同月比で100%近くの大幅な減少となった。6月以降徐々に回復し、年末までに震災前の6割程度の水準となっている。
 
図表83 港湾の輸出額の推移

図表83 港湾の輸出額の推移
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【住宅建設】
 阪神・淡路大震災後の兵庫県では、住宅着工が前年同月比で80%以上の増加の月もあるなど大幅に増加している。一方、東日本大震災では、震災発生後、夏にかけて前年同月比で増加しているが、その後大幅な伸びは見られていない。これは、高台等への集団移転など、まちづくりとの一体的な復興計画の検討や、用地の確保、原子力発電所事故による立入禁止区域の設定等の課題が生じているためと推察される。
 
図表84 新設住宅着工戸数(前年同月比)の推移

図表84 新設住宅着工戸数(前年同月比)の推移
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【復興まちづくり】
 阪神・淡路大震災からの復興においては、兵庫県神戸市、芦屋市、西宮市、尼崎市、淡路市で合計20事業地区、255.9haの土地区画整理事業が決定された。うち、震災後10年の平成17年度までに7割の14地区が完了したが、全地区が完了したのは、23年3月28日であった。
 
図表85 阪神・淡路大震災の震災復興土地区画整理事業

図表85 阪神・淡路大震災の震災復興土地区画整理事業

 

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