第1節 持続可能で活力ある国土・地域づくりをめぐる現状と課題 

コラム さいたま市における公共施設マネジメント

 さいたま市は、すべての公共施設を対象に、効果的かつ効率的な管理運営を推進することを目的として、平成24年6月、「さいたま市公共施設マネジメント計画」を策定・公表した。
 この背景には、同市が旧4市の合併による政令指定都市であり、多くの公共施設(総施設数:約
1,700施設、総建物床面積:約260万m2)を有し、かつ、それらの多くが昭和40〜50年代に建設されており、築後30年以上経過したものが約52%を占めるなど、今後、大規模改修や建替えの大きな波が訪れることにある。それに伴い、大幅に改修・更新コストが増加し、現状の施設をこれまでと同程度に維持すると、今後40年の年平均で155億円の財源不足が生じると同市では見込んでいる。また、その人口構造の特徴から高齢人口の急増が今後見込まれており、公共施設に対する需要・ニーズの変化に対応したマネジメントが必要になっている。
 同計画においては、全体目標として、【ハコモノ三原則】「新規整備は原則として行わない(総量規制の範囲内で行う)」「施設の更新(建替)は複合施設とする」「施設総量(総床面積)を縮減する(40年間で15%程度の縮減が必要)」、【インフラ三原則】「現状の投資額(一般財源)を維持する」「ライフサイクルコストを縮減する」「効率的に新たなニーズに対応する」を掲げるとともに、施設分野ごとの方針を定めている。また、公共施設マネジメントの専任担当部署を設置して、トップマネジメントの下、計画を推進するとしている。
 具体的には、公共施設状況のデータベース化、白書の作成等を通じて、施設の現状と課題を踏まえ、アクションプランを策定してマネジメントを実施する。毎年の白書では、施設の整備状況、利用状況、運営状況、コスト状況等の指標に基づくモニタリングを行う。同白書は公表され、市民、民間事業者等との問題意識の共有を踏まえたマネジメントが行われることとなる。
 
公共施設の建築年別延床面積の状況

公共施設の建築年別延床面積の状況
 
公共施設の分野別延床面積の割合と老朽化の状況

公共施設の分野別延床面積の割合と老朽化の状況

 

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