第2節 自然災害対策

コラム 特別警報の運用開始

 極めて甚大な被害が発生した「平成23年東北地方太平洋沖地震」による津波や、「平成23年台風第12号」による紀伊半島を中心とする大雨などの災害において、気象庁は警報をはじめとする防災情報により重大な災害への警戒を呼び掛けたものの、災害発生の危険性が住民や地方自治体に十分に伝わらず、必ずしも住民の迅速な避難に繋がらない例がありました。気象庁ではこの事実を重く受け止め、災害に対する気象庁の危機感を伝えるために、25年8月30日より「特別警報」の運用を開始しました。
 特別警報は、警報の発表基準をはるかに超える現象に対して発表し、その発表基準は、地域の災害対策を担う都道府県知事及び市町村長の意見を聴いて定めています。大雨、暴風、高潮、波浪、暴風雪、大雪については、数十年に一度の現象が予想された場合に、それぞれの現象名に特別警報を付した名称で発表します。一方、津波、火山現象、地震動については、従前の大津波警報、噴火警報(居住地域)、震度6弱以上を予想した緊急地震速報を特別警報と位置づけ、それぞれ「大津波警報」、「噴火警報(居住地域)」、「緊急地震速報」の名称で発表します。
 また、特別警報については、より確実かつ迅速に多くの住民へ伝達されるよう、都道府県から市町村への通知、市町村から住民への周知の措置が、それぞれ義務となっています。
 なお、「特別警報が発表されない」は「災害が発生しない」ではありません。今まで通り「重大な災害が起こるおそれのある」場合には警報を発表します。大雨等においては、時間を追って段階的に発表される気象情報、注意報、警報等を活用して、早め早めの防災対応、安全確保行動をとっていただくことが重要です。
 
表 特別警報の発表基準



注 噴火警戒レベルを運用している火山では「噴火警報(居住地域)」(噴火警戒レベル4または5)を、噴火警戒レベルを運用していない火山では「噴火警報(居住地域)」(キーワード:居住地域厳重警戒)を特別警報に位置づけています。


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